印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2017年3月29日水曜日

ロックな印刷物:"Their Satanic Majesties Request" by The Rolling Stones

1967年末、ローリング・ストーンズはアルバム「サタニック・マジェスティーズ」(原題:Their Satanic Majesties Request)を発表しました。このアルバム、ジャケットにサイケデリックな時代の香りがぷんぷんする(笑)魅力的なレンチキュラー(3D印刷)が使われています(サイズ:およそ8インチ(20cm)角)。

おそらく、このアルバムはレンチキュラーがジャケットに使われた世界で最初のものだと思われます(注:きちんと調べていないので、間違っていたらごめんなさい)。ちなみに、メジャーな映画で最初にレンチキュラー製宣伝用ポスターが使われたのは、スタンリー・キューブリック監督「2001年宇宙の旅」(1968年公開)と言われています。

さて、「サタニック・マジェスティーズ」に使われた3D印刷物は、米国・ニューヨークのVari-Vue社(1953年設立)が印刷したものです。Vari-Vue社はレンチキュラー用のレンズや印刷方法を独自に開発し、ビルボード(大型看板)や大統領選のキャンペーン用バッジなどをレンチキュラーでつくったりしていました。

このアルバムは、ジャケットだけでなく収録曲も魅力的です。Apple社が1998年に発表したパソコン iMac のCMに使われた She's a Rainbow は、このアルバムの曲です。「ブルースじゃない(ストーンズらしくない)」という理由からストーンズファンの評価は必ずしも高くはありませんが、私はサイケデリックでカラフルだからという理由で大好きです(笑)。ぜひ一度、ステキなジャケットと一緒に曲も楽しんでください。サイケな世界にどっぷり浸れますよ♪

2016年5月6日金曜日

drupa2016に向けて:『未来の技術』が見られるブース一覧

drupa2016公式サイトの「出展企業・製品データベース」には、「Future Technologies(未来の技術)」という項目があります。今回は、この Future Technologies に登録されている企業のうち、面白そうなものをリストアップしてみました。「印刷の未来/未来の印刷」の視察も計画されている皆さんのご参考になれば幸いです。

デジタル印刷機材・後加工機材だけでも見るべきブースはたくさんあってすでに回りきれそうもない状況ですが(笑)、できるだけこうしたブースでも情報収集したいと考えています。「次の印刷サービス」のヒントがいろいろ見つかりそうですので (^ ^)






なお、以下のような『未来の技術』がまとめて展示されているコーナーもあります。お時間がない場合にはこちらに立ち寄るというパターンもありそうです:

2013年3月14日木曜日

JAPAN SHOP 2013 まとめ(2):『3Dプリンター』時代への準備が進行中!?

最近、新聞や雑誌、テレビなどで「3Dプリンター」についての特集を目にすることが多くなりました。こうした特集では「3Dプリンターが日本の製造業を変える」というテーマが多いのですが、私は「3Dプリンターは販促も変える」と考えています。

今回の JAPAN SHOP では、3Dプリンターを活用した提案は(限られた取材時間の中では)見当たらなかったのですが、「3D」はキーワードのひとつでした。会場では、レンチキュラーやサンゲツの硬質塩ビフィルムであるリアテックを使った「3Dパネル」、ルキオ社のレンチキュラーなしの3Dパネルなど、様々な3Dを表現するための技術が紹介されていました。

中でも、「3Dプロジェクションマッピング」は新しくまた注目度の高いものです。前回のブログ記事でもご紹介したマックレイ社ブースでは、この3Dプロジェクションマッピングも提案されていました。マックレイ社は、きゃりーぱみゅぱみゅが出演しているauのTVCMの3Dプロジェクションマッピングを担当されたそうです。

ところで、国内印刷業界では3Dプリンターに関する具体的な取組みはまだあまり進んでいないと思われますが、その領域を開拓するのは現時点で「3D」を販促にどのように活用できるかを考え、また挑戦している印刷会社だと考えています。将来的に3Dプリンターで印刷されたものが、3Dパネルやレンチキュラーとどのように併用されるのか、あるいはそれらを置き換えるのか、また3Dプロジェクションマッピングとどのように組み合わされるのかは、現時点では分かりません。

ただ、3Dプリンターがコミュニケーションサービスにおいて実用的になることが見えてきた時に、その具体的な活用方法を思い描き顧客に提案できるのは、現在「3D」について考え、挑戦している企業になると考えられます。こうした意味で、コミュニケーションサービス分野において、密かに3Dプリンター時代への準備が進んでいると言えるでしょう。

「3Dプリンターが販促を変える」時代に向けて布石を打っておきたい印刷会社の皆さま、是非お声がけください!一緒に新しい世界へ挑戦しましょう (^ ^)

2011年8月2日火曜日

3Dと印刷の関係:印刷技術懇談会7月例会より(続)

すっかり間が空いてしまい申し訳ありませんが、前回の続きとして、『3Dと印刷の関係』について書きたいと思います。

セミナーでは、3Dは『分かり易い』とか『楽しい』という理由で、トレーニングや広報、ショールームでの接客など幅広い領域で使われているというご説明がありました。ただ、3D映像を存分に楽しむためには、パソコンのスペックを高める必要があるというお話しもありました。

印刷は、このギャップを埋めるという役割を果たすことができるのではないでしょうか。例えば、紙の研修資料に3D技術を使って制作した画像を取り込むことで、更に分かり易くすることができると思われます。また、ショールームで3D体験を楽しまれたお客様がお帰りになられたあと(あるいはお帰りの際に)、3D画像を印刷したパーソナライズされた販促資料を制作・ご送付(お渡し)することも可能でしょう。

3Dコンテンツは分かり易く楽しいものですが、現在のテクノロジーでは、気軽に楽しむことができません。これに対して、紙の資料は気軽に持ち運んだり目を通したりできますが、3Dコンテンツを楽しむことは難しい状態です。このように、3Dと紙はお互いの長所を生かし、短所を補い合う関係にあると考えられます。

印刷サービスは、デジタルの技術と相互に補完し合うことで、まだまだ付加価値を高める余地はありそうです。顧客の事業において新たなデジタルへの取り組みが進む中、印刷会社にとってデジタルを脅威ではなく事業拡大のチャンスと捉える視点が重要になるかと思います。

例えば、3Dとは関係ありませんが、東日本大震災を切っ掛けに国内でも大きな注目を集め始めた Facebook や Twitter、Google+ などのソーシャル・サービス。これまでは CtoC の利用が中心で、最近少しずつ BtoC での利用が広まっています。これから、BtoB へ活用する取り組みも増えてくるでしょう。こうしたサービスに積極的に取り組むことも、印刷会社にとって差別化の大きなポイントになるかもしれません。

とはいっても、私もまだこの領域は全く詳しくありません・・・これから勉強していって印刷業界を活性化する使い方などがみえてきましたら、改めてこのブログでご報告したいと思います。印刷市場活性化の切っ掛けは、いろんなところに見付かりそうです。

2011年7月20日水曜日

3Dコンテンツの普及に必要なこと:印刷技術懇談会7月例会より

7月15日、印刷技術懇談会 7月例会『メディアとしての3Dコンテンツと印刷の今後』(講師:ダッソー・システムズ株式会社 3DVIA ビジネスディベロップメントマネージャー 落合克人氏)に参加しました。パソコンやテレビ、デジカメや携帯電話など、ハードウェアの進化に伴って3Dコンテンツが少しずつ盛り上がりを見せていますが、なかなか大ブレークするところまでいきません。個人的には、デジタルコンテンツの3D化が始まる前、レンチキュラーを使った使い捨て3Dカメラ(レンズ付きフイルム、多分コニカ製だったと思います)を楽しんでいたので、この分野での盛り上がりを大いに期待しています。

落合氏のプレゼンは、福島での原初事故に関する報道で3D画像がなかなか使われなかったところから始まりました。テレビや新聞を見ていると、今でも平面図での説明が多く目に付きます。平面図よりも立体図の方が、状況を理解し易いにもかかわらず、です。一方、海外のニュースサイトでは3Dを使った画像が早い段階から使われていました。

こうした状況の背景には、日本の技術者の間に広まる『図面文化』があると、落合氏は指摘されました。これは、図面を書いたり読んだりすることができて、技術者は一人前だという考え方のようです。今回のセミナーのポイントのひとつに、技術者の間で図面文化から3D文化へ進むことが、こうした状況の解決につながるというものがありました。

今回のセミナーに参加して、3Dコンテンツの普及に当たっては、技術者文化の変革に加えて、『技術者が自分の理解している方法や言葉で説明してようとする傾向』からの脱却を進めることも有効なのでは、と思いました。原発事故の報道における平面図重視の傾向が、落合氏がご指摘されるような『図面文化』の反映だとするならば、それは技術者にとって都合の良い説明であって、必ずしも一般の人々が知りたい、理解したい内容の説明だとはかぎりません。もし、3Dコンテンツを使うことでもっと知りたい説明を受けることができるのならば、テレビの視聴者や新聞の読者にとっては、ありがたいことでしょう。

落合氏のセミナーの中で、『3Dデータ活用範囲の拡大が必要』というスライドがありました。これまで設計フェーズを中心に活用されている3Dデータを、川下(スライドでは『テクニカルパブリケーション』と表現されていました)でも活用する必要がある、というのがそのポイントです。こうした動きを進める際には、技術者視点からの脱却も併せて進めていただければと思います。

セミナータイトル中の『印刷の今後』の部分については、少々長くなってしまいましたので、次回のブログにまとめたいとおもいます。