印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2013年1月19日土曜日

Landa型インクジェット機の最新動向:2013年1月中旬時点

米国の市場調査会社 Infotrends社 のブログに drupa 2012 で大きな話題になった Landa型インクジェット機の最新動向が掲載されていましたので、その一部をご紹介します。なお、こちらの情報は、2013年1月15日〜18日に米国ラスベガスで開催された efi社主催のイベント "EFI Connect" での取材結果だそうです:

  • Landa社はこれまでに、世界中から430の契約書(LOI)を獲得している。特に、アジア大平洋地域からの注文が多い。
  • 2013年末までに当初計画通り βテストを開始するが、その際の機種は S10(B1サイズ枚葉機)の予定。また、解像度は当初計画の600dpiから1,200dpiに向上される計画。
  • βテストは商業印刷(1カ所)とパッケージ/フォールディングカートン(1カ所)が予定されている。地域は、米国と中欧となる見込み。
  • drupaで発表した提携相手(小森コーポレーション、ハイデルベルグ、マンローランド)に先駆けて自社製品を発売する予定。βテストでは、自社のサービスエンジニアを派遣する。
  • ワークフローソフトやフロントエンドは、自社製品を開発するのではなく、パートナー企業から調達する計画:
    • 今回ランダ氏はefi社のイベントで基調講演を行いましたが、イベントの前に「efi社がワークフローやフロントエンドのパートナーとして決まっている訳ではない」といった旨の発言をしていました。
Landa型インクジェット機については、開発・導入に関する進捗状況が発表される度に新たな驚きがあります。drupa 2012での登場が華やかだった分、実際の製品開発が進むと様々な課題が出てくるのでは・・・という懸念もありましたが、今のところ印刷会社(そして投資家)の大きな期待に支えられて順調に進んでいるようです。1年後にどのような製品を市場に投入しているのか、とても楽しみです。

ところで、ランダ氏は2014年に英国で開催される展示会 IPEX には出展しないことを発表しています。ということは、今年秋に開催されるPRINTが、実際に市場に投入される製品を間近に見て検討する良い機会になるかもしれません。私も、是非行ってみたいです。


2012年12月26日水曜日

トヨタ型印刷物と日産型印刷物

先日、ある海外の印刷通販会社のマネージメントの方々とお話しをする機会があったのですが、ランチの際にトヨタと日産の自動車の違いが話題になりました。その印刷通販会社のお一人が仰るには、「トヨタが作っているのは単なる自動車だが、日産は『エキサイティングさを与えてくれるもの』を作っている」とのことでした。

そのお話しをお伺いしながら、私は印刷物にもトヨタ型と日産型があるのでは、と考えていました。非常にコスト効率高く生産されており、さらに最新の技術を使われてもいるのですが、印刷物の受取り手にその素晴らしさが伝わりにくいのが「トヨタ型印刷物」。それに対して、トヨタほど生産効率が高い訳でもなく、また必ずしも世界最先端の技術が使われている訳でもないのですが、手に取ると誰もが楽しさやわくわく感、うれしさを感じるのが「日産型印刷物」。

印刷業界は来年も厳しい状況が続くことが見込まれますが、その中で売上・利益を伸ばすためには、特徴ある「日産型印刷物」の提供を進めるという選択肢もあるかと思います。つまり、印刷物発注者さんに対して「こうすればもっと楽しくなります」とか「もっとわくわく感が出て効果が高まります」といったご提案をすることで、仕事の付加価値(売上単価と利益率)を高めるという戦略です。これは、全印工連が提案する感性価値の実践のひとつだと考えています。

先日あるパッケージ印刷会社の方からお伺いしたのですが、実際、「こうすればもっとパッケージの魅力が高まります!」という引き出し(アイデア)を沢山お持ちの営業の方が取ってくる仕事は、引き出しが少ない方と比べて単価と利益率が高いそうです。

年末・年始のお時間がある際に、自社が生産している印刷物、そして目指している印刷物がトヨタ型なのか日産型なのか、改めて検討してみるのも有効かと思います。もちろん、フェラーリ型やポルシェ型、ベンツ型など、さらに特徴ある方向性を目指すのもエキサイティングだと思われます。

ところで、こちらは私が年末のご挨拶用に作成したカードの写真です。今年、drupa視察の際に訪問させていただいたロンドンの王室御用達の印刷会社さん(The Wren Press)にデザインと印刷をお願いしたもので、自分としてはロールス・ロイス型だと勝手に考えています(笑)。予算の都合で少部数しか作成できなかったため、一部の方々にしかお送りできませんでした。大変申し訳ありません・・・ただ、まだ手許に少し残っておりますので、ご興味のある方はご連絡いただければと思います (^ ^)

本年も皆さまには大変お世話になりました。来年も皆さまの売上・利益拡大に貢献させていただくよう全力で頑張りますので、何卒よろしくお願いいたします!
良いお年をお迎え下さい。


2012年9月11日火曜日

デジタル印刷最前線 〜「印刷情報」2012年9月号

印刷出版研究所印刷情報」の最新号(9月号)では、『デジタル印刷最前線』という特集が組まれています。この特集で、私も『デジタルをメインストリームに - drupa以降のデジタル印刷サービス成功のポイント』という記事を掲載していただいています。この記事では、以下のような点についてご紹介しています:
  • drupaで紹介された最新機器について
  • それらの最新機器を活用することで見えてきた「デジタルをメインストリームに」できる可能性について
  • 印刷会社が「デジタルをメインストリームに」するために必要な取組みとその成功のポイントについて

また、「B2サイズデジタル印刷機がもたらす市場変化とビジネスチャンス - 現状と可能性を語る」という座談会にも、司会・進行として参加させていただきました。今回、drupa 2012で大きな話題になったB2デジタル機のキープレーヤーである以下の方々にご参加いただいたことで、非常に充実した内容の記事になっています:

『デジタル印刷最前線』には他にも、以下のような印刷会社さんによるデジタル印刷への取組みの事例紹介や用語解説などの記事もあり、とても読み応えのある特集となっています。是非、お読み下さい!





2012年6月18日月曜日

Landa型インクジェット機を実現する際の課題について

drupa 2012が5月16日に閉幕して以降、これまでに様々な印刷機材メーカー・販売会社などからdrupa報告会が開催されました。あるいは、視察に行ったスタッフによる社内報告会が行われた会社もあるでしょう。その全てにおいて、「Landa社が発表したインクジェット機」について詳細な報告されたと思います。特に、「drupaの1年半後(18ヶ月後)に出荷する」という発表に対して、「本当に出荷されるのか?」という点について様々な分析・報告が行われたかと思われます。

私が参加した報告会などによれば、Landa型インクジェット機を実現するに当たっての主な課題として、以下ような点が挙げられます:
  • ブースに展示してあった印刷サンプルに見られたスジをなくすこと。
  • ベルト上に作成したイメージを紙やフィルムなどに100%(あるいは安定的に)転写すること。
  • ベルト上で発生した水蒸気がインクジェットヘッドからのインクの噴出を妨げないようにすること、など
これらのうち、『印刷サンプルのスジ』については以前の記事「Landa社製のインクジェット機は発売されるか?」でも触れていますので、こちらも併せてお読みください。

これまでの(つまり、Landa社が登場するまでの)インクジェット機の開発期間を見ると、こうした課題を18ヶ月以内に解決するのは簡単なことではないようです。特に、Landa社もdrupa期間中に提携を発表した小森コーポレーション・ハイデルベルグ・マンローランド(枚葉部門)もインクジェット機の開発についてのノウハウはそれほど多くないと推測されるため、多くの関係者は「難しいのでは」と考えているようです。

しかしLanda社は、こうした課題を解決するための技術を持つ会社と新たに提携するかもしれませんし、こうした技術を持つスタッフを新たに採用するかもしれません。あるいは、研究開発にこれまで以上の予算を投じることで、課題を解決するかもしれません。今の段階では、18ヶ月後の状況を予測するのは難しいと思われます。

ただ、その間にもLanda社やそのパートナー企業から進捗状況についての報告が行われるかと思いますので、そうした情報を収集・分析しつつ、Landa型インクジェット機の発売時期について評価していきたいと思います。

Landa型インクジェット機は、印刷速度の向上や画質の向上に加えて用紙対応性の高さなどから、デジタル印刷の利用範囲を拡大する可能性を持っています。また、大きなタッチスクリーン式操作パネルも、小ロット・多品種・多ジョブ化が進む中でひとつの方向性を示しており、大変興味深いデジタル機だと考えられます。これからも引き続き、Landa型インクジェット機の開発状況に関する情報を積極的に集めていきたいと思います。



2012年5月23日水曜日

drupa 2012まとめ:ソフトウェア/サービス編

前回(2008年)のdrupaではワークフローや可変データプリント(VDP)などのソフトウェアが大きな注目を集めていましたが、今回のdrupaではハードウェアの展示・紹介が中心で、ソフトウェアはそれほど目立ってはいませんでした。しかし、会場では印刷会社の効率性向上/付加価値向上に貢献する様々なソフトウェアやサービスが紹介されていました。以下に、それらの一部を紹介します:

  • 自社ブースの機材を統合的に管理していたワークフロー:
    • HP SmartPlanner
    • ゼロックス FreeFlow、など
  • カラーマネージメント:
    • 富士フイルム XMF ColorPath
    • 小森コーポレーション K-ColorSimulator
    • Colibri Gateway @ コニカミノルタブース、など
  • 多機能化したWeb-to-print:
    • Vit2Print(ベルギー):
      • Web-to-print
      • オンライン InDesign 修正
      • オンライン翻訳管理
      • オンライン資産管理
    • CONTENTSERVE(ドイツ):
      • Web-to-print
      • クロスメディアパブリッシング
      • メディア資産管理
      • カタログ管理
      • ダイナミックパブリッシング
      • ワークフロー管理
      • 翻訳管理
      • ブランドマネージメント
  • キャンペーンマネージメント:
  • AR(仮想現実間)・QR:
    • AR:ザイコンブースでの製品紹介
    • QR:コダック社のバナー @ 北入口、など

これらのソフトウェア・サービスの中には、「iPad対応」「クラウド」を訴求しているものも多く見られました。今後、「iPad + クラウド」が印刷サービスのプラットフォームとして活用されるようになることが見込まれます。日本の印刷会社も、競争力を高めるためにはこうした取り組みが求められるでしょう。



2012年5月19日土曜日

drupa 2012まとめ:トナー機編

個人的に今回のdrupaで印象的だったのは、電子写真式デジタル印刷機(トナー機)の動向です。トナー機は「進化の余地は小さい」と言われていますが、drupa 2012では対応用紙サイズの拡大や生産性の向上、付加価値の向上が実現され、また後加工機を含めた『実用性の高さ』が訴求されていました。drupa会場に見られたトナー機市場の動向は、以下の様にまとめられるかと思います:
  1. HPによるB2サイズトナー機の市場投入:
    • Indigo 10000, 20000, 30000
  2. 既存機種の生産性・付加価値向上:
    • 印刷速度の向上
    • データ処理速度の向上
    • 新トナーの導入
    • 対応用紙の大型化
  3. インライン後加工機を含めたソリューションの提案:
    • 製本
    • カード作成
    • 型抜き、など
  4. パッケージ市場向け機種の強化:
    • HP Indigo 20000, 30000
    • ザイコン 3000シリーズ
  5. アプリケーション(印刷物)の展示
  6. 液体トナー機開発の進展:
    • ミヤコシ/リョービ Digital Press 7000
    • ザイコン trillium(トリリウム)
    • オセ InfitiStream(インフィニストリーム)
  7. オフセット印刷機メーカーによる自社ブランドトナー機の投入:
    • 小森コーポレーション Impremia C80
    • ハイデルベルグ Linoprint C901, C751
こちらにつきましても、前回のインクジェット機編と同様、まだまだ情報の収集・分析が足りませんので、引き続き進めていきたいと思います。




drupa 2012まとめ:インクジェット機編

前回(2008年)に引き続き、今回のdrupaもインクジェット式デジタル印刷機が大きな話題となりました。本稿では、drupa 2012会場で得た情報を基に、インクジェット機関連の動きを以下の様にまとめてみました:

  1. 新規プレーヤーの参入:
    • ランダ社によるナノグラフィック・プリンティングの発表
    • オフセット機メーカー、トナー機メーカーの参入発表:
      • オフセット機メーカー:小森コーポレーション、KBA、ハイデルベルグ、マンローランド(枚葉機部門)、東京機械製作所、Timsons(英国)、など
      • トナー機メーカー:コニカミノルタ
  2. 枚葉式インクジェット機市場の活性化:
    • ランダ社によるB1・B2・B3の各サイズ用枚葉インクジェット機の発表
    • B2サイズ枚葉インクジェット機市場への参入発表:
      • 小森コーポレーション Impremia IS29
      • コニカミノルタ KM-1
      • MGI ALPHAJET(仏)
  3. 既存連続式インクジェット機の進化:
    • 高速化・高画質化・低ランニングコスト化
    • エントリーモデルの投入
  4. 一般商業印刷市場・パッケージ市場向け製品の開発・投入:
    • 一般商業印刷向け:
      • B2サイズ枚葉インクジェット機
      • ミヤコシ Inkjet Printer 7000
      • 富士フイルム JetPress W
    • パッケージ向け:
      • 富士フイルム JetPress F
      • 大日本スクリーン製造 TruePress JetSX (厚紙印刷機能)
  5. memjet(メムジェット)技術の広まり:
    • Delphax elan
    • Oce Velocity
    • Xante Excelagraphix 4200
    • 東芝TEC、など
  6. コダックとHPによるオンプレス型インクジェット機の競合
  7. インクジェット機に対応した後加工機の提案:
    • 製本
    • レーザーカッター、など
これから、更に情報を収集・分析しながら、drupa以降の印刷市場で売上・利益の拡大を実現する方法を考えて行きたいと思います。何かご意見・ご質問などございましたら、お気軽にご連絡ください。



2012年5月18日金曜日

印刷機メーカーの合従連衡が活発化する予感あり!?

前回(2008年)の「インクジェットdrupa」に引き続き、今回もインクジェット機が大きな話題のひとつとなりました。前回の主役だったヒューレット・パッカード(HP)やゼロックス、コダック、富士フイルムなどはこの分野の新製品を発表し、今回は小森コーポレーションやKBAなどオフセット機メーカーもインクジェット機を発表・展示しました。また、これまで粉体トナー機を展開してきたコニカミノルタもインクジェット機市場への参入を表明し、ランダ社は「ナノグラフィ」という新たな印刷方式を提案し、小森やハイデルベルグ、マンローランド(枚葉機部門)との提携を発表しました。

これまでHPの独壇場であった液体トナー機の分野でも、新たな動きが見られました。ザイコンは「トリリウム」というこの技術を使った新たな商品ラインの開発を発表し、オセもdrupa会場ではなく本社で液体トナー機 InfiniStream の展示を行いました。前回のdrupaでも液体トナー機を展示したミヤコシは、今回リョービと共同開発している「Digital Press 8000」を紹介しました。

粉体トナー機の分野でも、印刷速度の向上や対応用紙サイズの拡大、蛍光ピンクやパール、ゴールドなど新色トナーの発表など、まだまだ進化していることが示されました。小森やハイデルベルグなどオフセット機メーカーでも、既存トナー機のOEMを受けて自社ブランドとして提供することを発表しています。

こうした動きは、デジタル印刷機の利用者である印刷会社にとっては選択の幅が増える好ましい状況ですが、デジタル印刷機を開発・提供するメーカーにとっては大変な状況だと思われます。以下に、主要なメーカーのデジタル印刷機市場への参入状況を印刷方式別にまとめてみましたが、多くのメーカーで複数の印刷方式のデジタル印刷機を開発していることが分かります。

このような状況に対応するため、特にインクジェット機や液体トナー機の分野では、印刷機メーカー間での合従連衡が活発化する可能性があります。メーカー間の提携状況については、バリューマシーンインターナショナル宮本さんのこちらのプレゼン資料でも詳しく説明されていますが、これが更に進化するかも知れません。その際には、インクジェットヘッドメーカーなども巻き込んだ、新たな展開が見られるかも知れません。印刷会社が自社の仕事内容やビジネスモデルに適したデジタル印刷機を選べる状況を実現するためのメーカーのこうした取り組みも、これからの注目ポイントのひとつだと思われます。


Landa社製のインクジェット機は発売されるか?

今回のdrupaの目玉のひとつが Landa社のインクジェット機だったことに疑問の余地はないかと思います。現地でも話題が話題を呼んで、1日に5回行われたLanda社のプレゼンテーション(1回45分、定員100名程度)も会期5日目の5月7日の時点では9日の回なら予約できたのですが、5月10日の時点ではその後3日間全く予約が取れない状況になっていました。

そもそも、Landa社が大きな注目を集めた理由は何だったのでしょう?もちろん、ナノグラフィックプリンティングという新しい技術を示したことも大きかったと思います。また、前回のブログでも触れた様に、筐体の前面を全て使った操作パネルやレトロフューチャーな本体のデザインも理由のひとつでしょう。私は、こうした個別の要素を示しただけでなく、これらをまとめて「これまでの延長線上にない『デジタル印刷機の未来』」を示したことが、Landa社が今回のdrupaで注目を集めた理由だと考えています。

Landa社ブース説明員の中にタッチスクリーンを使った操作パネルの開発に携わっているソフトウエア・エンジニアの方がいらっしゃったのですが、その方に何故このような操作パネルを開発したのかお伺いしたところ、"Because this is the future(だって、これが未来だから)"というお答えが返ってきました。『未来的』というのが、Landa社のデジタル印刷機の開発コンセプトになっているようです。

ところで、Landa社の創業者、Benny Landa氏はプレゼンテーションの中で「1年半(18ヶ月)後には、オフセット品質を実現して製品化する」と仰っていました。18ヶ月後には、今回のdrupaで示された未来が実現されるのでしょうか?

今回のdrupa前にLanda社との提携を発表した小森コーポレーションの方にお伺いしたところ、Landa社から提供されるのはナノグラフィ(Nanography)と呼ばれる印刷技術とナノインクで、インクジェットヘッドや搬送系については含まれていないようです。つまり、Landa社からのデジタル印刷機のOEMではなく、小森コーポレーションはLanda社からの技術供与を基に、自社でナノグラフィを使ったデジタル印刷機を開発されるそうです。

会場にはナノグラフィを使った印刷サンプルが展示してあったのですが、スジが目立っていました。これは、インクジェットヘッドの部分に改良の余地が大きいことを示していると思われます。しかし、ブースにおいて、あるいは45分のプレゼンテーションの中では、ヘッドについての説明は見受けられませんでした。こうした状況から見ると、ヘッドは独自開発では無いようです(あるいは、まだ秘密のベールに包まれているのかもしれませんが)。

これまでの発表からみると、小森やハイデルベルグ、マンローランドのブランドでLanda社の技術を使ったインクジェット式デジタル印刷機が発売されるようです。しかし、技術的な状況からみると、Landa社が自社ブランドで発売するのかは今のところ分かりません。もし、Landa社が自社で発売しないとすると、今回drupaで示されたタッチスクリーンを使ったインターフェイスや曲線を効果的に使ったデザインなどの「未来」が実現されないかもしれません。

私が会場を6日間歩き回った印象では、Landa社だけが、これまでの延長線上にない「デジタル印刷機の未来」を来場者に示していました。この未来を誰が(どのメーカーが)どの様に実現するのか、引き続き注目して行きたいと思います。

なお、以下の写真はLanda社ブースに展示されていた印刷サンプルです。この写真でもスジがお分かりいただけるかと思います。



2012年5月3日木曜日

ナノグラフィック drupa?

本日(5月3日)よりドイツ・デュッセルドルフでdrupa 2012がスタートします。その直前にYouTubeにアップされた動画の数を見ると、Landa社のNanographic Printing Processに関するプレゼンテーションが目に付きます。この技術に関しては、これまでに小森コーポレーションマンローランド(枚葉機部門)、そしてハイデルベルグといった主要なオフセット印刷機メーカーとの提携が発表されています。今回のdrupaでは、この技術が大きな注目を集めることは確かなようです。

今回のdrupaでは、Landa社からは印刷技術の展示が中心になるかと思っていたのですが、会場ではこの技術を使ったインクジェット機の新製品が6機種一気に発表されているようです。6機種の内訳は、枚葉機3機種・連帳機3機種となっています。枚葉機の用紙サイズは、B1・B2・B3、また連帳機の最大用紙幅は560mm(2機種)・1,020mmとなっています。これらの印刷機は、「どんな紙やプラスチックにも印刷可能」という特性を活かして、コート紙や非コート紙はもちろん、カートン紙、軟包装用フィルム、アルミフォイルなど様々な基体に印刷可能となっています。なお、Landa社のインクジェット機の詳細については、こちらのサイトをご確認ください。

また、個人的には、Landa社が発表した6機種のインクジェット機のデザインが大変気になっています。写真や動画で見る限り、本体の側面が大きな液晶パネルになっていて、それを直接触ることで操作できそうな感じです。また、本体のデザインもレトロフューチャリスティックでオシャレな感じです。以前、ある印刷会社の方が「デジタル印刷機のデザインはまだ進化する余地がある」と仰っていたのを覚えているのですが、Landa社は「デザイン」の面でもデジタル印刷機市場に大きな影響を与えるかもしれません。

実際に会場でLanda社のデジタル印刷機を見るのが楽しみです。
ちなみに、こちらはLanda社のB1サイズ枚葉デジタルインクジェット機 Landa S10 Nanographic Printing Press です。

【参考:YouTubeにアップされたLanda関連動画(5月3日17時時点(東京時間))】
Landa社の戦略や技術などについてのプレゼンテーション:
http://www.youtube.com/watch?v=a-Oaadyo1WE

Nanographic Printing Technologyの紹介:
http://www.youtube.com/watch?v=JQEjimsOTIo&sns=fb
http://www.youtube.com/watch?v=how1qjazfaY

インクジェット機の紹介:
http://www.youtube.com/watch?v=YU68uC1UwU0

2012年4月18日水曜日

エスプレッソブックマシーンでオリジナルノートを作ってみました

三省堂神保町本店(東京)の店頭に設置されているエスプレッソブックマシーン(EBM)で、オリジナルノートを作成しました。2010年12月のサービス開始時に「世界昔ばなし(上)ヨーロッパ」を作って以来、久しぶりの利用です。この間、「自費出版サービス」や「オリジナルに編集した本」など、EBMを使ったサービスは進化を続けています。

EBMでオリジナルノートを作成するサービス「神保町えらべる帳(ノート)」も、今年の4月2日に始まったばかりのサービスです。以下のパーツを自由に選んで組み合せることで、オリジナルなノートを作ることができます:

  1. 表紙/裏表紙
  2. ノート用紙(40枚)
  3. リング
  4. 罫線
  5. ボタン留め・ゴム留め(オプション)
  6. 用紙の追加(20枚、オプション)
私は、用紙を2種類 x 20枚、罫線も各用紙で2種類 という組み合わせで作成しました。さらに、表紙に文字も入れていただけるということでしたので、「BRIGHTER LATER」と入れてみました。ちなみに、今回使った桜の形のボタンは、春限定だそうです。

オリジナルノートを作る際にEBMを使うのは、「用紙に罫線を印刷する」部分だけです。それ以外は、製本機などを使った手作業になります。また、パーツを選ぶ際には店員さんにご相談するため、買う側としては楽しみはありますが、お店側としてはあまり効率的なサービスではないかもしれません。

店頭では「10分〜15分で作れます」と表示されていますが、私の場合、組み合わせを選ぶのに10分くらいかかり、また少々手間の掛かるオーダーだったこともあって、作っていただくのに30分ほど掛かりました。

ただ、出来上がりは満足です。表紙の色目や風合い、そして桜のボタン、とても可愛らしい仕上がりとなりました。さらに、「サービスです」といって、和紙の遊び紙も入れて下さったのですが、これもまたイイ感じです。神保町に行かれた際には、是非皆さんもオリジナルノート作りに挑戦してください。とても楽しいですよ♪ちなみに、お値段はオプションの桜型ボタンも含めて1,200円(税込)でした。

なお、こちらのノートは来月ドイツ・ドュッセルドルフで開催されますdrupaの会場にも持って行って取材で使用する予定です。会場では、海外の記者や出展社の方々にもお見せしたいと思います。どのような感想をいただけるか、とても楽しみです。




drupaの見どころ記事 @ 印刷情報4月号

前回のブログで項目だけご説明した「drupa 2012 の8つの見どころ」の詳細が印刷情報4月号にに掲載されていますので、是非お読みください。記事では、「見どころ」に加えまして、まとめとして「発想の転換」を通じてdrupaの成果を最大限に活用するためのポイントについても書かせていただきました。こちらも併せてお読みいただければと思います。

こちらの記事について、皆さまのご意見、ご感想などお伺いできれば幸いです。なお、私はdrupa会場には5月7日〜12日に行く予定です。もし見掛けましたら、お気軽にお声がけ下さい (^ ^)

2012年3月23日金曜日

drupa 2012 の8つの見どころ

drupaの開催が近付くに連れて、出展企業各社から出展内容の発表が行われています。これらの発表と世界の印刷市場動向を基に考えると、drupa 2012 の見どころは以下のようにまとめられるかと思います:

  1. B2サイズ枚葉印刷機市場に対するデジタル印刷機の攻勢
  2. 高速化・低ランニングコスト化が進展する連続紙用インクジェット式デジタル印刷機
  3. 新たなインクジェットプリンティング技術
  4. オフセット印刷機メーカーによるデジタル印刷機市場への本格参入
  5. インクジェット機に対する競争力を高める電子写真式デジタル印刷機
  6. 印刷サービスの競争力向上に貢献するソリューション
  7. さらなる小ロット・多品種・短納期対応力、環境対応力向上を目指すオフセット印刷
  8. 注目の集まるパッケージ印刷市場
また、印刷会社がこうした展示内容を国内の自社の売上・利益の拡大に活かすためには、「オフセット印刷とデジタル印刷を組み合せて使いこなす」という視点で情報の収集・分析する必要があるかと思います。

上記8点の詳細などにつきましては、月刊誌「印刷情報 4月号」(4月1日発行予定)に掲載される記事をお読みいただければと思います。今回のdrupaも面白くなりそうですね!ちなみに、こちらの画像はHP社が今回のdrupaに展示するB2サイズ枚葉トナー機 HP Indigo 10000 です。

2012年2月22日水曜日

10→30戦略室セミナー開催のお知らせ:2月29日(水)

私も参加しております10→30戦略室 2012年2月度セミナーの開催がいよいよ1週間後に迫りました!日時は4年に1度の2月29日(13時10分開場、13時30分スタート)、会場は東京都産業貿易センター 浜松町館(最寄駅 JR浜松町)です。

宮本さんと私の pageレビュー・drupaプレビューに加えて、弁理士 前川さんによる特許を活用した印刷会社の既存事業強化・新規事業立ち上げについての講演という、今回もとても面白い内容になっております。

まだお申し込みいただいていない皆さま、まだ少しお席に余裕がありますので是非こちらからお申し込みください。なお、セミナーの詳細は以下になります:


10→30戦略室 2012年2月度セミナー
『新規サービスの視点からみたpage 2012・印刷会社のための特許活用法』

【日 時】2012年2月29日 13時30分~16:30分(受付開始 13時10分)
【会 場】東京都産業貿易センター 浜松町館 第2会議室(地下1階)
JR浜松町駅 北口から徒歩5~6分
http://www.sanbo.metro.tokyo.jp/hama/index.html
【参加費】無料
【定 員】30名
【対 象】印刷会社の経営幹部、新規サービスのご担当者、知的財産管理ご担当者

【講演内容】
第1部「page 2012にみる新規サービス成功のヒント」
講演者 ブライター・レイター 山下潤一郎
第2部「page 2012に見る技術動向とdrupa 2012への流れ」
講演者 株式会社バリューマシーンインターナショナル 宮本泰夫
第3部「印刷会社のための『1時間でわかる特許活用法』」
合同会社23°C 前川真季(弁理士、理学/法務博士)

【参考情報:10→30戦略室メンバー】
山下 潤一郎:ブライター・レイター 代表
宮本 泰夫:株式会社 バリューマシーンインターナショナル 取締役副社長
前川 真季:合同会社23°C 副代表 弁理士、理学/法務博士
湯浅 夏奈:株式会社 面影屋 代表取締役