印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2011年7月4日月曜日

『色彩』による印刷サービス高付加価値化の可能性

6月29日、日本印刷会館(東京・中央区)で開催された『2011年度第1回ジーエーシティセミナー』に参加して参りました。テーマは『がんばろう日本!効率のよいものづくりについて考える ”正しい色管理の考え方”」。日本カラーデザイン研究所 シニアマネージャー 杉山朗子氏による基調講演『色彩のコミュニケーションパワー 〜お客さまの心をとらえる色〜」を含む5つのセッションが行われた盛り沢山の内容でした。

杉山氏からは、男女・年齢層・ライフステージなどによって好む色が異なるため、ターゲット層に合わせた色を使うことがマーケティングに成功するポイントだというお話しがありました。特に、「買い物意識クラスターとデザインクラスターが重なり始めたのが最近の特徴」というお話しは大変興味深いものでした。詳細は杉山氏のセミナーにご参加いただいてご確認いただければと思いますが、簡単にいえば、色によって消費者の購買意欲を高めることが比較的簡単になってきていることを意味しているそうです(私の誤解でしたらスミマセン・・・)。

印刷サービスの高付加価値化は、『色彩』という側面からもまだまだ進展させることが可能のようです。


2011年4月27日水曜日

デジタル印刷 理想と現実のギャップ:利益編

4月26日のブログで、印刷会社においてデジタル印刷機の導入意欲が非常に低いことを指摘した。その理由のひとつとして、4月24日のブログで明らかにしたように、『デジタル印刷ならではの付加価値を活かすジョブが取れていないこと』が挙げらよう。また別の理由として、デジタル印刷で思うように利益を挙げられていないことも挙げられる。

ここ数年間で、ライトプロダクションと呼ばれる低価格で高速なカラーデジタル印刷機が普及したが、日印産連アンケート結果によれば、これらを含めたカラーデジタル印刷機(生産機、トナー、カット紙、A3モデル)を使っている印刷会社のうち利益を出しているのは3分の1である。ちなみに、モノクロ機(トナー、カット紙、A3モデル)におけるその比率は46%となっている。





以前、「デジタル印刷は、大ロットのオフセット機のジョブを取るための細かい仕事を行うための機械なので、利益は出なくても良い」というご意見をお伺いしたことがある。現在、オフセットのジョブでは小ロット化・低価格化が進んでおり、オフセットのジョブで十分な利益を出すのは簡単ではない。こうした状況では、デジタル機のジョブでも利益を出す事が求められるが、実際にはカラー機では3分の2、モノクロ機では5割強が利益を出せていない。

このような現実に直面している印刷会社において、デジタル印刷機の導入意欲が低いのは当然のことである。デジタル印刷機メーカー、そして印刷機材商社には、日本市場に適したデジタル印刷による売上・利益を同時に拡大する方法を、印刷会社とともに開発し、共有することが求められる。

2011年4月26日火曜日

デジタル印刷機(生産機)の保有状況/今後の導入予定

2011年3月、日本印刷産業連合会から発表された『印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査』によれば、デジタル印刷機(生産機)の設備を保有する印刷会社は53社、全体の40%であった。まだ6割の印刷会社がデジタル印刷機(生産機)を保有していないことから、デジタル印刷機材メーカーや商社の視点から見ると、まだ市場のポテンシャルは大きいように思われる。


しかし、今後のデジタル印刷機(生産機)の導入予定についての調査結果を見ると、回答数133社に対してカラー機10台・モノクロ機5台の合計15台に留まっている。これは東日本震災前の2010年5月に実施されたアンケートであることから、現在では更に導入意向が弱まっていることが考えられる。

不況の影響以外に考えられる理由のひとつとして、前回の記事で分析したように、デジタル印刷のジョブにおいて理想と現実にギャップが生じていることが挙げられよう。また、デジタル印刷の利益率についても理想と現実にギャップが生じていることも、その理由として考えられる。この点については、次回のブログで分析する。

2011年4月24日日曜日

デジタル印刷の理想と現実のギャップ、そしてその埋め方について

少々間が空いてしまったが、4月6日の記事に引き続き、日本印刷産業連合会から発表された「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査」について分析を行う。

アンケートに回答した印刷会社によれば、「デジタル印刷で重視している付加価値」は『バリアブル印刷』が第1位で24%、次いで『オンデマンド対応』(22%)、『ハイブリッド印刷』(14%)となっており、これら上位3項目で全体の60%を占めている。



しかしながら、このアンケートでは印刷会社がこれらの付加価値をビジネスに上手く結びつけられていない現実が明らかとなった。「デジタル印刷で売上が1位〜3位の受注品目」について質問した結果、『バリアブル印刷』の売上が1位の印刷会社は4社に留まっている。『オンデマンド対応』は、オフセット機での短納期対応スキルが高まっている現状では効果が十分出ているとは限らない。また、『ハイブリッド印刷』への対応が進んでいる印刷会社は、まだ限られている。


* 注)バリアブル印刷:カット紙への宛名印字、ナンバリング、可変情報出力など
事務用印刷:名刺、ハガキ、グリーティングカードなど


このように、印刷会社においてデジタル印刷の理想と現実にはギャップがあることが明らかとなった。印刷会社がデジタル印刷に成功するためには、この理想と現実のギャップを埋める事が求められよう。その方向としては、『バリアブル印刷のジョブを増やすよう提案力を高める』こと、あるいは『商業印刷や事務用印刷のジョブを効率的に行う』ことの2方向が考えられる。

このうち、『提案力を高める』にはスタッフのスキルアップなど時間が掛かることが見込まれる。そのため、短期的に売上・利益の拡大を実現するためには、既にジョブがある商業印刷や事務用印刷のジョブを更に増やし、同時に利益を拡大するため業務の効率化を進める事が適切であろう。

2011年4月6日水曜日

2013年の印刷会社のサービス内容

3月31日、日本印刷産業連合会から「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート調査 2010年/2013年デジタル印刷予測」が発表された。この調査は、以下の団体に所属する全国681社に対して2010年5月に実施されたものである:

  • 印刷工業会
  • 全日本印刷工業組合連合会
  • 日本フォーム印刷工業連合会
  • 日本グラフィックサービス工業会
  • 日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会
  • 全日本シール印刷共同組合連合会
  • 全日本グラビア協同組合連合会
  • 全日本スクリーン・デジタル印刷共同組合連合会
この調査結果によれば、2010年度と2013年度における印刷会社のサービス別売上比率を比較すると、デジタル印刷サービス(トナー機・インクジェット機の合計)は27%から34%へと、また印刷付帯サービスも11%から13%へと増加することが予測されている。その結果、2013年度には有版印刷以外のサービスが占める比率が50%近くまで増加する予測となっている。


この調査は前述のように東日本大震災前(昨年5月)に実施されたもので、3月以降の用紙やインキの供給不足や計画停電、企業の広告宣伝活動の自粛や活動の移転・分散、消費者の買い控えなどが反映されていない。こうした震災後の動きは、特に有版印刷の大ロットジョブに大きな影響を与えると考えられることから、2013年度にはデジタル印刷や印刷付帯サービスの売上比率が50%を上回ることも十分考えられよう。

次回以降のブログでは、このアンケート調査結果を基にデジタル印刷・印刷付帯サービスの事業拡大機会について分析する。

2011年4月4日月曜日

JAPAN SHOP 2011に見る新しい印刷サービスの可能性、など

3月31日、ブライター・レイター・ニュース第6号を発行いたしました。本号の内容は以下の通りです:

  • 印刷業界が震災を乗り越えるために(1ページ)
  • JAPAN SHOP 2011に見る新しい印刷サービスの可能性(5ページ):
    • 家具や文具、雑貨の高付加価値化
    • 省消費電力とプロモーション効率向上を両立させる屋外広告
    • ショップの『香り』を届けるダイレクトメール
  • 印刷会社の強み分析:株式会社ディグ(2ページ)
  • A4サイズ、モノクロ、8ページ
  • 定価:12,000円(税別)

尚、第5号(PAGE 2011とCP+2011に見る印刷市場動向と事業機会)の詳細は、こちらでご確認いただけます:
http://brighterlaterblog.blogspot.com/2011/02/page2011-cp-2011.html


ブライター・レイター・ニュースに関するご質問・お申し込みは、以下までお願いいたします:
yamashita@BrighterLater.jp (担当:山下)



2011年2月28日月曜日

PAGE2011 & CP+ 2011 分析レポート

2月28日、2011年2月に行われた2つの大きな展示会、PAGE2011(2月2日〜4日、東京・池袋)および CP+ 2011(2月9日〜12日、パシフィコ横浜)の分析レポートを掲載した「ブライター・レイター・ニュース第5号」を発行いたしました。本レポートでは、2つの展示会から見えてきた印刷市場の動向を分析し、印刷会社の事業機会を明らかにしました。

ご質問・お申し込みは、以下までお願いいたします:
mail: yamashita@BrighterLater.jp (担当:山下)

  • タイトル:PAGE2011とCP+2011に見る印刷市場動向と事業機会
  • 内容:
    • PAGE2011:
      • 来場者と出展社の動向
      • デジタル印刷を活用したソリューション:
        • 高級子供服ショップ向けブランディング
        • イメージバリアブルを活用した女性顧客の囲い込み
        • 紙+電子書籍のブレンドプロモーション
      • 画質・生産性の向上が進む電子写真式デジタル印刷機
      • インクジェット機の動向:
        • フルカラー輪転型インクジェット機
        • フルカラー枚葉型インクジェット機
        • 2色・モノクロのインクジェット機
      • デジタル印刷物対応ポストプレス機器の増加
    • CP+2011:
      • 3D対応機・3D対応サービス
      • ハイエンドコンパクトカメラ市場の活性化
      • 自分で撮影した「作品」の楽しみ方
      • CP+におけるデジタル印刷機
    • PAGE2011・CP+ まとめ
  • A4サイズ、モノクロ、16ページ
  • 価格:12,000円(税別)