印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2013年3月14日木曜日

JAPAN SHOP 2013 まとめ(2):『3Dプリンター』時代への準備が進行中!?

最近、新聞や雑誌、テレビなどで「3Dプリンター」についての特集を目にすることが多くなりました。こうした特集では「3Dプリンターが日本の製造業を変える」というテーマが多いのですが、私は「3Dプリンターは販促も変える」と考えています。

今回の JAPAN SHOP では、3Dプリンターを活用した提案は(限られた取材時間の中では)見当たらなかったのですが、「3D」はキーワードのひとつでした。会場では、レンチキュラーやサンゲツの硬質塩ビフィルムであるリアテックを使った「3Dパネル」、ルキオ社のレンチキュラーなしの3Dパネルなど、様々な3Dを表現するための技術が紹介されていました。

中でも、「3Dプロジェクションマッピング」は新しくまた注目度の高いものです。前回のブログ記事でもご紹介したマックレイ社ブースでは、この3Dプロジェクションマッピングも提案されていました。マックレイ社は、きゃりーぱみゅぱみゅが出演しているauのTVCMの3Dプロジェクションマッピングを担当されたそうです。

ところで、国内印刷業界では3Dプリンターに関する具体的な取組みはまだあまり進んでいないと思われますが、その領域を開拓するのは現時点で「3D」を販促にどのように活用できるかを考え、また挑戦している印刷会社だと考えています。将来的に3Dプリンターで印刷されたものが、3Dパネルやレンチキュラーとどのように併用されるのか、あるいはそれらを置き換えるのか、また3Dプロジェクションマッピングとどのように組み合わされるのかは、現時点では分かりません。

ただ、3Dプリンターがコミュニケーションサービスにおいて実用的になることが見えてきた時に、その具体的な活用方法を思い描き顧客に提案できるのは、現在「3D」について考え、挑戦している企業になると考えられます。こうした意味で、コミュニケーションサービス分野において、密かに3Dプリンター時代への準備が進んでいると言えるでしょう。

「3Dプリンターが販促を変える」時代に向けて布石を打っておきたい印刷会社の皆さま、是非お声がけください!一緒に新しい世界へ挑戦しましょう (^ ^)

2013年3月10日日曜日

JAPAN SHOP 2013 まとめ(1):O2O = スマホへのクーポン配信?

3月5日〜8日に東京ビッグサイトで開催された店舗総合見本市 JAPAN SHOP や流通情報システム総合展 リテールテックでは、O2O (Online to Offline/ Offline to Online)に関する提案が数多く見られました。今回の展示会ではスマートフォンやタブレット端末を活用したソリューションが花盛りでしたが、O2Oはその中の『販促向けソリューション』の中心でした。

ただ、その提案の多くは「スマホでクーポンなどお得情報を得る」という使い方で、個人的にはあまり面白みは感じませんでした。何故なら、メールやウェブサイト、SNS、企業アプリなどでお得情報を得る機会は既に十分にあるように思うからです。スマホならではの面白い使い方の提案、あるいは定価で商品を販売するための提案があれば、もっと刺激的な展示会になったかと思います。

そういう意味では、例えば、リテールテックの大日本印刷ブースで紹介されていた「P2Pソリューション」 (Peer to Peer、スマホ端末間での直接通信)は、DNPの意図を越えた面白い展開を想像させてくれました。同じくDNPが提案していた「音楽に反応するARソリューション」も、AR = 画像認識だという既成概念を打ち壊す興味深いものでした。インディゴ社の商業施設内の回遊性を高めるソリューション(「買い回り」促進ソリューション)も、他社とは異なる視点で開発・提供された面白いものでした。

また、今回の展示会では、「デジタルサイネージを活用したO2Oソリューション」も見どころのひとつでした。デジタルサイネージに双方向性を持たせることで「巨大なスマホ(あるいはタブレット端末)」のようにし、店頭でのプロモーションや販売などで活用するというソリューションです。

JAPAN SHOP のマックレイ社ブースでは、デジタルサイネージにカメラを組み合わせ、その前を通過した子供の興味を引くようなARソリューションが最近人気だというお話しをお伺いしました。そういえば、またDNPのお話しで恐縮ですが、1月に開館したドットDNP(東京・新宿区)の地下にある「デジタルえほんミュージアム」でも、絵本と魔法の杖(!)、そしてARを組み合せたソリューションは子供達に大人気でした。

NCRブースで紹介されていた「エンドレス・アイル」は、狭い店頭を有効活用するためのデジタルサイネージをベースにした eコマースソリューションです。既に海外では使われていて、国内市場向けには今回の展示会に合わせて投入されました。ご担当者によれば写真のようなアパレル企業での導入を想定されているそうです。自動販売機のようなこのソリューションは、物流を含むフルフィルメント部分もあわせて充実させることで、大きな可能性が見えてきそうです。

このように、端末の多様化そして目的の多様化が進むO2Oソリューションに対して、印刷会社としてどのように取り組むのか、また印刷物をどのように組み合わせるのか。こうした観点で新しいコミュニケーションサービスの開発・提供を進めることも、「未来を破壊する」ことに繋がります。

ところで、今回の展示会の見どころは以下のようにまとめられるかと思います:

  • 「軽やか」だったり「華やか」だったりする店舗空間作り:
    • パステルカラーの壁紙やタイル
    • 植物をモチーフにしたデザイン
    • プロジェクションマッピングなど、3D的な表現、など
  • スマートフォンやタブレット端末向けソリューション花盛り:
    • 販促に加えて、受発注、社内情報の見える化、など様々な提案
      • ARやSNS、P2Pなどと組み合せたO2Oソリューション
    • 「巨大なスマホ」としてのデジタルサイネージ:
      • 販促ソリューション
      • 自動販売機的な活用
  • 「白」が広幅プリンターの活用ポイントに
  • 電子ペーパーの可能性再考
  • 販促支援プラットフォーム戦争激化の予感

引き続きこのブログで、JAPAN SHOP やリテールテックで得た情報の分析を進めていきたいと思います。お楽しみに (^ ^)