前回に続いて、「未来を破壊する」ではカバーされていない「破壊すべき『旧来の慣習』」に触れたいと思います。今回は、「総合印刷を目指すべし!」というものです。
印刷会社の中には、社名に「総合印刷」が入っている会社もあれば、自社のサービス内容を「総合印刷」とご説明されているところも少なからず見受けられます。googleで「"総合印刷会社"」(注:引用符付きです)を検索すると、約80万件の結果が見つかります。
ところで、皆さんは「スマイルカーブ」と呼ばれるグラフをご存知でしょうか?経営学などで使われるもので、縦軸に売上高利益率・横軸に会社の規模を取ったものです(最近では、横軸にサプライチェーンを取ったりもしています)。
これはまだ私の仮説なのですが、縦軸に会社全体の売上高利益率・横軸に印刷会社が提供するサービスの種類(あるいは印刷物の種類)を取ると、この「スマイルカーブ」の形になるのではと考えています。例えば、前回のブログで紹介した印刷通販会社で見ると、グラフィックやプリントパックは「印刷サービスの種類が多く、利益率も高い」という例、また東京名刺センターや挨拶状ドットコムは「印刷サービスの種類を絞って、印刷率を高めている」という例になります。
このグラフによれば、東京名刺センターや挨拶状ドットコムよりも印刷サービスの種類が多い会社は、これらの会社よりも利益率が低いことになります。また、グラフィックやプリントパックよりも種類が少ない会社についても同様です。こうした状況は、印刷通販以外の印刷市場にも当てはまると思われます。提供する印刷サービスが増えれば営業の手間も増え、生産コストも十分に下げることが難しくなると考えられるためです。
さて、「総合印刷会社」の規模やサービス内容をみると多岐に渡っています。中には、印刷サービスの種類が十分に利益を高められる規模に達していない会社もあるでしょう。こうした印刷会社が利益率を高める方向性として、グラフィックやプリントパック、あるいは大日本印刷や凸版印刷に対抗できる「総合印刷会社を目指す」というものと、「提供する印刷サービスの種類を絞る」という2つが考えられます。
このうち、現在の厳しい市場環境も勘案すると、「提供する印刷サービスの種類を絞る」という選択肢の方が取り易い印刷会社は少なくないと思われます。この方向に進む際には、「利益率の低い仕事を明らかにし、それを受注しないようにする」という取組みと同時に、「利益率の高い仕事の受注を増やす」という取組みを進めることが求められます。
「仕事を受注しない」というのは、厳しい市場環境においては、勇気が必要なことかも知れません。しかし、「印刷サービスの絞り込み」に取り組むことは、印刷会社の競争力強化につながることです。是非、勇気を持って進めていただきたいと思います。実際、リスクを抑えながらこうした取組みを進める方法はいろいろ考えられます。こうした取組みを企画・実行される際には、是非ご相談ください。
印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
2012年8月30日木曜日
2012年7月22日日曜日
印刷会社が「変化する = 生き残り、さらに売上・利益を拡大する」ためのポイント
昨日(7月21日)、印刷技術懇談会の35周年記念講演会に参加しました。講演は下記のような豪華3本立てで、とても刺激的なものでした:
面白かったのは、事前に各講師が内容をすり合わせた訳ではなかったと思うのですが、それぞれがそれぞれを補完・強調するような内容になっていたことです。3つの講演全体を通して示されたポイントは、以下のようにまとめられるかと思います:
- 水上印刷株式会社 社長 水上光啓 氏
- 「業態変革からソリューションプロバイダーへの進化」
- 内閣官房 地域活性化伝導師 木村俊昭 氏
- 「地域産業である印刷会社が地域振興に果たす役割」
- 中西印刷株式会社 専務 中西秀彦 氏
- 「電子書籍がやってくる ---- 紙と印刷の未来」
面白かったのは、事前に各講師が内容をすり合わせた訳ではなかったと思うのですが、それぞれがそれぞれを補完・強調するような内容になっていたことです。3つの講演全体を通して示されたポイントは、以下のようにまとめられるかと思います:
- 戦略を立て、勇気とエネルギーを持って行動に移す:
- 部分最適ではなく、『全体最適』を実現するための戦略を立てる:
- 自社と顧客、その顧客まで含めた最適化を実現する戦略
- 事業構想(利益が上がる仕組み作り)、事業継承も含めた戦略
- 実行する際には顧客やパートナーも巻き込む:
- 顧客やパートナーと情報を共有し、役割を分担する:
- それぞれの「得意なこと」を組み合わせて全体最適化を実現する。
- ワンストップソリューションも戦略を立てて実現する。
- 提供するサービス内容を継続的に評価・分析し、サービスを強化し続ける:
- 顧客に積極的・主体的に関わる:
- コミュニケーションを通じて悩みを聞き出し、その解決案を提案する:
- 解決策は、全体を最適化するもの
- 悩みを解決する仕組み作りに、企画から関わる
- 人の感性に訴求する印刷サービスを価値として提供する
- 自分ではなく顧客の喜びを考える
- 人財を育成し、企業文化・企業風土を含めた「独自力」を高め続ける。
- サービスの比較対象を自分の中に持つ。
- 自分から積極的に変化する:
- 少しずつでも取り組む。
- 継続的に取り組む。
- 自分のやっていることに熱中する
- 自分のモチベーションを高める:
- 「楽しく、豊かに、感動しながら、かっこ良く」
- 自信を持って前に進む
- 少しずつ継続的に変化し続けることを通じて、業態変革を実現する:
- 業態変革の推進力は、経営者の情熱
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