- 連載記事:
- コンバーテック(加工技術研究会)「刺さる印刷サービスの立ち上げ方 〜 2020年までに成長事業をつくる!〜
- 1月号:マネタイズ力を高める
- 2月号:KKD から Data Driven へ
- 3月号:バックミラー型から先見型へ
- 4月号:印刷サービスをソーシャル化する
- 5月号:協業で仕事をつくる
- 6月号:好きな写真をパッケージに印刷できるサービス:お菓子編
- 7月号:市場データを活用する
- 8月号:「顧客データを取得できる印刷物」を提供する
- 9月号:ターゲティングDMの効果・効率を高める
- 10月号:組み合わせてサービスを強くする
- 11月号:「紙」以外のメディアに挑戦しよう!
- 12月号:新しいサイネージを武器にしよう!
- 印刷界(日本印刷新聞社)「成長へのアイデア帳」:
- 1月号:印刷量増大と利益率向上の両立をめざす!
- 2月号:コトとモノ(印刷物)を組み合わせる
- 3月号:他業界と積極的に協業する
- 4月号:デジタル後加工機を活用する
- 5月号:宅配危機をチャンスに!
- 6月号:デジタルサイネージの波に乗ろう!
- 7月号:AIを味方にしよう!
- 8月号:新型印刷通販サービス:SNS to Print
- 9月号:「データという経営資源」を活用しよう(1)
- 10月号:「データという経営資源」を活用しよう(2)
- 11月号:新しいメディア(用紙、基材)を開発する
- 12月号:シェアリングを味方にする(1)
- 特集記事など:
- DTP&印刷スーパーしくみ事典 2017(ボーンデジタル):
- 最新トピックス 104「drupa2016に見る印刷機材最新動向」
- 印刷界 11月号 特集「人気を集める印刷通販サイト」:
- 印刷通販市場の最新トレンドと成功するための Next Steps 〜 儲かる印刷通販モデルをつくる方法 〜
- プリテックステージ(ニュープリンティング)11月号 印刷通販特集 2017:
- 巻頭インタビュー Webの進化と共に変化する印刷通販サービス「印刷の発注しやすさの追求と多様化するサービス」
- 印刷界 10月号 特集「活用が広がるワイドフォーマットプリンター」:
- サイン・ディスプレイ市場の最新動向 〜 サイン&ディスプレイショウ 2017 レポート 〜
印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
2018年1月1日月曜日
2017年掲載記事(雑誌編)
2017年もたくさんの記事を印刷業界誌に書かせていただきました。本当にありがとうございました。ご興味のある記事がありましたら、ぜひその号を入手してご確認ください (^ ^)
2016年1月4日月曜日
印刷通販の『次の一手』はコレだ!?
「印刷通販」というサービスモデルもすっかり印刷市場に定着しました。その一方で、印刷通販ビジネスに当初の勢いや迫力が感じられなくなっています。市場の伸びも落ち着きつつある、という声もあちらこちらで聞かれます。
しかし、私は印刷通販市場はまだまだ大きく伸びる余地は大きいと考えています。例えば、以下のように展開することで、印刷通販市場はさらに大きなものになります:
実は、こうした印刷通販サービスは、既存の印刷通販会社でなくても提供できます。むしろ、現在B2C企業と取引のある印刷会社の方が、こうしたモデルの実現に近い場所にいるのかもしれません。もちろん、ハイテクベンチャー企業がこうした仕組みをサクッとつくって、どんどん市場を開拓していく可能性も十分に考えられます。
B2C型、B2C2C 型など、上記以外にも有望な印刷通販市場は考えられます。ただ、スピード感を持って開拓でき、しかも潜在力の大きな市場となると、B2B2C型市場が「次」の主戦場になる可能性が大きそうな気がします。
どんな「次」の市場が印刷通販を牽引するのか。また、どんな企業が「次」の印刷通販市場に本格的に進出し、勝ち残るのか。まだまだ印刷通販市場は熱そうです。この競争に参加して勝ちたい方、ぜひお声がけください (^ ^) 一緒に新しい市場を開拓しましょう!
しかし、私は印刷通販市場はまだまだ大きく伸びる余地は大きいと考えています。例えば、以下のように展開することで、印刷通販市場はさらに大きなものになります:
- B2B2C型モデル:
- 既に多くの顧客を抱えるB2C企業と協業する:
- 小売店、飲食店、学習塾、など
- これまでは「B2B型」モデルが中心:
- これまでのターゲット層:印刷会社、比較的規模の小さな一般企業
- 一部「B2C型」を志向する印刷通販会社もあるが、まだ市場規模はそれほど大きくない。
- 売上アップにつながるオリジナルの新しい商材やサービスを一緒に開発:
- 印刷することで「価値が大きく高まる」「楽しい体験・うれしい体験ができる」商材やサービス:
- こうした新しい商材やサービスを通じて、顧客企業の売上・利益増大に貢献。
- これまでは「販促用印刷物を早く・安く」といったコスト削減への貢献が中心
- エコシステムを志向:
- 自社で設備は極力持たず、印刷設備などの仕組みを持つ企業とエコシステムを形成:
- 新しい商材やサービスを開発するマザー工場は所有
- 横持ちとエコシステムの違い:
- 横持ち:
- 作業分担による「コストの最小化」が目的
- 印刷業界内で完結する場合が多い
- エコシステム:
- 価値の掛け合わせによる「価値の最大化」が目的
- 印刷業界以外の企業とも積極的に協業
- 顧客企業と一緒に積極的にグローバル展開を志向
実は、こうした印刷通販サービスは、既存の印刷通販会社でなくても提供できます。むしろ、現在B2C企業と取引のある印刷会社の方が、こうしたモデルの実現に近い場所にいるのかもしれません。もちろん、ハイテクベンチャー企業がこうした仕組みをサクッとつくって、どんどん市場を開拓していく可能性も十分に考えられます。
B2C型、B2C2C 型など、上記以外にも有望な印刷通販市場は考えられます。ただ、スピード感を持って開拓でき、しかも潜在力の大きな市場となると、B2B2C型市場が「次」の主戦場になる可能性が大きそうな気がします。
どんな「次」の市場が印刷通販を牽引するのか。また、どんな企業が「次」の印刷通販市場に本格的に進出し、勝ち残るのか。まだまだ印刷通販市場は熱そうです。この競争に参加して勝ちたい方、ぜひお声がけください (^ ^) 一緒に新しい市場を開拓しましょう!
2013年12月30日月曜日
印刷通販と Web to Print の違い
印刷通販徹底比較というサイトに「世界の印刷通販」という記事を掲載していただきました。それを記念して(笑)、今回は印刷通販とWeb to Print(W2P)の違いを明らかにしたいと思います。さて、1番大きなものとして、それらの構造の違いが挙げられます:
- 印刷通販:「印刷のアマチュア」による「印刷のプロ」向けサービス
- W2P:「印刷のプロ」による「印刷のアマチュア」向けサービス
皆さんご存知のように、グラフィックやプリントパックはもともと製版サービスを提供していました。Vistaprintは学生が立ち上げたベンチャー企業で、英国の印刷通販会社mooはデザイナーが立ち上げた企業です。印刷通販会社と呼んで良いのか分かりませんが、PPO推進協議会の中心メンバーである電通オンデマンドグラフィックや、Yahoo!が出資するラクスルも印刷業界以外からの参入組になります。
印刷会社から転身したところでも、ウエーブは1996年に新規に印刷業務・1998年に印刷通販を開始、イタリアの印刷通販会社Pixartprinting社は1994年創業・2000年に印刷通販をスタート、と比較的歴史の浅い企業が目に付きます。このように、印刷通販市場は「印刷のアマチュア」によって立ち上げられ、拡大されています。
印刷通販サービス、利用者は「印刷のプロ」が中心です。正確な数字は分かりませんが、国内印刷通販会社の顧客の多くは印刷会社だと言われています。Pixartprinting社(イタリア)では、その顧客の90%程度は印刷会社など商業印刷のプロです。プロが顧客の中心になるのは、印刷通販では印刷用完全データでの入稿が必要になるためです。
これに対して、W2Pは以前から印刷サービスを提供してきた印刷会社や企業内印刷部門(インプラント)など、「印刷のプロ」による提供が中心です。先日視察に行ってきたPRINT13でも、さまざまな企業内印刷部門向けのW2Pソリューションが紹介されていました。W2Pを利用者でみると、総務担当者だったり店舗のスタッフだったり営業担当者だったり、「印刷のアマチュア」が中心となっています。
印刷通販とW2Pの構造の違いは、「利用者が欲しいもの」や「価格設定の際に重視されること」における違いにもつながっています。また、なぜだか利用されている地域にも違いがあります。日本と欧州の印刷会社では、W2Pの利用があまり広まっていない一方、印刷通販の利用は拡大しています。これに対して、米国印刷会社の間では「W2Pは広く利用、印刷通販市場の利用は少なめ」となっています。
その理由については明らかではありませんが、日・欧の印刷市場では価格競争力が、米国市場では費用対効果・成果向上力がそれぞれ重視される傾向が強いのかもしれません。ただ、ひとつ言えるのは、日・欧と米国では異なる方向性の印刷サービスが提供・活用されているということです。印刷通販とW2Pは英語では同じ「Web to Print」ですが、今回分析したようにそのサービスモデルは大きく異なります。そのため、これらに優劣をつけるのは意味がないと思います。
長期利益を実現するために「違いをつくって、つなげる」ことを目指す印刷会社にとって、W2P型サービスモデルを構築することは非常に有効だと考えます。何せ、「印刷のプロ」が提供するのにぴったりなモデルなのですから♪ その企画・実現に当たってお手伝いが必要な方は、お気軽にお声がけください (^ ^)
2013年12月27日金曜日
2013年の記事・講演まとめ
2013年も残すところあとわずか。お陰さまで、本年もたくさんの記事を書かせていただき、また講演させていただきました。記事をお読みいただいた皆さま、講演にご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
以下に、今年雑誌や新聞に掲載していただいた記事や講師を務めさせていただいたセミナーをまとめました。まだ読まれていない記事・ご参加されていない講演などございましたら、お時間がある時に記事や講演記録などをお読みいただけば幸いです。
来年も皆さまの「戦略立案・実践」「新規サービス立ち上げ」を通じた長期利益実現に貢献できますよう頑張りますので、何卒よろしくお願いいたします!
【主な記事など】
- 2014における印刷市場のトレンドと必要な取組み 〜 2014年を印刷会社の逆襲が始まる年にするために(プリントソリューション2014)
- デジタル印刷の最新動向とその成功に必要な取組み 〜 JGAS2013から見えてきたもの(印刷情報11月号)
- 連載:未来を破壊する 〜 ラベル業界への提言(ラベル新聞 5月15日号〜11月15日号・計6回)
- 中小印刷会社がJGASで注目すべきソリューション 〜 印刷市場の「適者」になるために(印刷情報9月号)
- 座談会:デジタル印刷の「競争戦略」〜 わが社は「ここで」勝負する!(印刷情報9月号)
- ハイブリッド印刷の最新動向 〜 国内市場における成功のポイント(印刷情報6月号)
- 巻頭インタビュー:日本の印刷産業を映し出す ”印刷通販産業”(月刊プリテックステージ増刊 印刷通販Book)
- いかにして ”未来を破壊” するコミュニケーションプロバイダーになるか(印刷情報1月号)
- 日本印刷機材協議会さま「印刷会社は未来を作れるか 〜 先進企業に見る進路と展望」
- 日本フォーム印刷工業連合会さま「米国市場視察報告」
- 10→30戦略室「PRINT13およびJGAS2013にみる新規事業機会」
- JGAS2013:ブライター・レイター山下潤一郎が見るJGAS2013とは
- JGAS2013:『特集』の司会:
- 電通 北原利行 氏:パネルディスカッション登壇者がデジタル印刷に対して思いを語る
- 花王 本間充 氏:クライアントから見た Print+α とは
- トッパンコミュニケーションプロダクツ 谷本まりの 氏:新女性印刷人誕生
- 三菱製紙さま「『未来を破壊する』しかけを作るツボ」
- 神奈川県シール印刷協同組合青年部さま「破壊すべきシール印刷業界の未来」
- 東京都印刷工業組合 城西支部さま「中小印刷会社が、印刷の未来を破壊する」
- ジーエーシティさま「長期利益を実現するワークフロー活用法」
- 埼玉県印刷工業組合さま「外へ出て『未来を破壊』しよう! 〜 国内印刷市場の「新しい常識」」
- 埼玉県印刷工業組合 営業士会さま「『未来を破壊する』印刷営業とは 〜 長期利益を実現するために」
- デジタルドキュメントサービス研究会(D.D.S.S.)さま「外へ出て『未来を破壊』しよう! 〜 国内印刷会社の「新しい常識」」
- 東京青年印刷人協議会さま「『未来を破壊する』ためのブランディングのツボ、お教えします!」
- 東北地区印刷生産技術フォーラム(PEJIT)さま「外へ出て『未来を破壊』しよう!」
- 富山県青年印刷人協議会さま「外へ出て『未来を破壊』しよう!」
2013年6月4日火曜日
2013年版 印刷通販市場 新規参入/活用ポイント
前回のブログでご紹介した記事が「印刷通販Book」に掲載されました!
これは、ニュープリンティング社からプリテックステージ 2013年5月号増刊として発行されたものです。今回の記事では、印刷会社による印刷通販市場への新規参入戦略立案のポイントとして以下のような点を挙げました:
詳細につきましては、記事をお読みください!印刷通販Bookには、ラクスルの松本社長の講演概要やグラフィック、プリントパックなど国内の主要印刷通販会社10社の取材記事が掲載されていてとても読み応えがあり、また勉強になります。
ところで、ラクスル松本社長の記事の中に、印刷通販が引き起こした変化を上手く使う方法として「印刷通販を下請け会社として使う」という提案がありました。私もこの考え方には賛成で、実はもう少しページ数があれば、記事中でこうした点についても触れたいと考えていました。
この場合重要なのは、松本社長もご説明されている通り、印刷物を安く提供するためにではなく「自社サービスの付加価値を高めるため」に印刷通販を下請け会社として活用することになります。これは例えば、販促支援サービスの提供に当たって、その費用対効果を高めることに注力する中で印刷通販サービスを様々な選択肢の中のひとつとして活用する、ということです。
さて、費用対効果を高める際には、特に「効果」を明らかにするために KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を定義し、それを継続的に測定・評価する必要があります。KPIは、Webマーケティングの領域では広く使われている言葉/考え方なのですが、印刷業界で詳しい方はそれほど多くないようです。
これは、ニュープリンティング社からプリテックステージ 2013年5月号増刊として発行されたものです。今回の記事では、印刷会社による印刷通販市場への新規参入戦略立案のポイントとして以下のような点を挙げました:
- 印刷会社相手ではなく、顧客と直接やり取りすること。
- 「絞り込んだ市場」に向けてサービスを提供すること:
- 特に、これまでの印刷通販会社が取りこぼしてきた市場:
- 個人向けサービス
- 中小規模サービス業向けサービス
- 海外市場向けサービス、など
- 「絞り込んだ商材」を提供すること:
- 名刺やショップカード、チラシ、DM、など
- 既存の設備で対応できる商材
- 高い UI/ UX(User Interface/ User Experience)を実現すること。
- 小さく始めてフットワーク軽く展開すること、など
詳細につきましては、記事をお読みください!印刷通販Bookには、ラクスルの松本社長の講演概要やグラフィック、プリントパックなど国内の主要印刷通販会社10社の取材記事が掲載されていてとても読み応えがあり、また勉強になります。
ところで、ラクスル松本社長の記事の中に、印刷通販が引き起こした変化を上手く使う方法として「印刷通販を下請け会社として使う」という提案がありました。私もこの考え方には賛成で、実はもう少しページ数があれば、記事中でこうした点についても触れたいと考えていました。
この場合重要なのは、松本社長もご説明されている通り、印刷物を安く提供するためにではなく「自社サービスの付加価値を高めるため」に印刷通販を下請け会社として活用することになります。これは例えば、販促支援サービスの提供に当たって、その費用対効果を高めることに注力する中で印刷通販サービスを様々な選択肢の中のひとつとして活用する、ということです。
さて、費用対効果を高める際には、特に「効果」を明らかにするために KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を定義し、それを継続的に測定・評価する必要があります。KPIは、Webマーケティングの領域では広く使われている言葉/考え方なのですが、印刷業界で詳しい方はそれほど多くないようです。
顧客のコミュニケーションの『効果』を表す適切な KPIを設定し、継続的に測定・評価・改善すること。その際、印刷通販サービスを適切に活用して『費用』を抑えること。この両面を揃えることで、印刷会社は印刷通販が起こした大きな変化を武器にすることができると考えます。そういえば、拙訳書「未来を破壊する」でも「印刷ビジネスの新しいルール」のひとつとして、以下のような項目が挙げられていました:
- 顧客のコミュニケーション全体のROI(費用対効果)、特に印刷物とは関係のない取組みに集中すること。
まだ、こうした考えでコミュニケーションサービスを開発・提供されている印刷会社は限られています。是非、御社でもこのような取組みを「小さく始めてフットワーク軽く展開」して、「未来を破壊」してください!
ラベル:
KPI,
Web-to-print,
スマホ,
ラクスル,
印刷通販
2013年5月21日火曜日
日本の印刷通販市場が独特な理由
「日本の印刷通販市場は、海外では見られない独特な形態なのかも」。
先日、ある雑誌から印刷通販市場に関する取材を受けたのですが、その準備をしている中でそのような考えが浮かびました。国内印刷通販市場の特徴として、以下のようなものが挙げられます:
では、国内印刷通販市場は何故、このように独特な形態へと進化したのでしょうか?そもそも、先に挙げた特徴の多くは国内印刷市場一般に当てはまります。印刷会社の仕事の多くは他の印刷会社から回ってくる「横持ち」で、特に昨今は「価格と納期」が受注のカギになっています。こう考えると、『日本の印刷通販市場は、国内印刷市場を映し出す鏡』のようです。
ただし、そのまま映し出す鏡ではありません。現在の市場トレンドを大きく反映させた姿を写しだす鏡です。例えば、「価格と納期」が重要な競合ポイントになった結果、「印刷価格比較サイト」という日本独自の仕組みが組み込まれたものになっています。つまり、日本の印刷通販市場が独特な理由は、「国内印刷市場自体が独特で、それを反映しているため」なのです。
もし、印刷通販市場が国内印刷市場を反映させたものならば、印刷通販市場の先行きは必ずしも明るくはありません。ペーパーレス化やさらなる価格競争によって印刷市場の規模や利益率の減少が見込まれる限り、鏡に映る市場も継続的な規模の拡大や利益の増大を実現することはないためです。
では、印刷通販会社あるいは印刷通販市場への参入を考えている印刷会社はどのようにすれば良いのでしょうか?そのヒントは、今月末発行の雑誌に掲載される予定です。また発売されたらこのブログなどで告知しますので、もう少々お待ちください (^ ^)
なお、こちらの写真は先日の通販ソリューション展におけるプリントパックブースです。「安い!」というメッセージが前面に打ち出されていることが分かります。
先日、ある雑誌から印刷通販市場に関する取材を受けたのですが、その準備をしている中でそのような考えが浮かびました。国内印刷通販市場の特徴として、以下のようなものが挙げられます:
- 発注者の多くが印刷会社(全注文の半分以上が印刷会社という説も)。
- オープン型が中心(価格や納期を明示するタイプの印刷通販)。
- 完全データ入稿中心。
- 「価格と納期」が競合ポイント。
- 印刷通販サービスを提供している企業数が多い。
- 価格比較サイトが多い。
- 国内市場特化型が中心、など
では、国内印刷通販市場は何故、このように独特な形態へと進化したのでしょうか?そもそも、先に挙げた特徴の多くは国内印刷市場一般に当てはまります。印刷会社の仕事の多くは他の印刷会社から回ってくる「横持ち」で、特に昨今は「価格と納期」が受注のカギになっています。こう考えると、『日本の印刷通販市場は、国内印刷市場を映し出す鏡』のようです。
ただし、そのまま映し出す鏡ではありません。現在の市場トレンドを大きく反映させた姿を写しだす鏡です。例えば、「価格と納期」が重要な競合ポイントになった結果、「印刷価格比較サイト」という日本独自の仕組みが組み込まれたものになっています。つまり、日本の印刷通販市場が独特な理由は、「国内印刷市場自体が独特で、それを反映しているため」なのです。
もし、印刷通販市場が国内印刷市場を反映させたものならば、印刷通販市場の先行きは必ずしも明るくはありません。ペーパーレス化やさらなる価格競争によって印刷市場の規模や利益率の減少が見込まれる限り、鏡に映る市場も継続的な規模の拡大や利益の増大を実現することはないためです。
では、印刷通販会社あるいは印刷通販市場への参入を考えている印刷会社はどのようにすれば良いのでしょうか?そのヒントは、今月末発行の雑誌に掲載される予定です。また発売されたらこのブログなどで告知しますので、もう少々お待ちください (^ ^)
なお、こちらの写真は先日の通販ソリューション展におけるプリントパックブースです。「安い!」というメッセージが前面に打ち出されていることが分かります。
2012年9月12日水曜日
デジタル印刷成功企業に共通する特徴(2)
今回取り上げる特徴は、「集客や受注に積極的にWebを活用している」というものです。拙訳書「未来を破壊する」において、ウェブ博士は「(印刷会社が)新しいメディアについて信用を得たり、経験を蓄積したりする最良の方法は、それらを頻繁に利用することなのである」と書いています。「未来を破壊する」では、新しいメディアを利用して得た信用や蓄積した経験を顧客に提供することで、印刷会社は売上・利益を伸ばすことができる、と話を進めています。
しかし、デジタル印刷に成功している印刷会社では、新しいメディアにおける経験を「自社の印刷物受注拡大」に結びつけているところも目に付きます。こちらの記事でご紹介した挨拶状ドットコムや英国のmooのような単品型印刷通販会社、「印刷情報9月号」の記事(34ページ)でご紹介した、自社サイトを「Web上での営業担当者」と位置付けたことで新規顧客開拓力を高めた印刷会社などが、例として挙げられます。以前mooでは、「ソーシャルサービス管理担当者」の求人が出ていたのを見て驚いたこともありました。
最近では、発注を受ける端末がパソコン以外にも広まっています。8月にJAGATで開催されたセミナー「未来を破壊する」についての徹底討論会では、JAGATの塚田会長から錦明印刷におけるスマートフォン向け Web to printシステム開発の取組みについてお話がありました。これはまだ始まったばかりではありますが、太平洋印刷はスマートフォンアプリから絵はがきを発注できるサービス「絵はがき」および発注した絵はがきを投函してもらえるサービス「投函しま〜す」を提供されています。
海外に目を向けると、Pic Collageというスマートフォンアプリがあります。これは、スマホで撮影した写真やスマホに取り込んだ画像を切り抜いたり貼付けたりしてコラージュを作ることができるアプリなのですが、これも作成したコラージュをポストカードとして印刷してもらうよう発注することができます(ちなみに、文末の画像がPic Collage で作られたコラージュのサンプルです)。
Webにおける集客方法や発注者が利用する端末は、どんどん変化しています。デジタル印刷に成功している印刷会社は、こうした動きに適切に対応しています。ウェブ博士も、「クライアントの先にいくこと:競合は無視すること」と書いています。クライアントの先にいくことで印刷ニーズを取り込み、デジタル印刷に成功していただきたいと思います。
しかし、デジタル印刷に成功している印刷会社では、新しいメディアにおける経験を「自社の印刷物受注拡大」に結びつけているところも目に付きます。こちらの記事でご紹介した挨拶状ドットコムや英国のmooのような単品型印刷通販会社、「印刷情報9月号」の記事(34ページ)でご紹介した、自社サイトを「Web上での営業担当者」と位置付けたことで新規顧客開拓力を高めた印刷会社などが、例として挙げられます。以前mooでは、「ソーシャルサービス管理担当者」の求人が出ていたのを見て驚いたこともありました。
最近では、発注を受ける端末がパソコン以外にも広まっています。8月にJAGATで開催されたセミナー「未来を破壊する」についての徹底討論会では、JAGATの塚田会長から錦明印刷におけるスマートフォン向け Web to printシステム開発の取組みについてお話がありました。これはまだ始まったばかりではありますが、太平洋印刷はスマートフォンアプリから絵はがきを発注できるサービス「絵はがき」および発注した絵はがきを投函してもらえるサービス「投函しま〜す」を提供されています。
海外に目を向けると、Pic Collageというスマートフォンアプリがあります。これは、スマホで撮影した写真やスマホに取り込んだ画像を切り抜いたり貼付けたりしてコラージュを作ることができるアプリなのですが、これも作成したコラージュをポストカードとして印刷してもらうよう発注することができます(ちなみに、文末の画像がPic Collage で作られたコラージュのサンプルです)。
Webにおける集客方法や発注者が利用する端末は、どんどん変化しています。デジタル印刷に成功している印刷会社は、こうした動きに適切に対応しています。ウェブ博士も、「クライアントの先にいくこと:競合は無視すること」と書いています。クライアントの先にいくことで印刷ニーズを取り込み、デジタル印刷に成功していただきたいと思います。

2012年8月28日火曜日
破壊すべき印刷業界の『旧来の慣習』:追加分(1)
拙訳書「未来を破壊する」には、厳しい市場環境の下で売上・利益拡大を目指す印刷会社が破壊すべき「何十年にもわたって印刷業界を導いてきた『旧来の慣習』」がいろいろと挙げられています。ただ、2010年に米国で発行された本ということもあって、2012年の日本市場における「破壊すべき『旧来の慣習』」をカバーしきれていないように思われます。
例えば、私は「小ロットの仕事/端物の仕事は儲からない」という「旧来の慣習」は破壊すべきだと考えています。国内市場においても、平均受注単価が数万円といわれるグラフィックやプリントパックは、年商100億円規模の企業に成長しています。また、名刺専門の東京名刺センターは、ホームページによれば年間生産量は約86万箱です。挨拶状印刷を専門とする挨拶状ドットコムは、社員数十名で年商約8億円の規模だそうです。
海外市場でみても、小ロットの仕事を集めて大きなビジネスを実現している企業が見受けられます。従業員10名以下の企業をターゲットしているVistaprintは、2011年6月期の売上は10億ドル(約800億円)に達しました。
また、ドイツの印刷通販会社Flyeralarmは1日に10,000件以上のジョブ(1ジョブあたり 300〜5,000枚)、Pixartprinting(イタリア)は平均約2,800件のジョブをヨーロッパ中から集めています。グラフィックやプリントパックでの1日平均ジョブ数は1,000件程度ということですから、Flayeralarm社やPixartprinting社の規模の大きさが分かります。mooは英国に本社を置く名刺やカードを専門にする印刷会社ですが、年々事業を拡大しており、現在の従業員数は100名を超えています(ちなみに、東京名刺センターの従業員数は90名だそうです)。
インターネットの普及により、「小ロットの仕事」「端物の仕事」でも印刷会社は十分に大きな売上を実現することができるようになっています。私は、スマートフォンやタブレットの広まりによって、「小ロット」や「端物」のビジネスは更に大きく伸びると考えています。
「小ロットの仕事/端物の仕事は儲からない」という『旧来の慣習』から自由になることで、今後2〜3年で年商数億円という印刷サービスを実現する印刷会社が、国内で次々に登場することを期待します。
例えば、私は「小ロットの仕事/端物の仕事は儲からない」という「旧来の慣習」は破壊すべきだと考えています。国内市場においても、平均受注単価が数万円といわれるグラフィックやプリントパックは、年商100億円規模の企業に成長しています。また、名刺専門の東京名刺センターは、ホームページによれば年間生産量は約86万箱です。挨拶状印刷を専門とする挨拶状ドットコムは、社員数十名で年商約8億円の規模だそうです。
海外市場でみても、小ロットの仕事を集めて大きなビジネスを実現している企業が見受けられます。従業員10名以下の企業をターゲットしているVistaprintは、2011年6月期の売上は10億ドル(約800億円)に達しました。
また、ドイツの印刷通販会社Flyeralarmは1日に10,000件以上のジョブ(1ジョブあたり 300〜5,000枚)、Pixartprinting(イタリア)は平均約2,800件のジョブをヨーロッパ中から集めています。グラフィックやプリントパックでの1日平均ジョブ数は1,000件程度ということですから、Flayeralarm社やPixartprinting社の規模の大きさが分かります。mooは英国に本社を置く名刺やカードを専門にする印刷会社ですが、年々事業を拡大しており、現在の従業員数は100名を超えています(ちなみに、東京名刺センターの従業員数は90名だそうです)。
インターネットの普及により、「小ロットの仕事」「端物の仕事」でも印刷会社は十分に大きな売上を実現することができるようになっています。私は、スマートフォンやタブレットの広まりによって、「小ロット」や「端物」のビジネスは更に大きく伸びると考えています。
「小ロットの仕事/端物の仕事は儲からない」という『旧来の慣習』から自由になることで、今後2〜3年で年商数億円という印刷サービスを実現する印刷会社が、国内で次々に登場することを期待します。
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