印刷会社の新規ビジネス成功支援を専門とするコンサルティング会社 ブライター・レイター のブログです。

2011年7月20日水曜日

3Dコンテンツの普及に必要なこと:印刷技術懇談会7月例会より

7月15日、印刷技術懇談会 7月例会『メディアとしての3Dコンテンツと印刷の今後』(講師:ダッソー・システムズ株式会社 3DVIA ビジネスディベロップメントマネージャー 落合克人氏)に参加しました。パソコンやテレビ、デジカメや携帯電話など、ハードウェアの進化に伴って3Dコンテンツが少しずつ盛り上がりを見せていますが、なかなか大ブレークするところまでいきません。個人的には、デジタルコンテンツの3D化が始まる前、レンチキュラーを使った使い捨て3Dカメラ(レンズ付きフイルム、多分コニカ製だったと思います)を楽しんでいたので、この分野での盛り上がりを大いに期待しています。

落合氏のプレゼンは、福島での原初事故に関する報道で3D画像がなかなか使われなかったところから始まりました。テレビや新聞を見ていると、今でも平面図での説明が多く目に付きます。平面図よりも立体図の方が、状況を理解し易いにもかかわらず、です。一方、海外のニュースサイトでは3Dを使った画像が早い段階から使われていました。

こうした状況の背景には、日本の技術者の間に広まる『図面文化』があると、落合氏は指摘されました。これは、図面を書いたり読んだりすることができて、技術者は一人前だという考え方のようです。今回のセミナーのポイントのひとつに、技術者の間で図面文化から3D文化へ進むことが、こうした状況の解決につながるというものがありました。

今回のセミナーに参加して、3Dコンテンツの普及に当たっては、技術者文化の変革に加えて、『技術者が自分の理解している方法や言葉で説明してようとする傾向』からの脱却を進めることも有効なのでは、と思いました。原発事故の報道における平面図重視の傾向が、落合氏がご指摘されるような『図面文化』の反映だとするならば、それは技術者にとって都合の良い説明であって、必ずしも一般の人々が知りたい、理解したい内容の説明だとはかぎりません。もし、3Dコンテンツを使うことでもっと知りたい説明を受けることができるのならば、テレビの視聴者や新聞の読者にとっては、ありがたいことでしょう。

落合氏のセミナーの中で、『3Dデータ活用範囲の拡大が必要』というスライドがありました。これまで設計フェーズを中心に活用されている3Dデータを、川下(スライドでは『テクニカルパブリケーション』と表現されていました)でも活用する必要がある、というのがそのポイントです。こうした動きを進める際には、技術者視点からの脱却も併せて進めていただければと思います。

セミナータイトル中の『印刷の今後』の部分については、少々長くなってしまいましたので、次回のブログにまとめたいとおもいます。


2011年7月17日日曜日

Web-to-print を通り越して一気に Cloud-to-print を目指してみてはいかがでしょう?

7月15日(金)、日本HPが5月に開始したばかりのクラウド・プリティング・ソリューション『ePrint & Share』をDesignjetプリンターと組み合わせて使うことを提案するセミナーに参加してきました。クラウド・プリンティング・ソリューションと聞くと難しそうですが、パソコンやタブレット端末、スマートフォン、そしてDesignjetなどを使って書類ファイル(セミナーでは建築用図面ファイル)を共有する仕組みで、ユーザーは特にクラウドサービスであることを意識せずに簡単に使えそうなものでした。

『ePrint & Share』の面白いところは、HPのプリンターやパソコンを持っていなくても無料で使える点です(HPのプリンターを持っていれば、更に便利に使えるそうです)。また、ソフトウェアはWindows機のみ対応なのですが、ブラウザー経由でクラウドにアクセスすることでMacでも使えます。このオープンさについてのご説明をお伺いして、「クラウドって凄いのかも」と感じてしまいました。だって、インターネットにアクセスできる端末を持っていれば、いつでもどこからでもファイルにアクセスできるのですから(カーナビからアクセスできるかは不明ですが)。

国内の印刷市場では 「Web-to-print の普及が遅れている」と良く言われていますが、場合によっては Web-to-print を通り越して Cloud-to-print に一気に移行するのも面白いかも知れません。印刷会社の皆様、この夏のお時間がある時に検討してみてはいかがでしょうか?私ももっと勉強しておきますので、何かありましたら是非お声掛け下さい。

2011年7月11日月曜日

書籍の電子化が進むと印刷のデジタル化も進む?

7月7日〜10日に東京ビッグサイトで開催された『東京国際ブックフェア』では、電子書籍が主役でした。昨年はiPadなどのデバイス、そしてGoogleなどインターネット企業の出展が大きな注目を集めました。その結果、書籍の電子化による『新たなビジネスモデル』が議論の的になりました。

そして今年は、タブレット端末やスマートフォンの普及を背景に、『書籍の電子化は進むもの』という前提のもとに、制作から販売まで含めたその支援ツールの紹介が中心となっていたように感じました。もちろん、各ブースには様々な電子書籍用デバイスが展示されていたのですが、多くの人はデバイス自体の軽さや操作性よりも、そこに表示されたコンテンツを評価していたように思います。昨年は、恐るおそるスクリーンを指で触っている人が多かったのですが。1年という時間の長さを改めて実感しました。

書籍の電子化が大きな話題となる一方、デジタル印刷に関する展示も会場で目につきました。訴求内容は、『初版・重版の小ロット化への対応や在庫レス実現のためのデジタル印刷』および『品切れ・絶版本のオンデマンド印刷(1冊から対応)』といったものでした。こうしたソリューションは、電子書籍が普及するかどうかに関らず出版社や小売業者にとって利益率向上に役立つものです。しかし、書籍の電子化 = デジタル化 が進むと、心理的なレベルでデジタル印刷へ取り組み易くなるのかもしれません。

『小ロット対応』は主に出版社向け、『オンデマンド印刷』は主に小売店向けとそれぞれ対象が異なるソリューションだと考えられますが、書籍の電子化が進む中で各業態に適した形でデジタル印刷が取り入れられていくのかもしれません。そして印刷会社は、こうしたニーズを満たすことで売上・利益を伸ばせるかもしれません。今回のブックフェアは、デジタル印刷の可能性も感じることができた展示会でした。



2011年7月8日金曜日

雑誌の電子化が進まない理由

7月7日にインプレスR&D社より、電子書籍の市場規模予測に関するプレスリリースが発表されました。これによれば、電子書籍の市場規模は2010年度の650億円から2015年度には2000億円程度にまで大きく拡大することが予測されています。

しかし、電子雑誌市場は2010年度の6億円、2015年度でも200億円と電子書籍に比べて小さな規模となっています。2010年4月期の販売額は、書籍が約690億円に対して雑誌が約810億円と雑誌の方が大きいにも関らず、です。また、個人的な意見ですが、雑誌の方が電子化と相性が良さそうにも感じます。

これは何故でしょう?雑誌の方が、著作権の処理が複雑だからでしょうか。あるいは、広告媒体としての価値を考えた時に、電子媒体よりも紙媒体の方が高いためでしょうか?宜しければ、皆さんのお考えをお聞かせください m(_ _)m

2011年7月4日月曜日

『色彩』による印刷サービス高付加価値化の可能性

6月29日、日本印刷会館(東京・中央区)で開催された『2011年度第1回ジーエーシティセミナー』に参加して参りました。テーマは『がんばろう日本!効率のよいものづくりについて考える ”正しい色管理の考え方”」。日本カラーデザイン研究所 シニアマネージャー 杉山朗子氏による基調講演『色彩のコミュニケーションパワー 〜お客さまの心をとらえる色〜」を含む5つのセッションが行われた盛り沢山の内容でした。

杉山氏からは、男女・年齢層・ライフステージなどによって好む色が異なるため、ターゲット層に合わせた色を使うことがマーケティングに成功するポイントだというお話しがありました。特に、「買い物意識クラスターとデザインクラスターが重なり始めたのが最近の特徴」というお話しは大変興味深いものでした。詳細は杉山氏のセミナーにご参加いただいてご確認いただければと思いますが、簡単にいえば、色によって消費者の購買意欲を高めることが比較的簡単になってきていることを意味しているそうです(私の誤解でしたらスミマセン・・・)。

印刷サービスの高付加価値化は、『色彩』という側面からもまだまだ進展させることが可能のようです。


2011年7月1日金曜日

フォトブック市場活性化のポイント:写真館向け市場

6月21日・22日、東京ビッグサイトにてフォトネクスト2011が開催されました。私は両日とも会場に足を運んだのですが、多数の来場者で盛り上がっていました。今回も話題の中心は『フォトブック』。前回までは消費者向けの気軽に作成できる低価格のものも少なからず見受けられましたが、今回は写真館向けの結婚式用を中心とした豪華なものの紹介ばかりが目に付きました。

その豪華なフォトブック、銀塩写真を使う10ページ程度のものもありましたが、多くは数十ページ、中には60ページ・80ページといったデジタル印刷機で印刷されたものでした。21日にセンターステージで行われた吉田写真館さんのプレゼンの中で、「デジタルカメラを使うようになってから、カット数が増えました。七五三の撮影では、和装300カット・洋装300カットの合計600カットから選び、フォトブックを作ります。」というお話しがありましたが、ページ数の多いフォトブックがフィーチャーされた背景には、写真館におけるデジタルカメラの利用が増えていることがありそうです。

ただ、来場者は必ずしもページ数の多いフォトブックには興味を示していないように感じました。考えてみれば、これまで写真館はいわば『究極の1カット』を目指して技を磨き、様々な機材を導入されてきました。しかし、ページ数の多いフォトブックは、これと正反対の方向を向いています。こうした方向性の違いというか多様化に、戸惑う写真館も多いと思われます。

写真館向けフォトブック市場が更に大きく発展するためには、『究極の1カット』とページ数の多いフォトブックは対立するものではなく、むしろ補完し合うもので、商材という点でも双方を揃えることで顧客にとって更に魅力的になることを、写真館にご理解いただくことが重要だと思います。そのためには、展示会においては機材・商材の展示に加えて、写真館のビジネスモデルについて議論するような場があっても良いかと思われます。

来年のフォトネクストは、どの様な話題が中心を占めるのでしょうか。今からとても楽しみです。