印刷会社の新規ビジネス成功支援を専門とするコンサルティング会社 ブライター・レイター のブログです。

2012年8月30日木曜日

破壊すべき印刷業界の『旧来の慣習』:追加分(2)

前回に続いて、「未来を破壊する」ではカバーされていない「破壊すべき『旧来の慣習』」に触れたいと思います。今回は、「総合印刷を目指すべし!」というものです。

印刷会社の中には、社名に「総合印刷」が入っている会社もあれば、自社のサービス内容を「総合印刷」とご説明されているところも少なからず見受けられます。googleで「"総合印刷会社"」(注:引用符付きです)を検索すると、約80万件の結果が見つかります。

ところで、皆さんは「スマイルカーブ」と呼ばれるグラフをご存知でしょうか?経営学などで使われるもので、縦軸に売上高利益率・横軸に会社の規模を取ったものです(最近では、横軸にサプライチェーンを取ったりもしています)。

これはまだ私の仮説なのですが、縦軸に会社全体の売上高利益率・横軸に印刷会社が提供するサービスの種類(あるいは印刷物の種類)を取ると、この「スマイルカーブ」の形になるのではと考えています。例えば、前回のブログで紹介した印刷通販会社で見ると、グラフィックやプリントパックは「印刷サービスの種類が多く、利益率も高い」という例、また東京名刺センターや挨拶状ドットコムは「印刷サービスの種類を絞って、印刷率を高めている」という例になります。

このグラフによれば、東京名刺センターや挨拶状ドットコムよりも印刷サービスの種類が多い会社は、これらの会社よりも利益率が低いことになります。また、グラフィックやプリントパックよりも種類が少ない会社についても同様です。こうした状況は、印刷通販以外の印刷市場にも当てはまると思われます。提供する印刷サービスが増えれば営業の手間も増え、生産コストも十分に下げることが難しくなると考えられるためです。

さて、「総合印刷会社」の規模やサービス内容をみると多岐に渡っています。中には、印刷サービスの種類が十分に利益を高められる規模に達していない会社もあるでしょう。こうした印刷会社が利益率を高める方向性として、グラフィックやプリントパック、あるいは大日本印刷や凸版印刷に対抗できる「総合印刷会社を目指す」というものと、「提供する印刷サービスの種類を絞る」という2つが考えられます。

このうち、現在の厳しい市場環境も勘案すると、「提供する印刷サービスの種類を絞る」という選択肢の方が取り易い印刷会社は少なくないと思われます。この方向に進む際には、「利益率の低い仕事を明らかにし、それを受注しないようにする」という取組みと同時に、「利益率の高い仕事の受注を増やす」という取組みを進めることが求められます。

「仕事を受注しない」というのは、厳しい市場環境においては、勇気が必要なことかも知れません。しかし、「印刷サービスの絞り込み」に取り組むことは、印刷会社の競争力強化につながることです。是非、勇気を持って進めていただきたいと思います。実際、リスクを抑えながらこうした取組みを進める方法はいろいろ考えられます。こうした取組みを企画・実行される際には、是非ご相談ください。


2012年8月28日火曜日

破壊すべき印刷業界の『旧来の慣習』:追加分(1)

拙訳書「未来を破壊する」には、厳しい市場環境の下で売上・利益拡大を目指す印刷会社が破壊すべき「何十年にもわたって印刷業界を導いてきた『旧来の慣習』」がいろいろと挙げられています。ただ、2010年に米国で発行された本ということもあって、2012年の日本市場における「破壊すべき『旧来の慣習』」をカバーしきれていないように思われます。

例えば、私は「小ロットの仕事/端物の仕事は儲からない」という「旧来の慣習」は破壊すべきだと考えています。国内市場においても、平均受注単価が数万円といわれるグラフィックプリントパックは、年商100億円規模の企業に成長しています。また、名刺専門の東京名刺センターは、ホームページによれば年間生産量は約86万箱です。挨拶状印刷を専門とする挨拶状ドットコムは、社員数十名で年商約8億円の規模だそうです。

海外市場でみても、小ロットの仕事を集めて大きなビジネスを実現している企業が見受けられます。従業員10名以下の企業をターゲットしているVistaprintは、2011年6月期の売上は10億ドル(約800億円)に達しました。

また、ドイツの印刷通販会社Flyeralarmは1日に10,000件以上のジョブ(1ジョブあたり 300〜5,000枚)、Pixartprinting(イタリア)は平均約2,800件のジョブをヨーロッパ中から集めています。グラフィックやプリントパックでの1日平均ジョブ数は1,000件程度ということですから、Flayeralarm社やPixartprinting社の規模の大きさが分かります。mooは英国に本社を置く名刺やカードを専門にする印刷会社ですが、年々事業を拡大しており、現在の従業員数は100名を超えています(ちなみに、東京名刺センターの従業員数は90名だそうです)。

インターネットの普及により、「小ロットの仕事」「端物の仕事」でも印刷会社は十分に大きな売上を実現することができるようになっています。私は、スマートフォンやタブレットの広まりによって、「小ロット」や「端物」のビジネスは更に大きく伸びると考えています。

「小ロットの仕事/端物の仕事は儲からない」という『旧来の慣習』から自由になることで、今後2〜3年で年商数億円という印刷サービスを実現する印刷会社が、国内で次々に登場することを期待します。