印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2021年5月17日月曜日

『サステナブル drupa』としての virtual.drupa 2021

 先月開催された virtual.drupa は、機材の観点からは前回記事でご紹介したように 『自動運転(autonomous)drupa』でしたが、印刷会社/印刷業界が取り組むべき課題という観点では『サステナブル(sustainable)drupa」でした。

オンライン英和・和英辞書データベース「英辞郎 on the WEB」によれば、サステナブルには「維持[持続]できる、持ちこたえられる」と合わせて、「《環境》持続可能な、環境を壊さず利用可能な、地球に優しい」といった意味もあります。

今回の virtual.drupa では、2019年の国連気候行動サミットを受け、また会期中の4月22日がアースデイでもあったことから、サステナブルが大きなトピックのひとつでした。ちなみに、菅総理大臣が「2050年カーボンニュートラル・2030年度の温室効果ガス46%削減(対2013年度)」を発表したのも4月22日でした。

多くのセミナーで、持続可能性を高めるためには循環型経済(circular economy)、3R(Reduce, Reuse, Recycle)、(パッケージやラベルなどの)簡素化などが必要だというメッセージが出されました。印刷会社は今後、廃棄物の最小化を目指す循環性向上、印刷量削減を含む Reduce 、前回drupaで注目された加飾とは対極にある簡素化、などのトレンドと自社の方向性を揃えることが求められるでしょう。

環境以外にも、「若手不足」といった印刷会社・印刷業界全体の持続可能性を阻害する課題をテーマにしたセミナーもありました。また、総合印刷機材展の来場者数が減少傾向にある中、drupaそのものの持続可能性も問われています。

サステナブルも、自動運転と同様、次回drupa(2024年5月28日〜6月7日開催)の主要テーマとなるでしょう。会場でどのような(環境以外も含めて)「持続可能性と競争力の両方を向上させることができる提案」が見られるか、今から楽しみです!

2021年5月11日火曜日

virtual.drupa 2021 は『自動運転 drupa』!

 世界最大の国際印刷機材展 drupa が先月(2021年4月)、コロナ禍の影響によりvirtual.drupaとしてオンラインで開催されました。drupaは毎回「Inkjet drupa」といった展示内容のトレンドを表すニックネームが付きますが、今回のvirtual.drupaは『自動運転(autonomous)drupa』だったと筆者は考えます。

自動運転の範囲は各機材だったり、(プリプレス・印刷・後加工といった)各工程だったり、工場全体だったり様々ですが、データとAIを活用して(オペレータではなく)システムが自律的に生産活動を行うという方向性は共通して見られました。特に、ハイデルベルグKBA小森コーポレーションといったオフセット機メーカが、自動運転のビジョンをサービス紹介動画やオンラインセミナーで提案し、存在感を高めていました。

とはいえ、印刷機材や印刷工場が急に「完全運転自動化」になる訳ではありません。今後は、自動車のような「運転自動化レベル」を指標として使いながら、印刷機材や工場の自動運転かレベルを把握・向上させていくことになるでしょう。次回以降のdrupaでは、「この機材はレベル3の自動運転を実現しています」「あなたの工場の自動運転化レベルを3にするサービスです」といった提案が出てくるかもしれません。とても楽しみです。


virtual.drupaでは、「循環型経済/ 3R」「加飾 vs 簡素化」「若手不足」といった様々な印刷業界が取り組むべき課題/印刷会社の競争力向上ポイントの指摘もありました。印刷会社は機材の進化に加えて、こうした点も意識をしながらコロナ禍を乗り越えて売上・利益の増大を実現することが求められます。自動運転化は、こうした課題を解決したりするための手段ですから。


次回drupaは、2024年5月28日〜6月7日にデュッセルドルフで開催されることが主催者から発表されています。今回注目された自動運転や循環型経済に対して出展企業からどのような提案があるのか、楽しみにしながらdrupa2024を待ちましょう!