印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2016年6月20日月曜日

drupa2016まとめ(その1)

2016年5月31日から6月10日の11日間、ドイツ・デュッセルドルフで世界最大の印刷機材展 drupa2016 が開催されました。私は今回、5月31日〜6月4日の5日間会場に通いました。前回(2012年)は足を踏み入れることの無かったホールもあったのですが、今回は何とか全ホール(19ホール)を取材することができました!

とはいえ、会場となったデュッセルドルフ見本市会場は、屋内部分だけでも展示スペースは262,400㎡。これは、昨秋IGAS2015が開催された東京ビッグサイト第1ホール〜第6ホールの合計(約83,000㎡)のおよそ5倍の広さ。そして出展企業数は1,837社。正直、見ていない部分の方が多そうです (^ ^;

さて、今回のdrupaでしたが、印刷物発注者そして印刷会社の課題や期待が多様化していることを背景に、展示内容も非常に多様化していた印象でした。ただ、いくつかの方向性は見えてきたように思います。その方向性は、例えば以下のようにまとめることができそうです:

  • B1 drupa
  • Inkjet drupa . . . Season 3
  • 24/7/365 drupa
  • (色+α)on paper drupa
  • 1% drupa
  • その他注目のトピック:
    • 次世代トナー機
    • 3Dプリンター
    • AR/ VR/ プロジェクションマッピング
    • 曲面に印刷
    • 印刷通販会社の出展、など

私の表現力不足で、字面をみても「何これ?」というものもあるかと思われます (^ ^; この詳細を以下のセミナーなどでご説明しますので、ご参加いただければと思います:


上記以外にもdrupa報告セミナーが企画されています。決まり次第お知らせしますので、ご都合のよろしい会にぜひご参加ください!会場でお会いできるのを楽しみにしております (^ ^)

2016年5月18日水曜日

drupa2016に向けて:パッケージ向けデジタル後加工機の最新動向(アップデート版)

前回の記事B1サイズに対応したデジタル後加工機について少し触れましたが、今回はその詳細をご紹介します。

今年(2016年)3月に「drupa2016に向けて:デジタル後加工機もパッケージ分野が注目!」という記事をアップしましたが、その予想が当たったようで、その後続々とパッケージ市場(特に紙器)向けデジタル後加工機の新製品が発表されています。それらの進化のポイントとして、以下のような点を挙げることができます:

  • 大判化 = B1サイズ対応
  • 高速化
  • オフセット機対応、など

Scodix社の可変ニス加工・可変箔押し機を例に取ると、以下のように進化しています:
  • これまでの最上位機種:Scodix Ultra Pro
    • 最大用紙サイズ:B2+ (545 x 788 mm)
    • 最大加工速度:毎時 1,250枚
  • 最新機種:Scodix E106
    • 最大用紙サイズ:B1 (760 x 1060 mm)
    • 最大加工速度:毎時 4,000枚

最新機種 E106 についてScodix社の方にお伺いしたところ、UVインクを使ったオフセット印刷物へのテストを進めており、今のところ問題ないことを確認しているそうです。Highcon社の筋入れ・型抜き機 Euclid は4年前のdrupa2012時点で既に、オフセット印刷物・デジタル印刷物両方に対応しています。Highcon社の新製品 Highcon Beam の加工速度は毎分 5,000枚と、これまでの毎時 1,500枚から大きく改善されています。

また、MGI社からは輪転タイプのデジタル可変ニス加工機・箔押し機 MGI JetVarnish 3DW が発表されます。これは、最大用紙幅 420mm、最大加工速度 毎分42mというラベル向け加工機ですが、用紙厚 0.4mm までの紙も通るので紙器向けにも使えるようです。軟包装でも使えれば面白そうなのですが、シュリンクの際には熱をかけるので難しいかもしれません (^ ^;

1枚ずつ可変でニス加工や箔押しができるデジタル後加工機はとても大きな可能性が考えられる機材です。しかし、これらが実際に仕事に使えるかは、加工品質や使い勝手などを確認して判断する必要があります。ぜひ、会場でサンプルを手に取り担当者にお話をお伺いしながら、しっかり確認しましょう!

2016年5月16日月曜日

drupa2016に向けて:『オフセット印刷 x デジタル可変後加工』の可能性

今回のdrupaでもデジタル印刷が話題の中心になりそうですが、会場には最新のオフセット印刷関連機材もたくさん展示される予定です。

下図は会場でデモが予定されている主なオフセット印刷機をまとめたものですが、目を引くのは、ほとんどの機種にUV乾燥機が付けられていることです。また、各機種とも自動化・スキルレス化対応が進んでいて、「短納期・小ロットの仕事を低コストで行う」方向性にさらに磨きが掛けられていることが分かります。

もう1点興味深いのは(私だけかもしれませんが(笑))、多くのオフセット機がB1サイズ(728mm x 1,030mm, 菊全判)機であることです。今回のdrupaではB1デジタル印刷機が注目され、あわせてB1サイズ対応デジタル後加工機もいろいろと発表されそうです、例えば、ScodixやMGIからは可変ニス加工や可変箔押しが可能な機材のB1対応機が出品されます。

こうした動きを見ていると、drupa後に「オフセット印刷 × デジタル可変後加工」という印刷サービスが話題になりそうな気がします。これまでは、デジタル後加工機は「デジタル印刷物を加工するもの」という常識(というか、思い込み)がありました。しかし、今やデジタル後加工機がB1やB2サイズに対応できるようになりました。また、デジタル後加工機がオフセット印刷物に対応できるという検証も進んでいます。

こうした状況を考えると、「オフセット印刷の画質の高さ」と「可変印刷の付加価値」を組み合わせた新しい印刷サービスが可能になりそうです。drupa会場では、実際のサンプルを見ながら、その可能性をしっかり確認しましょう!

ところで、今回のdrupaではKBAブースで菊倍判機 KBA Rapida 145 のデモが行われます。2008年のdrupaではVLF(Very Large Format)が話題になりましたが、その秋に起こったリーマン・ショックやその後の消費者のスマホ・タブレット端末利用拡大を背景に、VLFは印刷機材展ではあまり話題に上らなくなりました。そのVLFのデモが行われるなんてさすがdrupaです。やはり、drupaは楽しみがいっぱいです (^ ^)

2016年5月9日月曜日

drupa2016に向けて:B1デジタル印刷機比較!

2014年7月に「drupa大胆予測 (1):drupa2016は『B1 drupa』に!」という記事を書いたのですが、この記事中で触れたハイデルベルグ・Landa(+小森コーポレーション)・HPという3社のB1サイズデジタル印刷機がやっと出揃いました!

ただ、予想と少し違ったのは、HP社は枚葉機ではなく輪転機(連続紙用)のB1デジタル機を発表したことです。また、想定アプリケーション(印刷物の種類)も紙器に加えて軟包装・ラベルや商業印刷など、こちらも予想と異なる結果となりました。プレーヤーという点でも、富士フイルムが(ハイデルベルグと共同開発という形ですが)3社に加わりました。

こうした「予想外」の動きから、2020年に向けてデジタル印刷はさらに盛り上がることが見込まれます。なぜなら、前回(2012年)のdrupaで注目したキーフレーズデジタルをメインストリームに」の実現につながりそうな以下のような動きが想定されるからです:

  • 輪転機の登場 = さらなる(デジタル印刷の)生産性向上
  • 想定アプリケーション(印刷物の種類)の多様化 = 多くの市場におけるデジタル印刷のさらなる活用
  • プレーヤーの多様化 = 競争による製品の洗練化、など

drupa2016で展示されるB1デジタル機は来年(2017年)から出荷される予定で、drupa時点ではまだ試作機の段階です。それでもかなり作りこまれていることは確かなので、ぜひ画質や使い勝手などご自身の目でご確認ください (^ ^)
なお、各製品の詳細はそれぞれのリンク先をご確認ください:

2014年7月24日木曜日

drupa大胆予測 (1):drupa2016は『B1 drupa』に!

IPEX2014が閉幕して間もない4月上旬、印刷機材業界の巨人ハイデルベルグ社がデジタル印刷市場向け戦略を発表しました。この中では、「インクジェット方式の商業印刷/パッケージ印刷市場向けシステム開発に着手すること」にも触れられています。

そして、このインクジェット機には、どうやらB1サイズの枚葉機が含まれているようです。ハイデルベルグ社からの発表資料では触れられていませんが、会見でハイデルベルグ社デジタル印刷部門シニアバイスプレジデントJason Oliver氏が言及されたようで、海外メディア(例えば、PrintWeek誌など)はこぞって取り上げています。

そういえば、昨秋(2013年9月)には、Landa社が紙器パッケージ市場向けB1サイズ枚葉インクジェット機 Landa S10FC Nanographic Printing Press のβサイトを2014年第4四半期に設置することを発表していました。

また、drupa2012の際にHP社ブースにいらっしゃった説明員(技術者)の方に「IndigoってB1サイズも印刷できるの?」とお伺いしたら「うん、技術的には可能だよ」というお答えをいただきました。「じゃ、何で今回はB2機(注:Indigo 10000/ 20000/ 30000)を出したの?」「マーケティングの人たちが『今回はB2機でいく』と決めたから」というお話しもお伺いできました。つまり、HP社も市場が盛り上がるようならB1サイズ枚葉機を出してきそうです。

もし、drupa2016でハイデルベルグ・Landa・HPが揃ってB1サイズ枚葉デジタル印刷機を展示したら、そのインパクトはかなり大きいと思います。その場合、drupa2016が『B1 drupa』と呼ばれる可能性は十分にあると考えています。

さて、B1 drupaが実現した際、私は以下3つの反応に注目したいと思います:

  1. パッケージ印刷会社の反応
  2. 後加工機メーカーの反応
  3. B2サイズ枚葉デジタル印刷機メーカーの反応
昨今の印刷市場動向から考えて、各社のB1枚葉デジタル機はパッケージ市場をターゲットにしたものとなるでしょう。パッケージ市場でも小ロット化が進んでいて、デジタル印刷機への注目が高まっているというお話しはお伺いします。

ただ、実際に数社から発表されたB1サイズのデジタル印刷機を見て、紙器パッケージ印刷会社がどのような反応を示すのか。「面白い!すぐ買おう!!」となるのか「うーん、もう少し様子見かな」となるのか。その反応に注目したいと思います。

また、後加工機メーカーの反応に要注目です。特にパッケージの印刷の仕事は、刷って終わりではなく加工が必要不可欠です。『抜き(カット)』については、型を使わずに高い生産性で作業できる、小ロットに適した機材が増えてきています。しかし、『筋入れ』については型無し&高生産性を両立する機材はなさそうです(私が不勉強なだけかも知れませんが (^ ^; )。

「デジタル印刷で紙器パッケージ」という市場を開拓するためには、後加工機メーカーの協力も大切になります。drupa2016会場で、後加工機メーカーがどのような小ロットパッケージ市場向けソリューションを提案するのか。こちらにも注目しましょう。

そして、B1機が出てきた時に、B2機はどのような位置付け・役割で提案されるのか、という点にもぜひ注目したいと思います。B2機が出てきた結果、従来(そして現在も)広く使われているA3サイズ枚葉機は、生産性よりも機能性が訴求されるようになりました。では、B1機とB2機の棲み分けはどうなるのでしょう?drupa会場では、B2機を販売する機材メーカーの提案にも注目です。

番外編として、来年9月に東京で開催されるIGAS2015にも注目しましょう!さらなるデジタル印刷の大判化・対応するアプリケーションの多様化が進みそうな drupa2016に向けて、どのような展示・セミナーが開催されるのか。折角なので、刺激的な展示会にしていただければと思います (^ ^)