印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2013年5月16日木曜日

2013 Japan IT Week 春の見どころ(詳細編) . . . (1)

2013年5月8日〜10日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「2013 Japan IT Week」は、来場者数(主催者の発表、速報値)84,534名の大きな展示会でした。展示内容も印刷業界の観点から見ると非常に刺激的なものがたくさんありました。その見どころの概要を前回のブログでご紹介しましたが、今回からその詳細をお伝えしたいと思います:

1. オウンドメディア向けサービス:

このブログでもこちらの記事でオウンドメディアについてご紹介しましたが、今回の展示会ではそれを活用するための様々なツールが提案されていました。

例えば、ゆめみブースでは、オウンドメディアを通じてファンを増やすエンゲージメント・プラットフォーム「Sprocket(スプロケット)」が展示されていました。Sprocketは、ゲーミフィケーションの手法を使うことでサイトへの訪問頻度を高めたりサイト内の回遊率を高めるたりするプラットフォームで、既にベネッセコーポレーションやネスレ日本などで導入されているそうです。

アド・ダイセンブースには、オウンドメディアとDMやチラシといったリアルメディアをつなぐO2Oソリューション「mottoco」が紹介されていました。顧客がDMや屋外広告、デジタルサイネージなどにあるQRコードをmottocoアプリから読み込むことで、いつでも手許に持っておくこと = 「クリップ」することができるというサービスです。これはまだ開発中ですが、夏頃にはスタートする予定だそうです。とても面白そうなソリューションなので開始が楽しみです。

また、様々なサイト内検索エンジンが紹介されていたのも印象的でした。例えば、フォルシアが提案していたカスタムメイドの検索エンジン「Spook(スプーク)」は、サイト内高速商品検索とマーケティング支援ツールの2つの側面を持つソリューションです。5〜6年前からサービスを提供しているそうですが、これまでにるるぶトラベルや日本旅行といった旅行会社、JAL・ANAといった航空界社、ニッセンやカウネットといった通販会社など、様々な業種で採用されています。このうちるるぶトラベルは、このソリューションを導入したことで売上が1.5倍になったそうです。

こうしたオウンドメディアへの来訪を支援したり自社サイト内の回遊率を高めるソリューションは、マーケティングサービスプロバイダーへの転換を目指す印刷会社にとって有効なものだと思います。


2. 「割引」や「お得」を売りにしないO2Oソリューション:

このブログでもこれまで何回かO2Oについて取り上げてきましたが、Web & モバイルマーケティング EXPO でも「O2Oゾーン」が設置されるなど、O2Oは主要トピックのひとつでした。ただ、その多くは「スマホにクーポンやお得情報を配信する」というものでした。

もちろん「安く買いたい」「得をしたい」という消費者が多いことは確かなので、こうしたソリューションのニーズが高いことは理解できます。しかし、個人的には売り手側から見た時に「安売り競争」を回避できるソリューションの方が興味があります。

NSDブースで紹介されていた「FIND! FUKUOKA」というO2Oソリューションは、海外からの観光客の「お役立ち」を目的とした面白いものでした。これは、「FIND」というセンサーを用いたピンポイントPush配信と「翻訳スカウター」という翻訳ソリューションを組み合わせたモバイルアプリになります。

このアプリを使うと、天神、博多駅、博多港などに設置しているデジタルサイネージに近付くと、福岡にある施設のイベント情報などを入手できます。また、ベイサイドプレイス博多」にある施設内の看板や飲食店のメニューにカメラを向けると、日本語表示を英語・韓国語・中国語(繁体語/簡体語)に変換できます。このアプリは韓国で話題になっていて、韓国から福岡にいらっしゃる観光客の多くは、福岡に到着する前に韓国国内でアプリをダウンロードされているそうです。

このアプリは、観光客の観光スポット間の回遊状況を把握することにも役立ちます。こうしたデータをもとに、観光スポット間の移動手段を充実させたり、別のスポットへの回遊を促進したりといった展開も検討されているそうです。

印刷業界でも「地域の活性化」は注目の分野です。「安さ」をキーワードにある場所への誘導を促進するだけではなく、地域内のたくさん場所を訪問(回遊)していただいて楽しい思い出をたくさん作っていただく(その間、美味しいものを食べていただいたり、素敵なお土産を買っていただいたり)というソリューションの開発・提供を通じて、地域の活性化に貢献するサービスも魅力的かと思います。

すっかり長くなってしまいましたので、見どころ(詳細編)の第1回はこのあたりで終わりにしたいと思います。次回は、印刷業界でも話題の「AR」関連の展示などについてご紹介ししますのでお楽しみに (^ ^)

2013年5月9日木曜日

2013 Japan IT Week 春 の見どころ(速報)

昨日(5月8日)から3日間、東京ビッグサイトでは Japan IT Week 春が開催されています、私はこのうち、「Web & モバイル マーケティング EXPO」「通販ソリューション展」「スマートフォン & モバイル EXPO」のエリアを1日掛けて取材したのですが、それでも時間が足りませんでした。出展企業数が多かっただけでなく、提案内容も面白いブースが多すぎました (^ ^;

今回は、その中で見つけた見どころ(特に、印刷業界視点での見どころ)を速報として、とりあえずトピックだけですがご紹介します。少しでも、展示会の盛り上がりや面白さが伝われば幸いです。:
  1. オウンドメディア向けサービス
  2. 「割引」や「お得」を売りにしない O2Oサービス
  3. AR分野の主要プレーヤーがそろい踏み
  4. UI/ UX (User Interface/ User Experience):紙媒体で培ったノウハウをアプリやWebサイトに適用できそうな
  5. HTML5ベースのモバイルアプリ
  6. 売上アップにつながるフルフィルメント
  7. その他のコネタ:
    1. デジタルサイネージやテーブル型(!)MS Surface 向けサービス
    2. 色やフォントで表現力向上
    3. 物流が支える短納期化:「最短4時間、日本各地へ当日配送を実現」
    4. ここまで出来る マーケティングROI分析ツール
    5. 印刷会社のブースを盛り上げるには!?
各項目の詳細は、改めてこのブログでご紹介します。お楽しみに (^ ^)

追伸:実は、上記リストには掲載していない隠し球的なものもあったりします。こちらはまた機会を見つけてご紹介したいと思いますので、もう少々お待ちください♪

2013年4月11日木曜日

顧客ニーズ別 お薦めAR

4月10日〜12日の3日間、サンシャインシティ・コンベンションセンターTOKYO(東京・池袋)では第47回プレミアム・インセンティブショーが開催されています。この展示会では様々なノベルティやセールスプロモーション用のグッズやソリューションが提案されています。

今回、昨秋(第46回)はほとんど目に付かなかったAR(Augmented Reality, 拡張現実感)が様々なブースで提案されていました。私が短い取材時間内でお話をお伺いしたものだけでも、「SuAR!(富山スガキ)」「blippAR」「COCOAR(スターティアラボ)」「Promo-PR(楽プリ)」などがありました。

そのARですが、今年の2月に同じ会場で行われた印刷機材展 page 2013 などの展示会や様々なキャンペーンを通じて、実際に触れたご経験をお持ちの方々も少なくないかと思います。では、印刷会社が顧客に提案する際には、どのARサービス/ソリューションを選べば良いのでしょうか。

顧客ニーズ別のお薦めARを明らかにするため、これまでの取材を基に下図のようなマトリックスを作成しました(縦軸:アプリアイコンのカスタマイズ可否、横軸:AR提供側からの提案内容)。この結果、大きく分けて3種類の顧客ニーズ別お薦めARソリューションが見えてきました:

  1. コスト重視派(左下):
    • 低コストでコンテンツをブラウズしたり、サイトに誘導したりする仕組みを構築したい顧客向け。
    • このエリアのARソリューションは、初期費用・ランニングコストともに、低めに設定されていることが多い。
    • COCOARは現在このエリアにいますが、将来的には右下へポジションを変えようとされています。
  2. ブランド重視派(左上):
    • 比較的安価に、オリジナルアイコンを使ったARアプリを提供したい顧客向け。
    • Aurasmaでは比較的簡単に「オリジナルアイコン」を設定・提供することができたが、現在ポリシーの見直しが進んでいるため、今後については確認が必要。
  3. 効果測定重視派(右下):
    • ARアプリを使って誰がいつどのマーカーからアクセスしたかなど、利用に関するデータを収集分析することで効果を測定し、費用対効果の最大化を目指したい顧客向け。
    • このエリアのARソリューションを提供している企業は、最先端のAR技術(画像認識技術)の研究開発に取組み、それを製品に反映させている:
      • blippARは現在検索サービス最大手のG社と協同で、ある製品の開発を進めているそうです。詳細は、近々正式に発表されるとのことでした。
      • ナント・モバイルは、そのG社でARを研究されていた方々がスピンアウトして設立した会社だそうです。
現時点で右上エリア(アイコンのカスタマイズ可能、利用状況の詳細分析可能)向けサービスを提供しているARソリューション会社は、私の知る限りではないと思われます。ただ、私が勉強不足で存じ上げないだけかも知れませんので、ご存知の方がいらっしゃいましたら是非お教えいただければと思います m(_ _)m

とはいえ、スマホ用アプリのアクセス解析ツールも増えてきていますので、例えば Aurasma系のオリジナルアイコンを使ったアプリにアクセス解析ツールを組み込むことができれば、右上エリアをカバーするARソリューションを提供される会社も現れるかも知れません。

ところで、マーケティング分野で O2O(Online2Offline, Offline2Online)は話題になっており、ARは確かに O2O ソリューションのひとつです。しかし、マーケティングで注目されているのは、リアルな店舗への誘導や店頭で商品を選んでいただくことを目的とした「Online2Offline」ソリューションであって、ARが得意とする紙媒体などからWebへ誘導する「Offline2Online」ソリューションではありません。

印刷会社が顧客にARを含むソリューションを提案する際には、ARが実際の店舗への誘導や店頭での商品選択などマーケティングの課題解決に具体的にどのように貢献できるのかについてもご説明することが重要かと思われます。そのご提案に適したARソリューションを選定するに当たって、今回のブログが少しでもお役に立てば幸いです (^ ^)



2013年3月10日日曜日

JAPAN SHOP 2013 まとめ(1):O2O = スマホへのクーポン配信?

3月5日〜8日に東京ビッグサイトで開催された店舗総合見本市 JAPAN SHOP や流通情報システム総合展 リテールテックでは、O2O (Online to Offline/ Offline to Online)に関する提案が数多く見られました。今回の展示会ではスマートフォンやタブレット端末を活用したソリューションが花盛りでしたが、O2Oはその中の『販促向けソリューション』の中心でした。

ただ、その提案の多くは「スマホでクーポンなどお得情報を得る」という使い方で、個人的にはあまり面白みは感じませんでした。何故なら、メールやウェブサイト、SNS、企業アプリなどでお得情報を得る機会は既に十分にあるように思うからです。スマホならではの面白い使い方の提案、あるいは定価で商品を販売するための提案があれば、もっと刺激的な展示会になったかと思います。

そういう意味では、例えば、リテールテックの大日本印刷ブースで紹介されていた「P2Pソリューション」 (Peer to Peer、スマホ端末間での直接通信)は、DNPの意図を越えた面白い展開を想像させてくれました。同じくDNPが提案していた「音楽に反応するARソリューション」も、AR = 画像認識だという既成概念を打ち壊す興味深いものでした。インディゴ社の商業施設内の回遊性を高めるソリューション(「買い回り」促進ソリューション)も、他社とは異なる視点で開発・提供された面白いものでした。

また、今回の展示会では、「デジタルサイネージを活用したO2Oソリューション」も見どころのひとつでした。デジタルサイネージに双方向性を持たせることで「巨大なスマホ(あるいはタブレット端末)」のようにし、店頭でのプロモーションや販売などで活用するというソリューションです。

JAPAN SHOP のマックレイ社ブースでは、デジタルサイネージにカメラを組み合わせ、その前を通過した子供の興味を引くようなARソリューションが最近人気だというお話しをお伺いしました。そういえば、またDNPのお話しで恐縮ですが、1月に開館したドットDNP(東京・新宿区)の地下にある「デジタルえほんミュージアム」でも、絵本と魔法の杖(!)、そしてARを組み合せたソリューションは子供達に大人気でした。

NCRブースで紹介されていた「エンドレス・アイル」は、狭い店頭を有効活用するためのデジタルサイネージをベースにした eコマースソリューションです。既に海外では使われていて、国内市場向けには今回の展示会に合わせて投入されました。ご担当者によれば写真のようなアパレル企業での導入を想定されているそうです。自動販売機のようなこのソリューションは、物流を含むフルフィルメント部分もあわせて充実させることで、大きな可能性が見えてきそうです。

このように、端末の多様化そして目的の多様化が進むO2Oソリューションに対して、印刷会社としてどのように取り組むのか、また印刷物をどのように組み合わせるのか。こうした観点で新しいコミュニケーションサービスの開発・提供を進めることも、「未来を破壊する」ことに繋がります。

ところで、今回の展示会の見どころは以下のようにまとめられるかと思います:

  • 「軽やか」だったり「華やか」だったりする店舗空間作り:
    • パステルカラーの壁紙やタイル
    • 植物をモチーフにしたデザイン
    • プロジェクションマッピングなど、3D的な表現、など
  • スマートフォンやタブレット端末向けソリューション花盛り:
    • 販促に加えて、受発注、社内情報の見える化、など様々な提案
      • ARやSNS、P2Pなどと組み合せたO2Oソリューション
    • 「巨大なスマホ」としてのデジタルサイネージ:
      • 販促ソリューション
      • 自動販売機的な活用
  • 「白」が広幅プリンターの活用ポイントに
  • 電子ペーパーの可能性再考
  • 販促支援プラットフォーム戦争激化の予感

引き続きこのブログで、JAPAN SHOP やリテールテックで得た情報の分析を進めていきたいと思います。お楽しみに (^ ^)

2013年2月21日木曜日

デジタル軟包装印刷サービスの事業機会とチャレンジ

昨秋開催された TOKYO PACK 2012 でも明らかになったように、消費者のエコ指向・低価格志向、生産側のコスト削減指向の結果、パッケージ市場において軟包装の存在感が高まっています(このあたりの分析については、こちらのブログをご覧ください)。こうした動向を追い風にしてデジタル軟包装印刷サービスを立ち上げ、拡大させるためにはどうすれば良いのでしょうか。

昨日、株式会社ビジネスコミュニケーション研究所の田中氏が講師をされたセミナーに参加したのですが、その内容を参考に「PB・OEM開発展 2013」の取材で見えてきた市場機会を以下のようにまとめてみました。


  • コミュニケーションのゴール:
    • 商品生産企業の活性化:
      • これは、地域活性化をイメージしていただければ分かり易いかと思います。パッケージを通じて商品自体の魅力を伝えることに加えて、その生産地の魅力やイベント情報などをお伝えすることで、印刷サービスの価値を高めることを目指すことです。
    • 商品販売企業の活性化:
      • パッケージを通じて、販売店の方々がその商品を売り易くなる、値引きしなくても売れるようになる、さらにはもっと売りたくなることを目指すことです。
    • 商品ご利用者の人付き合いの楽しみ向上:
      • パッケージの特徴のひとつに、利用の場所まで商品と一緒に運ばれることが挙げられます。そうした特徴を活かすことで、パッケージは商品をご購入・ご利用された方々の人付き合いを楽しくすることに貢献できます。
      • 例えば、旅行先のお土産や、ホームパーティなどへの手みやげ、あるいはお取引先へお伺いする際の手みやげなどでパッケージがひと工夫されていると、お渡しする際のコミュニケーションが活発になり、楽しくなります。こうしたご利用者の人付き合いの楽しみを向上させることを目指すものです。
    • これら『コミュニケーションのゴール』を印刷サービスに落とし込む際には、どれかひとつを選ぶということではなく、2つを組み合わせる(あるいは3つ全てを組み合わせる)ことも可能です。ゴールを組み合わせることで、よりサービスの価値は高まると考えられます。
  • メディアの選択・連携:
    • これは、上記のようなコミュニケーションのゴールに到達するために、パッケージ以外も含めたメディアをどのように選択し、また連携させるかを企画・提案・実現するサービスの機会になります。
    • この際には、フェイスブックやツイッター、LINEなどSNSとの連携、AR(拡張現実感)の活用、DMやチラシ、ポスター、フリーペーパーなど紙媒体との連携など、幅広い可能性を検討・提案することが求められます。
    • 図には「印刷物/Web媒体/その他媒体」と書きましたが、こちらのブログでご説明したような「ペイドメディア/アーンドメディア/オウンドメディア」といった切り口でのメディアの選択・連携も考えられます。
  • コミュニケーションの期間:
    • 消費者が店頭で商品を検討・選択する時間は非常に短いことから、瞬間的に消費者の心をつかむコミュニケーション力がパッケージには求められます。また、併せて継続的にその商品を購入していただくためのコミュニケーション力も求められます。
    • こうした瞬発力/継続的な力を、小ロット・多品種対応力を活かしたパッケージ、さらにはパッケージ以外のメディアの力も合わせて高める印刷サービスは、非常に価値の高いものだと考えられます。
    • 瞬発力/継続的な力を高める際には、商品自体あるいは生産企業・販売企業の『ブランディング』も重要となることから、ブランディングも印刷サービスに組み込むことが求められます。

このように、小ロット・多品種対応力(限定品生産力を含む)が高い印刷サービスを提供できることから、デジタル軟包装印刷サービスには大きな市場機会があると考えられます。ただ、こうした機会を実現するためには、例えばマーケティングの観点から以下のようなチャレンジも求められると思われます:
  • 印刷会社都合の最低発注ロットを無くすこと:
    • デジタル機によってグラビア印刷よりも最低発注ロットを少なくすることが可能になったと、「PB・OEM開発展」に出展されている印刷会社は訴求されています。しかし、その最低ロット数は必ずしも発注者の希望と一致しているとは限りません。
    • 例えば、『限定50個の特別なお茶のパッケージ』となると、対応していただくのが難しくなります。小回りの利いたサービスを提供できるデジタル印刷機を活かした、最低ロット数にしばられない印刷サービス、例えば『限定数100以下の商品しか販売しないという顧客のブランディングに貢献できる印刷サービス』の実現を目指していただければと思います。
  • 印刷会社都合の納期をもっと短くすること:
    • アマゾンや楽天などの利用が広まるに連れて、「注文した翌日には商品が手に届く」という期待が一般的に広まっています。最近では、宅配便の会社が「当日配送」にも力を入れており、さらに短納期化が進んでいます。こうした状況の中では、グラビア印刷と比較して短くなったとはいえ、およそ2週間の納期は長く感じられます。
    • 更なる短納期化には、印刷会社内のワークフローだけでなく後加工機自体の進化も求められる大掛かりな仕組みの変更が必要員なるかと思います。しかし、印刷・加工がサプライチェーン(あるいはコミュニケーションチェーン)のボトルネックにならないような仕組みを作り上げることは、印刷サービスの魅力を高めるために有効だと考えられます。

デジタル軟包装印刷サービスは、上記のようなチャレンジが残っていることも含めて、まだまだ発展する機会の大きな市場だと思います。私も引き続き、この市場に注目していきたいと思います!

2013年2月11日月曜日

2013年にWebマーケターが注目するテーマ・キーワード Top 5 . . . (1)

先月発売された「宣伝会議」2013年1月15日号に、Webマーケティングに力を入れている企業72社のWebマーケターが注目しているテーマ・キーワードのTop 5が紹介されました。この結果によれば、回答者の40%がリアルとWebの連動を実現する「O2O」に注目していることが分かりました。


O2Oについては、このブログでも何度か取り上げていますのでご存知の方も多いかと思います。先日東京・池袋で開催された印刷機材の展示会 page 2013 でも、リコーブースなどでO2Oが大きく取り上げられていました。

ただ注意したいのは、Webマーケターが注目しているO2Oは「Online to Offline(Webからリアルへ)」というものです。印刷業界では紙媒体からARなどを使ってWebへ誘導するという「Offline to Onilne」が話題の中心ですが、WebマーケターはWebからリアルの店舗やイベント会場などに誘導するパターンに注目しています。

実際、昨秋(2012年秋)頃から急速にこのパターンのマーケティング活動事例が紹介されることが増えて来たように感じています。例えば、昨年11月に東京・千代田区の無印良品有楽町店で開催されたFacebookと連動されたイベントがあります。なお、こちらのイベントについては、私が「印刷情報 2013年1月号」に寄稿した記事「いかにして「未来を破壊するコミュニケーションプロバイダーになるか」をお読みください。

こうした「Online to Offline」パターンでも、印刷物は重要な役割を果たすことができると考えられます。例えば、Facebookのファンに対して店舗で実施されているキャンペーンやイベントの内容をDMで告知することで、ファンの「背中を押す」ことができます(こうした方法の詳細につきましては、こちらのブログを参考にしていただければと思います)。

注目度の高まるO2Oに対する取組みを進めること、これも印刷会社が「未来を破壊する」ための有効な手段だと思われます。


2012年10月31日水曜日

スマホベースの O2O 最新動向 . . .(2): Online to Offline

前回に引き続き、Web & モバイル マーケティング EXPOにおけるO2Oのソリューションをご紹介します。今回は、Online to Offline のソリューションです。

今回の会場では、博報堂アイ・スタジオが Yahoo! JAPANとの共同事業「Yahoo! JAPAN年賀状」を紹介していました。これは、住所が分からなくてもフェイスブックの友達やツイッターのアカウント、メールアドレスが分かっている友人・知人に紙の年賀状が送れるというサービスになります。展示会には出展されていなかったのですが、同様のサービスには日本郵便と電通の合弁会社JPメディアダイレクトが提供するサービス ポストマンなどもあります。

「住所が分からなくても送れる」というサービスは年賀状シーズンになるとよく目にするのですが、実は、通常のプロモーションにも使えるのではないかと、私は考えています。例えば、Facebookの企業ページに「いいね!」を押してくださった方だけに特別なデザインと内容のDMや販促品をお送りするとか。これは、ファンを集めることに加えて、ファンを維持することにもつながると思います。

フェイスブックなどSNSを活用したマーケティング(拙訳書「未来を破壊する」でいうところのインバウンドマーケティング)は、これから益々重要になります。こうしたOnline2Offlineのサービスを追加することで、インバウンドマーケティングの効果は更に高まると考えられます。また、この場合はDMや販促品など「リアル」なものを送付するため、印刷業界にとっても魅力的なソリューションになります。

ただ、現時点ではこうしたOnline2Offlineのソリューションは、企業のプロモーション活動にはあまり活用されていません。その理由は、企業側がこうしたプロモーションの可能性を十分に理解していないからだと思われます。つまり、こうしたソリューションを提案することで、印刷会社は顧客企業のインバウンドマーケティングの効果を高めることに貢献できます。

もちろん、「いいね!」を押してくださったファンの方に送付するDMや販促品、あるいは販促品のパッケージにARを追加して、再び企業のサイトなどに誘導することも可能です。その際、誘導した先でお送りしたDMや販促品に関するご意見・ご感想を書き込んでいただき、それを広くシェアしてさらにファンを増やすといった仕組みも面白いかと思います。

販促品をトリガーにして、リアル(Offline)とWeb(Online)両方のチャネルを通じてファンとのコミュニケーションを深めることができる印刷サービスは、顧客企業にとって非常に魅力的だと思いますがいかがしょう?もし、こうした印刷サービスの立ち上げ・拡大をご検討される際には、是非お声がけください (^ ^) 


2012年10月29日月曜日

スマホベースの O2O 最新動向 . . .(1):Offline to Online

先週(2012年10月24日〜26日)幕張メッセで開催された「Web & モバイル マーケティング EXPO」では、想像していた以上にスマートフォンを活用した O2O (Offline to Online/ Online to Offline)のソリューションが数多く展示されていました。今回はそのうち、Offline2Online のソリューションについてご紹介します。

会場に展示されていたスマホベースの Offline2Online型のO2Oソリューションは、以下の様なタイプに分類されます:
  1. AR専用コンテンツ再生タイプ:
    • 3Dや動画の再生型
  2. AR専用コンテンツ再生タイプの変形:
    • インタラクティブ型(ARコンテンツの操作が可能)
    • 道案内型(GPSと連動)
    • オリエンテーリング型(ポイント収集型)
  3. Webコンテンツをブラウズするタイプ(QRコードの変形型)
「2. AR専用コンテンツ再生タイプの変形」のインタラクティブ型で面白かったのは、カナダから出展していた Redpiston社 の冷蔵庫をブラウズするデモでした。新聞に掲載された広告がARのマーカーで、そこにAR用アプリを起動したスマートフォンをかざすとスマホの画面に冷蔵庫が現れます。スマホの角度を変えると冷蔵庫を様々な角度から見ることができ、さらに冷蔵庫の引き出しや扉部分をタップするとスムーズに開閉したりします。こうしたARとVR(バーチャル・リアリティ、仮想現実)が組み合わせられたサービスがスマホ上でスムーズに実現できることに、少々驚きを感じました。

「3. Webコンテンツをブラウズするタイプ」では、米国ロサンゼルスに拠点を置くハイテク企業群 Nant Works の日本法人ナント・モバイルの展示が興味深いものでした。例えば、渋谷駅の改札口付近に貼ってある駅周辺地図にARアプリを起動したスマホをかざすと、情報を入手できるファッションビルなどが分かります(対応していることを示すマークが表示されます)。その部分をタップすると、そのファッションビルのWebサイトに飛び、最新情報を得ることができます。また、ファッションビルなどの建物もマーカーにすることができるため、スマホをかざして歩きながら各ビルの最新情報も入手できます。

ARを使ったサービスでは、ブラウズするコンテンツが話題になることが多いかと思います。しかし、ナント・モバイルでは、ブラウズするのは既存のWebコンテンツなのですが、O2Oの可能性の大きさを示す様々な使い方(実現時期が未定のコンセプト的な使い方を含めて)を提案していた点が印象的でした。

「Webコンテンツをブラウズするタイプ」では、コトブキ企画が11月に開始する予定のスピードウェブも面白いサービスだと思いました。一般的に、ARではマーカーとブラウズする内容が「1対1」の関係なのですが、スピードウェブでは1つのマーカーに対して複数(10個程度)のWebサイトやWebコンテンツを対応させられるようになっています。しかも、運用者が自分で簡単にマーカーやそれに対応するWebサイト・Webコンテンツを登録したり変更したりできるようになっています。こうした手軽さは、O2Oが広まるに当たって有効かと思われます。

ARを含めたスマホベースのO2Oは、IT業界が牽引することで、印刷業界が考えているよりも速いスピードで広まる可能性もありそうです。Redpistonナント・モバイルの展示を見ていると、O2O(特にOffline to Online)の分野では海外のIT企業の動向にも注目すると面白い印刷サービスのアイデアが得られそうです。実際、私もこれらの展示を見て面白い新規サービスをいくつか思い付きました (^ ^)

次回は、Online2Offline型のO2Oソリューションを紹介する予定です。お楽しみに♪