印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
ラベル デジタル後加工 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル デジタル後加工 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年1月6日金曜日

drupa2020でデジタル後加工機に期待したいこと

オフセット印刷サービスでは通常、印刷と後加工は別の会社が担当します。しかし、デジタル印刷サービスでは、印刷会社が後加工もあわせて行うケースが大半です。そのため、デジタル印刷サービス向け後加工機は少ない人数でも動かすことができ、かつ職人でなくても品質を保てるよう、自動化・省力化・スキルレス化が進んでいます。

また、デジタル後加工機はデジタル印刷機とセットでの運用が想定されています。drupa2016でも、デジタル印刷機の進化に伴い以下のような動きが見られました:
  • B1サイズ用紙に対応したデジタル後加工機の発表
  • 産業用印刷物向けデジタル後加工機の拡充:
    • 産業用印刷物:パッケージ(紙器・軟包装)、シール、ラベル、など
  • デジタル印刷機との連携性のさらなる向上:
    • 特に、商業印刷市場向けや書籍・雑誌・新聞印刷市場向けなど
    • インライン・ニアラインともに

会場では、以下のような動向も見受けられました:
  • 型・版を使わないデジタル後加工機の増加:
    • レーザーカッター、デジタルニス加工機・箔押し機、など
    • 自動給紙や搬送機能付きで生産性向上も実現
  • 小ロット向け 型・版ありデジタル後加工機の提案:
    • スジ押し加工用
    • 樹脂やプラスチック製スジ押し用テープなどを使ってオンデマンドで型を作成
  • オフセット印刷物にデジタル後加工で加飾するデモ、など

こうしたトレンドを踏まえると、drupa2020では以下のようなデジタル後加工機が期待できそうです:
  • デジタル印刷機の柔軟性に対応できるデジタル後加工機:
    • 特に、パッケージ(紙器・軟包装)など産業用印刷物向け
    • 「型・版なし」「型・版あり」ともに
  • 印刷機の生産性とバランスが取れたデジタル後加工機:
    • 生産性が向上された「型・版なしデジタル後加工機」
  • 印刷機の品質とバランスが取れたデジタル後加工機:
    • UVオフセット印刷機と組み合わせて使える「型・版ありデジタル後加工機」
  • 印刷会社の所有する印刷機や仕事内容に合わせてセミオーダーできるデジタル後加工機、など

私は特に、小ロット対応力の高い「型・版ありデジタル後加工機」の進化に期待しています。印刷の分野では、UVオフセット機といった「小ロット対応力の高い版あり印刷機」が広く使われるようになっています。これと同じことが後加工の分野で起こることは十分に考えられると思いますが、いかがでしょう?

小ロット対応力の高い「型・版ありデジタル後加工機」が登場すれば、柔軟性重視型サービスに加えて品質重視型サービスを実現できることから、印刷会社が提供するサービスの多様性がさらに高まります。そうなれば、過度な価格競争からも脱却しやすくなります。

drupaなど印刷機材展では印刷機の進化に注目しがちですが、drupa2020では後加工機の進化にも注目しましょう!

ところで、添付の写真はdrupa2016のHPブースで紹介されていたSEI Laser社製のデジタル後加工機 PaperOne です。搬送機能付きのレーザーカッターで、プラスチック製テープ(英国 Man Mat社製)を使ったオンデマンドスジ押し機能も付いています。写真は、このスジ押し用の型を取り付けているところです(黄色い部分がスジ押し用プラスチック製テープです)。

2016年5月18日水曜日

drupa2016に向けて:パッケージ向けデジタル後加工機の最新動向(アップデート版)

前回の記事B1サイズに対応したデジタル後加工機について少し触れましたが、今回はその詳細をご紹介します。

今年(2016年)3月に「drupa2016に向けて:デジタル後加工機もパッケージ分野が注目!」という記事をアップしましたが、その予想が当たったようで、その後続々とパッケージ市場(特に紙器)向けデジタル後加工機の新製品が発表されています。それらの進化のポイントとして、以下のような点を挙げることができます:

  • 大判化 = B1サイズ対応
  • 高速化
  • オフセット機対応、など

Scodix社の可変ニス加工・可変箔押し機を例に取ると、以下のように進化しています:
  • これまでの最上位機種:Scodix Ultra Pro
    • 最大用紙サイズ:B2+ (545 x 788 mm)
    • 最大加工速度:毎時 1,250枚
  • 最新機種:Scodix E106
    • 最大用紙サイズ:B1 (760 x 1060 mm)
    • 最大加工速度:毎時 4,000枚

最新機種 E106 についてScodix社の方にお伺いしたところ、UVインクを使ったオフセット印刷物へのテストを進めており、今のところ問題ないことを確認しているそうです。Highcon社の筋入れ・型抜き機 Euclid は4年前のdrupa2012時点で既に、オフセット印刷物・デジタル印刷物両方に対応しています。Highcon社の新製品 Highcon Beam の加工速度は毎分 5,000枚と、これまでの毎時 1,500枚から大きく改善されています。

また、MGI社からは輪転タイプのデジタル可変ニス加工機・箔押し機 MGI JetVarnish 3DW が発表されます。これは、最大用紙幅 420mm、最大加工速度 毎分42mというラベル向け加工機ですが、用紙厚 0.4mm までの紙も通るので紙器向けにも使えるようです。軟包装でも使えれば面白そうなのですが、シュリンクの際には熱をかけるので難しいかもしれません (^ ^;

1枚ずつ可変でニス加工や箔押しができるデジタル後加工機はとても大きな可能性が考えられる機材です。しかし、これらが実際に仕事に使えるかは、加工品質や使い勝手などを確認して判断する必要があります。ぜひ、会場でサンプルを手に取り担当者にお話をお伺いしながら、しっかり確認しましょう!

2016年5月16日月曜日

drupa2016に向けて:『オフセット印刷 x デジタル可変後加工』の可能性

今回のdrupaでもデジタル印刷が話題の中心になりそうですが、会場には最新のオフセット印刷関連機材もたくさん展示される予定です。

下図は会場でデモが予定されている主なオフセット印刷機をまとめたものですが、目を引くのは、ほとんどの機種にUV乾燥機が付けられていることです。また、各機種とも自動化・スキルレス化対応が進んでいて、「短納期・小ロットの仕事を低コストで行う」方向性にさらに磨きが掛けられていることが分かります。

もう1点興味深いのは(私だけかもしれませんが(笑))、多くのオフセット機がB1サイズ(728mm x 1,030mm, 菊全判)機であることです。今回のdrupaではB1デジタル印刷機が注目され、あわせてB1サイズ対応デジタル後加工機もいろいろと発表されそうです、例えば、ScodixやMGIからは可変ニス加工や可変箔押しが可能な機材のB1対応機が出品されます。

こうした動きを見ていると、drupa後に「オフセット印刷 × デジタル可変後加工」という印刷サービスが話題になりそうな気がします。これまでは、デジタル後加工機は「デジタル印刷物を加工するもの」という常識(というか、思い込み)がありました。しかし、今やデジタル後加工機がB1やB2サイズに対応できるようになりました。また、デジタル後加工機がオフセット印刷物に対応できるという検証も進んでいます。

こうした状況を考えると、「オフセット印刷の画質の高さ」と「可変印刷の付加価値」を組み合わせた新しい印刷サービスが可能になりそうです。drupa会場では、実際のサンプルを見ながら、その可能性をしっかり確認しましょう!

ところで、今回のdrupaではKBAブースで菊倍判機 KBA Rapida 145 のデモが行われます。2008年のdrupaではVLF(Very Large Format)が話題になりましたが、その秋に起こったリーマン・ショックやその後の消費者のスマホ・タブレット端末利用拡大を背景に、VLFは印刷機材展ではあまり話題に上らなくなりました。そのVLFのデモが行われるなんてさすがdrupaです。やはり、drupaは楽しみがいっぱいです (^ ^)

2016年5月2日月曜日

drupa2016に向けて:"Smart" vs "24/7" 〜 後加工機の2つのトレンド

前回は後加工機材分野のトレンドセッター Hunkeler社(フンケラー, スイス)の出展内容を確認しました。では、他の後加工機材メーカーはどのような機材・ソリューションを提案するのでしょうか。

主な出展企業の発表内容をまとめたのが下図になります。基本的には、Hunkeler と同様に以下のような「スマート」な新製品・ソリューションが多く展示されます。そのため、各社ともソフトウェアを開発・発表し、中には検査システムもあわせて提案するメーカーも見受けられます:

  • バリアブル対応(1部ごとに大きさの異なる印刷物にも対応)
  • 自動化
  • 高速化

これに対して、ドイツの紙折機メーカーMBO社は、定型の仕事を「24/7」つまり24時間・週7日間連続して高速に処理できる「安定性」「耐久性」「高速性」といった点を訴求しています。この違いはどこから来ているのでしょうか?

例えば、前提とする仕事が違う点が挙げられます。
スマート派は、「1部ずつ異なる判型やページ数の書籍」といった仕事を前提としています。これに対して 24/7派は、「文庫本のような判型が同じ書籍、またロット数(部数)はある程度まとまっている」といった仕事を前提としています。

ただ、「スマート」と「24/7」は対立するものではなく、将来的には両立するものだと考えられます。HP社が思い描く「メガロット × 多品種」の仕事、あるいはインダストリー 4.0 が目指すマスカスタマイゼーション(個別大量生産)には、「24時間・週7日スマートに動く後加工システム」が必要不可欠だからです。

ところで、皆さんの会社にとって適切なシステムを選ぶポイントは何でしょう?例えば、「スマート」と「24/7」のバランスをどうれば良いのでしょうか。それを知りたい方は、ぜひブライター・レイター主催のdrupaツアーにご参加ください!締め切りは過ぎましたが、「どうしても」ということでしたらご相談に乗ります (^ ^)