印刷物など「フィジカルメディア」の使い方やつくり方を進化させるお手伝いをするコンサルティング会社 ブライター・レイターのブログです。

2019年11月5日火曜日

印刷工場をスマート化する意味って?

来週、印刷業界のイベント「Think Smart Factory 2019」が秋の京都・みやこめっせ(京都市勧業館)で開催されます(2019年11月11日〜13日)。これは、会場内全体が印刷機材メーカーとユーザーの共同企画によるワークフローでつながれた、印刷から製本、梱包までの一連のプロセスを自動化できる「SMART FACTORY」を体感できる展示会です。

スマートファクトリーとは、経済産業省によれば「 IoT・ビッグデータ・AI(人工知能)・スマートロボットを活用したものづくり(データを活用したものづくり)」のための工場で、以下を目的としています:
  • 品質の向上
  • コストの削減
  • 生産性の向上
  • 製品化・量産化の期間短縮
  • 人材不足・育成への対応
  • 新たな付加価値の提供・提供価値の向上
  • リスク管理の強化、など

ところで、印刷会社は「売上・利益の増大」や「顧客満足度向上/顧客に(期待を超えた)より良い体験を提供すること」などを目指して日々活動しています。最近では、自社スタッフやパートナー企業、地域社会などを含む「ステークホルダー」により良い体験を提供することも求められています。

これらを実現するためには、「工場のスマート化」だけでは足りません。「営業部門のスマート化」や「人事など本社部門のスマート化」など、会社全体の仕組みのスマート化が不可欠です。つまり、営業や人事などにもIoTやAIといったデジタル技術を活用することが必要です。

こうした関係をまとめたのが「印刷会社の進化を支える大三角形」(下図)です。この図から、例えば、売上を伸ばすためには「営業のスマート化」や「より良い顧客体験の提供」が必要なことが分かります。また、従業員満足度を高めるためには「仕組みのスマート化」「業績の改善」と共に「スタッフへのより良い体験の提供」も必要なことが分かります。


工場のスマート化は、印刷会社にとって進化のための大きな一歩です。そして、その成果をより大きなものにするには「大三角形」全体を強化することにも目を配ることが不可欠です。ぜひ、工場のスマート化をきっかけにさらに大きく進化しましょう!

2019年10月1日火曜日

『フィジカルメディア』の7つの魅力

興味深いことに、企業の(Webサイトなど)「デジタルメディア」への取り組みが進んだ結果、あわせて「フィジカルメディア」への注目も高まっています。フィジカルメディアとは手で触れる「物理的なメディア」のことで、例えば、ポスターやパンフレット、DM、ステッカー、バッジ、Tシャツ、写真、パッケージ、などが含まれます。

フィジカルメディアが注目される理由として、以下のような(デジタルメディアとは違った)「7つの魅力」があることが挙げられます: 

1)自然と目に触れる機会が増える
2)部屋や持ち物などを飾れる

フィジカルメディアを普段人々が通ったり過ごしたりする「フィジカル空間」に貼ったり置いたりすることで、(そのメディアを使っている)ブランドが自然と人々の目に触れる機会が増えます。もちろん、電源の取れない場所や電波が届かない場所でも問題ありません。

しかも、気に入ったら持ち帰ってポスターなら部屋を、バッジやステッカーならスマホや財布、パソコン、お気に入りのバッグなどを飾ることもできます。Tシャツなら普段着ることができます。

気に入ったフィジカルメディアを日常生活の中で飾ったり着たりすることで、本人だけでなく、その家族や友人、同僚といった身近な人たちの目にブランドが触れる機会・時間も自然と増えます大切な人が身につけたりしていれば、そのブランドの好感度も大きく高まります。


3)取っておける
4)寿命が長い

ご自宅やオフィスの冷蔵庫に、近所のピザ屋さんやお弁当屋さんのメニューなどを貼ってある方は少なくないでしょう。机の引き出しや本棚、押入れには、昔手に入れた思い出のパンフレットやポスター、包み紙、切り抜き、ノベルティグッズなどが入っているかもしれません。

昔のポスターといえば、例えば、前田美波里さんの水着写真が使われた資生堂ビューティケイクのポスター(1966年)、「ムーラン・ルージュ」など1890年代にロートレックがデザインしたポスター、赤ワインの入ったグラスを女性が胸元に掲げているサントリー「赤玉ポートワイン」のポスター(1923年)などは、多くの方がパッと思い浮かべることができると思います。

資生堂初代社長福原信三氏の口癖のひとつに「ブランドは世界に通用しなければならない」というのがあったそうです。今なら、「ブランドは時代・世代を超えて通用しなければならない」とも仰るかもしれません。

寿命が長いフィジカルメディアは、時代・世代を超えて通用するブランドづくりに貢献する大切な資産です。多くの優れたフィジカルメディアが残ることで、ブランドの魅力はより高まります。


5)形や大きさ、素材がいろいろ
6)折ったり、開いたり、貼ったり、はがしたり、めくったり、切ったり、破ったり、食べたり、丸めたり、クシャクシャにしたりできる
7)五感で楽しめる

フィジカルメディアは形や大きさ、素材などを工夫することで、いろいろな見え方・手触りなどを楽しめるようにできます。例えば、雑誌の「袋とじ」付録は、袋を破る時の手ごたえや音も楽しめます。最近では食べ物に印刷する技術も開発されていることから、香りや味の付いたフィジカルメディアもできます。

視覚に加えて触覚や聴覚、味覚、嗅覚など五感を使った「体験」を(デバイスなしに)提供できること。これもフィジカルメディアならではの特徴です。

このような魅力を持つフィジカルメディアは、「拡散力」「瞬発力」「柔軟性」などに優れたデジタルメディアと組み合わせることで、より効果的・効率的なコミュニケーションを実現できます。マーケターの皆さん、ぜひフィジカルメディアも積極的に活用しましょう!

もし、フィジカルメディアの使い方・つくり方のご相談先を探されるときには、ブライター・レイターまでお気軽にお声がけください (^ ^)

2019年9月13日金曜日

印刷業界的「ラジオエルメス」の楽しみ方

エルメスは今、1ヶ月限定のラジオステーション「ラジオエルメス」を展開しています(9月1日〜9月29日)。ラジオエルメスは「エルメスのメンズの世界の自由な発想とクリエイションを耳から感じていただく」ための放送で、東京・原宿に実際に放送用スタジオも設置されています。


そこから公開生放送も行われており、私が行った時にはイラストレーターの永井博さんがゲストでした。(永井さんの作品は、大瀧詠一「A LONG VACATION」のジャケットなどで皆さんもご存じかと思います)


ラジオスタジオにはエルメスのステキなバッグやスニーカーなども展示されていますが、このブログでは敢えて(笑)会場で使われている印刷物に注目します!

まず、1階奥に設置されているレコードの棚に向かいましょう。その棚にはたくさんのLPレコードが収められていますが、中にはエルメスの「カレ」(スカーフ)の柄がジャケットに印刷されたものもあります(それらの中にもレコードが入っています)。印刷もとてもキレイで思わず欲しくなります。


また、棚の真ん中部分には、ヘッドフォンと「ヘッドフォンをつけてから、お好きなレコードジャケットを選びこちらに立てかけてお楽しみください」と書かれた小さなボードがあります。

ヘッドフォンを装着しスカーフ柄のレコードジャケットをそのボードに立てかけると、本当に音楽が流れてきます。違う柄のジャケットを置けば、違う曲が聴けます。これらの曲は、最近10年間にエルメスのメンズコレクションで使われたものです。中のレコードのレーベル部分には、その曲名とアーチスト名、その曲が使われたコレクションが書かれています。


2階へと通じる階段部分には、ラジオエルメスのミニポスターがたくさん貼られています。面白いのは、6種類もデザインがあることです。1つの(しかも1ヶ月限定の)イベントで6種類のポスターをつくることはあまりありません。また、来場者はお土産としてステッカーをもらえます。ポスターに使われたイラストやラジオエルメスのロゴが印刷されたかわいいステッカーです。


さすがエルメス、印刷物にも手を抜いていないどころかとても上手く活用しています。ラジオエルメスは9月29日まで開催されています。ぜひ、印刷物にも注目して楽しんでください!

ところで、「レコードを立てかけるだけで聴けるプレーヤー」は商品化されそうなくらいの面白さです。技術的にも難易度は高くなさそうですし。さて、これはどんな仕組みで音楽を楽しめるのでしょう?ぜひ、会場に足を運んでご自身の目と耳でご確認ください (^ ^)

2019年8月28日水曜日

同人誌の印刷部数を推定してみた

2019年8月25日、東京ビッグサイト青海展示棟で「コミティア129」が開催されました。コミティアはプロ・アマを問わないマンガ描きたちが自主出版した本を発表・販売する展示即売会で、今回は4,017サークル/個人が参加(出展)しました。

筆者は一般参加だったのですが、一般参加でコミティアに入場するためには「ティアズマガジン」というカタログを購入する必要があります。ティアズマガジンには参加サークルの紹介などに加えて、前回コミティア(今号の場合はコミティア128, 5月12日開催)のレポートなども掲載されています。

このレポートには出展サークル/個人のアンケート結果も掲載されているのですが、このアンケート結果はがとても興味深かったりします。例えば、今回のティアズマガジンには「同人誌の発行部数と印刷形式」についてのアンケート結果が掲載されていました。

このグラフには数値が掲載されていないので、棒グラフの長さを測って(笑)アンケートに回答したサークル/個人による同人誌の発行部数を推定したところ、およそ13万部となりました。このうち、オンデマンド印刷されたものは約1万8,000部で全体の14%程度でした。

アンケート回収率(22.8%)や壁サークルの数などを勘案し、コミティア128での同人誌発行部数は30万部程度、うちオンデマンド印刷されたものは4万5,000部程度と推定しました。そして、オフセット印刷は22万部くらいかと。各サークルの発注部数は少なくても、4,000以上のサークル/個人が発注することでかなりまとまった印刷ボリュームになることが分かります。

コミティアは年4回開催されます。また、地方でのコミティアもあります。コミティア以外にも、コミックマーケット(いわゆる「コミケ」)など様々な同人誌即売会が開催されています。また、サークルの中には、同人誌以外にもポストカードや名刺、ポスター、名刺、缶バッジといったグッズなどを製作しているところも多数あります。

印刷部数を推定すると、改めて同人誌市場の大きさというか迫力を感じます。ところで、皆さんはコミティアなど同人誌即売会場に行かれたことはありますか?会場に行くと、大量の同人誌が机の上に積み上がっている壮観な風景を見られることはもちろん、たくさんの印刷サービスのヒントも見つかったりします。ぜひ一度、同人誌即売会場に足を運ぶことをオススメします!

注)本記事では、棒グラフの長さを測る(笑)などラフな方法で推定しています。より緻密にに推定するデータやロジックをお持ちの方がいらっしゃいましたら、お教えいただければ幸いです。

2019年6月5日水曜日

データドリブン印刷物、着々と利用拡大中!

最近、『データドリブン印刷物』を活用してマーケティングKPIを改善した事例が増えています。データドリブン印刷物とは、Webやアプリなどデジタルツールで取得したデータを利活用して、それぞれのお客さまにとって「適切な内容」を「適切なタイミング」で印刷物の形で伝えることができるメディアです。

私は、印刷物を「最も人間味のある親密なメディア」だと考えています。手で触ることができ、気に入れば部屋に飾ったり、カバンに入れたりノートに挟み込んだりして持ち運ぶことができます。机の中や本棚にしまっておいて、何年も経ってから家族や友人、同僚にみせたりもできます。つまり、印刷物は引越しの準備や大掃除が進まない原因にもなります(笑)

デジタルツールと連携させることで、私たちは印刷物にもっと人間味や親密さを持たせることができます。データを通じてお客さまの理解を深めた上で、印刷物をお送りできるからです。

Web広告研究会の「2019年WAB宣言」(2019年3月25日発表)は、「Web/デジタルの枠を超えて、顧客の期待を超える体験を」というものでした。最近、データドリブン印刷物を活用した取り組みが増えているのは、より人間味のある親密な印刷物が(リアル領域で)顧客の期待を超える体験を提供するのに役立っているからだと考えられます。

データドリブン印刷物活用はこれまで海外が中心でしたが、国内でも増えつつあります。例えば、今年3月に発表された「第33回全日本DM大賞」では、ディノス・セシールさま「カート落ちDM」「小冊子DM」(金賞グランプリ)、ビジョナリーホールディングスメガネスーパー)さま「LTV向上 店舗誘導パーソナライズDM」(銀賞)などが表彰されました。

印刷メディアビジネスの総合イベントpage2019では、IDOM社の「乗り換え促進DM」の事例が紹介されました。これは、IDOMでこれまでに自動車を購入されたお客さまに対して、現在乗っているお車の推定査定額と推定ローン残高から「推定差額」を算出し、その推定差額を「乗り換え資金」としてご提案するDMです。

DM以外にも、以下のような様々なデータドリブン印刷物が考えられます:
  • データドリブン 店頭POP
  • データドリブン カタログ
  • データドリブン 雑誌
  • データドリブン 参考書・問題集
  • データドリブン ラベル
  • データドリブン パッケージ、など

ところで、データドリブン印刷物でもクリエイティブはとても大事です。印刷物に人間味を持たせ、効果を高めるのにクリエイティブは大きな役割を果たすからです。データドリブン印刷物の取り組みが広まるにつれて、こうした部分で知見を持つ印刷会社への期待はどんどん高まっていくでしょう。

データドリブン印刷物を活用した取り組みは、まだ始まったばかりです。ぜひこのタイミングでデータドリブン印刷物に取り組み、持続的成長力を高めましょう!

ディノス・セシールさま「カート落ちDM」スキーム

2019年4月1日月曜日

ブライター・レイター、新サービス『空飛ぶ印刷所』をスタート!

(注:最後までお読みください)

2019年4月1日、ブライター・レイターは飛行船ベースの印刷サービス「空飛ぶ印刷所」を新たにスタートすることを発表しました。

「空飛ぶ印刷所」は、印刷機や製本機といった機材を設置した飛行船で全国各地をフライトしながら空の上から印刷物を提供するサービスです。インターネット経由で印刷用データを受注し、飛行船内で印刷・加工、ドローンで飛行船から地上へ印刷物を配送します。お急ぎの場合は、使用する場所の上空で印刷・加工し、その場所へ直接お届けします。

「空飛ぶ印刷所」は、航海中の客船や印刷会社のない小さな島などで行われるイベントにも対応、その際船体にイベントロゴなどを掲出するサービスや、ジェットスーツを着用したスタッフによる印刷物デリバリーのショーアップサービスなどもオプションで提供します。また、飛行船は災害時、「空飛ぶ携帯電話基地局」としても機能します。

ブライター・レイター 代表 山下潤一郎は、新サービスの発表に当たり、以下のようにコメントしています:「オンデマンド印刷は『必要な時に、必要な量を、必要な場所で印刷するサービス』です。飛行船を活用した『空飛ぶ印刷所』は究極のオンデマンド印刷サービスで、ブライター・レイター設立時から温めていた企画です。ぜひ、たくさんの方にご利用いただければと思います。」

飛行船の名称や印刷物の価格など、詳細は決まり次第改めて発表します。なお、添付の画像はイメージになります。また、4月1日発表のサービスのため、実現されない可能性もあることをご了承ください。

Illustration by Reimund Bertrams @ Pixabay




2019年2月12日火曜日

BL流 page2019速報(0)全体の傾向

2019年2月6日〜8日の3日間、印刷メディアビジネスの総合イベント page2019が開催されました(主催:日本印刷技術協会, 会場:東京・池袋 サンシャインコンベンションセンター)。IGAS2018から約半年後の開催ということで新製品の発表はそれほど多くありませんでしたが、その分、(単なる製品紹介ではなく)印刷会社の売上・利益増大に貢献することを強く意識した展示/提案が多く見られました。

ところで、印刷市場では用紙・インキの値上げや人手不足などが進んでいます。こうした動きを受けた今回の出展内容は、以下のような傾向が見られました:

  • 『いまどきのパーソナライズ』を支援
  • 増える『目』の付いた機材
  • 『連携・見える化・自動化』がさらに進展
  • 『証拠(エビデンス)』も武器に、など

具体的な展示内容は以下の記事をご確認ください。といっても、取材した機材や資材を並べているだけで分析できていませんが・・・詳細は、印刷界日本印刷新聞社)に寄稿する pageまとめ記事や、2月22日に開催するpageまとめセミナーでご確認いただけますようお願いいたします!

  1. トナー機
  2. 輪転インクジェット機
  3. 枚葉インクジェット機
  4. その他デジタル印刷機(ワイドフォーマット機、シール・ラベル機、など)
  5. オンデマンド加飾機
  6. 製本関連
  7. 検査システム
  8. 全自動ラミネータ
  9. その他後加工機
  10. ワークフロー/MIS/ERP
  11. その他ソフトウェア(Web to Print、バリアブル(可変)、など)
  12. その他

なお、page2019速報について修正・変更など必要な場合には、お手数ですがご連絡いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします!
page2019受付
2月6日 基調講演