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2012年6月18日月曜日

Landa型インクジェット機を実現する際の課題について

drupa 2012が5月16日に閉幕して以降、これまでに様々な印刷機材メーカー・販売会社などからdrupa報告会が開催されました。あるいは、視察に行ったスタッフによる社内報告会が行われた会社もあるでしょう。その全てにおいて、「Landa社が発表したインクジェット機」について詳細な報告されたと思います。特に、「drupaの1年半後(18ヶ月後)に出荷する」という発表に対して、「本当に出荷されるのか?」という点について様々な分析・報告が行われたかと思われます。

私が参加した報告会などによれば、Landa型インクジェット機を実現するに当たっての主な課題として、以下ような点が挙げられます:
  • ブースに展示してあった印刷サンプルに見られたスジをなくすこと。
  • ベルト上に作成したイメージを紙やフィルムなどに100%(あるいは安定的に)転写すること。
  • ベルト上で発生した水蒸気がインクジェットヘッドからのインクの噴出を妨げないようにすること、など
これらのうち、『印刷サンプルのスジ』については以前の記事「Landa社製のインクジェット機は発売されるか?」でも触れていますので、こちらも併せてお読みください。

これまでの(つまり、Landa社が登場するまでの)インクジェット機の開発期間を見ると、こうした課題を18ヶ月以内に解決するのは簡単なことではないようです。特に、Landa社もdrupa期間中に提携を発表した小森コーポレーション・ハイデルベルグ・マンローランド(枚葉部門)もインクジェット機の開発についてのノウハウはそれほど多くないと推測されるため、多くの関係者は「難しいのでは」と考えているようです。

しかしLanda社は、こうした課題を解決するための技術を持つ会社と新たに提携するかもしれませんし、こうした技術を持つスタッフを新たに採用するかもしれません。あるいは、研究開発にこれまで以上の予算を投じることで、課題を解決するかもしれません。今の段階では、18ヶ月後の状況を予測するのは難しいと思われます。

ただ、その間にもLanda社やそのパートナー企業から進捗状況についての報告が行われるかと思いますので、そうした情報を収集・分析しつつ、Landa型インクジェット機の発売時期について評価していきたいと思います。

Landa型インクジェット機は、印刷速度の向上や画質の向上に加えて用紙対応性の高さなどから、デジタル印刷の利用範囲を拡大する可能性を持っています。また、大きなタッチスクリーン式操作パネルも、小ロット・多品種・多ジョブ化が進む中でひとつの方向性を示しており、大変興味深いデジタル機だと考えられます。これからも引き続き、Landa型インクジェット機の開発状況に関する情報を積極的に集めていきたいと思います。