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2017年1月11日水曜日

ロックな印刷物:"Velvet Underground & Nico" アルバムジャケット

1960年代、アメリカでポップアートが大きく花開きました。その中心人物の一人だったアンディ・ウォーホルはこの時期に、「キャンベル・スープ」「マリリン」「エルヴィス」「フラワーズ」といった代表作を描き、「チェルシー・ガールズ」「エンパイア」「スクリーンテスト」といった映画も製作しました。

ウォーホルはまた、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビューアルバム「Velvet Underground & Nico」(1967年)のプロデュースも手掛けました。このアルバムジャケットには、ウォーホルのシルクスクリーン作品「バナナ」とウォーホルの名前スタンプが使われています。

最初に製作されたバージョンではこのバナナはシールになっていて(ちなみに、印刷はシルクスクリーン方式)、貼ったりはがしたりできます。そしてバナナシールをはがすと、その下からはピンク色の新鮮な果肉が現れる仕掛けになっています。しかし、すぐにこのシール式ジャケットは直接バナナを印刷する方式(つまり、シールではないタイプ)に変更されました。

ところで、このバナナシールを使ったジャケットを製作するにあたり、特別な機械が開発されたと言われています。一方、人が手作業で貼っていったという説もあります。私は「手作業説」支持派です。当時の技術では、そこまでの精度を持った加工機を開発するのは難しいと考えられるからです。むしろ、手作業の方が早くて精確にできるかと。

また、もし開発に成功していれば、費用回収のために引き続きさまざまなシール式ジャケットが製作されていても良さそうです。しかし残念なことに、こんな仕様のアルバムは当時他にはなさそうです。加工機の写真や情報も残っていないようですし。

さらに、このアルバムジャケットはゲートフォールド式だったりもします。シールが使われていることもあわせて、ロックバンドのデビューアルバムとしては異例に豪華な仕様です。異例といえば、表(おもて)面にバンド名やアルバムタイトル名の表記がない点もそうです(それらは裏表紙(雑誌的にいうと表4)に書かれています)。

デザイン優先のこのアルバムは、ジャケットの生産コストが嵩んだり、当初の売上がレコード会社の期待に届かなかったりと、短期的には(商業的には)成功しませんでした。ちなみに、発売日(1967年3月12日)から1969年2月14日の約2年間に売れた枚数は58,476枚でした。

ただ、長期的は極めて大きな成功を収めています。この「熟れすぎて一部が黒ずんだバナナ」はヴェルヴェッツのブランディングに重要な役割を果たしています。また、「Velvet Undergound & Nico」は発売以来一度も廃盤になったことがないそうです。もちろん、音楽としての質の高さが主な理由だと思いますが、ジャケットの魅力も無視できません(ロックの世界には「ジャケ買い」という言葉もありますし)。

「Velvet Underground & Nico」の発売50周年となる今年、ジョン・ケイルこのアルバムの全曲を演奏する記念ライブを英国・リバブールで行う計画を発表しています。ゲストを含め、どんなライブになるか楽しみに待ちましょう (^ ^)

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