印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2014年9月22日月曜日

ad tech Tokyoに見る新規印刷サービス機会:アマゾンと楽天の相違から

2014年9月16日〜18日、東京国際フォーラムでデジタル・マーケティングのイベント、ad tech tokyo 2014が開催されました。私は今回が初めての参加でしたが、登壇者の豪華な顔ぶれや活気溢れる展示会に圧倒されつつも、また印刷業界からの参加にアウェイ感(笑)を覚えつつも、とても刺激的で楽しい時間を過ごしました。

キラ星のようなスピーカーの中には、楽天とアマゾンという日本と世界を代表するECサイトの方々が含まれていました。両社ともたくさんの優良なユーザーを抱え、また質の高い顧客データを大量に持っています。特に、年齢・性別・住所といったデモグラフィックデータではなく、ライフスタイルを切り口にしたセグメンテーションが求められる昨今、この両社が持つ購買データの価値はとても高いものになっています。

今回、この2社から「自社の広告プラットフォームとしての価値」という切り口でお話しがありました。面白かったのは、両社の(少なくとも私が受け取った)メッセージが、以下のような違いを持っていた点です:
  • 楽天:ウチは、こんなスゴいデータを持っています!ちなみに、ウチのデータを使うとこんなコトができます:
    • 例:楽天とサントリー製品の相性の良さが分かります。
  • アマゾン:ウチを使えば、こんなスゴいプロモーションができますし、良い結果も出ます!その理由は、スゴいデータを持っていて、その使い方も知っているからです:
    • 例1:ソニー 4Kテレビ
    • 例2:ニベア
    • 例3:ペプシコ フレッシュ・ジュース
    • 例4:日産 Versa(日本名:ティーダ)
    • 例5:アイリスオーヤマ

データを欲しがっている方には、楽天のメッセージが有効かと思われます。しかし、結果を出すことを求められている多くの広告主にとっては、アマゾンのメッセージの方が魅力的だと思います。

ところで、楽天とアマゾンのメッセージの「データ」を「印刷機」に置き換えると、以下のような印刷営業トークになりそうです。皆さんは、どちらの営業トークが顧客にとって魅力的だと思いますか?あるいは、印刷会社の利益率を高めることができる営業トークは、どちらでしょうか:
  • A社:ウチは、こんなスゴい印刷機を持っています!ちなみに、ウチの印刷機を使うとこんな印刷物ができます。
  • B社:ウチを使えば、こんなスゴいプロモーションができますし、良い結果も出ます!その理由は、スゴい印刷機を持っていて、その使い方を知っているからです。

そういえば、楽天がユーザーの効果的・効率的な「情報収集」に焦点を当てる一方、アマゾンは繰り返し"create experiences" (経験・体験を創造する)とおっしゃっていました。印刷会社も、単に情報を伝えるための印刷物ではなく、「経験・体験を創造する」印刷物を提供するよう転換するタイミングなのかもしれません。

ad techは、新しい印刷サービスを考える上でとても参考になるイベントでした。デジタル・マーケティングと印刷サービスは、私たちが考えているより近いもののようです。
次回も、ad techで得た新しい印刷サービスのヒントをご紹介します。お楽しみに!