印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2013年12月27日金曜日

精工のデジタル印刷経験値

前回の記事では、精工のこれまでのデジタル印刷の取組みについて触れるのを忘れてしまいました。申し訳ありません・・・

精工が最初にデジタル印刷機を導入したのは2000年、機種はIndigo社(当時)のOmniusだったそうです。当時は、校正やダミーサンプルの仕事を中心に行っていました。この当たりのことは、HP社のホームページでサクセスストーリーとして紹介されていますので、こちらもあわせてお読みください。

その後、HP Indigo ws4050ws4500エプソン SurePress L-4033A(量産初号機・2号機)などを宮城工場に導入し、デジタル印刷の経験を着々と積んできています。あわせてレーザーダイカッターも導入・活用し、後加工機の部分でもオンデマンド経験値を高めています。

精工は、2012年10月にTSUKUBA2025(つくば第2工場)を竣工、こちらにはHP Indigo WS6600エプソンSurePress L-4033Aが設置されていました(12月初旬時点)。前回の記事でご紹介したHP Indigo 20000は、3台ともTSUKUBA2025に導入される計画です。なお、TSUKUBA2025は、精工の本格的なデジタル印刷生産拠点という位置付けとなっています(宮城工場でもサンプルや小ロット仕事の生産も行っていますが、まだ本格的な生産ではないという認識だそうです)。

10年以上のデジタル印刷の経験を持つ精工は、Indigo 20000の導入によって「本格的なデジタル印刷機による生産体制の確立」という新しい段階に進みます。その際には、5年間で投資を回収するビジネス自体の立ち上げにもあわせて取組みます。Indigo 20000によって、精工の前にはどのような新しい世界が広がるのでしょう?デジタル印刷マニア(笑)の私も本当にワクワクドキドキしてしまいます (^ ^)

2013年12月26日木曜日

精工はHP Indigo 20000をどのように活用するのか?

先日、株式会社精工(本社:大阪市北区)のつくば工場にお伺いしました。精工は、創業明治44年、従業員数539名(平成253月現在)・年商92.8億円(平成24年度実績)の軟包装コンバーター(印刷・加工会社)です。

精工は、drupa2012HP社のB2幅連帳式デジタル印刷機Indigo 20000のアジア1号機を導入する(しかも3台同時に!)ことを発表し大きな注目を集めました。今回お伺いしたのは、精工のデジタル印刷戦略についてお教えいただくためでしたが、その前段のはずの事業戦略についてのお話しが面白過ぎて本題には入れませんでした (^ ^; 

実際、Indigo 20000の納期は、12月上旬時点でまだ決まっていないとのことでした。精工ではIndigo 20000をサンプルや校正ではなく商品の生産に使うことを考えていることから、納期が確定しないことには使い方の詳細を詰めることができないようです。これは逆にいうと、使い方についてのアイデアを既に持っているということです。どのような使い方をされるのか、また実機が導入された時点でぜひお伺いしたいと思います。

皆さまにもIndigo 20000を活用したサービスが開始された際に存分にその迫力を味わっていただくため、今回は精工のサービスの特徴を簡単にご説明したいと思います。

精工の大きな特徴として、「商社マインドを持ったコンバーター」という点が挙げられます。これは、第二次世界大戦後(第一次世界大戦前に創業されていますので)の一時期、商社としての活動をしていたことが背景にありそうです。

こうした特徴は、「顧客と商材が多様」といったサービス内容にも表れています(下図参照のこと)。精工は、コンバーターとして印刷・加工サービスを提供していることに加え、独自のルートを通じて世界各国で見つけた印刷・加工用の機材・資材を輸入・販売もしています。その販売先も、青果(特に野菜・果物)の生産者や同業者(コンバーター)、小売業者と非常に幅広くなっています。

小売業者に対してはさらに、店頭での販売を伸ばすアイデアや什器・小物などもあわせて提供しています。また、食品メーカーに対しては、商品開発(例えば、観光名所向けオリジナルパッケージの開発)の支援も行っています。青果の生産者向けに機材・資材を提供しているのは、農業の6次産業化のニーズが高まっているためです。こうした柔軟性の高いスタンスでの取組みは、商社としての経験が活かされたものだと思われます。

今回の取材では林正規取締役にお話しをお伺いしたのですが、林氏の経営スタイルからも「商社マインドを持ったコンバーター」という特徴が伺えます。例えば、「この機械を使ったらどんなことができるのか」という設備発想ではなく、「こんなサービスを提供したいんだけど、それが実現できる機材・資材はないかな」というマーケット発想をされています。

また、「設備投資は5年以内に回収し、どんどん新しい設備を導入する」というお考えだったりもします。これは、拙訳書「未来を破壊する」でも指摘されている「設備のマーケティング寿命は、機械寿命よりも短い」という発想です。新しい設備を導入することは、サービスの品質や競争力向上を実現することにもつながっています。

独自ルートを通じて世界各国で印刷・加工機材や資材をさがすことは、「投資を5年以内に回収・次の設備を導入」というサイクルを回すことにおいても重要な役割を果たしています。設備投資サイクル短縮のためには、安くて新機能を持った機材を見つけることが必要不可欠なためです。

精工の工場には「日本1号機」という機材がゴロゴロしているのですが、これはサービスのアイデアを持って世界各地で最新・安価なものを探している成果なのです。HP Indigo 20000も同じ考え方で導入を決めたそうで、他の機材と同じく「5年での回収」を本気でお考えです。

精工のユニークなところは、最新鋭で安価な機材を持ち、やはり安価な資材を使っていることから非常にコスト競争力が高いにも関わらず、過剰な価格競争はしないというスタンスを保っているところです。実際、入札案件で他社が安く落札する仕事も少なくないそうです。

これは、提案力や情報力なども含めた「課題解決力」に自信があるからだと思います。確かに、いろいろな人やものを繋いだり小売業者に対して販売支援まで行ったりといった商社マインドを持った競争相手は限られています。幅広い視野で市場を見ている(あるいは、競合とは異なった視点から市場を見ている)精工は、印刷・加工部分以外での事業機会も把握し、それらも合わせて実現することで売上・利益を伸ばす方向性を進んでいます。

他にもM&Aや取引先との信頼性向上、知恵と工夫によるコスト削減など興味深い取組みが多々あるのですが、すっかり長くなってしまったのでこれらの紹介は割愛させていただきます。申し訳ありません・・・ただ、本稿を通じて、精工が非常に面白い形でHP Indigo 20000を活用できる可能性が高いコンバーターであることは、ご理解いただけたかと思います。導入後のレポートも楽しみにお待ちください♪

また、今回ご説明できなかったポイントにもご興味のある方あるいは本稿についてご質問などのある方は、お気軽にお問い合わせください (^ ^)

【追伸:精工のデジタル印刷経験について】
今回の記事では、精工のこれまでのデジタル印刷の取組みについて触れるのを忘れてしまいました。申し訳ありません・・・次回の記事で精工のデジタル印刷経験値についてご紹介しましたので、こちらもあわせてお読みください。

2012年10月9日火曜日

TOKYO PACK レビュー(2):デジタル印刷の観点から

前回ブログの「目についたトレンド :6」でも触れたように、今回の TOKYO PACK ではデジタル印刷の存在感が高まっているように感じました。これは、特にラベル印刷の分野において実際に生産に使われるようになっているため、そしてその実績をもとにした提案型の展示が行われていたためだと考えられます。

ラベルのデジタル印刷化が進んでいる背景として、ジョブの小ロット化が進んでいることが挙げられます。例えば、エプソンのインクジェット機 SurePress L-4033A を4台導入している精工ブースでは、生産者(今回の展示では農家の方)の顔が印刷された野菜を入れたビニール袋に貼るラベルが提案されていました。この場合、季節によって販売する野菜の種類が変わりますので、小ロットでの印刷が必要不可欠になります。道の駅が広まるなど流通の多様化に対応して、こうした「生産者の直売」のための小ロット印刷サービスも広がっています。

あるいは、ネット通販が広まっていることから、個人や小規模な会社が輸入されたものをキレイなラベルを貼ってネットで販売したというニーズも増えているそうです。こうしたニーズに対応するための小ロット印刷サービスも立ち上がってきています。

また、精工ブースでは、今年5月に発表された HP社のB2サイズ対応ラベル・パッケージ印刷用ロール機 Indigo 20000 の導入が発表されていました。導入予定は2013年10月で、これはアジア1号機になるそうです。このデジタル印刷機の使い方については会場ではお伺いできませんでしたが、HPによる精工ブースでのプレゼンテーションをみると、One-to-one (パーソナライズ)のニーズに対応したサービス、しかもラベル以外にも軟包装も含めた印刷サービスの展開になるのかもしれません。

ところで、精工ブースでは、エプソンとHPが並んで自社製品をアピールしていました。エプソンは比較的「生産者直売」や「小規模メーカー」向けの小ロット生産を意識した提案、HPはナショナルブランドの One-to-one マーケティングを意識した提案とそれぞれ特徴がありました。これら2社の展示をみているとラベル・パッケージ分野におけるデジタル印刷の可能性の大きさを感じることができました。

また、エプソンはインクジェット機、HPは液体トナー機という共に注目のデジタル印刷方式のデジタル機を紹介していました。精工ブースはこうした観点からも、それぞれの特徴を比較検討したい印刷会社そして印刷物発注者には興味深い展示となっていました。

精工ブース以外でも、タカラ(大阪・大阪市)のデジタルラベルやミマキブースに展示されていた「CASIO ユポラベル対応オンデマンドカラーページプリンタ」(トナー式)を使った商品ラベルのサンプルなど、会場では興味深い展示が目に付きました。ちなみに、ユポラベル対応のCASIOのプリンターですが、価格は598,000円 + 消費税(5年間の保守サポート付き、トナー料金は別途)、ユポラベルの印刷速度はフルカラーで毎分9枚(厚手のもの)〜15枚となっています。昨年6月の販売開始以来、導入先の約半分が印刷会社だそうです。

今回は、ラベル向けデジタル印刷を中心にご紹介しました。次回は 、drupa でも大きな話題になった「紙器パッケージ」の動向について書きたいと思います。お楽しみに (^ ^)