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2020年9月1日火曜日

「コト売り」から『進歩売り』へ! 〜コロナ時代の印刷会社の成長戦略〜

リーマンショックの際には「モノ売り」から「コト売り」へと進化することで、印刷会社は困難を乗り越えました。そしてコロナ禍では、「コト売り」から『進歩売り』へのさらなる進化によって、持続的成長を実現できる体質・体力を手に入れることができるでしょう。

「進歩売り」とは、顧客や「顧客の顧客」がコロナ禍を乗り越えるために成し遂げたい『進歩』を見出し、理解し、その実現のために購入・使用されるプロダクトやサービスを提供することです。進歩を売るメリットとして、以下のようなものが挙げられます:

  • すぐに始められる。
  • 小さく始められる。
  • 継続して提供できる。
  • もっと『提案型』になれる。
  • イノベーションも起こせる、など

顧客が成し遂げたい『進歩』を見つけるためには、プロセスや顧客体験、データなどの分析を通じて、顧客や「顧客の顧客」が言わないことを聞き取ることが重要です。多くの顧客・「顧客の顧客」にとって、自分の要求や希望を正確に漏れなく説明することは簡単ではないからです。

また、『進歩』を実現するプロダクトやサービスを提供するためには、機能的側面に加えて感情的・社会的な側面も考慮しながら、購入・使用に伴う体験を適切にデザインすることが求められます。あわせて自社内の仕組みや組織を進化させることで、顧客が成し遂げたい『進歩』への集中度を高めることもできます。

コロナ禍を受けて、多くの顧客企業そして印刷会社では「リモート」「オンライン化」「非接触」「社会的距離」といったキーワードに沿ってプロダクトやサービスの改善を進めていると思われます。また、「デジタライゼーション」「DX(デジタルトランスフォーメーション」「SGDs」「働き方改革」といったコロナ以前からのトレンドへの対応も求められています。『進歩売り』は、こうした流れにも適合しています。

ブライター・レイターでは、皆さまの『進歩売り』への進化を支援するサービスを提供しています。ご興味のある印刷会社さま、お気軽にお声がけください (^ ^) ぜひ、コト売りから『進歩売り』への進化を通じて、顧客と一緒にコロナ禍を乗り越え、持続的成長を実現しましょう!

2016年12月12日月曜日

2016年の印刷市場を振り返る:福島県の場合

東日本大震災から5年が経ちました。節目の年ということで、マスコミでも被災地の現状を伝える番組や記事も多かったように思います。皆さんの中にも、さまざまな形で復興に力添えをされた方も多かったと思います。私も復興のお手伝いができればと、この秋はスポンサーという形でWeb広告研究会 東北セミボラ(セミナー&ボランティア)に参加しました。

印刷業界では全日本印刷文化典ふくしま大会10月21日・22日)が開催され、東北地方に注目が集まりました。今回は、福島県中小企業団体中央会が発表する中小企業景況レポートから、福島県の「紙器(紙製パッケージなど)・段ボール箱」と「印刷」の2つの市場概況を振り返ります(9月まで):


  • 2016年1月:

    • 紙器・段ボール箱:堅調感は残念ながら実感できてないのが現状といえる。多品種・小ロット受注でも売上高は何とか維持できたとしても、利益率は下方傾向にあることは否めない。 
    • 印刷:業況が部分的に好転、悪化と入り混じり、見通しは不透明である。また、従来の予測が成り立たなくなっている。
  • 2016年2月:
    •  紙器・段ボール箱:紙器業界も例年になく、厳しい経営状況である。今まで消 費税が上がるたびに、増税後は製品が売れなくなる。まして今度は税率が10%になるので、消費者の財布の紐は固くなるのではと思う。今年は我慢の年。業界全体で結束して頑張っていきたい。 
    • 印刷:例年、3月の年度末に向けた動きが出てくる月だが、大きな動きは感じられない。年度末に期待したいところである。 
  • 2016年3月:
    • 印刷:年度末のかき入れ時としては、業況がまだら模様で年度末の力強さが感じられなかった。
  • 2016年4月:
    • 紙器・段ボール箱:県内紙器段ボール箱業界は、大手工業製品や農産物をはじめ、あらゆる分野において多様な形で使用されている。商品保護はもちろん、機動性等、その役割の重要性は益々高まり私たちの生活の一端として欠かせない存在となっている。我々紙器を取り巻く経営環境は構造的な変化が進んでおり、新たな時代に即応した業界体制を構築すること必要となっている。
    • 印刷:新年度に入り、業界的にも大きな変化は見当たらず、各社とも地道な営業活動で新年度の予算取りに奔走している。 
  • 2016年5月:
    • 紙器・段ボール箱:原材料・副資材ともに高値のまま推移している。小ロットでの受注が多いため生産コスト等経費の増大を招き、業者が次々に廃業に追い込まれる状態。各社とも現在新しい販路を求めて営業活動に余念がないが、新規開拓は時期的に厳しい状況にある。
    • 印刷:円高の進行もあり、前年度同時期に比べると材料費の中の用紙代はやや 低下傾向にあるが、業況は良いとも言えず、各社ともに収益回復に至っていない。 
  • 2016年6月:
    • 紙器・段ボール箱:引き続き、原材料、副資材価格の高止まりや人件費の増大、少子高齢化による後継者不足が課題となっている。
    • 印刷:競争の激化により、利幅は縮小傾向にあり収益面はやや厳しさを増している。
  • 2016年7月:
    • 紙器・段ボール箱:紙器業界は、原発事故以来、依然として風評被害が続いている。景気低迷等から消費者のマインドが大きく低下し、我々小規模事業者に大きな影響を与えている。これから取引先に対しても今まで以上に優れた情報を整理し、新製品の開発を図っていく。 
    • 印刷:復興需要も落ち着いてきており、各社とも売上状況は芳しくないようで ある。今後も低迷が続きそうな見通しである。
  • 2016年8月:
    • 紙器・段ボール箱:消費者の嗜好が多様化、専門化する昨今において、市場ニーズは変化している。小ロット多品種化、新製品開発や販促プロモーションの差別化等、市場ニーズの多層化が進んでいる状況にある。
    • 印刷:例年、8 月は他の月に比べて稼働状況、売上とも低調な月であるが、今 年の夏の景況は特に厳しく感じられた。 
  • 2016年9月:
    • 紙器・段ボール箱:総体的に見て、紙器需要が伸びているという実感がない。福島県にも大勢の観光客が訪れているもののお土産品分野も伸長していない気がする。特に5月の連休明けから 7 月にかけて仕事量が減少している。紙器の中でも貼箱については少量ながら堅調な反面、印刷紙器については減少傾向を払拭できない。今年の中元期では紙器各社も忙しいところと、そうでないところとの格差が大きくなり 2 極化の傾向を否めない。 
    • 印刷:各社とも 8 月に比べ、売上はやや好転しているが、秋口の需要期の力強 さは感じられない。 


上記の景況レポートから、印刷業界注目のパッケージ市場を含む両市場とも1月から一貫して厳しい状況にあることが分かります。そして、厳しい市場環境の理由として以下のような課題が挙げられています:
  • 材料費の高止まり・人件費の増大などのコストに関わる課題
  • 需要の弱さや風評被害、市場の変化といった需要面の課題
  • 利益率低下・後継者不足など経営上の課題
中には「風評被害」といった特有の課題もありますが、多くは全国の印刷会社・後加工会社に共通するものです。もしかしたら、全国の印刷・後加工業界を元気にするヒントが福島県にあるのかもしれません。引き続き、福島県の印刷・後加工の景況に注目していきたいと思います。

2016年11月30日水曜日

2016年の印刷市場を振り返る:北海道・石川県の場合〜新幹線開業効果は!?

昨年(2015年)3月14日、北陸新幹線が金沢まで開業しました。そして今年(2016年)3月26日、北海道新幹線 新青森駅 - 新函館北斗駅間が開業しました。新幹線の開業は、その地域の印刷業界にどのような効果をもたらしているのでしょうか。

前回(東京都・千葉県の場合)に続き中小企業団体中央会の情報にもとづいて、今回は北海道と石川県の2016年の印刷市場動向を分析します(注:8月まで):

  • 2016年1月:
    • 石川県:長い正月休暇もあり、売上・収益とも前年同月より下降した。原因は官公庁の見積もり合わせ・入札も減少している。また、一般企業も1月は少し控えめであった。
  • 2016年2月:
    • 北海道:組合員の業況においては、あまり変化のない通常の2月であった。ただこの先の見通しとしては、一般家庭の消費の回復、観光客の入り込み(インバウンド観光)が大きな意味を持つと考えられる。 (加工紙)
    • 石川県:前年同月と比較すると動きも鈍く、業界全体が静かではあるが、3月後半から4月にかけて昨年と違った付加価値ある収益改善を目指して進行中である。昨年の新幹線開通による波及効果を一過性ではなく、より持続できるように知恵と工夫が我々の業界の今後の課題である。組合脱退者が多くなった理由は、後継者がいない、仕事が少なくなった、新幹線開業による仕事に関係がない、である。
  • 2016年3月:
    • 北海道:昨年の3月と比較して、売上高、販売価格、収益にさほど大きな変化はない。(加工紙)
    • 石川県:仕事上年度末は1年で1番多忙な時期に、新幹線開業関連の仕事と重なり、前年同月以上に多忙な毎日であった。収益も多忙な分だけ伸びたように感じるが、近年の低価格落ちを少しでも改善できるよう心がけたい。個人消費は相変わらず足踏み状態が続き、地域経済もまだ回復の実感は乏しい。
  • 2016年4月:
    • 北海道:昨年同月と比較して大きな変化はなかった。(加工紙)
    • 北海道:平成28年度当初の契約額は昨年度に比べて、契約件数で5件、契約額で約3割の減少となったことにより、毎月の売上高は厳しい状況が予想される。(印刷関連サービス)
    • 石川県:前年同月に比較するまでもなく、業界全体が厳しく新年度と言うのに動きが鈍く、収益も減少していたが、後半より連休前に若干の動きが出てきた感じがある。
  • 2016年5月:
    • 北海道:本年度の契約額が前年対比3割減となったことから、売上高は減少した。(印刷関連サービス)
    • 石川県:印刷でも業種によってバラつきがあり、前年同月から見ると売上・収益も下降で先行き不透明感が強い。個人消費は依然低調である。
  • 2016年6月:
    • 北海道:昨年6月はインバウンド効果の影響で売上、収益とも良好でしたが、今年の6月はかなり厳しい状況である。 (加工紙)
    • 石川県:5月報告と同様、印刷の業種によってバラつきがあり。昨年の新幹線開業効果実績も定着してきたが、更なる波及に努力している。収益状況は決していいとは言えない。
  • 2016年7月:
    • 北海道:7月は天候不順が続いて果物関係の段ボール箱の出荷が悪く、道内一般家庭の消費も悪い。業界としては昨年7月よりも厳しい景況である。(加工紙)
    • 石川県:売上高は昨年同様のようにはいかないが、6月から見れば若干の多忙を感じる。8月もこの調子で頑張りたい。
  • 2016年8月:
    • 北海道:台風の大雨による農作物の被害で、これから流通資材の段ボールカートンに大きな影響が出る気配がある。一般家庭の消費も悪く、紙器段ボール箱の引き合いも厳しいと考えられる。 (加工紙)
    • 石川県:8月は恒例と言っても過言ではないが、お盆・子供の夏季休暇も長く仕事全ての動きが鈍く、昨年同月の売上を維持するのが精一杯である。収益も昨年同月の売上維持には程遠いが収益率も悪い。

北海道と石川県、それぞれの市場動向をまとめると以下のようになります。新幹線開業効果を含め、随分と差があるようです:
  • 北海道市場の概況(加工紙中心):
    • 北海道新幹線開通の効果はあまり感じていない模様。
    • 4月までは前年並み、6月以降は天候不順などの影響で厳しい状況が続いている。
  • 石川県の印刷市場概況:
    • 一定の新幹線開業の効果あり。ただ、さらなる上乗せは進んでいない様子。
    • 月によって業績にバラつきあり。
    • 業種によっても業績にバラつきあり。

北海道と石川県のケースをみる限りでは、新幹線の開業が印刷業界にもたらす恩恵は必ずしも大きなものではないようです。ただ、北陸新幹線・北海道新幹線ともにまだ未開業区間があります。また、2020年に向けて海外からの観光客も増えることが見込まれます。今後の展開にも注目していきたいと思います。

なお、印刷・加工紙以外の市場動向については、以下のサイトをご確認ください:
北海道新幹線車両の陸揚げ作業@函館港
北陸新幹線 グランクラス

2016年11月25日金曜日

インドの印刷市場に注目!

2016年11月22日、日本印刷会館(東京)で(一社)日本印刷産業連合会による「WPCF 及び FAPGA 出張報告会」が開催されました。その中で、韓国・中国・インドの印刷市場についてのいろいろと興味深いお話がありました。

例えば、中国の印刷市場について:まだ成長は続けているものの、その伸びが鈍化し始めていること。印刷物出荷額(約13.3兆円(2013年))の内訳は、パッケージ 75%、出版 15%、商業印刷 10% であること。商業印刷市場は、中国で最もアクティブで有望な市場分野とされていること。

実は、今回のセミナーで一番驚いたのはインド印刷市場の圧倒的なパワーです。例えば、会社数とその従業員数。日本の印刷会社数(2014年)は2万7,000社と日本の基準でいえば十分多いのですが、インドの印刷会社数はその6.5倍の17万5,000社(2012年)。そして、従業員数でみると、インドは日本の8倍以上の250万人(2012年)。

日本からみれば中国の印刷市場は巨大ですが、その中国と比較してもインドは印刷会社数 2.6倍、従業員数 1.3倍 と、さらにその上をいきます。そして、インドの枚葉オフセット印刷機の設置台数(2015年)は、新台 460台・中古 2,535台。インドの印刷物出荷額のデータはセミナーで紹介されませんでしたが、それ以外のデータで見ても、日本のスケールでは計れない規模感であることが分かります。世界は本当に広いです。

こうした大きくて成長している印刷市場にどう向き合い、またどう取り込むか。インド市場向けに輸出とかインドに生産拠点を持つなどの製造業的な動きから、現地の企業と提携してインバウンド需要づくりといったサービス業的な動きまで、いろいろ考えることができそうです。2020年に向けて成長事業をつくるために、インド市場の可能性にもぜひ目を向けてみるのはいかがでしょう。

2016年11月22日火曜日

2016年の印刷市場を振り返る:東京都・千葉県の場合

気が付けば、11月も下旬となりました。まだ早いかもしれませんが(笑)、これから少しずつ2016年の印刷市場を振り返ってみたいと思います。

さて、全国の中小企業団体中央会は、各地の情報連絡員報告をもとにした中小企業動向を発表しています。今回は、東京都と千葉県の中小企業団体中央会の情報をもとに、2016年1月以降の中小印刷会社の動向をまとめます。一体、どんな1年だったのでしょう(注:現時点では8月までの情報しか発表されていません):

  • 2016年1月:
    • 東京都:組合員の間に業績の良し悪しの二極化が進んでいる。また、都心部では再開発等による立ち退きで廃業する組合員が見られる。
    • 千葉県:1月の県内組合員受注売上高は年末年始休業による稼働日の減少に加え、景況感から来る消費マインドの冷え込み等の影響により、印刷需要は芳しくなかったようです。このような状況下、未だデフレが完全に解消できていません。大企業を中心に昇給や冬季賞与の増額が行われ、一部では消費マインドが上向いていますが、市民全体が実感する程の実質賃金上昇にはまだまだ時間が掛かりそうです。
  • 2016年2月:
    • 東京都:依然として厳しい状況が続いているが、技術対応力、企画提案力を備えた企業は売上を伸ばしている。
    • 千葉県:2月の県内組合員受注売上高は、景況感から来る消費マインドの冷え込み等の影響により、全体としては芳しくなかったようです。但し、全社が悪化しているわけでは無く、中には好調な企業もあります。様々な要素でパイの奪い合いが起きてきていますので、その結果として企業の業績に大きく格差がついてきています。
  • 2016年3月:
    • 千葉県:3月半ば迄の県内組合員受注売上高は、先行き不安な景況感から来る消費マインドの冷え込み等の影響により、全体としては芳しくなかったようです。但し、中には年度末需要を受注し好調な企業もあります。様々な要素でパイの奪い合いが一層激しくなって来ていますので、またデフレになっています。その結果として、企業の業績に大きく格差がついてきていますので、全体の景況感改善は未だ先です。
  • 2016年4月:
    • 千葉県:4月の県内組合員受注売上は、全体として悪かったようです。ここ数年の現象として、旧年度予算の受注品は何が何でも3月末までに納品するよう求められます。その結果、各組合員で仕事が溢れかえる状況が見受けられます。その反動で新年度は全く稼働しない状況が垣間見えますので、印刷資材はとても動きが鈍く、用紙はコピー用紙の売上でほぼ前月に近い売り上げを確保している状況です。
  • 2016年5月:
    • 東京都:当組合で実施している売上動向調査(28 年 1 月~ 3 月)がまとまった。1 ~ 3 月の売上は 103 と前年を上回ったが、4~6月の予測は前年比 98 と先行きの不透明感が拭えない結果となった。
    • 千葉県:5月の県内組合員受注売上は、ほぼ4月の横ばいの数字で一向に景気が改善していない模様です。来日外国人によるインバウンド効果も一時期の勢いが無くなり、国民の消費もデフレの状態が引き続き継続しています。政府も補正予算を組み景気浮揚を目指していますが、将来の社会保障や国の債務等の不安が払しょくできません。これらの結果として消費が上向かず、相変わらず激しい価格競争中。
  • 2016年6月:
    • 東京都:従業員の採用に苦慮する組合員が多い。
  • 2017年7月:
    • 千葉県:ペーパーレス化が徐々に侵食している。紙の出荷量が減っている。しかし、紙メーカーは値上げの効果で増収増益。地方の零細印刷会社への用紙デリバリー・サービスがどんどん縮小している。円高の影響で用紙の価格は下がるはずだが、値下げの動きは無い。
  • 2016年8月:
    • 東京都:業績の良い企業とそうでない企業で二極化している。
    • 千葉県:先行きの暗さは変わらない。紙の出荷量が減っている。しかし、紙メーカーは値上げの効果で増収増益。

東京都・千葉県の両方に共通するトレンドとして以下のような点が挙げられそうです:
  • 全体として市場環境は厳しい。先行きも不透明:
    • 来日外国人によるインバウンド効果も一時期の勢いが無くなり(千葉県・5月)
  • しかし、中には業績の良い企業もあり、二極化の傾向あり:
    • 技術対応力、企画提案力を備えた企業は売上を伸ばしている(東京都・2月)

こうした状況は、他道府県と比べてどうなのでしょう?また、秋以降のトレンドはどうなっているのでしょうか。他地域の動向も確認し、また秋以降の業界動向も引き続きウォッチしたいと思います。

そういえば、2016年は5月末〜6月初旬にかけて、国際印刷機材展 drupa2016 が開催されました。日本からもたくさんの印刷業界関係者が視察し、また終了後の報告会にもたくさんの方がご参加されたと思います。ここで得た情報から、たくさんの厳しい現状を打破するアイデアが浮かんでいれば良いのですが(注:写真はdrupa2016の会場風景です)。

なお、東京都と千葉県の印刷業以外の中小企業動向については、以下のサイトをご確認ください:
  • 東京都中央企業団体中央会 ライブラリー:
    • このうち、「中小企業だより 最新号」「中小企業だより バックナンバー」をご確認ください。
  • 千葉県中小企業団体中央会「中小企業ちば

2014年2月14日金曜日

印刷会社の新規需要創造パターン

世間では景気回復という言葉が使われる機会が増えていますが、印刷業界ではまだまだ厳しい状況が続いています。しかし、厳しい市場環境においても、新規需要を開拓することで事業拡大を実現している印刷会社もあります。

そうした印刷会社の新規需要創造の成功パターンを分析すると、以下のようにまとめられそうです:
  • 既存顧客の新規需要:
    • 顧客に対するサービスの)PDCAサイクルを回す中で提案する。
    • 「ホーム」に顧客を招く:
      • ホーム:自社の工場、ショールームなど
  • 新規顧客:
    • ホームページを活用する。
    • (顧客間の)口コミで広まる。
    • マスコミ(テレビ、雑誌、新聞)を活用する。
    • ターゲット顧客層の展示会に出る。
    • ターゲット顧客層を(DMなどで)じゅうたん爆撃する。

さらに、これらのパターンを「印刷会社から声を掛ける」「相手から声を掛けていただく」というパターンに分けると下図のようになりますが、この図からはいろいろなことが見えてきます。


例えば、左下の部分にあたる「(全く働きかけをしていないのに)既存顧客から声を掛けていただく」というパターンで新規需要を開拓している例は、私の勉強不足もあるかもしれませんが、お伺いしたことがありません・・・既存顧客の新しい需要は、日々の営業活動、しかも提供するサービスの質を高めるためのPDCAサイクルを回す中で、提案を通して創造することが必要不可欠なようです。

また、フォトブックのような新規顧客層の開拓も伴う商材で新しい市場を創造する場合には、自社からターゲット顧客層に対して、展示会やDMなどを通じて積極的に働きかけることが必要不可欠です。あるいは、Webを本気で活用すること、潜在顧客間での口コミで広まる仕掛けを作ること、マスコミに取り上げてもらえるよう広報力を高めること、などを通してお声掛けいただく機会を増やす努力が重要になります。つまり、新規顧客の需要を創造するためには、これまでとは大きく異なるマーケティング活動が求められます。

先週開催されたpage2014でも、印刷営業のスキル向上を支援するサービスが紹介されていました。印刷会社が新規需要を創造するためには、印刷営業スタッフの提案力を高めることはもちろん大切です。しかし、工場見学会を開催することや、Webサイトを活用すること、ターゲット顧客層に対して展示会などで積極的に働きかけることなど、新しいマーケティング活動に取り組むことも不可欠です。

2014年に「攻め」に転じることを目指す印刷会社の皆さま、ぜひマーケティングへの取り組み強化を通じて実現しましょう!

2014年2月10日月曜日

page2014レビュー:スキルレス時代の稼ぎ方

page2014は、2月5日〜7日の3日間、サンシャインシティコンベンションセンター(東京・池袋)において「始動!コミュニケーション・ファクトリー」をテーマに開催されました。JAGATの発表によれば、来場者数は3日間合計で65,220人で前回(64,760人)を僅かですが上回りました。

pageでは毎回、最新印刷機材の紹介とあわせて、印刷会社の「稼ぎ方」も提案されています。今回のpageを取材して見えたことのひとつに、多くの印刷会社はいまだにスキルレスをウリにした印刷機材を活かした(あるいは使わない)稼ぎ方を模索中であることが挙げられます。スキルレス時代のコミュニケーション・ファクトリーの稼ぎ方には、以下のようなものがありそうです:
  1. コスト競争力で稼ぐ
  2. 印刷以外のメディアを絡めて稼ぐ
  3. 内製化で稼ぐ:
    • 前後のプロセスを内製化して長期利益を伸ばす。
  4. 商材を増やして稼ぐ:
    • スキルレス機材を活かして、新たな分野の商材を提供する。
  5. 企画力・相談力で稼ぐ
  6. 新しい顧客層で稼ぐ
  7. あえて高いスキルで稼ぐ
今回のpageでは、1・2が多く目に付いたものの、3〜5も含めて幅広く紹介されていたかと思います。特に今回は、小ロット対応・オンデマンド対応を意識した後加工機がさまざまなブースで紹介されていたことから、3(資金力のあるところにとっては4)の可能性が大きく高まっているように感じました。「刷って終わり」という時代が本格的に終焉しつつある、というか。

ただ、6や7のようなパターンの紹介があまり見られなかったのが少々残念です(単に私が見落としているだけかもしれませんけど (^ ^; )。私は、個人や小規模事業者、海外市場といった新しい顧客層に向けたサービスは、非常に大きな可能性があると考えています。また、スキルレス時代だからこそ、職人技的なデザイン、文字組版、印刷、加工の価値が高まると思います。

興味深かったのは、日本フォーム印刷工業連合会(2F DT-4)のブースで、6のパターンのひとつであるスマートフォンを使った個人向けサービスが紹介されていたことです。太平洋印刷はスマホから絵はがきを注文できるサービス「絵はがき」「投函しま〜す」、カワセコンピュータサプライはスマホから長尺ポスターを注文できるサービス「スマホ de ポスター」をそれぞれ紹介していました。

そういえば、初日の午前中に受講したPODiのセミナーで北米のデジタル印刷市場規模予測が紹介されたのですが、大きく伸びているデジタル印刷市場の中で請求書(下の写真の Transactional)だけは縮小傾向を示していました。こうした市場動向を反映して、フォーム印刷会社では新しい取組みが進んでいるようです。

2014年、印刷会社はpageで得たものを活かして、どのような稼ぎ方で攻めに転じて長期利益実現に踏み出すのでしょう。この際には、1〜7の複数を組み合わせることも効果的です。例えば、1・3(・5も少々)・6を組み合わせて、個人や小規模事業者向けの商材特化型印刷通販サービスを企画・提供するとか。いろいろなビジネスモデルが出てきそうで、とても楽しみです (^ ^)

2014年1月23日木曜日

今、印刷会社に『考える力』が必要なワケ

経営戦略の大家マイケル・ポーター氏は、「競争の戦略」において業界の競争構造を分析する「5つの競争要因」というフレームワーク(考える枠組み)を示しました。これに沿って分析すると、印刷業界の競争構造が25年前(印刷業界の最盛期)と現在では大きく異なっていることが分かります。

25年前には、印刷会社の競争業者(競合他社)との差別化は、主に設備や生産スキルによって実現されていました。設備は高額で、またその活用には高いスキルが必要不可欠だったため、他業種からの新規参入は限られていました。買い手(印刷物発注企業)にとっても、販促活動や社内の管理・教育などさまざまな面で印刷物は必要不可欠で、しかもその代替品はありませんでした。売り手(機材や資材のメーカー・販売会社)は、印刷会社が選ぶものでした。

この分析から、この当時の印刷業界は構造的に比較的利益を出しやすい状態だったことが分かります。先日、ある印刷営業の方から「昔は、印刷の仕事だけを真面目にやっている会社が潰れたという話は聞いたことがなかった」というお話しをお伺いしたのですが、その背景には利益を出しやすい構造という特徴があったのです。

しかし、現在では大きく状況が変わっています。電子メディアが印刷物の代替品として広く使われるようになり、その結果買い手(印刷物発注企業)にとって印刷物はなくても良いものという位置付けになりました。また、デジタル印刷機など機材の高機能化・スキルレス化・低価格化により、印刷の内製化を進める発注企業も増えてきています。

買い手の意識が変わるに連れて、競争業者(競合他社)との差別化は価格と納期が中心になりました。その結果、印刷市場への参入障壁も低くなり、インターネットのポータルサイトであるヤフーがラクスルに出資したり、電通オンデマンドグラフィック社がPPO(プロモーションプロセスアウトソーシング)推進協議会を設立したり、といった形で他業種からの新規参入も増えており、今後も増えることが見込まれます。

売り手からの圧力も高まっています。円安が進んだことから輸入している原材料の価格が上がり、そのため印刷機材・資材の価格も値上がり傾向にあります。また、売り手側の経営環境も厳しい状況が続いていることから、売り手側から印刷会社が選ばれるという状況も多くなっています。

印刷業界の競争環境がこのように大きく変わった結果、印刷業界は利益を出すのが難しい構造になりました。つまり、今後景気が良くなったとしても、利益を出しにくい『構造不況』の状況は残念ながら変わりそうもありません。

ところで、経営学者の楠木建 一橋大学大学院教授によれば、長期にわたって利益を実現するための源泉には「競争構造」と「戦略」の2つがあります。利益を出すのが難しい競争構造の業界では、優れた戦略が長期利益の実現に大きく貢献します。つまり、現在の印刷業界では、優れた戦略を『考える力』こそが長期利益の実現に必要不可欠なのです。

そういえば、昨日は新潟の学校アルバム印刷会社 博進堂さん主催のセミナー「2014年 博進堂ゼミナール」に参加させていただいたのですが、その中でも「考える」という言葉が繰り返し使われていたのが印象的でした。参加者は写真館・カメラマンの方が中心だったのですが、写真館さんやカメラマンさんにも考える力が重要とされる時代なのですね。印刷業界もうかうかしていられません。

2014年は、『考える力』を鍛えることで、長期利益の実現に向けて大きなそして力強い一歩を踏み出しましょう!『考える力』強化のお手伝いが必要な際には、お気軽にお声がけください (^ ^)

2014年1月8日水曜日

2014年版 印刷会社に求められる戦略:実践編

前回は基本方針編として、印刷会社が2014年に踏まえるべき4つの新しい『基本方針』をご紹介しました:

  • 長期利益を実現する。
  • 違いをつくって、つなげる。
  • 需要とブランドを創造する。
  • 『顧客の顧客』からスタートする。

これらの新しい基本方針への転換を実現するためには、全社員を巻き込んで以下のような取組みを進めることが求められます:

  • 積極的に情報発信する。
  • 表現力とSTP力を強化する。
  • 顧客の目的・成果を共有する。
  • 基本方針との整合性を確認する。

積極的に情報を発信する:
現在、通常の営業活動以外での情報発信に力を入れている印刷会社は、それほど多くないように思います。しかし、積極的に情報を発信することは、自社そして自社サービスをより広く・深く知っていただくことにつながります。また、その反応を通じて自社の違い(強み)を把握したり、顧客(潜在顧客を含む)や『顧客の顧客』についての理解を深めたりすることなども可能になります。

情報発信の機会としては、以下のようにさまざまなものが考えられます。こうしてみると、情報発信については多くの印刷会社で改善の余地がありそうです。これらのメディアを存分に活用しているところは、まだ少なそうですから:

  • Web上での情報発信:自社ホームページ、ブログ、SNS、など
  • リアルでの情報発信:
    • 印刷物を活用:チラシ、DM、カタログ、など展示会への出展:
    • マーケティング関連・顧客の業界向けのイベント、など
    • 自社イベントの開催:自社サービス説明会、工場見学、オープンハウス、など
    • マスメディアへの露出:テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、など

表現力とSTP力を強化する:
情報発信の効果を高めるためには、表現力とSTP力を強化することも必要です。皆さんもご存知の通り、印刷物の効果を高めるためには、プリプレス・プレス・ポストプレスというプロセス全体の強化を通じて表現力を向上することが求められます。

このうち、プリプレス(企画やデザインなど)のスキルは、Webなど印刷物以外のメディアでの表現力強化にも使えそうです。こちらの記事でもご紹介したように、WebやアプリにおけるUI/UX向上に、印刷業界で培われてきたプリプレスのスキルを役立てることができるためです。

しかし、残念なことに、多くの印刷会社ではDTPの導入によってプリプレスのスキルが顧みられなくなり、プレスやポストプレスの分野でもスキルレス化が進んでいます。実は、こうした状況に直面していることが、表現力強化 = 差別化という図式につながります。自社内でなくなりつつあるスキルを取り戻すこと、他社との協業を通じて自社に足りないスキルを取り込むこと。表現力を強化するには、こうした取組みも重要になります。

STPというのは、Segmentation(セグメンテーション)・Targeting(ターゲティング)・Positioning(ポジショニング)という3つの言葉の頭文字をあわせたもので、「顧客層や違い(強み)を見える化する」ための考え方になります。STP =「顧客層や違い(強み)の見える化力」を強化することで、印刷会社はより的確に情報発信の対象や使うべきメッセージを選ぶことができ、効果を高めることができます。

STP力を強化するには、戦略の3Cと言われる顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)について情報を収集し、図表を用いて分析するトレーニングが有効です。私が個人的に良く使うのは、こちらで使ったような2x2 マトリックスこちらのような項目別対比表です。他にもさまざまな分析・結果の提示手法がありますので、いろいろ試して自社にあったものを見つけ、STP力をどんどん強化してください。


顧客の目的・成果を共有する:
顧客の目的・成果を共有することは、印刷会社が長期利益を実現するために重要なことです。これを通じて、印刷会社は顧客企業と深く継続的な関係を構築できるためです。そして、そうした関係作りは、印刷会社が顧客企業の成果増大に貢献できるノウハウを豊富に持つことを示すところから始まります。残念ながら、印刷会社がそのようなノウハウを持っていることを知らない印刷物発注企業は少なくないためです。

「顧客の成果増大に貢献できる豊富なノウハウ」を示すには、それをまとめた資料を作成・提示することが有効です。その資料にこれまでの実績に加えて、提供しているサービスの可能性や新しいコミュニケーションのアイデアなども盛り込むと、さらに魅力的になるかと思います。

この資料を作成することは、拙訳書「未来を破壊する」でジョー・ウェブ博士が示しているような、印刷会社の提供するものを「印刷物」から「コミュニケーションサービス」に進化させることにも役立ちそうです。この資料の作成を通じて、ぜひ顧客の目的・成果の共有への第一歩を踏み出してください。


基本方針との整合性を確認する:
情報発信や表現力・STP力の強化、顧客の目的・成果の共有といった取組みの方向性や成果と、基本方針との整合性を確認すること。これは、それぞれの取組みの成果や長期利益をより大きなものにします。また、これらの取組みは全社で進めるものであることから、社員全員の意識を揃えることにも役立ちます。

基本方針との整合性の確認に全社員を巻き込むためには、社員が評価や改善策についてコメントしやすい環境作りが求められます。また、得られた評価やコメントを広く社内で共有する仕組みも必要です。マネジメントが、社員からのコメントを活かした改善策を策定・実践することも重要です。これらは、社員も長期利益の実現に参加しているという当事者意識を高めることにもつながります。ぜひ、この「確認」という取組みも進めてください。


ところで、前回と今回の2回にわたってご紹介した基本方針や取組みは、印刷会社だけでなく、印刷会社の顧客企業の競争力強化にも有効です。全社員さらには顧客も巻き込みながら新しい基本方針に沿った取組みを進めることで、2014年は長期利益の実現に向けた大きな一歩を踏み出しましょう!

2014年1月6日月曜日

2014年版 印刷会社に求められる戦略:基本方針編

比較的長めのお正月休みの間に、2014年の事業プランを練った印刷業界関係者も多いのではないでしょうか。今回、2014年の売上・利益拡大をより確かなものにするため、印刷会社が踏まえるべき4つの『基本方針』を挙げてみたいと思います。皆さんの事業プランは、これらの基本方針に沿ったものになっていますでしょうか:

  • 長期利益を実現する。
  • 違いをつくって、つなげる。
  • 需要とブランドを創造する。
  • 『顧客の顧客』からスタートする

まず、自社の利益を削り続ける過剰な価格競争から抜け出し、長期にわたって継続される利益(長期利益)の実現へと大きく方針を転換することが重要になります。その方針転換を確かなものにするためには、積極的に「違いをつくって、つなげる」ことで横並び意識から抜け出すことが求められます。


不況やインターネットの普及などを背景に、印刷業界は利益を出しにくい競争構造へと急速に変化しています。経営学者の一橋大学教授 楠木建氏によれば、利益を出しにくい競争構造にある業界では、「違いをつくって、つなげること」= 優れた戦略を立案・実践することが長期利益実現に当たって重要になります。

ところで、印刷会社の間ではここ数年「自社の強みは何か」を把握する重要性が指摘されてきましたが、「違い」と「強み」はどのような関係にあるのでしょう?「強み」は必ず「違い」です。「違い」は強みだったり弱みだったりしますが、考え方や取組みによって、印刷会社は弱みを強みにできます。つまり、「違い」は印刷会社の「強み」そのもの、あるいは「強みの種」なのです。「違いをつくって、つなげる」ことは、印刷会社の強みをどんどん増やすこと、「強み」をさらに強化することなのです。

また、他社の既存の仕事を価格競争で奪うことから「需要とブランドを創造する」ことへ、自社の設備ではなく『顧客の顧客』の潜在的な欲求からスタートすることへといった方針の転換も必要不可欠です。このあたりにつきましては、印刷出版研究所「プリントソリューション2014」やプリテックステージニュース 201415日号(18面)「2014年への提言」などにも書かせていただいておりますので、こちらもあわせてお読みください。

印刷会社にとって、これらの新しい『基本方針』へと転換することが、2014年に売上・利益の拡大に向けた逆襲につながります。では、方針転換を実現するためには、どのような取組みが必要なのでしょう?次回は、そうした取組みの例をご紹介する実践編です。お楽しみに (^ ^)