印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2017年3月24日金曜日

「実は今、輪転IJ機の導入を検討しています」

先日、あるメーカーの印刷物発注担当者であるHさんから、「実は今、フルカラー輪転インクジェット式デジタル印刷機(輪転IJ機)の導入を本気で検討しています」とのお話をお伺いしました。

Hさんは現在、マニュアルの印刷をご担当されています。それらは数台のトナー系デジタル印刷機で生産されており、印刷量は月間およそ300万〜400万カウント(1カウント = A3片面)、そのうちカラーは100万カウントほどです。記事末の写真は、現在カラーのマニュアルを印刷しているフルカラーデジタル印刷機の内部です。

Hさんは、数台のトナー系デジタル印刷機を集約、上流システム+輪転IJ機+製本機による自動化でこれらの仕事を行う事を前提に考えています。その効果として、まずは以下を見込んでいます。
  • コスト削減
  • 納期短縮
  • サービス品質向上
  • 自動化・スキルレス化が進んだスマート工場化、など


あわせて、以下の実現も目指しています:
  • もっと分かりやすい・使いやすいマニュアルの実現:
    • 「分かりやすい・使いやすいマニュアルが、お客さまがウチの製品を選ぶ理由のひとつになってくれると良いですね」(Hさん談)
    • 私(筆者)は、マニュアルをもっと分かりやすく・使いやすくすることは十分可能だと考えています。例えば、Hさんの会社で生産している機器の利用状況・稼働状況のデータを収集・蓄積・分析して、もっと分かりやすい・使いやすいマニュアルに活かすこと。これは「IoT x マニュアルづくり」という仕組みをつくることで実現できます。
  • マニュアル以外の印刷物の提供:
    • 既存の仕事(マニュアル印刷)を輪転IJ機で置き換え、さらにスマート工場化することで、印刷機の稼働時間にはかなりの余裕が出ることが見込まれます。余裕が出た時間でマニュアル以外の印刷物を生産・提供することを考えています。
    • 私は、この実現も十分に可能だと考えています。上記のような機器の利用状況・稼働状況のデータがあれば、既存顧客向けに機器をもっと効果的・効率的に活用するためのアドバイスを提供する資料も提供できますし、新規顧客開拓用の営業用資料にも活用できますから。

Hさんは今、ビジョンや情熱を共有でき、また一緒に本気でそのビジョンの実現・進化に取り組めるパートナーを絶賛募集中です。とても刺激的な取り組みですので、きっとたくさんの会社から素晴らしいご提案があるのでしょうね。

どのようなパートナーを選び、どんな仕組みを実際に構築するのか。また、その仕組みをどのように活用するのでしょうか。とても興味のあるトピックですので、これからの展開もこのブログでご紹介できればと思います。
Stay Tuned

2016年5月11日水曜日

drupa2016に向けて:最新輪転インクジェット機(ハイエンド機)比較

先日、「drupa2016に向けて:最新インクジェット機のチェックポイント」という記事で、インクジェット式デジタル印刷機の進化をdrupa会場で確認するポイントを示しました。今回は、実際に会場で展示されるハイエンドの輪転インクジェット機の仕様を具体機に比較してみました。

現時点(2016年5月10日)では、この市場向けにミヤコシ、KBA、Landa、HPなどからdrupaで新製品を展示することが発表されています。このうち、ミヤコシ MJP20AX の注目ポイントは 2400 x 2400 dpi という解像度です。

先日の記事にも書きましたが、2400dpiという解像度はゼロックス社のiGenなどハイエンドトナー機と同等です。さらに、このインクジェット機はオフセットコート紙にも対応していることから、商業印刷分野への活用が期待されます。。ミヤコシは、このデジタル印刷機の実機デモを会場で行うことを発表しています。デモで実際の印刷品質を確認しましょう!

KBAは、drupa2012に続いて今回もRotaJET(KBA RotaJET 77)を展示することを発表しています。前回は、中綴じブックレットの製本インライン後加工機が多少注目されたものの、印刷速度が150m/分と特筆すべきではなかったこと、解像度が600dpiということもあってか画質の評価があまり高くなかったことなどから、日本国内ではあまり話題になりませんでした。

しかし、今回は印刷速度300m/分、解像度1200dpiと競合製品と遜色のないスペックになりました。これらが、最大用紙幅770mmという特徴と組み合わされるとどのような活用法が可能になるか、かなり興味をそそられます。こちらのデモにも参加したいと思います。

Landaは、枚葉式インクジェット機に加えて、輪転式インクジェット機 Landa W10も出品します。Landa W10の見どころとしては、例えば以下のような点が挙げられます:

  • 多色印刷の効果(8色機):ミヤコシの 2400 dpi x 4色機 との比較
  • 最大用紙幅 1050mm という特徴を最大限に活かす提案:
    • アプリケーション(印刷物の種類)や後加工機との連携、など
  • 印刷品質:200m/分という高速でベルトから適切に転写されるのか、など

ところで、輪転(連続紙用)インクジェット機のターゲット市場は、インクジェットdrupaと呼ばれた2008年当時は「帳票(トランスプロモ)」が中心でした。それが、前回(2012年)は書籍や新聞、冊子などへと拡大し、今回(2016年)は商業印刷や軟包装へとさらに広がっています。

また、ハイエンドの輪転デジタル印刷機といえば「インクジェット機」だったのが、HP社からIndigo 50000 という液体トナー機が発表されたことで、機材の多様化も進みそうです。こちらの記事でも書いたように「インクジェット版ライトプロダクション機」という動きが出てきたことで、ハイエンド機の位置付けも明確になりそうです。

まだまだこの市場の進化は続きそうです (^ ^) drupaでは、この市場の最新動向もしっかりチェックしましょう!

2016年4月27日水曜日

drupa2016に向けて:インクジェット版ライトプロダクション機の可能性

drupaやIGASなどの大きな機材展では、高性能・高機能なハイエンドの機材に注目が集まります。スーパーカー(例えが古くてすみません(笑))を楽しむノリで、ハイエンド機をあーだこーだと評価するのは、正直私も大好きです(笑)。しかし、例えばハイエンドの輪転式インクジェット機は、価格もサイズも中小規模の印刷会社が導入するのが簡単ではないレベルに達しています・・・

では、中小規模の印刷会社はインクジェット機の導入を諦めなければならないのでしょうか?あるいは、大きなリスク覚悟で導入しなければならないのでしょうか。実は、drupa2016では、インクジェット機版ライトプロダクション機とでも呼べそうなセグメントの機材が展示されそうです。

ところで、国内で電子写真方式デジタル印刷機(トナー式デジタル機)の導入が進んだ背景として、いわゆるライトプロダクション機が市場に投入されたことが挙げられます。それまでのデジタル印刷機は、富士ゼロックスやコダック、HPが販売する高性能・高画質・高価格のハイエンド機が中心でした。こうした市場に、画質や機能は限られていますがその分低価格のライトプロダクション機が投入されたことで、国内のデジタル印刷市場は急速に拡大しました。

私は、インクジェット機でも同様に展開する可能性は大きいと考えています。ハイエンド輪転式インクジェット機(ハードウェア)の価格は、1台数億円です。この規模の投資ができ、さらに数年で回収できる印刷会社は限られています。

その一方で、インクジェット機のランニングコストはトナー機に比べて低く、厳しい価格競争に巻き込まれている多くの印刷会社にとっては魅力的です。これは、ハードウェアの価格が印刷会社が投資できる範囲に収まれば(あわせて画質も許容範囲内になれば)、導入が進む可能性を示しています。

drupa2016では、比較的低価格のインクジェット版ライトプロダクション機がさまざまなメーカーから提案されます。InfoTrends社は、インクジェット機のライトプロダクション市場を "Zone of Disruption"(破壊的な領域)と呼んでいます。ゼロックスが今回のdrupaで発表する Brenva HD や Trivor 2400 は、明確にこの市場をターゲットにしています(ちなみに、これら2機種は iGen の筐体を流用しています)。

インクジェット機には、理想科学工業のオルフィスやMemjet技術を活用した印刷機など、本体価格もランニングコストも低いローエンド市場があります。中長期的には、こうしたローエンド機寄りのライトプロダクション市場が立ち上げる可能性も考えられます。

会場では、ライトプロダクション機の「本体価格・ランニングコスト・画質」のバランスをぜひご確認ください。あわせて、どのくらいの本体価格・ランニングコスト・画質なら実際に導入して売り上げ・利益を伸ばすことが可能か、その際どんな仕事に使いたいかなど、インクジェット印刷ビジネスの可能性も考えてみてください。
こうした頭の体操ができるのも、drupaの魅力だと思いますので (^ ^)

2016年4月5日火曜日

drupa2016に向けて:最新インクジェット機のチェックポイント

インクジェットdrupaと呼ばれたdrupa2008(2008年開催)以降、インクジェット式デジタル印刷機(インクジェット機)は目覚しいスピードで進化しています。drupa2016でも、さらに進化したインクジェット機の提案が期待されます。

とはいえ、drupa会場に行かれる方々の中には、展示されたインクジェット機を見て「どのあたりがどんな風に新しいのか?」がピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、これまでインクジェット機の進化を継続的に追ってきた方なら問題ありませんが、そういう方はそれほど多くないかと思いますので。

今回、下図のように最新インクジェット機のチェックポイントをまとめてみました。大きく分けて、「画質」「生産性」「対応用紙性」の3つの観点からチェックすることをオススメします。また、それぞれをさらに「定量的」「定性的」という切り口から確認すると分かりやすいと思います。

特に、「定量的」な情報はカタログの製品仕様の部分に記載されていますし、デモのご担当者にお伺いすれば教えていただけることも多いので、集めやすくまた比較し易いものです。実際、私が展示会の報告レポートを作成する際には、展示された機材の「定量情報」を比較することが多かったりします。

ちなみに、現時点(IGAS2015の時点)での定量的な仕様と今回の見どころは以下のようになっています:

  • 解像度:枚葉機も輪転機も 1200 x 1200 dpi が標準的に:
  • 印刷速度:
    • 枚葉機:毎時 3,000枚〜4,500枚程度:
      • Landa S10 の毎時13,000枚は驚異的
      • オフセット機なみの毎時10,000枚以上のデジタル機が他にも発表されるに注目。
    • 輪転機:毎分 200m〜300m機が市場投入済み:
      • 毎分400mや500mという、さらなる高速化が進むかにも注目:
        • 毎分400m〜500mは、商業印刷用オフセット輪転機とほぼ同じ印刷速度。
  • 用紙サイズ:
    • 枚葉機:B2サイズ機が中心:
      • こちらの記事でもご紹介したように、B1サイズ機が話題に
      • B3サイズ機の展示も期待
      • L版・K版といった紙器向けサイズ機の提案があるかにも注目。
    • 輪転機:520mm幅(B2サイズ)機
  • 紙厚:最大 0.6mm の用紙を想定したインクジェット機も:
    • パッケージ向けに厚紙対応が進んでいるため
    • Landa S10は 最大 0.8mm の用紙を想定
    • 逆に薄紙対応にも注目:
      • インクジェット機は裏抜けがあるため、薄紙は苦手とされているため。

もちろん、実際に導入・活用する際には、下図に示した以外の要素が重要になることも多いでしょう。例えば、以下のようなものが挙げられます:

  • 操作性(使いやすさ)
  • 既存設備(ワークフローや他機材など)との相性
  • 求められるスキルレベル
  • 筐体のサイズ
  • デザイン性、など

折角なので、drupaが始まる前に「自社が収集・分析すべき情報は何か?」を社内で検討した上で drupa会場に乗り込んでいただければと思います。その方が収穫は多くなるかと思いますので。
その際に、本稿が少しでもご参考になれば幸いです (^ ^)