印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2016年11月25日金曜日

インドの印刷市場に注目!

2016年11月22日、日本印刷会館(東京)で(一社)日本印刷産業連合会による「WPCF 及び FAPGA 出張報告会」が開催されました。その中で、韓国・中国・インドの印刷市場についてのいろいろと興味深いお話がありました。

例えば、中国の印刷市場について:まだ成長は続けているものの、その伸びが鈍化し始めていること。印刷物出荷額(約13.3兆円(2013年))の内訳は、パッケージ 75%、出版 15%、商業印刷 10% であること。商業印刷市場は、中国で最もアクティブで有望な市場分野とされていること。

実は、今回のセミナーで一番驚いたのはインド印刷市場の圧倒的なパワーです。例えば、会社数とその従業員数。日本の印刷会社数(2014年)は2万7,000社と日本の基準でいえば十分多いのですが、インドの印刷会社数はその6.5倍の17万5,000社(2012年)。そして、従業員数でみると、インドは日本の8倍以上の250万人(2012年)。

日本からみれば中国の印刷市場は巨大ですが、その中国と比較してもインドは印刷会社数 2.6倍、従業員数 1.3倍 と、さらにその上をいきます。そして、インドの枚葉オフセット印刷機の設置台数(2015年)は、新台 460台・中古 2,535台。インドの印刷物出荷額のデータはセミナーで紹介されませんでしたが、それ以外のデータで見ても、日本のスケールでは計れない規模感であることが分かります。世界は本当に広いです。

こうした大きくて成長している印刷市場にどう向き合い、またどう取り込むか。インド市場向けに輸出とかインドに生産拠点を持つなどの製造業的な動きから、現地の企業と提携してインバウンド需要づくりといったサービス業的な動きまで、いろいろ考えることができそうです。2020年に向けて成長事業をつくるために、インド市場の可能性にもぜひ目を向けてみるのはいかがでしょう。

2011年4月27日水曜日

デジタル印刷 理想と現実のギャップ:利益編

4月26日のブログで、印刷会社においてデジタル印刷機の導入意欲が非常に低いことを指摘した。その理由のひとつとして、4月24日のブログで明らかにしたように、『デジタル印刷ならではの付加価値を活かすジョブが取れていないこと』が挙げらよう。また別の理由として、デジタル印刷で思うように利益を挙げられていないことも挙げられる。

ここ数年間で、ライトプロダクションと呼ばれる低価格で高速なカラーデジタル印刷機が普及したが、日印産連アンケート結果によれば、これらを含めたカラーデジタル印刷機(生産機、トナー、カット紙、A3モデル)を使っている印刷会社のうち利益を出しているのは3分の1である。ちなみに、モノクロ機(トナー、カット紙、A3モデル)におけるその比率は46%となっている。





以前、「デジタル印刷は、大ロットのオフセット機のジョブを取るための細かい仕事を行うための機械なので、利益は出なくても良い」というご意見をお伺いしたことがある。現在、オフセットのジョブでは小ロット化・低価格化が進んでおり、オフセットのジョブで十分な利益を出すのは簡単ではない。こうした状況では、デジタル機のジョブでも利益を出す事が求められるが、実際にはカラー機では3分の2、モノクロ機では5割強が利益を出せていない。

このような現実に直面している印刷会社において、デジタル印刷機の導入意欲が低いのは当然のことである。デジタル印刷機メーカー、そして印刷機材商社には、日本市場に適したデジタル印刷による売上・利益を同時に拡大する方法を、印刷会社とともに開発し、共有することが求められる。

2011年4月24日日曜日

デジタル印刷の理想と現実のギャップ、そしてその埋め方について

少々間が空いてしまったが、4月6日の記事に引き続き、日本印刷産業連合会から発表された「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査」について分析を行う。

アンケートに回答した印刷会社によれば、「デジタル印刷で重視している付加価値」は『バリアブル印刷』が第1位で24%、次いで『オンデマンド対応』(22%)、『ハイブリッド印刷』(14%)となっており、これら上位3項目で全体の60%を占めている。



しかしながら、このアンケートでは印刷会社がこれらの付加価値をビジネスに上手く結びつけられていない現実が明らかとなった。「デジタル印刷で売上が1位〜3位の受注品目」について質問した結果、『バリアブル印刷』の売上が1位の印刷会社は4社に留まっている。『オンデマンド対応』は、オフセット機での短納期対応スキルが高まっている現状では効果が十分出ているとは限らない。また、『ハイブリッド印刷』への対応が進んでいる印刷会社は、まだ限られている。


* 注)バリアブル印刷:カット紙への宛名印字、ナンバリング、可変情報出力など
事務用印刷:名刺、ハガキ、グリーティングカードなど


このように、印刷会社においてデジタル印刷の理想と現実にはギャップがあることが明らかとなった。印刷会社がデジタル印刷に成功するためには、この理想と現実のギャップを埋める事が求められよう。その方向としては、『バリアブル印刷のジョブを増やすよう提案力を高める』こと、あるいは『商業印刷や事務用印刷のジョブを効率的に行う』ことの2方向が考えられる。

このうち、『提案力を高める』にはスタッフのスキルアップなど時間が掛かることが見込まれる。そのため、短期的に売上・利益の拡大を実現するためには、既にジョブがある商業印刷や事務用印刷のジョブを更に増やし、同時に利益を拡大するため業務の効率化を進める事が適切であろう。

2011年4月6日水曜日

2013年の印刷会社のサービス内容

3月31日、日本印刷産業連合会から「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査 2010年/2013年デジタル印刷予測」が発表された。この調査は、以下の団体に所属する全国681社に対して2010年5月に実施されたものである:

  • 印刷工業会
  • 全日本印刷工業組合連合会
  • 日本フォーム印刷工業連合会
  • 日本グラフィックサービス工業会
  • 日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会
  • 全日本シール印刷共同組合連合会
  • 全日本グラビア協同組合連合会
  • 全日本スクリーン・デジタル印刷共同組合連合会
この調査結果によれば、2010年度と2013年度における印刷会社のサービス別売上比率を比較すると、デジタル印刷サービス(トナー機・インクジェット機の合計)は27%から34%へと、また印刷付帯サービスも11%から13%へと増加することが予測されている。その結果、2013年度には有版印刷以外のサービスが占める比率が50%近くまで増加する予測となっている。


この調査は前述のように東日本大震災前(昨年5月)に実施されたもので、3月以降の用紙やインキの供給不足や計画停電、企業の広告宣伝活動の自粛や活動の移転・分散、消費者の買い控えなどが反映されていない。こうした震災後の動きは、特に有版印刷の大ロットジョブに大きな影響を与えると考えられることから、2013年度にはデジタル印刷や印刷付帯サービスの売上比率が50%を上回ることも十分考えられよう。

次回以降のブログでは、このアンケート調査結果を基にデジタル印刷・印刷付帯サービスの事業拡大機会について分析する。