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2020年7月7日火曜日

2020年の印刷市場 〜「未来を破壊する」より 〜 . . . (3)

2012年、筆者は”Disrupting the Future” という本を翻訳しました(邦題は「未来を破壊する」)。この本は2010年に出版されましたが、その「あと書き」部分には2020年の印刷市場の予測が書かれていました。2020年の今、改めてこの部分を翻訳します。「未来を破壊する」とはどういうことだったのか、実際にどの程度「未来を破壊」できたのか。こうした点を確認する際の参考にしていただければ幸いです。

なお、この前の部分 (2) はこちらです


経済国政調査から、2012年と2017年の間にかつて「印刷産業」と呼ばれていたものが大きく変化したことが分かる。NAICS(北米産業分類システム)のコード323に含まれる企業数が大幅に減少したのだ。これは、「印刷」会社が何か他のものへと完全に姿を変えたことが背景にある。

ロードアイランドの地下1マイルにある WhatTheyThink経済研究所 ディレクター ジョー・ウェブ博士によれば、「我々が『印刷会社』と呼んでいた企業は、2010年代半ばごろに製造業であることを止めました。そして、印刷物と印刷物以外の両方を扱うコミュニケーション企業が、NAICSのサービス業コードにおいて見られるようになりました。これらの企業を集約すると、1990年代半ば以降の印刷産業で最も財務状況の良い『産業』であることが分かるでしょう」。

2020年になった今この10年間を振り返ると、この産業は10年前とは全く異なるものとなったことが分かる。

「我々は実際、グーテンベルグ以降で最も劇的な印刷産業の変化を目にしています」。印刷業界の伝説的な存在であるフランク・ロマノ氏の身体と切り離された脳は言います(なお、その脳はマサチューセッツ州の印刷博物館の瓶に保存されており、現在でも特別なiPhoneアプリを通じてコミュニケーションできるようになっている)。「これは、2016年にAmtrak社が乗客を乗せて運ぶサービスから家畜を輸送するサービスへと変わったことよりも、ずっと劇的なものです」。

スミス氏とAcCom社は、現在もメディアのトレンドおよびテクノロジーの最前線に立つ。「私たちは、第一世代のウェアラブルコンピュータ向けにテキストとグラフィックスを最適化した最初のコミュニケーションプロバイダーでした。コンピュータのディスプレイがまず特殊なメガネに、のちにコンタクトレンズに組み込まれた際、周囲の物理的な環境に左右されず、読めるようにデータを表示することが課題でした。そこで私たちは表示する情報を、そう、万物に対して目立つように自動変換する一連のアルゴリズムを開発しました」。2019年には、ウェアラブルコンピュータや(アップル社のiEyeのような)目に入れるディスプレイを使う無線インターネット利用者のうち、75%がAcCom社製品のユーザだと推測される。

スミス氏は、自分の成功が最先端の技術に対する飽くなき好奇心によるものだと認める。「人には『技術的な成長』、あるいは新しい技術やガジェットを求める欲望や傾向といったものがあると、私は考えています。ある一定の年齢、私が思うに30歳とか35歳を過ぎると、人々は求めることを止めてしまいます。特にあなたがビジネスリーダーの場合には、それは死を意味します」

とりわけ現在は、20年前と比較して物事がずっと早く変化します。変化がとてもゆっくりだった当時、人々は古い技術や態度にすがって逃げ切ることができました。しかし現在では、誰もそんな贅沢はできません。」スミス氏自身も今年30歳になる;彼は10年後の2030年においても、現在と同じように新しい技術に興味を持っているだろうか?

「私は、無関心になっている自分は想像できません」とスミス氏は述べる。「もっとも、世代的なものなのかもしれませんが」。10年後に彼に連絡をとり、どうなっているかぜひ確認したい。

2020年の印刷市場 〜「未来を破壊する」より 〜 . . . (2)

2012年、筆者は”Disrupting the Future” という本を翻訳しました(邦題は「未来を破壊する」)。この本は2010年に出版されましたが、その「あと書き」部分には2020年の印刷市場の予測が書かれていました。2020年の今、改めてこの部分を翻訳します。「未来を破壊する」とはどういうことだったのか、実際にどの程度「未来を破壊」できたのか。こうした点を確認する際の参考にしていただければ幸いです。

なお、この前の部分(1)はこちらです。


彼らは思いついたアイデアをピザ屋のオーナーに持ち込んだ。そのオーナーは興味を持ったものの、それらをどう始めれば良いのか、またどの程度の費用がかかるのかといったことが見当が付かなかった。そこでスミス氏と友人たちは、極めて重要なパートナーとともに、これら全てのアイデアを実現するためのマーケティングサービス会社のようなものを立ち上げた。

「私の叔父が経営していたAcme印刷はそのピザ屋の全てのメニューを印刷していたのですが、私たちはそこを拠点としました。そのお陰で、簡単にピザ屋の(印刷物作成に使う)データにアクセスでき、また様々なメディアを通じて一貫したブランドメッセージを送ることができました。私たちはWebサイトも引き継ぎましたが、その際には古いプリプレス用のサーバーをWebサーバーに変えて使いました」。

ピザ屋にはどんなコストが掛かったのか?「当初、私たちはそれを印刷コストの一部だと考えていました。しかし、それは次第にマーケティングパッケージ全体のコンサルタント料へと発展しました。ピザ屋の売上は、最初はゆっくりとでしたが、次第に目に見えて増えていきました」。

「ブログの人気が高まるにつれて他コンテンツへのアクセスも増え、口コミが広がりました。ソーシャルメディアのファンページやTwitter、数年後の2012年にはオンライン動画を提供する Hyper Twitter『tweeds』など。どれか1つだけではなく、これら全てのインバウンドおよびアウトバウンドメディアを組み合わせる戦略で、そのピザ屋は成長しました。2015年に電子メールがメディアとしての役割を果たせなくなった時でも、私たちは多くの他のメディアを準備していました」。

この結果、アンジェロは2017年に北米最大のピザ屋チェーンになった。

スミス氏はピザで立ち止まることはなかった。彼が大学を卒業した頃、叔父は印刷会社の経営から退くことを考えていた。スミス氏はAcme印刷を引き継ぐことを提案し、アンジェロに提供していたようなカスタマイズしたマーケティングサービスを事業化した。「最初にしたのは、社名をAcme印刷からAcmeコミュニケーションズに変えたことでした」。

2011年末には、AcComの利益率はAcme印刷当時よりもずっと高くなっていた。スミス氏の成功に関するニュースが広まるに連れて、印刷に注力していた「オールドメディア」企業は次々にコミュニケーションメディアを統合的に扱うアプローチへと変更した。


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2020年の印刷市場 〜「未来を破壊する」より〜 . . . (1)

2012年、筆者は”Disrupting the Future” という本を翻訳しました(邦題は「未来を破壊する」)。この本は2010年に出版されましたが、その「あと書き」部分には2020年の印刷市場の予測が書かれていました。2020年の今、改めてこの部分を翻訳します。「未来を破壊する」とはどういうことだったのか、実際にどの程度「未来を破壊」できたのか。こうした点を確認する際の参考にしていただければ幸いです。


AcCom社、新たなメディア環境で成功

2020年1月2日付 WhatTheyThink.com より, (いずれ)複製許諾済

Acmeコミュニケーションズ社(顧客にはAcCom社として知られている)のオーナー兼ファウンダーであるハロルド・スミス氏は、常に変化している。1990年生まれで常に新しいことに敏感な家族を持つ彼は、2000年代半ばにティーンエイジャーであった当時、すでにSNSを日常的に使っていた。2008年に大学に入学した彼は、叔父が経営する印刷会社でアルバイトをした。

「当時、彼らはまだ自分たちを印刷会社と呼んでいました」と、ITを活用したマーケティングの学位を2012年に取得したスミス氏は言う。「しかし、その会社には様々なコミュニケーション手法を扱える潜在能力があると、私は考えていました。なぜなら、私は個人的に様々なコミュニケーション手法を使っていたからです。」

大学4年のとき、彼はひらめいた。「大学の近くに、私たちが入り浸っていたピザ屋がありました。そのお店には印刷されたメニューがあり、また簡単なウェブサイトもありました。ある晩、少々ダイエット・コークを飲みすぎた私たちのグループは、突拍子もないマーケティングのアイデアを次々と出し始めました。例えば、配達スタッフが変わったお客様などについてのブログを書くことです。」

「ピザの配達スタッフは変わったエピソード、特に大学キャンパスでのエピソードには事欠きません。生物学の教授が彼の(生きている)ヘビのためにピザを注文した、という記事は特に人気の高かったもののひとつです。この記事はまず私たちの大学で読まれ、その後SNSで広まり、他の大学でも読まれるようになりました。」

「また、電子メールマーケティング戦略やお買い得品の通知、ピザの販売と関係ありそうなビデオやゲームなど注目度の高いコンテンツが書かれたニュースレターといったアイデアも思いつきました。例えば、メイン通り300番地からピザの注文があった時には、そのブロックの住人全員にiクーポンを送りました。」

「そうしたアイデアは、広告やマーケティングのようなものではありませんでした」とスミス氏は語る。「コンテンツが面白かったり有益だったりすれば、顧客が簡単に離れてしまう強引な販売よりも、それを提供する企業にとってずっと効果的なのです。」

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