印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2018年11月13日火曜日

ブライター・レイター流 TOKYO PACK 2018 まとめ

2018年10月2日〜5日の4日間、東京国際包装展(TOKYO PACK 2018)が開催されました(会場:東京ビッグサイト)。会場では、以下のようなトピックが来場者の注目を集めていました:

  • 環境に優しい印刷資材・機材:
FXIJ type 1080(軟包装用水性インクジェット機)
@THINK LABORATORY
生分解性合成紙@王子製紙
@東洋製罐

  • パッケージのさらなる表現力向上:
    • フルカラー段ボール:
@レンゴー
    • 軟包装向け小ロット・可変メッセージ:
@HPブース
デジタル印刷サービス@DNP

    • 小ロット・バリアブル(可変)ホログラム:
@メディアテクノロジージャパン
    • 型抜き・レーザー加工:
@富山スガキ
    • ゴールドインク・シルバーインク:
UVシルバーインク@ミマキ


  •  製造ラインのスマート化:
    • スキルレス化、IoT活用、検査システム・カラーマネジメントシステムの拡充、など
 
  • 流通のスマート化:
    • トレーサビリティ、スマートシェルフ、など

  • バリアフリーなパッケージ

  • SDGs, ESGs:
@クラウンパッケージ

@東洋製罐
    • 電子レンジで使えるパッケージ:
レンジアップカートン@共同印刷
    •  卓上真空成型機:
V.Former Pro 43@ラヤマパック

プラスチック廃棄物による海洋汚染が話題になる中、環境を意識した展示が増えたように思いました。また、ご来場者もお客様により刺さるパッケージを探しているのか、小ロットやバリアブル(可変)を実現するデジタル印刷・加工への興味もさらに高まっているように感じます。

 こうした動きは、パッケージ以外の印刷サービス、例えば商業印刷や書籍印刷などにも参考になります。ぜひ、こうしたトレンドを取り入れて、さらなる成長を実現しましょう!


2013年2月21日木曜日

デジタル軟包装印刷サービスの事業機会とチャレンジ

昨秋開催された TOKYO PACK 2012 でも明らかになったように、消費者のエコ指向・低価格志向、生産側のコスト削減指向の結果、パッケージ市場において軟包装の存在感が高まっています(このあたりの分析については、こちらのブログをご覧ください)。こうした動向を追い風にしてデジタル軟包装印刷サービスを立ち上げ、拡大させるためにはどうすれば良いのでしょうか。

昨日、株式会社ビジネスコミュニケーション研究所の田中氏が講師をされたセミナーに参加したのですが、その内容を参考に「PB・OEM開発展 2013」の取材で見えてきた市場機会を以下のようにまとめてみました。


  • コミュニケーションのゴール:
    • 商品生産企業の活性化:
      • これは、地域活性化をイメージしていただければ分かり易いかと思います。パッケージを通じて商品自体の魅力を伝えることに加えて、その生産地の魅力やイベント情報などをお伝えすることで、印刷サービスの価値を高めることを目指すことです。
    • 商品販売企業の活性化:
      • パッケージを通じて、販売店の方々がその商品を売り易くなる、値引きしなくても売れるようになる、さらにはもっと売りたくなることを目指すことです。
    • 商品ご利用者の人付き合いの楽しみ向上:
      • パッケージの特徴のひとつに、利用の場所まで商品と一緒に運ばれることが挙げられます。そうした特徴を活かすことで、パッケージは商品をご購入・ご利用された方々の人付き合いを楽しくすることに貢献できます。
      • 例えば、旅行先のお土産や、ホームパーティなどへの手みやげ、あるいはお取引先へお伺いする際の手みやげなどでパッケージがひと工夫されていると、お渡しする際のコミュニケーションが活発になり、楽しくなります。こうしたご利用者の人付き合いの楽しみを向上させることを目指すものです。
    • これら『コミュニケーションのゴール』を印刷サービスに落とし込む際には、どれかひとつを選ぶということではなく、2つを組み合わせる(あるいは3つ全てを組み合わせる)ことも可能です。ゴールを組み合わせることで、よりサービスの価値は高まると考えられます。
  • メディアの選択・連携:
    • これは、上記のようなコミュニケーションのゴールに到達するために、パッケージ以外も含めたメディアをどのように選択し、また連携させるかを企画・提案・実現するサービスの機会になります。
    • この際には、フェイスブックやツイッター、LINEなどSNSとの連携、AR(拡張現実感)の活用、DMやチラシ、ポスター、フリーペーパーなど紙媒体との連携など、幅広い可能性を検討・提案することが求められます。
    • 図には「印刷物/Web媒体/その他媒体」と書きましたが、こちらのブログでご説明したような「ペイドメディア/アーンドメディア/オウンドメディア」といった切り口でのメディアの選択・連携も考えられます。
  • コミュニケーションの期間:
    • 消費者が店頭で商品を検討・選択する時間は非常に短いことから、瞬間的に消費者の心をつかむコミュニケーション力がパッケージには求められます。また、併せて継続的にその商品を購入していただくためのコミュニケーション力も求められます。
    • こうした瞬発力/継続的な力を、小ロット・多品種対応力を活かしたパッケージ、さらにはパッケージ以外のメディアの力も合わせて高める印刷サービスは、非常に価値の高いものだと考えられます。
    • 瞬発力/継続的な力を高める際には、商品自体あるいは生産企業・販売企業の『ブランディング』も重要となることから、ブランディングも印刷サービスに組み込むことが求められます。

このように、小ロット・多品種対応力(限定品生産力を含む)が高い印刷サービスを提供できることから、デジタル軟包装印刷サービスには大きな市場機会があると考えられます。ただ、こうした機会を実現するためには、例えばマーケティングの観点から以下のようなチャレンジも求められると思われます:
  • 印刷会社都合の最低発注ロットを無くすこと:
    • デジタル機によってグラビア印刷よりも最低発注ロットを少なくすることが可能になったと、「PB・OEM開発展」に出展されている印刷会社は訴求されています。しかし、その最低ロット数は必ずしも発注者の希望と一致しているとは限りません。
    • 例えば、『限定50個の特別なお茶のパッケージ』となると、対応していただくのが難しくなります。小回りの利いたサービスを提供できるデジタル印刷機を活かした、最低ロット数にしばられない印刷サービス、例えば『限定数100以下の商品しか販売しないという顧客のブランディングに貢献できる印刷サービス』の実現を目指していただければと思います。
  • 印刷会社都合の納期をもっと短くすること:
    • アマゾンや楽天などの利用が広まるに連れて、「注文した翌日には商品が手に届く」という期待が一般的に広まっています。最近では、宅配便の会社が「当日配送」にも力を入れており、さらに短納期化が進んでいます。こうした状況の中では、グラビア印刷と比較して短くなったとはいえ、およそ2週間の納期は長く感じられます。
    • 更なる短納期化には、印刷会社内のワークフローだけでなく後加工機自体の進化も求められる大掛かりな仕組みの変更が必要員なるかと思います。しかし、印刷・加工がサプライチェーン(あるいはコミュニケーションチェーン)のボトルネックにならないような仕組みを作り上げることは、印刷サービスの魅力を高めるために有効だと考えられます。

デジタル軟包装印刷サービスは、上記のようなチャレンジが残っていることも含めて、まだまだ発展する機会の大きな市場だと思います。私も引き続き、この市場に注目していきたいと思います!

2012年10月11日木曜日

TOKYO PACK レビュー(3):紙器パッケージの動向

今年5月に開催された drupa 2012 では数多くのB2デジタル印刷機が発表されましたが、その多くが「紙器パッケージ印刷市場」をターゲットにしています。今回の TOKYO PACK において、国内紙器パッケージ印刷市場におけるB2デジタル印刷機のビジネス機会を探ることも取材目的のひとつでした。

会場では、様々な方にデジタル印刷機の紙器パッケージ印刷分野での活用状況についてお伺いしたのですが、国内では「広幅インクジェット機でサンプルを制作している」という使われ方が中心で、プロダクション機を使って本格的に生産しているという例を聞くことはできませんでした。

ただ、この分野におけるデジタル印刷機導入・活用の可能性について指摘される方は少なくありませんでした。例えば、ラベル印刷でもご紹介した「生産者直売」「個人・小規模企業による輸入したもののネット販売」といった小ロットニーズに対応するため「検討している」というご意見がありました。既存市場の置き換えというよりも、新たな発注者の登場が紙器パッケージ印刷市場におけるデジタル印刷機導入・活用を牽引するのかもしれません。

ところで、今回の TOKYO PACK では、紙器パッケージの存在感はそれほど大きく感じませんでした。その背景としては、以下の様なものが挙げられると思います:
  • 簡易包装の広まり:
    • 環境負荷低減のため、また経費削減のため
    • 併せて、ラベルの表現力も向上している。
  • ダンボールを使ったパッケージの表現力拡大:
こうした状況の中、紙器パッケージは以下の様な「高機能化」の取組みの中で紹介されたケースが目に付きました:
  • バリアフリーを実現するユニバーサルデザイン(UD)への取組み
  • 内容物の利用にあわせて箱の大きさを小さくできる、サイズの可変性への取組み
  • 薬品などの偽造防止への取組み、など
「高機能化」はデジタル印刷のみが実現できるものではありませんが、先に挙げた「新しい発注者の小ロットニーズ」を取り込むためには有効な要素かもしれません。つまり、新しい発注者に対して設計・デザインの段階でこうした機能性を付加する提案をすることが、デジタル印刷の紙器パッケージ分野での拡大に貢献する可能性はありそうです。ただ、まずは「小ロットニーズ」の掘り起こしが必要かと思われます。

もちろん、紙器パッケージデザインのパーソナライズというデジタル印刷ならではのアプリケーションを提供することも、大きな事業機会になると考えられます。会場におけるHP社によるプレゼンテーションの中にも、ティッシュの箱をパーソナライズするという事例がありました。

紙器パッケージの分野でデジタル印刷が存在感を高めるためには、新しい発注者による小ロットニーズやパーソナライズニーズの取り込みという新しい市場の開拓が必要になりそうです。そのビジネスの形は、『B2 SoHoなど小規模企業』型(小ロットニーズ向け)あるいは『B2B2C』型(パーソナライズニーズ向け)が中心になると思います。

印刷会社にとってそうした市場の開拓は少々タフな取組みになるかも知れませんが、その市場は非常に大きくとても魅力的だと考えます。是非、挑戦してみてください!もし、お手伝いが必要な場合には、お気軽にお声がけください (^ ^)




2012年10月9日火曜日

TOKYO PACK レビュー(2):デジタル印刷の観点から

前回ブログの「目についたトレンド :6」でも触れたように、今回の TOKYO PACK ではデジタル印刷の存在感が高まっているように感じました。これは、特にラベル印刷の分野において実際に生産に使われるようになっているため、そしてその実績をもとにした提案型の展示が行われていたためだと考えられます。

ラベルのデジタル印刷化が進んでいる背景として、ジョブの小ロット化が進んでいることが挙げられます。例えば、エプソンのインクジェット機 SurePress L-4033A を4台導入している精工ブースでは、生産者(今回の展示では農家の方)の顔が印刷された野菜を入れたビニール袋に貼るラベルが提案されていました。この場合、季節によって販売する野菜の種類が変わりますので、小ロットでの印刷が必要不可欠になります。道の駅が広まるなど流通の多様化に対応して、こうした「生産者の直売」のための小ロット印刷サービスも広がっています。

あるいは、ネット通販が広まっていることから、個人や小規模な会社が輸入されたものをキレイなラベルを貼ってネットで販売したというニーズも増えているそうです。こうしたニーズに対応するための小ロット印刷サービスも立ち上がってきています。

また、精工ブースでは、今年5月に発表された HP社のB2サイズ対応ラベル・パッケージ印刷用ロール機 Indigo 20000 の導入が発表されていました。導入予定は2013年10月で、これはアジア1号機になるそうです。このデジタル印刷機の使い方については会場ではお伺いできませんでしたが、HPによる精工ブースでのプレゼンテーションをみると、One-to-one (パーソナライズ)のニーズに対応したサービス、しかもラベル以外にも軟包装も含めた印刷サービスの展開になるのかもしれません。

ところで、精工ブースでは、エプソンとHPが並んで自社製品をアピールしていました。エプソンは比較的「生産者直売」や「小規模メーカー」向けの小ロット生産を意識した提案、HPはナショナルブランドの One-to-one マーケティングを意識した提案とそれぞれ特徴がありました。これら2社の展示をみているとラベル・パッケージ分野におけるデジタル印刷の可能性の大きさを感じることができました。

また、エプソンはインクジェット機、HPは液体トナー機という共に注目のデジタル印刷方式のデジタル機を紹介していました。精工ブースはこうした観点からも、それぞれの特徴を比較検討したい印刷会社そして印刷物発注者には興味深い展示となっていました。

精工ブース以外でも、タカラ(大阪・大阪市)のデジタルラベルやミマキブースに展示されていた「CASIO ユポラベル対応オンデマンドカラーページプリンタ」(トナー式)を使った商品ラベルのサンプルなど、会場では興味深い展示が目に付きました。ちなみに、ユポラベル対応のCASIOのプリンターですが、価格は598,000円 + 消費税(5年間の保守サポート付き、トナー料金は別途)、ユポラベルの印刷速度はフルカラーで毎分9枚(厚手のもの)〜15枚となっています。昨年6月の販売開始以来、導入先の約半分が印刷会社だそうです。

今回は、ラベル向けデジタル印刷を中心にご紹介しました。次回は 、drupa でも大きな話題になった「紙器パッケージ」の動向について書きたいと思います。お楽しみに (^ ^)




2012年10月5日金曜日

TOKYO PACK 2012 レビュー(1)

10月2日・4日の2日間、「2012 東京国際包装展」(TOKYO PACK 2012)に行ってきました。今年5月にドイツ・デュッセルドルフで開催された drupa 2012 でも、一部で「package drupa」と呼ばれたようにパッケージ市場が大きな注目を集めていました。今回はそうした流れもあって、2日間に渡って情報を収集しました。

会場では、以下のようなトレンドが目につきました:
  1. 店頭での訴求力向上に貢献するラベル・パッケージ
  2. 購入後に効果を発揮するラベル・パッケージ
  3. O2O(Offline to online)の取組み
  4. 小ロットニーズに対応する取組み
  5. 印刷物の高機能化
  6. フレキソ印刷・デジタル印刷の存在感拡大
  7. さらに進化した加飾印刷
  8. カラーマネージメントの進化
  9. ワンストップサービスの提案
  10. 産業用インクジェット + 検査機(注:10月9日追記)
今回の展示会で、マーケティング的に面白い取組みだと感じたのは「2. 購入後に効果を発揮するパッケージ」です。厳しい経済状況で、店頭でのプレゼンテーション能力を高める取組みが進むのは、ある意味想定内です。ただ、店頭でのインパクトが高い商品が、「もう一度買いたい商品」になるとは限りません。

今回、この「もう一度買いたい感」を高める可能性のありそうな提案が、会場でいくつか見られました。例えば、共同紙工(東京・江東)のマルチレイヤー紙ラベル「ヨメルダー」や「Meku Look(メクルック)」は、ラベルの情報量を増やすことで店頭での訴求力を高めると同時に、購入後にそこに書かれているレシピなどを参考に料理やお酒を楽しむことができたりします。

もちろん、3倍・5倍に情報量を増やしたラベルには、レシピ以外にも読み物(連載)やクーポンなど、様々な情報を入れることができます。この内容を工夫することで、消費者の「もう一度買いたい感」を刺激することができそうです。

また、東洋製罐グループの東洋ガラス(東京・品川)が展示していた「内面彫刻」のガラス瓶もマーケティング的に面白いものでした。ガラス瓶の内面に彫刻を施す(表面はツルツルのまま)ことによって、内容物が減っていくとその彫刻した模様が浮かび上がってきます。この彫刻の図柄を工夫することで、「もう一度買いたい感」を高めることが出来ると思います。ただ、残念ながらこの技術はまだ開発中で商品化されていないそうです(写真も撮らせていただけませんでした・・・)。

こうした「もう一度買いたい感」を高める仕掛けは、「店頭での訴求力向上」や「O2O」といった取組みと組み合せて使うことができます。マーケティングサービスプロバイダー(MSP)への転身を図る印刷会社には、こうした仕掛けも「武器」のひとつとして提案していただくと、提案内容がさらに広がり・深みを増すと思います。

今回は、展示会の全体的な印象そしてマーケティング的な視点からの興味深い取組みについてご紹介しました。次回は、「デジタル印刷」の観点からみた TOKYO PACK をご報告いたします。お楽しみに (^ ^)