印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2013年10月25日金曜日

印刷業界から見たWebマーケティングの動向など:2013年秋版 . . . (1)

2013年10月23日〜25日の3日間、幕張メッセで以下の展示会を含む2013 Japan IT Week 秋が開催されています:
私は初日に行ったのですが、出展社さんから話をお伺いしていると面白くてついつい長居してしまい、結局11時から17時まで6時間を会場で過ごしてしまいました。本当は2〜3時間で帰ろうと思っていたのですけど (^ ^;
今回の取材を通して、以下のような点が見えてきました:
  1. メディア間の導線をデザインするサービスの可能性
  2. ARの動向:期間限定型 vs 継続型;マーカーに反応型 vs 動きに反応型
  3. ビッグデータ x W2P
  4. 生き残るためのDM


1. メディア間の導線をデザインするサービスの可能性:

今回もSNSなどアーンドメディア(Earned Media)活用支援サービスの展示は多かったのですが、それよりも「オウンドメディア(Owned Media)内の回遊率を高める仕組み作り」「オウンドメディアを使ったブランディング」といった、オウンドメディアを強化するサービスが目に付いたように思いました。ちなみに、ここでいうオウンドメディアには、以下のようなものが含まれます:
  • 自社サイト
  • 自社ブログ
  • 自社ECサイト
  • アプリ
  • リアルの店舗、など
例えば、動画配信プラットフォームを提供しているJストリームによれば、YouTubeではなく同社のプラットフォームを活用するメリットのひとつに「自社サイト(ドメイン)内で動画を見せることができる」点があります。また、動画の配信を限定できるため、動画を使った製品やサービスなどの「内部向けトレーニングの仕組みを自社サイト内に作れる」こともメリットになります。

budoriでは、ブランディングを意識したECサイト作り、そして自社ブログや店舗、マスメディアなどとECサイトを連携させることを通じて、さらにブランド力・販売力を高めるサービスを紹介していました。興味深いのは、このサービスの核となるのが「デザイン」だという点です。Webマーケティングの場合、SEOなど集客の仕掛けが注目されることが多いのですが、dudoriでは商材やサービスなどの良さを伝える表現の部分に注目しています。

また、各メディア間の連携(導線)をデザインするという点も面白いと思います。今回の展示会ではO2Oサービスもさまざまなブースで行われていましたが、こうしたサービスでもメディア間の導線をデザインすることが重要になります。フェンリルブースでも、同社のブラウザーSleipnirを介して他サービスとの連携を実現するというコンセプトをお伺いしました。

この「各メディア」には、当然、印刷媒体も含まれます。印刷媒体と他メディア(特にさまざまなオウンドメディア)との導線まで意識したサービスを企画・提案すること。これも印刷会社の事業機会のひとつだと考えられます。

少々長くなってしまいましたので、2つ目以降のポイントは次回のブログでご説明したいと思います。お楽しみに♪

2013年5月21日火曜日

日本の印刷通販市場が独特な理由

「日本の印刷通販市場は、海外では見られない独特な形態なのかも」。
先日、ある雑誌から印刷通販市場に関する取材を受けたのですが、その準備をしている中でそのような考えが浮かびました。国内印刷通販市場の特徴として、以下のようなものが挙げられます:

  • 発注者の多くが印刷会社(全注文の半分以上が印刷会社という説も)。
  • オープン型が中心(価格や納期を明示するタイプの印刷通販)。
  • 完全データ入稿中心。
  • 「価格と納期」が競合ポイント。
  • 印刷通販サービスを提供している企業数が多い。
  • 価格比較サイトが多い。
  • 国内市場特化型が中心、など
海外では、Web-to-printを活用するクローズド型サービスで直接顧客から受注するパターンが中心、テンプレートを使っての発注も多いようです。価格比較サイトは(私の不勉強もあるかと思いますが)聞いたことはなく、国境を越えてサービスを提供する企業も目に付きます。海外の有名な印刷通販会社もVistaprint(オランダ)やFylerAlarm(ドイツ)、Pixartprinting(イタリア)など限られており、それほど数も多くないようです(こちらも私が不勉強なだけかもしれませんが・・・)。

では、国内印刷通販市場は何故、このように独特な形態へと進化したのでしょうか?そもそも、先に挙げた特徴の多くは国内印刷市場一般に当てはまります。印刷会社の仕事の多くは他の印刷会社から回ってくる「横持ち」で、特に昨今は「価格と納期」が受注のカギになっています。こう考えると、『日本の印刷通販市場は、国内印刷市場を映し出す鏡』のようです。

ただし、そのまま映し出す鏡ではありません。現在の市場トレンドを大きく反映させた姿を写しだす鏡です。例えば、「価格と納期」が重要な競合ポイントになった結果、「印刷価格比較サイト」という日本独自の仕組みが組み込まれたものになっています。つまり、日本の印刷通販市場が独特な理由は、「国内印刷市場自体が独特で、それを反映しているため」なのです。

もし、印刷通販市場が国内印刷市場を反映させたものならば、印刷通販市場の先行きは必ずしも明るくはありません。ペーパーレス化やさらなる価格競争によって印刷市場の規模や利益率の減少が見込まれる限り、鏡に映る市場も継続的な規模の拡大や利益の増大を実現することはないためです。

では、印刷通販会社あるいは印刷通販市場への参入を考えている印刷会社はどのようにすれば良いのでしょうか?そのヒントは、今月末発行の雑誌に掲載される予定です。また発売されたらこのブログなどで告知しますので、もう少々お待ちください (^ ^)

なお、こちらの写真は先日の通販ソリューション展におけるプリントパックブースです。「安い!」というメッセージが前面に打ち出されていることが分かります。