フォトブック普及協議会が発表しているデータと7月に開催された『HPフォトビジネスセミナー』で使われたデータを組み合わせると、2010年における日本国内のフォトブック市場規模(冊数ベース)は世界全体の8.6%を占めていることが分かります。この比率について、皆さんはどのようにお感じになりますでしょうか?
私は、「高い比率」だと思いました。国内のフォトブック市場には、デジタル印刷機だけでなくミニラボを使って制作されたものも含まれています。また、海外市場の定義も、国内とは必ずしも一致していないと思われます。こうした状況を考慮したとしても、「高い比率」だと思います。日本市場が世界の数%を占めるデジタル印刷サービスは、それ程多くないと思われるためです。
また、日本市場シェアの推移をみても、増加傾向にあることが分かります。確かに、国内市場規模はフォトブック普及協議会が予測するように急速に伸びてはいません。しかし、日本市場シェアの推移を見る限りでは、少なくとも他市場と同じ程度かそれ以上に伸びていることが分かります。
同時に、デジカメやカメラ付き携帯電話の広まりによって、国内フォトブック市場の拡大の余地は大いにあります。こうした事業機会を上手くとらえて更に市場を大きく伸ばすことができれば、日本が世界のフォトブック市場を牽引する可能性も十分あります。
フォトブック市場には、「日本はデジタル印刷が遅れている」という決まり文句をひっくり返すポテンシャルがあるようです。また、フォトブック市場に取り組むことで、印刷会社は『BtoC型サービス』という広大で利益率も高い市場を開拓することも可能となります。
今年の夏休みに、沢山の写真を撮られた方も多いかと思います。また、この秋も残暑の頃は涼を求めて、その後は紅葉を楽しみにデジカメ片手に旅行される方も少なくないでしょう。こうした方々にフォトブックを作っていただくサービスを開発・提供することは、印刷会社さらには日本の印刷業界全体が、新しい世界をかいま見る良い切っ掛けになるかも知れません。
印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
2011年8月19日金曜日
2011年8月2日火曜日
フォトブックに対するニーズ比較:パパママ写真家 vs カメラ女子・ハイアマチュア
デジタル印刷機の画質が高まってきていることで、フォトブック市場に興味を持たれている一方、市場が期待されたように立ち上がっていない現状に新規参入を躊躇されている印刷会社も多いのではないでしょうか。
しかし、デジカメ片手に夏休みを楽しんでいる方々をみながら、フォトブック市場の可能性を改めて感じている方もいらっしゃるかと思われます。そうした方々には、新たなターゲット顧客を設定することで、フォトブック市場を切り拓く方法をお薦めしたいと思います。
これまでは、家族の写真をフォトブックにする『パパママ写真家』(富士フイルムでは『子育てママ層』と呼ばれています)をターゲットにしたサービスが多かったと思います。ここで、例えば、カメラ女子やハイアマチュア(富士フイルムでは『アドバンストアマチュア』)をターゲットにしたサービスを企画するはいかがでしょうか。
多分、人口を比較すると、パパママ写真家の方がカメラ女子やハイアマチュアよりも圧倒的に多いと思われます。しかし、カメラ女子・ハイアマチュアの方が『高い品質を求める = 比較的高額なフォトブックを制作する』、あるいは『制作冊数も多い』と考えられます。これは、カメラ女子・ハイアマチュアの撮影目的が『作品制作』であり、またフォトブックの作成目的として『作品を仲間に見せたい(自慢したい)』というものが考えられるためです。
現在、カメラ女子やハイアマチュアを明確なターゲットにしたサービスはあまり見受けられません。この状況をチャンスと捉え、市場開拓に取り組んではいかがでしょうか。尚、上記の分析は私の主観的な仮説であって、市場調査の結果ではないことにご注意ください。どなたかご依頼いただければ、より詳細な調査・分析も行います!
2011年7月1日金曜日
フォトブック市場活性化のポイント:写真館向け市場
6月21日・22日、東京ビッグサイトにてフォトネクスト2011が開催されました。私は両日とも会場に足を運んだのですが、多数の来場者で盛り上がっていました。今回も話題の中心は『フォトブック』。前回までは消費者向けの気軽に作成できる低価格のものも少なからず見受けられましたが、今回は写真館向けの結婚式用を中心とした豪華なものの紹介ばかりが目に付きました。
その豪華なフォトブック、銀塩写真を使う10ページ程度のものもありましたが、多くは数十ページ、中には60ページ・80ページといったデジタル印刷機で印刷されたものでした。21日にセンターステージで行われた吉田写真館さんのプレゼンの中で、「デジタルカメラを使うようになってから、カット数が増えました。七五三の撮影では、和装300カット・洋装300カットの合計600カットから選び、フォトブックを作ります。」というお話しがありましたが、ページ数の多いフォトブックがフィーチャーされた背景には、写真館におけるデジタルカメラの利用が増えていることがありそうです。
ただ、来場者は必ずしもページ数の多いフォトブックには興味を示していないように感じました。考えてみれば、これまで写真館はいわば『究極の1カット』を目指して技を磨き、様々な機材を導入されてきました。しかし、ページ数の多いフォトブックは、これと正反対の方向を向いています。こうした方向性の違いというか多様化に、戸惑う写真館も多いと思われます。
写真館向けフォトブック市場が更に大きく発展するためには、『究極の1カット』とページ数の多いフォトブックは対立するものではなく、むしろ補完し合うもので、商材という点でも双方を揃えることで顧客にとって更に魅力的になることを、写真館にご理解いただくことが重要だと思います。そのためには、展示会においては機材・商材の展示に加えて、写真館のビジネスモデルについて議論するような場があっても良いかと思われます。
来年のフォトネクストは、どの様な話題が中心を占めるのでしょうか。今からとても楽しみです。
その豪華なフォトブック、銀塩写真を使う10ページ程度のものもありましたが、多くは数十ページ、中には60ページ・80ページといったデジタル印刷機で印刷されたものでした。21日にセンターステージで行われた吉田写真館さんのプレゼンの中で、「デジタルカメラを使うようになってから、カット数が増えました。七五三の撮影では、和装300カット・洋装300カットの合計600カットから選び、フォトブックを作ります。」というお話しがありましたが、ページ数の多いフォトブックがフィーチャーされた背景には、写真館におけるデジタルカメラの利用が増えていることがありそうです。
ただ、来場者は必ずしもページ数の多いフォトブックには興味を示していないように感じました。考えてみれば、これまで写真館はいわば『究極の1カット』を目指して技を磨き、様々な機材を導入されてきました。しかし、ページ数の多いフォトブックは、これと正反対の方向を向いています。こうした方向性の違いというか多様化に、戸惑う写真館も多いと思われます。
写真館向けフォトブック市場が更に大きく発展するためには、『究極の1カット』とページ数の多いフォトブックは対立するものではなく、むしろ補完し合うもので、商材という点でも双方を揃えることで顧客にとって更に魅力的になることを、写真館にご理解いただくことが重要だと思います。そのためには、展示会においては機材・商材の展示に加えて、写真館のビジネスモデルについて議論するような場があっても良いかと思われます。
来年のフォトネクストは、どの様な話題が中心を占めるのでしょうか。今からとても楽しみです。
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