印刷会社の新規ビジネス成功支援を専門とするコンサルティング会社 ブライター・レイター のブログです。

2016年12月30日金曜日

スマート工場はdrupa2020でどう進化するのか?

drupa2016では、データをもとに自分で考える「スマート工場」も話題のひとつでした。自動化・省力化・スキルレス化が進んだ機材を組み合わせて各生産工程を最大限効率化し、さらにクラウドのデータをもとに工場全体の最適化を行う。そんな「夢の工場」がさまざまなブースで紹介されていました。

では、次回drupa(2020年開催)では、このスマート工場はどのように進化するのでしょうか。もちろん、さらなる生産工程の効率化は進むでしょう。ただ、それ以上の進化も十分に期待できます。

例えば、『紙媒体の適切な使い方を提案できる工場』への進化。印刷会社内には、クリエイティブや使用した用紙、コストなど、すでに生産した印刷物に関するさまざまなデータが蓄積されています。これらに顧客が持つ印刷物を活用したキャンペーンの成果など効果に関するデータを組み合わせることで、紙媒体の適切な使い方を予測・提案できるさらにスマートな工場に進化させることができます。この工場では、2016年のキーワードのひとつであるAI(人工知能)がフル活用されるでしょう。

あるいは、『職人と AI がお互いに刺激しあう工場』への進化。私は、AIは必ずしも職人を置き換えるものではないと考えています。むしろ、職人に刺激を与え、その技にさらに磨きをかけるための弟子のような役割を果たすことを期待しています。同時に、AIにとっても職人は精度を高めるための師匠となるでしょう。drupaでは、そんなスターウォーズのような(笑)職人とAIがお互いに刺激しあうスマートな工場の提案があるかもしれません。

『他社事例から学習できる工場』への進化も十分に考えられます。工場をさらにスマートにする方法のひとつに、他の印刷・加工会社のデータを活用することがあります。学習用データは多ければ多いほど、その効果は高くなりますから。また、他社データを活用することで、例えば自社設備の稼働ランキングもわかるようになるといったメリットもあります。ただ、お互いの工場訪問や協業に熱心な印刷業界ですから、もしかしたら、こうした他社事例から学習できるスマートな工場はdrupa前に登場するかもしれません。

他にも自社の『営業戦略を提案できる工場』『設備投資計画をアドバイスできる工場』『物流を最適化できる工場』『適切なセキュリティレベルを管理できる工場』など、さらなるスマート化の方向性としてさまざまなものが考えられます。drupaでは、どんな方向性への進化が提案されるのでしょう?今からとても楽しみです (^ ^)

2016年12月28日水曜日

B0/ VLF枚葉インクジェット機はdrupa2020に出展されるか?

印刷業界の2016年を振り返る時、ドイツ・デュッセルドルフで開催された世界最大の国際印刷機材展 drupa2016に触れない訳にはいきません。とはいえ、drupa2016の内容を改めて紹介するのもナンですので、世界で1番早く次回drupaを予測するブライター・レイターらしく(笑)drupa2016を踏まえつつdrupa2020のトレンドを予測します。

さて、drupa2016の華はB1サイズ枚葉インクジェット式デジタル印刷機でした。Landa社と小森コーポレーション、富士フイルムとハイデルベルグ、ゼロックスとKBAといった、デジタル印刷機・オフセット印刷機のメーカーがそれぞれの強みを持ち寄って共同開発した機種は、非常に高い生産性・印刷品質・用紙対応性などを実現し、オフセット印刷機の一部の仕事を置き換えることも視野に入れています。

drupaの歴史を振り返ると、drupa2008・drupa2012ではB2枚葉インクジェット機が大きな話題でした。そして、drupa2016ではB1枚葉インクジェット機が注目の的でした。では、次回drupa2020(2020年開催)では B0(B倍)やVLF(Very Large Format)の枚葉インクジェット機が出展され、同じように大きな話題になるのでしょうか?

私は、十分に可能性はあると考えています。ただ、それは以下のような特徴を備えた印刷会社をターゲットにしたかなり尖った機種になりそうです:

  • 『B1枚葉インクジェット機 x スマート工場』という仕組みを武器に、小ロット/マスカスタマイゼーション(一品大量生産)向け紙器パッケージ印刷の仕事を十分に開拓できている(あるいは、開拓の目処がついている)印刷会社
  • ギャンギング(複数ジョブの多面つけ)のノウハウも武器である印刷会社
  • 自社が必要なスペックを機材メーカーに示すことができる印刷会社、など

こんなに尖った機種だと「drupa会場で紹介しなくても良いのでは」という声も出てきそうです。しかし、私はこういう尖った機種こそ、drupa会場に展示すべきだと考えます。印刷業界の可能性や気概を業界の内外に示すことができるからです。

この年末年始は、drupa2016を振り返りつつdrupa2020の動向を予測する記事を上げていく予定です。大掃除やおせちに飽きたら、ぜひこのブログを覗いてみてください(笑)!
(写真は drupa2016会場に展示されたB0枚葉UVオフセット機 KBA Rapida 145

2016年12月14日水曜日

フロア広告で足元も華やかに♪

先日(10月ごろだったかと思います)、秋競馬広告仕様の京王線に乗ったところ、床に芝生が印刷されたフィルムが貼られているのを見てびっくりしました。最近、車体にフィルムが貼られたラッピング車両は頻繁に見かけるようになりましたが、床面まで装飾されている電車は初めて体験したような気がします。

そういえば、昨年のJAA広告賞特別賞は、アサヒビールが東京メトロ上野駅を桜尽くしにしたキャンペーンでした。これは、壁や柱はもちろん、天井や床、階段まで桜・桜・桜で埋め尽くされたとても華やかなものでした。

調べてみると、広告代理店の中には『フロア広告』というメニューを提供しているところも少なくありません。言ってみれば、秋競馬広告@京王線やアサヒビールのキャンペーン@東京メトロ上野駅は、このフロア広告を他広告メニューと組み合わせたものです。しかし、企画力でインパクトの大きなものとなっています。

ところで、最近FloorPosterというアイテムが日本でも紹介されるようになりました。これは簡単に言えば、印刷物を挟み込めるフロアマットです。これ単体でもとても面白い広告媒体ですが、ポスターや棚のPOP、シェルフレディパッケージ(SRP)、デジタルサイネージなどと組み合わせることで、例えば店頭ディスプレイのインパクトをさらに高めることができます。

あるいは、画像認識やAR(拡張現実)、デジタル印刷のような技術をFloorPosterと組み合わせることで、お客さまに新しい体験を提供することもできます。例えば、乗ると「奇跡の一枚」が撮れるフロアマットとか、その写真が印刷されたスマホケースなど「奇跡のグッズ」の提供とか、面白そうです。

フロア広告を絡めることで、リアルならではの立体的で効果的で話題性のあるマーケティング活動・販促活動を行いたい広告主の皆さま、あるいは店舗の魅力を高めたい小売店の皆さま、お気軽にお声がけください!

2016年12月12日月曜日

2016年の印刷市場を振り返る:福島県の場合

東日本大震災から5年が経ちました。節目の年ということで、マスコミでも被災地の現状を伝える番組や記事も多かったように思います。皆さんの中にも、さまざまな形で復興に力添えをされた方も多かったと思います。私も復興のお手伝いができればと、この秋はスポンサーという形でWeb広告研究会 東北セミボラ(セミナー&ボランティア)に参加しました。

印刷業界では全日本印刷文化典ふくしま大会10月21日・22日)が開催され、東北地方に注目が集まりました。今回は、福島県中小企業団体中央会が発表する中小企業景況レポートから、福島県の「紙器(紙製パッケージなど)・段ボール箱」と「印刷」の2つの市場概況を振り返ります(9月まで):


  • 2016年1月:

    • 紙器・段ボール箱:堅調感は残念ながら実感できてないのが現状といえる。多品種・小ロット受注でも売上高は何とか維持できたとしても、利益率は下方傾向にあることは否めない。 
    • 印刷:業況が部分的に好転、悪化と入り混じり、見通しは不透明である。また、従来の予測が成り立たなくなっている。
  • 2016年2月:
    •  紙器・段ボール箱:紙器業界も例年になく、厳しい経営状況である。今まで消 費税が上がるたびに、増税後は製品が売れなくなる。まして今度は税率が10%になるので、消費者の財布の紐は固くなるのではと思う。今年は我慢の年。業界全体で結束して頑張っていきたい。 
    • 印刷:例年、3月の年度末に向けた動きが出てくる月だが、大きな動きは感じられない。年度末に期待したいところである。 
  • 2016年3月:
    • 印刷:年度末のかき入れ時としては、業況がまだら模様で年度末の力強さが感じられなかった。
  • 2016年4月:
    • 紙器・段ボール箱:県内紙器段ボール箱業界は、大手工業製品や農産物をはじめ、あらゆる分野において多様な形で使用されている。商品保護はもちろん、機動性等、その役割の重要性は益々高まり私たちの生活の一端として欠かせない存在となっている。我々紙器を取り巻く経営環境は構造的な変化が進んでおり、新たな時代に即応した業界体制を構築すること必要となっている。
    • 印刷:新年度に入り、業界的にも大きな変化は見当たらず、各社とも地道な営業活動で新年度の予算取りに奔走している。 
  • 2016年5月:
    • 紙器・段ボール箱:原材料・副資材ともに高値のまま推移している。小ロットでの受注が多いため生産コスト等経費の増大を招き、業者が次々に廃業に追い込まれる状態。各社とも現在新しい販路を求めて営業活動に余念がないが、新規開拓は時期的に厳しい状況にある。
    • 印刷:円高の進行もあり、前年度同時期に比べると材料費の中の用紙代はやや 低下傾向にあるが、業況は良いとも言えず、各社ともに収益回復に至っていない。 
  • 2016年6月:
    • 紙器・段ボール箱:引き続き、原材料、副資材価格の高止まりや人件費の増大、少子高齢化による後継者不足が課題となっている。
    • 印刷:競争の激化により、利幅は縮小傾向にあり収益面はやや厳しさを増している。
  • 2016年7月:
    • 紙器・段ボール箱:紙器業界は、原発事故以来、依然として風評被害が続いている。景気低迷等から消費者のマインドが大きく低下し、我々小規模事業者に大きな影響を与えている。これから取引先に対しても今まで以上に優れた情報を整理し、新製品の開発を図っていく。 
    • 印刷:復興需要も落ち着いてきており、各社とも売上状況は芳しくないようで ある。今後も低迷が続きそうな見通しである。
  • 2016年8月:
    • 紙器・段ボール箱:消費者の嗜好が多様化、専門化する昨今において、市場ニーズは変化している。小ロット多品種化、新製品開発や販促プロモーションの差別化等、市場ニーズの多層化が進んでいる状況にある。
    • 印刷:例年、8 月は他の月に比べて稼働状況、売上とも低調な月であるが、今 年の夏の景況は特に厳しく感じられた。 
  • 2016年9月:
    • 紙器・段ボール箱:総体的に見て、紙器需要が伸びているという実感がない。福島県にも大勢の観光客が訪れているもののお土産品分野も伸長していない気がする。特に5月の連休明けから 7 月にかけて仕事量が減少している。紙器の中でも貼箱については少量ながら堅調な反面、印刷紙器については減少傾向を払拭できない。今年の中元期では紙器各社も忙しいところと、そうでないところとの格差が大きくなり 2 極化の傾向を否めない。 
    • 印刷:各社とも 8 月に比べ、売上はやや好転しているが、秋口の需要期の力強 さは感じられない。 


上記の景況レポートから、印刷業界注目のパッケージ市場を含む両市場とも1月から一貫して厳しい状況にあることが分かります。そして、厳しい市場環境の理由として以下のような課題が挙げられています:
  • 材料費の高止まり・人件費の増大などのコストに関わる課題
  • 需要の弱さや風評被害、市場の変化といった需要面の課題
  • 利益率低下・後継者不足など経営上の課題
中には「風評被害」といった特有の課題もありますが、多くは全国の印刷会社・後加工会社に共通するものです。もしかしたら、全国の印刷・後加工業界を元気にするヒントが福島県にあるのかもしれません。引き続き、福島県の印刷・後加工の景況に注目していきたいと思います。

2016年12月5日月曜日

「世界でひとつ」を注文する:バッグ、シューズ編

Webから自分の好きな「世界にひとつ」のものを注文できるサービスが広まっています。例えば、以下のような「世界にひとつ」のバッグや財布、手帳、シューズなどを自分でアレンジして注文できるサービスがあります:

  • ルイ・ヴィトン モン・モノグラム
    • モノグラム・ラインのバッグや財布、小物に好みの色でストライプとイニシャルを施し、自分らしくカスタマイズすることができるサービス。
    • 納期:8週間以内
  • アディダス MI ADIDAS(マイアディダス):
    • 「スニーカーを自分の好きなカラーでアレンジしたい」「目標を刻んだスパイクでプレーしたい」誰もが一度は思ったことのある、そんな願いを叶えるシューズカスタマイズサービス。
    • 納期:4週間程度
  • ナイキ NIKEiD
    • お気に入りのシューズやバッグをカラーデザインし、カスタムメイドのプロダクトを作ることができるサービス。
    • 店頭でスタッフのアドバイスを受けながらカスタマイズできる「NIKEiD STUDIO」も原宿・吉祥寺・大阪・福岡などにあり。
    • 納期:3〜5週間

こうしたフルカスタマイズできるサービスも良いですが、ロゴマークや写真、イラスト、言葉などを印刷するだけでも「世界にひとつ」を作ることができます。例えば、私事で恐縮ですが、今年の誕生日にSIGGのトラベラーボトルに写真とメッセージを印刷したものをいただきました。まさに「世界にひとつ」のボトルで、とてもうれしくて外出の際にはいつも持ち歩いています。

実はこのボトル、ハイデルベルグ社(ドイツ)の最新インクジェット式デジタル印刷機 Ominifire 250 で印刷されたものです。この印刷機は、さまざまな素材にフルカラーで印刷できることに加えて、曲面にもキレイに印刷できます。例えば、この動画のようにサッカーボールに直接印刷することもできます。この技術を使えば、飛行機(!)に印刷することも可能だそうです。

「自社製品を『世界でひとつ』にカスタマイズできるサービス」や「特別なノベルティグッズがつくれるサービス」を提供されたいメーカーの皆さん、こんな方法もあります。サービスをご検討される際には、お気軽にお声がけください (^ ^)

2016年12月2日金曜日

第0回 ブライター・レイター・ナイト(12月21日)のお知らせ

ブライター・レイターは、印刷会社の経営層向け月次セミナー『ブライター・レイター・ナイト』(Brighter Later Nite)を 20171月からスタートします。『ブライター・レイター・ナイト』では、以下4つのキーワードを軸に印刷会社の成長事業づくりを後押しします:
  • ファンの育成
  • データの収集・活用
  • 既存事業強化
  • 新しいチャレンジ

来年
1月の本格スタートの前に、第0回として「2016年の印刷市場を振り返り、2020年に向けてスタートダッシュする」を以下のように20161221日(水)に開催します。2020年に向けて成長事業づくりを進めている印刷会社経営層の皆さま、ぜひご参加ください:

【第0回 ブライター・レイター・ナイト 概要】
  • テーマ:2016年の印刷市場を振り返り、2020年に向けてスタートダッシュする
  • 日 時:20161221日(水)19時〜2045
  • 会 場:株式会社グッドクロス 会議室(東京・品川区)
  • 対 象:印刷会社の経営層
  • 定 員:10
  • 料 金:3,000円(税込)
  • お申し込み:ブライター・レイター(担当:山下)までご連絡ください:
    • お支払いは当日お願いします。領収書も発行します。 

なお、20171月以降は以下のように毎月1回定期的に『ブライター・レイター・ナイト』を開催する予定です。奮ってご参加ください:
  • テーマ:ブログなどを通じてその都度ご案内します。
  • 日 時:毎月第3水曜日 19時〜2045
  • 会 場:株式会社グッドクロス 会議室(東京・品川区):
    • JR山手線 五反田駅(西口) 徒歩5分/ 東急池上線 大崎広小路駅 徒歩3分
  • 対 象:印刷会社の経営層
  • 定 員:各回10
  • 料 金:各回3,000円(税込)

【ブライター・レイターについて】
ブライター・レイターは、印刷・加工/マーケティング/IT/インターナショナルの4つの強みを活かして、『コミュニケーションが生まれ、広がり、深まる、デジタル時代の印刷物』の企画・活用や、印刷会社の成長事業づくりを支援するサービスを提供しています。

2016年11月30日水曜日

2016年の印刷市場を振り返る:北海道・石川県の場合〜新幹線開業効果は!?

昨年(2015年)3月14日、北陸新幹線が金沢まで開業しました。そして今年(2016年)3月26日、北海道新幹線 新青森駅 - 新函館北斗駅間が開業しました。新幹線の開業は、その地域の印刷業界にどのような効果をもたらしているのでしょうか。

前回(東京都・千葉県の場合)に続き中小企業団体中央会の情報にもとづいて、今回は北海道と石川県の2016年の印刷市場動向を分析します(注:8月まで):

  • 2016年1月:
    • 石川県:長い正月休暇もあり、売上・収益とも前年同月より下降した。原因は官公庁の見積もり合わせ・入札も減少している。また、一般企業も1月は少し控えめであった。
  • 2016年2月:
    • 北海道:組合員の業況においては、あまり変化のない通常の2月であった。ただこの先の見通しとしては、一般家庭の消費の回復、観光客の入り込み(インバウンド観光)が大きな意味を持つと考えられる。 (加工紙)
    • 石川県:前年同月と比較すると動きも鈍く、業界全体が静かではあるが、3月後半から4月にかけて昨年と違った付加価値ある収益改善を目指して進行中である。昨年の新幹線開通による波及効果を一過性ではなく、より持続できるように知恵と工夫が我々の業界の今後の課題である。組合脱退者が多くなった理由は、後継者がいない、仕事が少なくなった、新幹線開業による仕事に関係がない、である。
  • 2016年3月:
    • 北海道:昨年の3月と比較して、売上高、販売価格、収益にさほど大きな変化はない。(加工紙)
    • 石川県:仕事上年度末は1年で1番多忙な時期に、新幹線開業関連の仕事と重なり、前年同月以上に多忙な毎日であった。収益も多忙な分だけ伸びたように感じるが、近年の低価格落ちを少しでも改善できるよう心がけたい。個人消費は相変わらず足踏み状態が続き、地域経済もまだ回復の実感は乏しい。
  • 2016年4月:
    • 北海道:昨年同月と比較して大きな変化はなかった。(加工紙)
    • 北海道:平成28年度当初の契約額は昨年度に比べて、契約件数で5件、契約額で約3割の減少となったことにより、毎月の売上高は厳しい状況が予想される。(印刷関連サービス)
    • 石川県:前年同月に比較するまでもなく、業界全体が厳しく新年度と言うのに動きが鈍く、収益も減少していたが、後半より連休前に若干の動きが出てきた感じがある。
  • 2016年5月:
    • 北海道:本年度の契約額が前年対比3割減となったことから、売上高は減少した。(印刷関連サービス)
    • 石川県:印刷でも業種によってバラつきがあり、前年同月から見ると売上・収益も下降で先行き不透明感が強い。個人消費は依然低調である。
  • 2016年6月:
    • 北海道:昨年6月はインバウンド効果の影響で売上、収益とも良好でしたが、今年の6月はかなり厳しい状況である。 (加工紙)
    • 石川県:5月報告と同様、印刷の業種によってバラつきがあり。昨年の新幹線開業効果実績も定着してきたが、更なる波及に努力している。収益状況は決していいとは言えない。
  • 2016年7月:
    • 北海道:7月は天候不順が続いて果物関係の段ボール箱の出荷が悪く、道内一般家庭の消費も悪い。業界としては昨年7月よりも厳しい景況である。(加工紙)
    • 石川県:売上高は昨年同様のようにはいかないが、6月から見れば若干の多忙を感じる。8月もこの調子で頑張りたい。
  • 2016年8月:
    • 北海道:台風の大雨による農作物の被害で、これから流通資材の段ボールカートンに大きな影響が出る気配がある。一般家庭の消費も悪く、紙器段ボール箱の引き合いも厳しいと考えられる。 (加工紙)
    • 石川県:8月は恒例と言っても過言ではないが、お盆・子供の夏季休暇も長く仕事全ての動きが鈍く、昨年同月の売上を維持するのが精一杯である。収益も昨年同月の売上維持には程遠いが収益率も悪い。

北海道と石川県、それぞれの市場動向をまとめると以下のようになります。新幹線開業効果を含め、随分と差があるようです:
  • 北海道市場の概況(加工紙中心):
    • 北海道新幹線開通の効果はあまり感じていない模様。
    • 4月までは前年並み、6月以降は天候不順などの影響で厳しい状況が続いている。
  • 石川県の印刷市場概況:
    • 一定の新幹線開業の効果あり。ただ、さらなる上乗せは進んでいない様子。
    • 月によって業績にバラつきあり。
    • 業種によっても業績にバラつきあり。

北海道と石川県のケースをみる限りでは、新幹線の開業が印刷業界にもたらす恩恵は必ずしも大きなものではないようです。ただ、北陸新幹線・北海道新幹線ともにまだ未開業区間があります。また、2020年に向けて海外からの観光客も増えることが見込まれます。今後の展開にも注目していきたいと思います。

なお、印刷・加工紙以外の市場動向については、以下のサイトをご確認ください:
北海道新幹線車両の陸揚げ作業@函館港
北陸新幹線 グランクラス

2016年11月28日月曜日

ロバート・フランク写真展@東京藝大美術館

2016年11月11日〜24日、東京藝術大学美術館(東京・上野)で Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 という展覧会が行われました。スイスの写真家・映像作家ロバート・フランク氏の写真・写真集・映像を包括的に紹介する展覧会で、規模はそれほど大きくありませんが、とても面白いものでした。特に、会場に繰り返し映されていたローリーング・ストーンズの「メイン・ストリートのならず者(Exile on Main St.)」当時の映像にすっかりヤラレました(笑)

このロバート・フランク展で興味深かったことのひとつに、新聞用紙が活用されていたことがあります。会場には、下の写真のように、ロバート・フランクの写真をロール状(トイレットペーパーをイメージしてください)の新聞用紙に印刷したものがそのまま展示されていました。また、一部の映像は、プロジェクターで背後から新聞用紙に映写されていました。会場で販売された展覧会カタログも、新聞用紙に印刷されたものでした(私が行った時には残念ながらこのカタログは売り切れていて、入手できませんでした)。

確かに、新聞用紙は最高の印刷品質を求めるには厳しい紙です。しかし、荒々しさとかライブ感、日常性を出すにはぴったりのもので、この展覧会の趣旨には合っていたように思います。また、今回のように世界50カ国で巡回するような写真展には、貴重な作品を移動させるよりも、データを送って現地で印刷・展示するという方法は適しています。

ローリング・ストーンズのアルバム「メイン・ストリートのならず者」のジャケットのように、たくさんの写真を並べる展覧会でも、ロール紙に印刷・展示というパターンは使い勝手が良いかもしれません。今回のロバート・フランク展は、印刷技術を活用した新たな展覧会の方法を示したという点でも面白いものでした。

もし、「大きなロール紙に印刷したものを展示したい」とか「新聞とかタブロイド紙っぽい展覧会カタログを作りたい」という方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください。最新の印刷技術を使うことで、もっと小さな展覧会でももっと大きな展覧会でも、「ロバート・フランク展っぽい感じ」を出すことができます (^ ^)

2016年11月25日金曜日

インドの印刷市場に注目!

2016年11月22日、日本印刷会館(東京)で(一社)日本印刷産業連合会による「WPCF 及び FAPGA 出張報告会」が開催されました。その中で、韓国・中国・インドの印刷市場についてのいろいろと興味深いお話がありました。

例えば、中国の印刷市場について:まだ成長は続けているものの、その伸びが鈍化し始めていること。印刷物出荷額(約13.3兆円(2013年))の内訳は、パッケージ 75%、出版 15%、商業印刷 10% であること。商業印刷市場は、中国で最もアクティブで有望な市場分野とされていること。

実は、今回のセミナーで一番驚いたのはインド印刷市場の圧倒的なパワーです。例えば、会社数とその従業員数。日本の印刷会社数(2014年)は2万7,000社と日本の基準でいえば十分多いのですが、インドの印刷会社数はその6.5倍の17万5,000社(2012年)。そして、従業員数でみると、インドは日本の8倍以上の250万人(2012年)。

日本からみれば中国の印刷市場は巨大ですが、その中国と比較してもインドは印刷会社数 2.6倍、従業員数 1.3倍 と、さらにその上をいきます。そして、インドの枚葉オフセット印刷機の設置台数(2015年)は、新台 460台・中古 2,535台。インドの印刷物出荷額のデータはセミナーで紹介されませんでしたが、それ以外のデータで見ても、日本のスケールでは計れない規模感であることが分かります。世界は本当に広いです。

こうした大きくて成長している印刷市場にどう向き合い、またどう取り込むか。インド市場向けに輸出とかインドに生産拠点を持つなどの製造業的な動きから、現地の企業と提携してインバウンド需要づくりといったサービス業的な動きまで、いろいろ考えることができそうです。2020年に向けて成長事業をつくるために、インド市場の可能性にもぜひ目を向けてみるのはいかがでしょう。

2016年11月22日火曜日

2016年の印刷市場を振り返る:東京都・千葉県の場合

気が付けば、11月も下旬となりました。まだ早いかもしれませんが(笑)、これから少しずつ2016年の印刷市場を振り返ってみたいと思います。

さて、全国の中小企業団体中央会は、各地の情報連絡員報告をもとにした中小企業動向を発表しています。今回は、東京都と千葉県の中小企業団体中央会の情報をもとに、2016年1月以降の中小印刷会社の動向をまとめます。一体、どんな1年だったのでしょう(注:現時点では8月までの情報しか発表されていません):

  • 2016年1月:
    • 東京都:組合員の間に業績の良し悪しの二極化が進んでいる。また、都心部では再開発等による立ち退きで廃業する組合員が見られる。
    • 千葉県:1月の県内組合員受注売上高は年末年始休業による稼働日の減少に加え、景況感から来る消費マインドの冷え込み等の影響により、印刷需要は芳しくなかったようです。このような状況下、未だデフレが完全に解消できていません。大企業を中心に昇給や冬季賞与の増額が行われ、一部では消費マインドが上向いていますが、市民全体が実感する程の実質賃金上昇にはまだまだ時間が掛かりそうです。
  • 2016年2月:
    • 東京都:依然として厳しい状況が続いているが、技術対応力、企画提案力を備えた企業は売上を伸ばしている。
    • 千葉県:2月の県内組合員受注売上高は、景況感から来る消費マインドの冷え込み等の影響により、全体としては芳しくなかったようです。但し、全社が悪化しているわけでは無く、中には好調な企業もあります。様々な要素でパイの奪い合いが起きてきていますので、その結果として企業の業績に大きく格差がついてきています。
  • 2016年3月:
    • 千葉県:3月半ば迄の県内組合員受注売上高は、先行き不安な景況感から来る消費マインドの冷え込み等の影響により、全体としては芳しくなかったようです。但し、中には年度末需要を受注し好調な企業もあります。様々な要素でパイの奪い合いが一層激しくなって来ていますので、またデフレになっています。その結果として、企業の業績に大きく格差がついてきていますので、全体の景況感改善は未だ先です。
  • 2016年4月:
    • 千葉県:4月の県内組合員受注売上は、全体として悪かったようです。ここ数年の現象として、旧年度予算の受注品は何が何でも3月末までに納品するよう求められます。その結果、各組合員で仕事が溢れかえる状況が見受けられます。その反動で新年度は全く稼働しない状況が垣間見えますので、印刷資材はとても動きが鈍く、用紙はコピー用紙の売上でほぼ前月に近い売り上げを確保している状況です。
  • 2016年5月:
    • 東京都:当組合で実施している売上動向調査(28 年 1 月~ 3 月)がまとまった。1 ~ 3 月の売上は 103 と前年を上回ったが、4~6月の予測は前年比 98 と先行きの不透明感が拭えない結果となった。
    • 千葉県:5月の県内組合員受注売上は、ほぼ4月の横ばいの数字で一向に景気が改善していない模様です。来日外国人によるインバウンド効果も一時期の勢いが無くなり、国民の消費もデフレの状態が引き続き継続しています。政府も補正予算を組み景気浮揚を目指していますが、将来の社会保障や国の債務等の不安が払しょくできません。これらの結果として消費が上向かず、相変わらず激しい価格競争中。
  • 2016年6月:
    • 東京都:従業員の採用に苦慮する組合員が多い。
  • 2017年7月:
    • 千葉県:ペーパーレス化が徐々に侵食している。紙の出荷量が減っている。しかし、紙メーカーは値上げの効果で増収増益。地方の零細印刷会社への用紙デリバリー・サービスがどんどん縮小している。円高の影響で用紙の価格は下がるはずだが、値下げの動きは無い。
  • 2016年8月:
    • 東京都:業績の良い企業とそうでない企業で二極化している。
    • 千葉県:先行きの暗さは変わらない。紙の出荷量が減っている。しかし、紙メーカーは値上げの効果で増収増益。

東京都・千葉県の両方に共通するトレンドとして以下のような点が挙げられそうです:
  • 全体として市場環境は厳しい。先行きも不透明:
    • 来日外国人によるインバウンド効果も一時期の勢いが無くなり(千葉県・5月)
  • しかし、中には業績の良い企業もあり、二極化の傾向あり:
    • 技術対応力、企画提案力を備えた企業は売上を伸ばしている(東京都・2月)

こうした状況は、他道府県と比べてどうなのでしょう?また、秋以降のトレンドはどうなっているのでしょうか。他地域の動向も確認し、また秋以降の業界動向も引き続きウォッチしたいと思います。

そういえば、2016年は5月末〜6月初旬にかけて、国際印刷機材展 drupa2016 が開催されました。日本からもたくさんの印刷業界関係者が視察し、また終了後の報告会にもたくさんの方がご参加されたと思います。ここで得た情報から、たくさんの厳しい現状を打破するアイデアが浮かんでいれば良いのですが(注:写真はdrupa2016の会場風景です)。

なお、東京都と千葉県の印刷業以外の中小企業動向については、以下のサイトをご確認ください:
  • 東京都中央企業団体中央会 ライブラリー:
    • このうち、「中小企業だより 最新号」「中小企業だより バックナンバー」をご確認ください。
  • 千葉県中小企業団体中央会「中小企業ちば

2016年9月29日木曜日

『印刷 x AI 』だョ!全員集合

世間ではすっかりAI(人工知能)流行りですが、印刷の分野にAIを活用することで以下のような進化を実現できます:

  • 集客力の強化
  • 制作・生産工程のさらなる自動化・スキルレス化
  • マスカスタマイズ(一品大量生産)対応力の強化
  • 印刷サービスのグローバル展開
  • 経営のさらなる合理化、など

その際には、例えば以下のようなAIが活躍します:

  • AI Web Marketer for 印刷通販:
    • 自動的にバナー広告を制作・運用し、非常に効果的に集客してくれるAI。
  • AI Graphic Designer/ AI Editorial Designer:
    • 対話を通じて、期待通りあるいは期待以上の印刷物を自動的にデザインしてくれるAI。
  • AI Color Manager:
    • 異なる機種間はもちろん、複数の印刷会社間でも正確に色を管理してくれるAI。BCPにも活用可。
  • My DM:
    • AIを活用することで、受け取られた方が「これは私のDM!」と感じる効果の高いDMを提供するサービス。
  • AI Global Business Development Manager:
    • 印刷サービスを他言語展開・多文化展開してくれるAI。
  • AI 印刷設備投資アドバイザー:
    • 設備の稼働状況や営業活動状況をもとに、最適な印刷設備投資についてアドバイスしてくれるAI。

印刷以外の分野を見ても、AIの開発・活用は始まったばかりです。上記のようなAIやAIを活用したサービスもまだ取り組み始めたばかりで、どこまで実現できるか正直分かりません(笑)ただ、今から始めれば、誰よりも先にAIを武器にした新しい競争のルールを印刷市場に持ち込み、売上・利益を大きく伸ばせる可能性は十分にあります。

ブライター・レイターでは現在、AIで印刷市場にイノベーションを一緒に起こしたいやんちゃな(笑)パートナーを大募集しています!


あなたは、2020年までに成長事業を構築できるか?

これは、拙訳書「未来を創る」(JAGAT刊)の中で「おそらく本書で最も重要な質問」として挙げられているものです。『印刷 x AI 』は、2020年までに成長事業をつくる有力な方法のひとつだと考えています。

AIで印刷ビジネスを進化させたい印刷会社、そのためのシステムを提供したい印刷機材メーカー、印刷を愛するAIベンチャー企業など、2020年までに成長事業をつくりたい皆さまからのご連絡を心よりお待ちしております (^ ^)

2016年9月12日月曜日

【新サービスのご案内】印刷会社さまの体幹を鍛える研修

ブライター・レイターでは、「印刷会社さまの体幹を鍛える研修」の提供を開始いたします。サービス・工場・ブランドの3つを『印刷会社さまの体幹』と位置づけ、研修を通じてこれらを鍛えていただきます。本研修は、以下の内容になります:

  • 準備運動:狙いを定める:
    • 3つのシンプルな質問に答える:
      • 御社は、どんな「コト」を提供しているか?
        • 顧客のどんな課題を解決したり、期待に応えたりする「コト」を提供しているのか?
      • なぜ、それを提供しているのか?
        • 顧客がさまざまな課題や期待を持つ中で、御社はなぜその課題・期待にフォーカスしているのか?
      • 誰が、それを心の底から必要としているのか?
    • MISを活用する。
    • 先見型アプローチを活用する、など
  • サービスを鍛える:
    • メニューを尖らせる。
    • 問診票を進化させる。
    • 課金モデルを進化させる
    • 価格設定力を鍛える、など
  • 工場を鍛える:
    • 仕組みを尖らせる。
    • 営業との関係を太くする。
    • 顧客・「顧客の顧客」との関係を太くする。
    • 設備投資上手になる、など
  • ブランドを磨く:
    • メッセージやストーリーを共有する。
    • スキルや専門知識を磨く。
    • スタッフの誇りを高める。
    • ファンを増やす、など

  • 研修概要:
    • 講 師:ブライター・レイター 山下 潤一郎
    • 以下の3つのコースをご用意しております:
      • 1回(概要紹介)コース
      • 3回(速習)コース
      • 6回(しっかり習得)コース
      • 1回あたり3時間程度、月1回を想定:
        • 毎回、座学とワークショップを組み合わせて実施
        • 宿題も毎回あり。
      • 定 員:10名程度を想定
    • 提案力のみ・商材のみ・工場のみなど、特定のテーマだけを扱うカスタム研修も対応可能。
    • 1社での開催・業界団体などを通じての複数社での合同開催など、さまざまなパターンにも対応:
      • 会場や研修日時などは応相談。
      • 人数や回数、1回あたりの研修時間なども適宜対応いたします。
    • 印刷機材メーカーさま、印刷機材販売会社さまなどが主催されるイベントでの開催にも対応いたします。
    • 料 金:応相談

ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

2016年7月5日火曜日

KADOKAWAさん、drupa2016で何を買いましたか?

drupaで最新の印刷機材を購入するのは、印刷会社だけではありません。drupa2016期間中の6月4日、HP社から「KADOKAWAが新たに構築する書籍の製造プラットフォームに、HPのデジタル印刷ソリューションが採用された」との発表がありました。

KADOKAWAが今回購入した機材には以下のようなものが含まれます。いずれも、今回のdrupaで発表されたばかりの最新機材です:


これらの機材は、所沢市の旧所沢浄化センター跡地にKADOKAWAが建設する生産および物流の拠点に導入される予定です(2018年に稼働予定)。これらの機材を使うことで、文庫、ライトノベル、新書、コミック等の本文、口絵、表紙、カバー、帯にいたるまでを一貫生産できます。

ところで、KADOKAWAは2015年4月からアマゾンジャパンと書籍・雑誌の直接取引きを始めています。また、今回drupaで買った機材が設置される旧所沢浄化センター跡地では、KADOKAWAは「ところざわサクラタウン(仮称)」という出版という枠を超えたテーマパーク的な事業を展開する計画です。

こうした動きから、KADOKAWAはdrupa2016で購入した機材を活用して、直接消費者に書籍やサービスを提供する「B2C企業」へと進化したいのでは、と想像されます。最近、メーカーのマーケティング担当者から、「物流企業が間に入ることで、自社製品を使ってくださっている消費者の顔が見えにくくなるケースもある」というお話をお伺いすることがあります。

もしかしたら、KADOKAWAも同じような課題を持っているのかもしれません。確かに、消費者と直接取引きできれば、自社製品(書籍や雑誌)に対する評価やニーズを把握しやすくなります。一方、物流コストは下がってきていますし、デジタル印刷システムを使えば在庫を最小限にできます。こうした市場環境の中、「出版ビジネスのB2C化」を模索する動きが本格化しても不思議はありません。

2016年8月5日(金)18時15分から東京・神保町で、「最新印刷技術が切り拓くこれからの出版ビジネス - drupa2016に学ぶビジネスの可能性 -」というセミナーを開催します(企画:出版研究センター、主催:出版ビジネススクール事務局)。このセミナーでは、今回の記事で分析したKADOKAWAの取り組みにもさらに深く切り込みます。

出版分野でのデジタル印刷活用にご興味のある方、あるいは出版ビジネスの競争のルールを変えるアイデアをお探しの方、ぜひご参加ください (^ ^)

HP PageWide Web Press T490 HD
HP Indigo 50000

2016年6月30日木曜日

Elanders社さん、drupa2016で何を買いましたか?

「drupa2016で何を買いましたか?」シリーズ第2弾はElanders社(スウェーデン)です。Elandersはもともとスウェーデンの印刷会社でした。それが今では、従業者数およそ3,200人、15カ国以上でサプライチェーンマネジメント、印刷&パッケージ、eコマースなどのサービスを提供する企業へと進化しました。

drupa初日の5月31日、ElandersがLandaの商業印刷用B1枚葉デジタルインクジェット機 S10P のヨーロッパにおけるベータサイトとなることが発表されました。Landa社のリリースによれば、S10PはElanders社がドイツ国内に持つ施設内に設置されます。Elanersは、S10Pで広告関係の印刷物やカタログ、DM、高級な雑誌などを印刷する計画です。

drupa会場で、ElandersはHP社から以下の機材も契約しました:

HP社のリリースによれば、Web Pressはオフセットの仕事をデジタルに置き換えることで効率性を高めるために使われます。そして、Indigoは自動車や家電などのデータドリブンなキャンペーンで使うことが想定されています。これらの機材はドイツおよびスウェーデンのElanders社の施設に設置されます。

ちなみに、Elanders社は中国にもオフィス(北京)と印刷工場(北京・上海)を持っています。すべて空港の近くにあり、工場にはデジタル機とオフセット機が設置されています。今回のdrupaで発注・予約した機材は中国には設置されないようですが、今後Landaが北京や上海に設置されるかもしれません。

Elandersは物流を得意とする会社なので、LandaやIndigoを使った自動化された仕組みで「日本の印刷の仕事を北京や上海で受けて日本に発送する」というサービスを提供するかもしれませんね。「物流 × デジタル印刷」が切り拓く印刷サービス、まだまだ可能性が大きそうです (^ ^)

2016年6月28日火曜日

Cimpress社さん、drupa2016で何を買いましたか?

drupa2016が終わってからまだ2週間あまりですが、すでにたくさんのdrupa2016報告会が開催されています。ありがたいことに、私にもたくさんのお声がけをいただいております。ただ、時間の都合でなかなか報告会ではご紹介できないお話も少なくありません。

例えば、「印刷会社さんがdrupa会場でどんな機材を購入(予約)したか」というもの。とても面白いトピックなのですが、ここまで深掘りする機会は滅多にありません。折角なので、このブログでご紹介したいと思います。

その第1回目はCimpress社(オランダ)。1994年創業の比較的新しい商業印刷会社ですが、年商はおよそ15億ドル(1,500億円)。Vistaprint を傘下に持つ世界最大の印刷通販会社といった方がイメージが湧きやすいかもしれません。もともとVistaprintという社名でしたが、さまざまな印刷通販会社を買収したため、Cimpressという社名に変更しました。

さて、そんなCimpress社はdrupa2016でどんな機材を購入(予約)したのでしょうか。Landa社のニュースリリースによれば、まずdrupa初日の5月31日に 、Landa社の商業印刷用B1サイズ枚葉デジタル印刷機 S10P を20台導入することを発表しました。

仮に1台5億円とすると、20台100億円の投資です。ベータテストが成功裏に終わった後という条件付きではありますが、かなり思い切った判断です。導入される際には、Cimpress社用にカスタム化されるようです。

Cimpress社の「お買い物」はこれだけに留まりません。WhatTheyThinkの記事によれば、HP社の液体トナー機 Indigo 20台も購入しました(Indigo 12000と推定)。オランダ、イタリア、カナダに設置する予定で、注文したIndigoの半数以上は年内に設置されます。実は、Cimpress社はHP社製デジタル印刷機の世界最大のユーザーで、今回のdrupaで発表された PrintOS もすでに活用しています。

Cimpress社は、デジタル印刷機によって一部既存のオフセット印刷の仕事を置き換えることを考えていますが、同時に新しい仕事の獲得も計画しています。効率性重視の印刷通販会社においても、デジタル印刷の導入・活用状況はどんどん進みそうです (^ ^)


Cimpress CEO Robert Keane shakes hads with  Indigo General Manager Alon Bar-Shany
copyright: WhatTheyThink

2016年6月20日月曜日

drupa2016まとめ(その1)

2016年5月31日から6月10日の11日間、ドイツ・デュッセルドルフで世界最大の印刷機材展 drupa2016 が開催されました。私は今回、5月31日〜6月4日の5日間会場に通いました。前回(2012年)は足を踏み入れることの無かったホールもあったのですが、今回は何とか全ホール(19ホール)を取材することができました!

とはいえ、会場となったデュッセルドルフ見本市会場は、屋内部分だけでも展示スペースは262,400㎡。これは、昨秋IGAS2015が開催された東京ビッグサイト第1ホール〜第6ホールの合計(約83,000㎡)のおよそ5倍の広さ。そして出展企業数は1,837社。正直、見ていない部分の方が多そうです (^ ^;

さて、今回のdrupaでしたが、印刷物発注者そして印刷会社の課題や期待が多様化していることを背景に、展示内容も非常に多様化していた印象でした。ただ、いくつかの方向性は見えてきたように思います。その方向性は、例えば以下のようにまとめることができそうです:

  • B1 drupa
  • Inkjet drupa . . . Season 3
  • 24/7/365 drupa
  • (色+α)on paper drupa
  • 1% drupa
  • その他注目のトピック:
    • 次世代トナー機
    • 3Dプリンター
    • AR/ VR/ プロジェクションマッピング
    • 曲面に印刷
    • 印刷通販会社の出展、など

私の表現力不足で、字面をみても「何これ?」というものもあるかと思われます (^ ^; この詳細を以下のセミナーなどでご説明しますので、ご参加いただければと思います:


上記以外にもdrupa報告セミナーが企画されています。決まり次第お知らせしますので、ご都合のよろしい会にぜひご参加ください!会場でお会いできるのを楽しみにしております (^ ^)

2016年5月25日水曜日

drupa2016に向けて:その他注目の印刷・加工技術, Webサービスなど

「印刷の未来」に触れることができるのも、drupaの面白さのひとつです。
例えば、今回のdrupaでは新しい印刷物や印刷サービスを可能にする、以下のような最先端の印刷・加工技術を見ることができそうです(というか、見たいです(笑)):


また、会場では以下のようなWebサービスに関する展示も探してみます。これらと印刷(あるいはコミュニケーション)を組み合わせることで、新しくて刺激的なサービスを開発できそうだからです:

  • 機械学習
  • 深層学習(ディープラーニング)
  • 認知技術(画像認識, 音声認識, 自然言語認識, など)
  • AI(人工知能)
  • IoT/ Industrie 4.0
  • Bot、など

私はここ1年〜2年くらい、セミナーで「近い将来、テンプレートベースの印刷通販は無くなって、対話を通じてデザインする印刷通販が主流になる」というお話をしています。上記のようなWebサービスを使うことで、「対話ベースの印刷通販サービス」は実現できそうな感じです。デザインのスキルも身に付けた女子高生AIりんなちゃんが、ステキな会話をしながらナイスな印刷物をデザインする、というイメージでしょうか(笑)

印刷の可能性を広げる新しい技術は、まだまだたくさんあります。広い会場には、印刷関連の展示会では普段見かけないような最新技術が展示されているかもしれません。ぜひ、小さなブースにも目を光らせながら、新しいサービスのネタを探しましょう!

2016年5月23日月曜日

drupa2016に向けて:印刷系ソフトウェアの最新動向

drupa2016の特徴のひとつに、ソフトウェアに対する興味が高まっていることが挙げられます。印刷会社や印刷機材メーカーの方々とdrupa事前情報についてお話をしていると、ソフトウェアに言及される方がかなりの割合でいらっしゃいます。

これまでの展示会ではハードウェアばかりが話題になることが多かったので、この変化に少々驚いています。とはいえ、印刷サービスにおけるソフトウェアの重要性を考えると、この変化は当然のことです。

さて、主な印刷機メーカー(デジタル印刷機およびオフセット印刷機)やEFI社のソフトウェア関連の出品状況をまとめたのが下の4枚のスライドになります。これらから、drupa2016におけるソフトウェアのトレンドとして、以下のようなキーワードが見えてきます:
  • 統合化(end-to-end ソリューション)
  • クラウド化
  • セグメント化
  • モバイル化/アプリ化

統合化(end-to-endソリューション)やクラウド化は4年前のdrupa2012でも言われていましたが、今回はより実用的なレベルの商品として提案されそうです。一方、モバイル化/アプリ化については、米国・シカゴで2013年に開催されたPRINT13で比較的大きく扱われていたように思うのですが、今回はあまり表立って出てきていないように思います。

ただ、マーケティングやコミュニケーション分野では、注目されているというか「普通」に対応が進んでいるものです。会場では、ソフトウェアのモバイル化/アプリ化の動向もしっかり確認しましょう。

EFI社は、私が勝手に(笑)「印刷系ソフトウェアのトレンドを知る目安」にしている企業です。必ずしも最先端の技術を取り入れた製品を開発・提案している訳ではないのですが、常に広い視点から「少し先」を示す製品を紹介しているように思うからです(気のせいかもしれませんが(笑))。そのEFI社ですが、今回は以下のようなセグメント別のソフトウェアを出品するのが印象的です:
  • 印刷会社の規模別
  • 市場別(パッケージなどアプリケーション別)

印刷機や加工機が「万能なもの」から「特徴のあるもの」「自社に合ったもの」「仕事に合ったもの」へとシフトしているのにあわせて、ソフトウェアも同様に進化しているようです。また、今回のソフトウェアでは、以下の機能に注目したものが多く見られるように思います:
  • カラーマネージメント
  • マーケティング

マーケティング用ソフトウェアについては、毎回ゼロックス社のXMPieに注目しているのですが、今回も面白いものが紹介されそうです。また、リコーがこの分野のソフトウェアを積極的に展示することを発表しています。コニカミノルタも、ソフトウェアのお話にはあまり触れていませんが、ブース全体としてマーケティングをテーマにすることを発表しています。

マーケティング関連ソフトウェアは、印刷会社が自社の需要やブランドを創造することに加えて、顧客(印刷物発注企業)がその顧客(印刷会社から見れば「顧客の顧客」)との関係を深めるための有効なツールです。また、仕事をどんどん獲得し、印刷機や加工機をガンガン回すためのとても大事なツールです。
ぜひ、この分野の情報も積極的に収集・分析しましょう!

2016年5月20日金曜日

『スマート作業着』開発パートナー絶賛募集中!

国際印刷機材展 drupa2016 開催まで残り約10日となりました。
drupaに限らず、「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」や「スマート工場(考える工場)」という言葉を見たり聞いたり読んだりする機会は増えています。このような流れに乗って工場がスマートになっていく中、工場を管理する方や工場で働く方はどのように「スマート」になれば良いのでしょうか。

そこで、ブライター・レイターでは、工場スタッフの体型も含めた(!)スマート化を実現する「スマート作業着」の開発に取り組みたいと考えています。そして、開発に当たっては、以下のような最新テクノロジーの知見を持つ皆さまのご協力を必要としています:

  • パワードスーツ
  • HoloLens のような没入しない VR
  • AI(人工知能)
  • スマートヘルスケア/ HealthTech
  • MarTech (Marketing Technology)
  • FinTech、など

スマート作業着を使うことで、会社の社長や工場のスタッフは以下のようなメリットを得ることができます:

  • 年齢・性別・話せる言語・経験を問わず即戦力になる!
    • 工場の地方展開・グローバル展開が容易になる!
  • どんどん健康になれる!
    • 体型も(健康的に)スマートになる!
  • ミス・ロスがなくなる!
  • 作業効率が高まる!
  • 工場の稼働率が高まる!
  • 工場そのものがどんどんスマートになる!
  • 会社全体がスマートになる!、など

このスマート作業着、モジュールを変えたりすることで、工場以外にも以下のような「現場」での活用を想定しています:

  • 農作業
  • 福祉・介護
  • 医療
  • 教育
  • 工事・建設、など

多分に妄想混入率(笑)が高いお話しですが、せっかくの新しいプロジェクトなので大きなスケールで考えたいと思っています。市場規模も大きいように想像できますし。とても刺激的で面白いプロジェクトになること請け合いです (^ ^)

このプロジェクトにご興味をお持ちくださった方、お気軽にお問い合わせください。特に、資金提供のお申し出は大歓迎です(笑)。来年とか再来年の South by Southwest などで試作品をご紹介できたら面白いですね。

腕に覚えのある皆さま、ご協力のほど何卒よろしくお願いいたします!

2016年5月18日水曜日

drupa2016に向けて:パッケージ向けデジタル後加工機の最新動向(アップデート版)

前回の記事B1サイズに対応したデジタル後加工機について少し触れましたが、今回はその詳細をご紹介します。

今年(2016年)3月に「drupa2016に向けて:デジタル後加工機もパッケージ分野が注目!」という記事をアップしましたが、その予想が当たったようで、その後続々とパッケージ市場(特に紙器)向けデジタル後加工機の新製品が発表されています。それらの進化のポイントとして、以下のような点を挙げることができます:

  • 大判化 = B1サイズ対応
  • 高速化
  • オフセット機対応、など

Scodix社の可変ニス加工・可変箔押し機を例に取ると、以下のように進化しています:
  • これまでの最上位機種:Scodix Ultra Pro
    • 最大用紙サイズ:B2+ (545 x 788 mm)
    • 最大加工速度:毎時 1,250枚
  • 最新機種:Scodix E106
    • 最大用紙サイズ:B1 (760 x 1060 mm)
    • 最大加工速度:毎時 4,000枚

最新機種 E106 についてScodix社の方にお伺いしたところ、UVインクを使ったオフセット印刷物へのテストを進めており、今のところ問題ないことを確認しているそうです。Highcon社の筋入れ・型抜き機 Euclid は4年前のdrupa2012時点で既に、オフセット印刷物・デジタル印刷物両方に対応しています。Highcon社の新製品 Highcon Beam の加工速度は毎分 5,000枚と、これまでの毎時 1,500枚から大きく改善されています。

また、MGI社からは輪転タイプのデジタル可変ニス加工機・箔押し機 MGI JetVarnish 3DW が発表されます。これは、最大用紙幅 420mm、最大加工速度 毎分42mというラベル向け加工機ですが、用紙厚 0.4mm までの紙も通るので紙器向けにも使えるようです。軟包装でも使えれば面白そうなのですが、シュリンクの際には熱をかけるので難しいかもしれません (^ ^;

1枚ずつ可変でニス加工や箔押しができるデジタル後加工機はとても大きな可能性が考えられる機材です。しかし、これらが実際に仕事に使えるかは、加工品質や使い勝手などを確認して判断する必要があります。ぜひ、会場でサンプルを手に取り担当者にお話をお伺いしながら、しっかり確認しましょう!

2016年5月16日月曜日

drupa2016に向けて:『オフセット印刷 x デジタル可変後加工』の可能性

今回のdrupaでもデジタル印刷が話題の中心になりそうですが、会場には最新のオフセット印刷関連機材もたくさん展示される予定です。

下図は会場でデモが予定されている主なオフセット印刷機をまとめたものですが、目を引くのは、ほとんどの機種にUV乾燥機が付けられていることです。また、各機種とも自動化・スキルレス化対応が進んでいて、「短納期・小ロットの仕事を低コストで行う」方向性にさらに磨きが掛けられていることが分かります。

もう1点興味深いのは(私だけかもしれませんが(笑))、多くのオフセット機がB1サイズ(728mm x 1,030mm, 菊全判)機であることです。今回のdrupaではB1デジタル印刷機が注目され、あわせてB1サイズ対応デジタル後加工機もいろいろと発表されそうです、例えば、ScodixやMGIからは可変ニス加工や可変箔押しが可能な機材のB1対応機が出品されます。

こうした動きを見ていると、drupa後に「オフセット印刷 × デジタル可変後加工」という印刷サービスが話題になりそうな気がします。これまでは、デジタル後加工機は「デジタル印刷物を加工するもの」という常識(というか、思い込み)がありました。しかし、今やデジタル後加工機がB1やB2サイズに対応できるようになりました。また、デジタル後加工機がオフセット印刷物に対応できるという検証も進んでいます。

こうした状況を考えると、「オフセット印刷の画質の高さ」と「可変印刷の付加価値」を組み合わせた新しい印刷サービスが可能になりそうです。drupa会場では、実際のサンプルを見ながら、その可能性をしっかり確認しましょう!

ところで、今回のdrupaではKBAブースで菊倍判機 KBA Rapida 145 のデモが行われます。2008年のdrupaではVLF(Very Large Format)が話題になりましたが、その秋に起こったリーマン・ショックやその後の消費者のスマホ・タブレット端末利用拡大を背景に、VLFは印刷機材展ではあまり話題に上らなくなりました。そのVLFのデモが行われるなんてさすがdrupaです。やはり、drupaは楽しみがいっぱいです (^ ^)

2016年5月13日金曜日

drupa2016に向けて:ハイエンドA3枚葉トナー機の最新動向

気がつけば、もう長い間ハイエンドA3サイズトナー式デジタル印刷機は、国際印刷機材展で話題の中心になっていないような気がします。2008年以降はインクジェット機にスポットライトが当たるようになり、トナー機の分野でも安価で扱いやすいライトプロダクション機が注目されるようになったことが理由として挙げられます。

ただ、ハイエンドトナー機は着々と進化を続けており、新製品も発売されています。今回もHPからIndigo 7900、コダックからは、NexPress ZX3900といった新製品が発表されます。昨秋東京で開催されたIGAS2015では、以下のような機種が発表・展示されました:

前回(2012年)のdrupa以降、ハイエンドトナー機は「多色化(5色以上)」と「長尺化」といった点を中心に進化しています。多色化では、「5色機になった」だけでなく、「5色目として用意されたトナーの色」も話題になっています。例えば、IGASで発表されたiGen5では、オレンジ/グリーン/ブルーが5色目として用意されました。HPは、蛍光ピンクのトナーを発表していました。

そして今回、コダックは白トナーを発表しました(正確には「ホワイトドライインキ」です)。白トナー対応機はライトプロダクション市場では大きな注目を集めていますが、ハイエンド市場向けにはHP以外のメーカーからなかなか新製品が発表されませんでした。

長尺化も進んでいます。確かdrupa2012の時点ではiGenが最大幅 600mm でしたが、これに対抗するコダックはNexPressで最大 900mm に対応することを発表しました。コダックはさらに、drupa2016で 1200mm に対応したNexPressを発表します。

ところで、キヤノンやリコーといった日本のメーカーもこの市場に競争力のある製品を投入していますが、HPやゼロックス、コダックといった米国系メーカーがトレンドを作っています。「5色目」の展開もあまり積極的ではない印象ですし、長尺化に関しても後追いしているように感じます。

もちろん、色数を増やしたり長尺化を進めることが必ずしも良い訳ではありません。それらの進化が、ユーザーである印刷会社や印刷物発注者にとって重要な意味を持つことが大事なのです。

drupa会場ではぜひ、「なぜ、米国系メーカーは多色化・長尺化に積極的なのか?」といった点に注目することをオススメします。そこから、新しいデジタル印刷サービスのヒントやデジタル印刷サービスで競争力を高めるヒントが得られるかもしれませんから (^ ^)

また、ハイエンド機ならではの画質の高さもしっかり確認&楽しみましょう!個人的には大量に印刷した際の画質安定性にも興味があるのですが、それはなかなか展示会では確認することはできません・・・それが実感できる展示もあったら面白いですね。
やはりdrupaは見どころがいっぱいでとても楽しみです♪

2016年5月11日水曜日

drupa2016に向けて:最新輪転インクジェット機(ハイエンド機)比較

先日、「drupa2016に向けて:最新インクジェット機のチェックポイント」という記事で、インクジェット式デジタル印刷機の進化をdrupa会場で確認するポイントを示しました。今回は、実際に会場で展示されるハイエンドの輪転インクジェット機の仕様を具体機に比較してみました。

現時点(2016年5月10日)では、この市場向けにミヤコシ、KBA、Landa、HPなどからdrupaで新製品を展示することが発表されています。このうち、ミヤコシ MJP20AX の注目ポイントは 2400 x 2400 dpi という解像度です。

先日の記事にも書きましたが、2400dpiという解像度はゼロックス社のiGenなどハイエンドトナー機と同等です。さらに、このインクジェット機はオフセットコート紙にも対応していることから、商業印刷分野への活用が期待されます。。ミヤコシは、このデジタル印刷機の実機デモを会場で行うことを発表しています。デモで実際の印刷品質を確認しましょう!

KBAは、drupa2012に続いて今回もRotaJET(KBA RotaJET 77)を展示することを発表しています。前回は、中綴じブックレットの製本インライン後加工機が多少注目されたものの、印刷速度が150m/分と特筆すべきではなかったこと、解像度が600dpiということもあってか画質の評価があまり高くなかったことなどから、日本国内ではあまり話題になりませんでした。

しかし、今回は印刷速度300m/分、解像度1200dpiと競合製品と遜色のないスペックになりました。これらが、最大用紙幅770mmという特徴と組み合わされるとどのような活用法が可能になるか、かなり興味をそそられます。こちらのデモにも参加したいと思います。

Landaは、枚葉式インクジェット機に加えて、輪転式インクジェット機 Landa W10も出品します。Landa W10の見どころとしては、例えば以下のような点が挙げられます:

  • 多色印刷の効果(8色機):ミヤコシの 2400 dpi x 4色機 との比較
  • 最大用紙幅 1050mm という特徴を最大限に活かす提案:
    • アプリケーション(印刷物の種類)や後加工機との連携、など
  • 印刷品質:200m/分という高速でベルトから適切に転写されるのか、など

ところで、輪転(連続紙用)インクジェット機のターゲット市場は、インクジェットdrupaと呼ばれた2008年当時は「帳票(トランスプロモ)」が中心でした。それが、前回(2012年)は書籍や新聞、冊子などへと拡大し、今回(2016年)は商業印刷や軟包装へとさらに広がっています。

また、ハイエンドの輪転デジタル印刷機といえば「インクジェット機」だったのが、HP社からIndigo 50000 という液体トナー機が発表されたことで、機材の多様化も進みそうです。こちらの記事でも書いたように「インクジェット版ライトプロダクション機」という動きが出てきたことで、ハイエンド機の位置付けも明確になりそうです。

まだまだこの市場の進化は続きそうです (^ ^) drupaでは、この市場の最新動向もしっかりチェックしましょう!

2016年5月9日月曜日

drupa2016に向けて:B1デジタル印刷機比較!

2014年7月に「drupa大胆予測 (1):drupa2016は『B1 drupa』に!」という記事を書いたのですが、この記事中で触れたハイデルベルグ・Landa(+小森コーポレーション)・HPという3社のB1サイズデジタル印刷機がやっと出揃いました!

ただ、予想と少し違ったのは、HP社は枚葉機ではなく輪転機(連続紙用)のB1デジタル機を発表したことです。また、想定アプリケーション(印刷物の種類)も紙器に加えて軟包装・ラベルや商業印刷など、こちらも予想と異なる結果となりました。プレーヤーという点でも、富士フイルムが(ハイデルベルグと共同開発という形ですが)3社に加わりました。

こうした「予想外」の動きから、2020年に向けてデジタル印刷はさらに盛り上がることが見込まれます。なぜなら、前回(2012年)のdrupaで注目したキーフレーズデジタルをメインストリームに」の実現につながりそうな以下のような動きが想定されるからです:

  • 輪転機の登場 = さらなる(デジタル印刷の)生産性向上
  • 想定アプリケーション(印刷物の種類)の多様化 = 多くの市場におけるデジタル印刷のさらなる活用
  • プレーヤーの多様化 = 競争による製品の洗練化、など

drupa2016で展示されるB1デジタル機は来年(2017年)から出荷される予定で、drupa時点ではまだ試作機の段階です。それでもかなり作りこまれていることは確かなので、ぜひ画質や使い勝手などご自身の目でご確認ください (^ ^)
なお、各製品の詳細はそれぞれのリンク先をご確認ください:

2016年5月6日金曜日

drupa2016に向けて:『未来の技術』が見られるブース一覧

drupa2016公式サイトの「出展企業・製品データベース」には、「Future Technologies(未来の技術)」という項目があります。今回は、この Future Technologies に登録されている企業のうち、面白そうなものをリストアップしてみました。「印刷の未来/未来の印刷」の視察も計画されている皆さんのご参考になれば幸いです。

デジタル印刷機材・後加工機材だけでも見るべきブースはたくさんあってすでに回りきれそうもない状況ですが(笑)、できるだけこうしたブースでも情報収集したいと考えています。「次の印刷サービス」のヒントがいろいろ見つかりそうですので (^ ^)






なお、以下のような『未来の技術』がまとめて展示されているコーナーもあります。お時間がない場合にはこちらに立ち寄るというパターンもありそうです:

2016年5月2日月曜日

drupa2016に向けて:"Smart" vs "24/7" 〜 後加工機の2つのトレンド

前回は後加工機材分野のトレンドセッター Hunkeler社(フンケラー, スイス)の出展内容を確認しました。では、他の後加工機材メーカーはどのような機材・ソリューションを提案するのでしょうか。

主な出展企業の発表内容をまとめたのが下図になります。基本的には、Hunkeler と同様に以下のような「スマート」な新製品・ソリューションが多く展示されます。そのため、各社ともソフトウェアを開発・発表し、中には検査システムもあわせて提案するメーカーも見受けられます:

  • バリアブル対応(1部ごとに大きさの異なる印刷物にも対応)
  • 自動化
  • 高速化

これに対して、ドイツの紙折機メーカーMBO社は、定型の仕事を「24/7」つまり24時間・週7日間連続して高速に処理できる「安定性」「耐久性」「高速性」といった点を訴求しています。この違いはどこから来ているのでしょうか?

例えば、前提とする仕事が違う点が挙げられます。
スマート派は、「1部ずつ異なる判型やページ数の書籍」といった仕事を前提としています。これに対して 24/7派は、「文庫本のような判型が同じ書籍、またロット数(部数)はある程度まとまっている」といった仕事を前提としています。

ただ、「スマート」と「24/7」は対立するものではなく、将来的には両立するものだと考えられます。HP社が思い描く「メガロット × 多品種」の仕事、あるいはインダストリー 4.0 が目指すマスカスタマイゼーション(個別大量生産)には、「24時間・週7日スマートに動く後加工システム」が必要不可欠だからです。

ところで、皆さんの会社にとって適切なシステムを選ぶポイントは何でしょう?例えば、「スマート」と「24/7」のバランスをどうれば良いのでしょうか。それを知りたい方は、ぜひブライター・レイター主催のdrupaツアーにご参加ください!締め切りは過ぎましたが、「どうしても」ということでしたらご相談に乗ります (^ ^)

2016年4月28日木曜日

drupa2016に向けて:連続紙用デジタル後加工機の動向 〜 Hunkeler社の場合

日本からもたくさんの印刷業界関係者が参加する2年に1度のイベント Innovationdays を主催するスイスのHunkeler(フンケラー)社は、連続紙(ロール紙)用デジタル印刷向け後加工機材(デジタル後加工機材)メーカーです。

Hunkelerは、今回のdrupaでも大きな存在感を示すことが期待されます。drupa向け発表資料(PDF, 英文)を読むと、特に以下の方向に進化した連続紙用デジタル後加工機が展示されることが分かります:
  • 可変対応力強化(1部づつ異なる印刷物の加工が可能に)
  • 高速化
  • 自動化

さて、Hunkelerは展示方法も特徴があります。例えば、最新機材を1点ずつ紹介するのではなく、特定市場に向けたソリューションとして展示する方法です。今回も、Hunkelerブースでは、以下のようなソリューションが紹介されます:

また、Hunkelerは、デジタル印刷機メーカーや他後加工機メーカーのブースに後加工機を置くことにも積極的です。今回のdrupaでも、例えば以下のようなブースに機材を展示し、デモを行う予定になっています:


このようにさまざまなデジタル印刷機と連携し、多様なアプリケーション(印刷物の種類)に対応した後加工機を提供しているHunkeler社ですが、例えば以下のようなカバーしていない分野も見受けられます:

  • パッケージ:紙器、軟包装ともに
  • B1・B2サイズ枚葉式デジタル機、など

もちろん、drupa会場に行けば隠し球的に展示されている可能性もあります。しかし、「連続紙のページ物(書籍・冊子・雑誌など)や新聞、DMなどの商業印刷物」のソリューション・連続紙用デジタル後加工機に特化する戦略をとる可能性も考えられます。

では、他のデジタル後加工機メーカーの「パッケージ」や「B1・B2サイズ枚葉デジタル機」向けの機材はどうなっているのでしょう?次回は、こうした部分をチェックしたいと思います。
お楽しみに!

2016年4月27日水曜日

drupa2016に向けて:インクジェット版ライトプロダクション機の可能性

drupaやIGASなどの大きな機材展では、高性能・高機能なハイエンドの機材に注目が集まります。スーパーカー(例えが古くてすみません(笑))を楽しむノリで、ハイエンド機をあーだこーだと評価するのは、正直私も大好きです(笑)。しかし、例えばハイエンドの輪転式インクジェット機は、価格もサイズも中小規模の印刷会社が導入するのが簡単ではないレベルに達しています・・・

では、中小規模の印刷会社はインクジェット機の導入を諦めなければならないのでしょうか?あるいは、大きなリスク覚悟で導入しなければならないのでしょうか。実は、drupa2016では、インクジェット機版ライトプロダクション機とでも呼べそうなセグメントの機材が展示されそうです。

ところで、国内で電子写真方式デジタル印刷機(トナー式デジタル機)の導入が進んだ背景として、いわゆるライトプロダクション機が市場に投入されたことが挙げられます。それまでのデジタル印刷機は、富士ゼロックスやコダック、HPが販売する高性能・高画質・高価格のハイエンド機が中心でした。こうした市場に、画質や機能は限られていますがその分低価格のライトプロダクション機が投入されたことで、国内のデジタル印刷市場は急速に拡大しました。

私は、インクジェット機でも同様に展開する可能性は大きいと考えています。ハイエンド輪転式インクジェット機(ハードウェア)の価格は、1台数億円です。この規模の投資ができ、さらに数年で回収できる印刷会社は限られています。

その一方で、インクジェット機のランニングコストはトナー機に比べて低く、厳しい価格競争に巻き込まれている多くの印刷会社にとっては魅力的です。これは、ハードウェアの価格が印刷会社が投資できる範囲に収まれば(あわせて画質も許容範囲内になれば)、導入が進む可能性を示しています。

drupa2016では、比較的低価格のインクジェット版ライトプロダクション機がさまざまなメーカーから提案されます。InfoTrends社は、インクジェット機のライトプロダクション市場を "Zone of Disruption"(破壊的な領域)と呼んでいます。ゼロックスが今回のdrupaで発表する Brenva HD や Trivor 2400 は、明確にこの市場をターゲットにしています(ちなみに、これら2機種は iGen の筐体を流用しています)。

インクジェット機には、理想科学工業のオルフィスやMemjet技術を活用した印刷機など、本体価格もランニングコストも低いローエンド市場があります。中長期的には、こうしたローエンド機寄りのライトプロダクション市場が立ち上げる可能性も考えられます。

会場では、ライトプロダクション機の「本体価格・ランニングコスト・画質」のバランスをぜひご確認ください。あわせて、どのくらいの本体価格・ランニングコスト・画質なら実際に導入して売り上げ・利益を伸ばすことが可能か、その際どんな仕事に使いたいかなど、インクジェット印刷ビジネスの可能性も考えてみてください。
こうした頭の体操ができるのも、drupaの魅力だと思いますので (^ ^)

2016年4月25日月曜日

drupa2016に向けて:主な出展企業のdrupa関連リリース&特設サイト一覧


drupa2016開幕まで残りおよそ1ヶ月となりました。改めて、主な出展企業のdrupa関連リリースや特設サイトをまとめてみました。ご参考にしていただければ幸いです (^ ^)

なお、これらは出展企業各社の公式サイトに掲出されているもので、印刷業界紙・業界誌などのサイトに載っているものは(あえて)カバーしていません。こうして見ると、各社のdrupa情報の発信状況にはかなり差があることが分かりますね。印刷会社の皆さん、印刷機材メーカーにWeb上での情報発信をアドバイスするサービスのチャンスです(笑)!

注)各社のdrupa公式サイト(www.drupa.com)に掲載されている情報は、「drupa2016に向けて:主な企業の出展場所一覧(ホール別)」からご確認ください。






2016年4月22日金曜日

drupa2016に向けて:スマートワークフローでスマート印刷工場を!

前回の記事で、drupa2016は 『スマートdrupa』と呼ばれると予測しました。
この背景となるIndustrie 4.0(インダストリー4.0)やスマート工場(考える工場)についてはこちらなどの記事をお読みいただくとして、今回はスマート印刷工場に必要不可欠となるスマートワークフローについてご紹介します。

さて、そもそも『スマート印刷工場(考える印刷工場)』は何を考えれば良いのでしょう?例えば、以下の目的を「効果的・効率的に実現するマーケティング施策」を考えることが挙げられます:

  • 「顧客の顧客」視点からの顧客企業の需要とブランドの創造
  • 顧客企業視点からの自社の需要とブランドの創造
  • 需要とブランドの創造を通じた『稼ぐ力』の強化/価格競争からの脱却、など

これを実現するためには、「顧客の顧客」や顧客1人づつ(1社づつ)に合わせたコミュニケーションが必要不可欠になりますが、先にご紹介した記事にも書かれているように、それを実現する「マスカスタマイゼーション」の仕組みもIndustrie 4.0 のキーワードのひとつです。

印刷会社が「マスカスタマイゼーション」を通して、効果・効率の高いマーケティング施策を考えられる「スマート印刷工場」を実現するためには、以下のような機能を持つ「スマートワークフロー」が必要不可欠です:

  • 顧客や「顧客の顧客」の行動をトリガー(切っかけ)に、それぞれにぴったりの印刷物を自動的に生産・発送できる。
  • 顧客企業内のマーケティングシステムと連携が取れる。
  • APIを通して、さまざまなWebサービスと連携が取れる。
  • さまざまな印刷機材(ハードウェアおよびソフトウェア)をシームレスにつなぐことができる。
  • マーケティングの効果・効率を高めるために必要なデータを自動的に収集・分析できる:
    • 顧客や「顧客の顧客」の行動・気持ちなどが見える化できる。
  • AI(人工知能)が使われている、など

ところで、ワークフローの第1世代であるワークフローRIPは、印刷会社内(特にプリプレス部分)の業務効率化が目的とされていました。そして、第2世代であるデジタルワークフローは、印刷会社と顧客がつながり、その間のやり取りの効率化に大きな効果を挙げています。

drupa2016では、第3世代となる「スマートワークフロー」に注目したいと考えます。HPはdrupaに向けてPrintOSというコンセプトを発表しています。まだ詳細は不明ですが、これがスマートワークフローに近いものでは、と勝手に妄想を膨らませています(笑)。

デジタル・IT業界がよくわかる本」(志村一隆著、宣伝会議)によれば、「OSとは、スマートフォンのスイッチや通話、カメラといった機器にあらかじめ備わっている機能を動かしたり、LINEやゲームといったアプリを動かす役目を担っているプログラム」のことです。

この文章中の『スマートフォン』を「デジタル印刷機」や「後加工機」、また『LINEやゲームといったアプリ』を「ワークフローやWeb to Print、カラーマネージメントといったソフトウェア」と置き換えると、HPがOSという表現を使う意味というか迫力が見えてきます。

これまでの発表から、ワークフロー分野では「クラウド化」がdrupa会場での話題になることが見込まれます。しかし、個人的には「ワークフローのスマート化 = スマートワークフロー」に注目しています。実は、スマートワークフローが、drupa2016の『マイベスト注目ポイント』だったりします (^ ^)

なお、『スマート印刷工場』や『スマートワークフロー』はブライター・レイターの造語です。これらの言葉が流行るよう、皆さんどんどんお使いください(笑)!