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2018年6月12日火曜日

『カタログ x DM x Web』で売り上げを伸ばす!

2018年3月12日、goof.lab(東京・五反田)で Beyond Digital Lab キックオフセミナー「デジタルのその先へ。」が開催されました。その中で、通販会社ディノス・セシール Chief e-Commerce Officer (CECO) 石川氏は、カタログとWebの特徴を以下のように分析しました:

  • 新規顧客獲得における強み/弱み:
    • カタログ:
      • 若年層の入り口としては親和性は △
      • 年配層は伸び代 △
    • Web:
      • 若年層への有効なリーチ手段多い ◎
      • 年配層もECでの買い物体験が増えている ◯
  • 顧客維持における強み/弱み:
    • カタログ:
      • リーチ確率が高い ◎
      • 都度のコストが大きい ×
      • フリークエンシーが長い ×
    • Web:
      • リーチ確率が低い ×
      • 都度のコストが小さい ◯
      • フリークエンシーが短い ◎

つまり、カタログとWebは対立するものではなく、むしろそれぞれの長所を組み合わせて相互補完できる相性の良いメディアなのです。

ところで、ディノス・セシールは昨年11月、ECとDMをリアルタイムで連携させるCRMを2018年4月から開始することを発表しました。これは、「カタログとWeb」にさらにデジタル印刷DMを組み合わせる施策で、カタログ(というか紙媒体)の持つ「リーチ確率が高い」という特徴を活かしつつ、「コスト」や「フリークエンシー」に関する弱みを改善するものです。

4月からの取り組みでどのような成果が出るのか。ぜひ、紙媒体を使いこなしてECでの売り上げを伸ばしていただきたいです (^ ^)

株式会社ディノス・セシール CECO (Chief e-Commerce Officer) 石川 森生 氏

2011年10月31日月曜日

カタログ依存度を下げる千趣会

10月27日にJAGATさんで開催された『通販市場におけるカタログ戦略とメディアの最新動向』についてのセミナーにおいて、千趣会 ベルメゾン生活スタイル研究所 坂本氏より、2011年度第2四半期(4月〜6月)における千趣会のネット受注比率は63%であるとのデータが示されました。千趣会が7月28日に発表した「2011年度 第2四半期 決算説明会」資料によれば、前年(2010年)の第2四半期のネット受注比率は57%であったことから、この1年間で大きく伸びたことが分かります。

また、同資料によれば、インターネットで商品をカートに入れることによる『純ネット売上』が伸びることで、ネット売上が順調に推移しています。ここ5年間における千趣会のネット売上推移をみても、カタログを見てカタログ申込番号を入力することによる『カタログ経由売上』はリーマンショックが起きた2008年度以降減少している一方、『純ネット売上』は順調に伸びています。その結果、ネット売上に占める『純ネット売上』比率はこの4年間で20ポイント以上高まっています。

純ネット売上が伸びるのとは逆に、千趣会はカタログの発行部数を大きく減らしています。2006年度には1億200万冊であったのが、2010年度には7,680万冊と25%減少しています。こうした動きをみると、千趣会はカタログ依存度を下げつつ売上を伸ばす道を探っているように思われます。

ところで、2011年度第2四半期でのネット売上における純ネット売上比率は74%でした。先ほど見たように売上に占めるネット受注比率は63%、そのうち純ネット売上比率が74%なので、まだ純ネット売上は売上全体の半分以下だと推測されます。こうしてみると、まだまだカタログは重要なメディアだと考えられます。

しかし、この先も純ネット売上が伸び、カタログを使った売上が伸び悩むようなら、カタログからネットへの本格展開が進む可能性も十分考えられます。例えば、アスクルは数年前に分厚い紙のカタログを発行するのを止めています。

印刷会社そして印刷業界としてこうした状況にどの様に対処するのか、千趣会さんの動向をみると、その議論に費やすことができる時間はそれほど多くないのかもしれません。