印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
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2018年12月3日月曜日

ブライター・レイター流 JANPS2018 まとめ


2018年11月28日〜30日の3日間、新聞製作技術展(主催:日本新聞協会, 協賛:日本新聞技術製作技術懇話会)が開催されました(会場:東京ビッグサイト)。JANPSは3年に1度開催される展示会で、記事の作成や組版といった上流から印刷・加工といった下流までの様々な技術が紹介されます。

今回のJANPSでは、『(オフセット印刷で大量・高速に新聞を)印刷をする』からどうデジタルを使って『情報を配信する』かに出展内容が大きくシフトしていたのが印象的でした。中には、Webへの配信や配信後の記事が誰にどう読まれたかを記者が自分のデスクで把握できるソリューションやAI(人工知能)で記事を要約したり見出しを生成する技術、コンビニで新聞をプリントアウトするサービスなども紹介されていました。また、会場で展示・配布されていた新聞のほとんどがデジタル印刷新聞でした。

この背景には、新聞社が「従来の(オフセット印刷による)新聞だけが取材のアウトプット形式ではない」と考えていることがあります。そして、こうした「デジタルを使って『情報を配信する』」ことをどうマネタイズするか。これに新聞社は知恵を絞っていることも伝わってきました。また、人手不足や働き方改革にも積極的に取り組んでいます。


JANPS会場では、新聞・通信社のこうした課題の解決に向けたチャレンジの最新動向が伺えました。それらのチャレンジは、ソリューションプロバイダーやマーケティング担当者などパートナーのサービスの進化にも大いに役立つものです。新聞業界向けソリューションを提供されている皆さん、また魅力的なマーケティングサービスを探している皆さん、ぜひ次回(3年後になりますが)会場に足を運ぶことをおススメします。

ところで、会場ではイベントを活用した企業のマーケティングトレンドなどを紹介するメディア「イベントマーケティング」の取材も受けました。こちらの記事にコメントも取り上げていただいたので、ぜひお読みください!
人工知能研究の取り組み@朝日新聞社ブース

デジタル印刷の取り組み@TKSブース

デジタル印刷新聞のサンプル@コダックブース

デジタル印刷新聞のサンプル@朝日新聞社ブース

コンビニで新聞などをプリントアウトできるサービス@BITブース

新聞・通信社のデジタル事業の取り組み@日本新聞協会ブース

2018年7月31日火曜日

IGAS2018速報!(10). . . デジタル印刷向け検査システム

  • 富士ゼロックス Color 1000i Press + カラーBMP照合検査装置 @マイクロ・テクニカブース:
    • インラインで検査可能
    • 可変絵柄検査対応


  • コニカミノルタ AccurioPress C6100/ C3080 + インテリジェントクオリティオプティマイザー(自動検品機能)


  • 理想科学工業 T2 + カラーBMP照合検査装置 @マイクロ・テクニカブース:


  • ジクス Theory sheet:
    • デジタル印刷品質検査装置
    • 可変情報の検査と品質検査をワンパスで実現


  • ジクス Theory web:
    • 連帳インクジェット機向け品質検査装置


  • ナビタスビジョンソリューション NaviScan-POD/ NaviScan-A3

2018年7月11日水曜日

主なセミナーの一覧表@IGAS2018

最近の印刷機材展では「セミナー」も重要なコンテンツになっています。IGAS2018も同様で、会議棟で行われる主催者セミナー・出展者セミナーに加えて、ホリゾンブース内の "Smart Factory Zone" やモリサワブースなど、展示会場内でも多くのセミナーが開催されます。

今回のブログでは、主なセミナーを日程別にまとめ、さらに開始時間順に並べました。こうして見ると、残念ながら時間がすべてのセミナーには参加できないことが分かります (^ ^; ただ、『見逃せないもの』をピックアップし、それをベースに展示会を効果的に回ることはできそうです。皆さんの計画づくりのご参考になれば幸いです。

なお、以下タイムテーブル(?)の時間の色はそれぞれ「赤:ビッグサイト会議等」「青:モリサワブース」「黒:Smart Factory Zone」を示しています。詳細は各サイトをご確認ください。また、上記会場のものでも記載し損ねているセミナーや上記以外の会場でのセミナーもあるかと思います。随時追加していきますので、どしどし(笑)情報をお寄せください!

【7月26日(木)】
  • 11:30〜12:10:スマートファクトリーへつなぐ見える化:
    • 作道印刷 作道 孝行 氏
  • 11:30〜12:30:Print of Thingsで印刷の未来が変わる 〜 グーフ Connected Print Solution 〜@モリサワブース
    • グーフ 岡本 幸憲 氏
  • 12:45〜13:45:フォント男子!~企業コラボレーションによるコンテンツの創出とwebコミックの現在~@モリサワブース
    • KADOKAWA ヤングエースUP編集部 加藤 浩嗣 氏
  • 13:00〜13:40:MISと幹部育成 〜何のためのMISか〜@Smart Factory Zone:
    • クイックス 岡本 泰 氏
  • 13:40〜14:20:基調講演「印刷におけるイノベーションと世界トレンド - 出版/商印/パッケージ分野」@東京ビッグサイト会議棟6F
    • Mr. Thayer Long, Association for Print Technologies
    • Mr. Peter Lane, FAPGA
  • 13:55〜14:40:「デジタル x アナログ」で実現する次世代型コミュニケーション@Smart Factory Zone:
    • イーリスコミュニケーションズ 鈴木 睦男 氏
  • 14:15〜15:00:これからのデザイン新常識!「Adobe Sensei」が実現する次世代デザイン環境@モリサワブース
    • アドビ システムズ株式会社 仲尾 毅 氏
  • 14:20〜15:50:アジアの主要国の印刷業界の現状@東京ビッグサイト会議棟6F
    • オーストラリア、中国、インド
  • 14:45〜15:35:「小ロットな仕分けと出荷を大きく変える」1日1000件の出荷、10人がたった2人になった!@Smart Factory Zone:
    • DKS 相馬 謙一 氏
    • ダイワハイテックス 高橋 正明 氏
    • 椿本チエイン 吉村 信彦 氏
    • キヤノンマーケティングジャパン
  • 15:30〜16:30:創作活動をサポートするということ~超小ロット・多品種・短納期を実現する印刷会社ポプルス流のはたらき方改革~@モリサワブース
    • 株式会社ポプルス 児玉 雄一郎 氏
  • 15:50〜16:35:最先端医療メーカーがなぜ? 最新インクジェット機を導入し自社生産に走る意図とは!@Smart Factory Zone:
    • キヤノンメディカルシステムズ 兵藤 伊織 氏
  • 16:00〜17:30:パネルディスカッション「デジタル印刷の現状」@東京ビッグサイト会議棟6F


【7月27日(金)】
  • 10:30〜12:00:アグフアと創造するプリプレスのファクトリーオートメーション@東京ビッグサイト会議棟608号室
    • 栄進堂印刷 西藤 栄祉 様
    • 藤和 伊藤 英隆 様
    • 原多印刷 上村 浩二 様
  • 10:30〜11:15:印刷会社が最も変わらなければならないこと 〜 社会変革から求められる役割 〜@Smart Factory Zone:
    • 佐川印刷 佐川 正純 氏
  • 11:00〜13:00:顧客目線で見る印刷媒体の持つ力とその有効性・可用性@東京ビッグサイト会議棟
    • ディノス・セシール 石川 森生 氏
    • 電通 北原 利行 氏
  • 11:00〜12:00:IoT活用で印刷業は変われるか?@モリサワブース
    • キンコーズ・ジャパン 守屋 博紀 氏
  • 11:30〜12:10:印刷を変え、未来を拓く 〜Fujifilm Smart Factory の中核となる次世代ワークフローシステムとInkjet Press〜@Smart Factory Zone:
    • FFGS 宮城 安利 氏
    • 富士ゼロックス 荻野 賢 氏
  • 12:30〜13:30:2020年までに知っておきたい多言語の話@モリサワブース
    • モリサワ 阪本 圭太郎 氏
  • 13:00〜14:30:小学館が美術書印刷に選んだ新デジタルクオリティー@東京ビッグサイト会議棟101号室
    • 小学館 速水 健司 氏
    • 日本写真印刷コミュニケーションズ 海津 裕一 氏
    • ブライター・レイター 山下 潤一郎 氏(モデレーター)
  • 13:00〜13:40:高速インクジェットプリンターを活用した製品マニュアル自動化生産システムの構築ポイント@Smart Factory Zone:
    • キヤノンメディカルシステムズ 兵藤 伊織 氏
    • グーフ 岡本 幸憲 氏
    • ホリゾン・インターナショナル 衣川 竜二 氏
  • 13:55〜14:40:マーケターからみた、印刷メディアの魅力 〜 お客様とのエンゲージメントを実現するために 〜@Smart Factory Zone:
    • マルケト 小関 貴志 氏
  • 14:00〜15:00:印刷加工業からシステム開発業へ! GiHのデジタルトランスフォーメーション@モリサワブース
    • GiH 木戸 敏雄 氏
  • 14:30〜16:30:Japan Color認証制度デジタル印刷認証@東京ビッグサイト会議棟
    • 小森コーポレーション 波多野 孝司 氏
    • 日本印刷産業機械工業会 大久保 寿男 氏
  • 14:55〜15:35:紙、復活。@Smart Factory Zone:
    • 日本HP 山田 大策 氏
  • 15:00〜16:30:「ひと目で惹きつける」デジタル加飾の成功事例@東京ビッグサイト会議棟101号室
    • 島津印刷 島津 延義 氏
    • ユーメディア 佐々木 弘知 氏
    • ミヤギパッケージ 森 武司 氏
    • 帆風 須藤 高幸 氏
    • Mr. Kevin Abergel, MGI Digital Technology
    • ブライター・レイター 山下 潤一郎 氏(モデレーター)
  • 15:30〜16:30:パーソナル人工知能のマーケティング変革@モリサワブース
    • SENSY 渡辺 祐樹 氏
  • 15:50〜16:35:M&Aとテクノロジー活用で持続的成長を目指す@Smart Factory Zone:
    • アサプリホールディングス 松岡 真一郎 氏


【7月28日(土)】
  • 11:00〜13:00ラベルパッケージ分野で拡大するデジタル印刷商材@東京ビッグサイト会議棟
    • 共進ペイパー&パッケージ 鍛治川 和広 氏
    • 花王 蓮見 裕威 氏
  • 11:00〜12:00:デジタルメディアとしての紙を考える@モリサワブース
    • アウトブレインジャパン 本間 充 氏
  • 11:30〜12:10:海外におけるRtrupress Jet520を活用した On Demand Book のシステム最新事例@Smart Factory Zone:
    • SCREEN 中尾 誠一 氏
  • 12:30〜13:30:「デザインの力 × 地方創生」Adobe Design Jimoto@モリサワブース
    • TEKITO DESIGN Lab 蛭子彩華 氏
    • アドビ システムズ 川島 修治 氏
  • 13:00〜13:40:ハイブリッドワークフロー "超絶 " ビフォーアフター@Smart Factory Zone:
    • リコージャパン 堀越 隆 氏
    • メディアテクノロジージャパン 徳田 尚子 氏
  • 14:00〜15:00:印刷会社のマーケティング戦略と自社ブランドの確立~デジタル×アナログを繋げる紙のアイデア~@モリサワブース
    • フジプラス 江藤 直軌 氏
  • 14:30〜16:30:軟包装・ラベル分野における水性フレキソ印刷の現状と課題@東京ビッグサイト会議棟
    • TSIプランニング 塚田 昌 氏
  • 14:55〜15:35:ラベルPOD x IoT でラベル印刷の未来を創る@Smart Factory Zone:
    • コニカミノルタジャパン 那須 雄介 氏
    • メディアテクノロジージャパン 佐々浦 映展 氏
  • 15:30〜16:30:多様性へのメッセージ 〜2018年ユニバーサルデザイン書体のさらなる広がりと活用〜@モリサワブース
    • モリサワ 澤村 明子 氏
  • 15:50〜16:35:9社のパートナー各社の「Smart Factory」の考え方と将来(各社5分のプレゼンテーション)


【7月29日(日)】
  • 10:30〜11:15:Changing extensive offset capacities to optimized systems in digital print@Smart Factory Zone:
    • Mr. Francisco Martinez, Straub Duck & Medien AG
  • 11:00〜13:00:オフセットとデジタルのハイブリッド利用が生み出す印刷物の新たな形@東京ビッグサイト会議棟
    • 佐川印刷 佐川 正純 氏
    • 一粒社 宮原 健太郎 氏
  • 11:30〜12:10:Smart Factory 発進 〜ホリゾン・富士フイルムグループ連携により実現する新たな印刷物生産システム@Smart Factory Zone:
    • FFGS 宮城 安利 氏
    • 富士ゼロックス 荻野 賢 氏
  • 13:30〜14:30:鉄道と書体から見える“もじ鉄”の世界@モリサワブース
    • デザイン急行 石川 祐基 氏
    • アドビシステムズ 岩本 崇 氏
  • 13:55〜14:40:EPAC社の究極のダイナミック・サプライチェーン(仮題)@Smart Factory Zone:
    • Mr. Sasha Dobrovolsky, EPAC Technologies
  • 14:30〜16:30:商業印刷での高速輪転インクジェットデジタル印刷機の可能性@東京ビッグサイト会議棟
    • ウイル・コーポレーション 若林 圭太郎 氏
    • バリューマシーンインターナショナル 宮本 泰夫 氏
  • 14:55〜15:35:紙、復活。@Smart Factory Zone:
    • 日本HP 小池 亮介 氏
  • 15:50〜16:35 We Put it All Together@Smart Factory Zone:
    • Mr. Tom-Oʼ Brien, AccuLink
  • 文字と印刷のワークショップ@モリサワブース(時間不明)

【7月30日(月)】
  • 10:00〜N.A.:商業印刷とパッケージングのためのLED- UVの進歩@東京ビッグサイト会議棟607号室
    • Mr. Steve Metcalf, AMS Spectral UV
  • 10:30〜11:15:We Put it All Together@Smart Factory Zone:
    • Mr. Tom-Oʼ Brien, AccuLink
  • 11:00〜13:00:激変する出版分野におけるデジタル印刷普及の現状@東京ビッグサイト会議棟
    • ニューブック 豊川 竜也 氏
    • PHP研究所 高畑 千恵 氏
  • 11:00〜12:00:多様性へのメッセージ 〜2018年ユニバーサルデザイン書体のさらなる広がりと活用〜@モリサワブース
    • モリサワ 澤村 明子 氏
  • 11:30〜12:10:B2枚葉デジタル印刷機の導入効果を最大限に上げる活用術@Smart Factory Zone:
    • コニカミノルタジャパン 岸本 一成 氏
  • 12:30〜13:30:ママ目線で見るフォトブック&プリントサービス ~BtoCの訴求方法を考える~@モリサワブース
    • フォトグッズレビューサイト「コドモノ!」ライター 末松 麻美 氏
    • 面影屋 湯浅 夏奈 氏
  • 13:00〜13:40:テクノロジー&プラットフォームベンダーが語る未来の印刷プロダクションの在り方@Smart Factory Zone:
    • レゾロジック 池野 弘明 氏
    • コンテンツワークス 荻野 明彦 氏
    • フライデーナイト 長沼 耕平 氏
  • 13:55〜15:40:Print Different @Smart Factory Zone:
    • Mr. Alon Bar-Shany, HP
  • 14:00〜15:00:印刷業界のSmart Work Innovation@モリサワブース
    • 富士ゼロックス 杉田 晴紀 氏
  • 14:30〜16:30:フレキソ印刷による拡張ガマットと付け合せによる市場開拓と付加価値向上@東京ビッグサイト会議棟
    • コダック 田嶋 信介 氏
  • 14:55〜15:35:欧州出版会社におけるデジタル印刷化に向けての品質最適化成功事例紹介! 〜同じ悩みを持つ日本でも通用する?!〜@Smart Factory Zone:
    • Mr. Francisco Jose Jimenez, Konica Minolta Business Solution Spain 
  • 15:30〜16:30:印刷会社が取り組むインバウンドと地方創生ビジネス@モリサワブース
    • 第一印刷 政浦 義輝 氏
  • 15:50〜16:35:Changing extensive offset capacities to optimized systems in digital print@Smart Factory Zone:
    • Mr. Francisco Martinez, Straub Duck & Medien AG


【7月31日(火)】
  • 10:30〜11:15:Chain-Productivity 〜デジタル時代の "つながりの生産性" 〜@Smart Factory Zone:
    • 水上印刷 河合 克也 氏
  • 11:00〜13:00:インバウンド需要を取り込むためのテクノロジーとソリューション@東京ビッグサイト会議棟
    • 日本インバウンド連合会 中村 好明 氏
    • ONE SAMURAI JAPAN 浦久保 康裕 氏
  • 11:00〜12:00:若い印刷営業の方にも知ってもらいたい、 組版の歴史と「伝える組版」について@モリサワブース
    • 新潮社出版 金川 功 氏
  • 11:30〜12:10:最先端DMエボリューション!「Re;p」が提供するデジタル x プリントメディアソリューションの全貌@Smart Factory Zone:
    • ファインドスター 渡邊 敦彦 氏
    • グーフ 岡本 幸憲 氏
  • 12:30〜13:30:2020年までに知っておきたい多言語の話@モリサワブース
    • モリサワ 阪本 圭太郎 氏
  • 13:00〜13:40:PODをもっと儲かるビジネスに変える 〜Batchingによる高効率生産の実現〜@Smart Factory Zone:
    • リコージャパン 井上 秀人 氏
  • 13:55〜14:40:CIP4最高技術責任者が語る JDF/ XJDF の最新動向@Smart Factory Zone:
    • Dr. Rainer Prosi, CIP Organization
  • 14:00〜15:00:JIS安全色から考えるカラーユニバーサルデザイン@モリサワブース
    • カラーユニバーサル機構 田中 陽介 氏
    • 沖データ 小宮 壮一郎 氏

2018年6月12日火曜日

『カタログ x DM x Web』で売り上げを伸ばす!

2018年3月12日、goof.lab(東京・五反田)で Beyond Digital Lab キックオフセミナー「デジタルのその先へ。」が開催されました。その中で、通販会社ディノス・セシール Chief e-Commerce Officer (CECO) 石川氏は、カタログとWebの特徴を以下のように分析しました:

  • 新規顧客獲得における強み/弱み:
    • カタログ:
      • 若年層の入り口としては親和性は △
      • 年配層は伸び代 △
    • Web:
      • 若年層への有効なリーチ手段多い ◎
      • 年配層もECでの買い物体験が増えている ◯
  • 顧客維持における強み/弱み:
    • カタログ:
      • リーチ確率が高い ◎
      • 都度のコストが大きい ×
      • フリークエンシーが長い ×
    • Web:
      • リーチ確率が低い ×
      • 都度のコストが小さい ◯
      • フリークエンシーが短い ◎

つまり、カタログとWebは対立するものではなく、むしろそれぞれの長所を組み合わせて相互補完できる相性の良いメディアなのです。

ところで、ディノス・セシールは昨年11月、ECとDMをリアルタイムで連携させるCRMを2018年4月から開始することを発表しました。これは、「カタログとWeb」にさらにデジタル印刷DMを組み合わせる施策で、カタログ(というか紙媒体)の持つ「リーチ確率が高い」という特徴を活かしつつ、「コスト」や「フリークエンシー」に関する弱みを改善するものです。

4月からの取り組みでどのような成果が出るのか。ぜひ、紙媒体を使いこなしてECでの売り上げを伸ばしていただきたいです (^ ^)

株式会社ディノス・セシール CECO (Chief e-Commerce Officer) 石川 森生 氏

2018年1月9日火曜日

Make Prints Great Again!

明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年も何卒よろしくお願いいたします!

さて、ブライター・レイターでは2018年の基本方針を「Make Prints Great Again!(印刷物を再び魅力的にしよう!)」としました。そして、魅力的な印刷物を通じて、以下の実現を全力で支援いたします:

  • 印刷会社のイノベーション
  • スタートアップの成長
  • イベント・展示会・キャンペーンの成功

皆さまのお役に立てますよう一層精進してまいりますので、引き続きのご指導・ご鞭撻何卒よろしくお願いいたします!また、上記にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください (^ ^)

2017年1月30日月曜日

ブライター・レイター流 page2017の歩き方

印刷メディアビジネスの総合イベント page2017 が2017年2月8日〜10日の3日間開催されます @東京・池袋 サンシャインシティ。drupa2016を受けた今回のpageでは、どのような機材が展示され、どのような提案が行われるか。私もとても楽しみにしています。

ところで、前回の記事(広告主の重点課題と課題解決の取り組みの現状(2016年))で紹介しましたように、広告主(印刷物発注企業)は「ブランド価値向上」「デジタルマーケティングの実践」「広告効果の測定・評価」などを課題として挙げています。また、その課題解決に向けて「ソーシャル化」「より良い顧客体験の提供」「Data Driven化」などの取り組みを進めています。

前回の記事にも書きましたが、印刷会社が成長事業をつくるためには、こうした広告主が抱える課題の解決にフォーカスしたサービスが必要です。また、そうした印刷サービスの提供にあたっては、以下のような取り込みを自社でも進めることが有効です。実践を通じて課題解決のノウハウを蓄積できるからです:
  • 自社・自社サービスのブランド力向上
  • 広告効果の測定・評価
  • 印刷サービスのソーシャル化
  • より良い顧客体験の提供
  • Data Drivenな印刷サービスの提供、など

出展企業の機材・資材や提案は、あなたの会社の(顧客の課題解決に役立つ)知見を深めることにどのように貢献するか?こんな観点から出展内容を評価すると、page2017会場で過ごす時間がさらに有意義なものになると思います。ぜひ、page2017を上手に活用して売上・利益増大を実現しましょう!

2016年12月14日水曜日

フロア広告で足元も華やかに♪

先日(10月ごろだったかと思います)、秋競馬広告仕様の京王線に乗ったところ、床に芝生が印刷されたフィルムが貼られているのを見てびっくりしました。最近、車体にフィルムが貼られたラッピング車両は頻繁に見かけるようになりましたが、床面まで装飾されている電車は初めて体験したような気がします。

そういえば、昨年のJAA広告賞特別賞は、アサヒビールが東京メトロ上野駅を桜尽くしにしたキャンペーンでした。これは、壁や柱はもちろん、天井や床、階段まで桜・桜・桜で埋め尽くされたとても華やかなものでした。

調べてみると、広告代理店の中には『フロア広告』というメニューを提供しているところも少なくありません。言ってみれば、秋競馬広告@京王線やアサヒビールのキャンペーン@東京メトロ上野駅は、このフロア広告を他広告メニューと組み合わせたものです。しかし、企画力でインパクトの大きなものとなっています。

ところで、最近FloorPosterというアイテムが日本でも紹介されるようになりました。これは簡単に言えば、印刷物を挟み込めるフロアマットです。これ単体でもとても面白い広告媒体ですが、ポスターや棚のPOP、シェルフレディパッケージ(SRP)、デジタルサイネージなどと組み合わせることで、例えば店頭ディスプレイのインパクトをさらに高めることができます。

あるいは、画像認識やAR(拡張現実)、デジタル印刷のような技術をFloorPosterと組み合わせることで、お客さまに新しい体験を提供することもできます。例えば、乗ると「奇跡の一枚」が撮れるフロアマットとか、その写真が印刷されたスマホケースなど「奇跡のグッズ」の提供とか、面白そうです。

フロア広告を絡めることで、リアルならではの立体的で効果的で話題性のあるマーケティング活動・販促活動を行いたい広告主の皆さま、あるいは店舗の魅力を高めたい小売店の皆さま、お気軽にお声がけください!

2016年12月5日月曜日

「世界でひとつ」を注文する:バッグ、シューズ編

Webから自分の好きな「世界にひとつ」のものを注文できるサービスが広まっています。例えば、以下のような「世界にひとつ」のバッグや財布、手帳、シューズなどを自分でアレンジして注文できるサービスがあります:

  • ルイ・ヴィトン モン・モノグラム
    • モノグラム・ラインのバッグや財布、小物に好みの色でストライプとイニシャルを施し、自分らしくカスタマイズすることができるサービス。
    • 納期:8週間以内
  • アディダス MI ADIDAS(マイアディダス):
    • 「スニーカーを自分の好きなカラーでアレンジしたい」「目標を刻んだスパイクでプレーしたい」誰もが一度は思ったことのある、そんな願いを叶えるシューズカスタマイズサービス。
    • 納期:4週間程度
  • ナイキ NIKEiD
    • お気に入りのシューズやバッグをカラーデザインし、カスタムメイドのプロダクトを作ることができるサービス。
    • 店頭でスタッフのアドバイスを受けながらカスタマイズできる「NIKEiD STUDIO」も原宿・吉祥寺・大阪・福岡などにあり。
    • 納期:3〜5週間

こうしたフルカスタマイズできるサービスも良いですが、ロゴマークや写真、イラスト、言葉などを印刷するだけでも「世界にひとつ」を作ることができます。例えば、私事で恐縮ですが、今年の誕生日にSIGGのトラベラーボトルに写真とメッセージを印刷したものをいただきました。まさに「世界にひとつ」のボトルで、とてもうれしくて外出の際にはいつも持ち歩いています。

実はこのボトル、ハイデルベルグ社(ドイツ)の最新インクジェット式デジタル印刷機 Ominifire 250 で印刷されたものです。この印刷機は、さまざまな素材にフルカラーで印刷できることに加えて、曲面にもキレイに印刷できます。例えば、この動画のようにサッカーボールに直接印刷することもできます。この技術を使えば、飛行機(!)に印刷することも可能だそうです。

「自社製品を『世界でひとつ』にカスタマイズできるサービス」や「特別なノベルティグッズがつくれるサービス」を提供されたいメーカーの皆さん、こんな方法もあります。サービスをご検討される際には、お気軽にお声がけください (^ ^)

2016年11月28日月曜日

ロバート・フランク写真展@東京藝大美術館

2016年11月11日〜24日、東京藝術大学美術館(東京・上野)で Robert Frank: Books and Films, 1947-2016 という展覧会が行われました。スイスの写真家・映像作家ロバート・フランク氏の写真・写真集・映像を包括的に紹介する展覧会で、規模はそれほど大きくありませんが、とても面白いものでした。特に、会場に繰り返し映されていたローリーング・ストーンズの「メイン・ストリートのならず者(Exile on Main St.)」当時の映像にすっかりヤラレました(笑)

このロバート・フランク展で興味深かったことのひとつに、新聞用紙が活用されていたことがあります。会場には、下の写真のように、ロバート・フランクの写真をロール状(トイレットペーパーをイメージしてください)の新聞用紙に印刷したものがそのまま展示されていました。また、一部の映像は、プロジェクターで背後から新聞用紙に映写されていました。会場で販売された展覧会カタログも、新聞用紙に印刷されたものでした(私が行った時には残念ながらこのカタログは売り切れていて、入手できませんでした)。

確かに、新聞用紙は最高の印刷品質を求めるには厳しい紙です。しかし、荒々しさとかライブ感、日常性を出すにはぴったりのもので、この展覧会の趣旨には合っていたように思います。また、今回のように世界50カ国で巡回するような写真展には、貴重な作品を移動させるよりも、データを送って現地で印刷・展示するという方法は適しています。

ローリング・ストーンズのアルバム「メイン・ストリートのならず者」のジャケットのように、たくさんの写真を並べる展覧会でも、ロール紙に印刷・展示というパターンは使い勝手が良いかもしれません。今回のロバート・フランク展は、印刷技術を活用した新たな展覧会の方法を示したという点でも面白いものでした。

もし、「大きなロール紙に印刷したものを展示したい」とか「新聞とかタブロイド紙っぽい展覧会カタログを作りたい」という方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください。最新の印刷技術を使うことで、もっと小さな展覧会でももっと大きな展覧会でも、「ロバート・フランク展っぽい感じ」を出すことができます (^ ^)

2016年9月29日木曜日

『印刷 x AI 』だョ!全員集合

世間ではすっかりAI(人工知能)流行りですが、印刷の分野にAIを活用することで以下のような進化を実現できます:

  • 集客力の強化
  • 制作・生産工程のさらなる自動化・スキルレス化
  • マスカスタマイズ(一品大量生産)対応力の強化
  • 印刷サービスのグローバル展開
  • 経営のさらなる合理化、など

その際には、例えば以下のようなAIが活躍します:

  • AI Web Marketer for 印刷通販:
    • 自動的にバナー広告を制作・運用し、非常に効果的に集客してくれるAI。
  • AI Graphic Designer/ AI Editorial Designer:
    • 対話を通じて、期待通りあるいは期待以上の印刷物を自動的にデザインしてくれるAI。
  • AI Color Manager:
    • 異なる機種間はもちろん、複数の印刷会社間でも正確に色を管理してくれるAI。BCPにも活用可。
  • My DM:
    • AIを活用することで、受け取られた方が「これは私のDM!」と感じる効果の高いDMを提供するサービス。
  • AI Global Business Development Manager:
    • 印刷サービスを他言語展開・多文化展開してくれるAI。
  • AI 印刷設備投資アドバイザー:
    • 設備の稼働状況や営業活動状況をもとに、最適な印刷設備投資についてアドバイスしてくれるAI。

印刷以外の分野を見ても、AIの開発・活用は始まったばかりです。上記のようなAIやAIを活用したサービスもまだ取り組み始めたばかりで、どこまで実現できるか正直分かりません(笑)ただ、今から始めれば、誰よりも先にAIを武器にした新しい競争のルールを印刷市場に持ち込み、売上・利益を大きく伸ばせる可能性は十分にあります。

ブライター・レイターでは現在、AIで印刷市場にイノベーションを一緒に起こしたいやんちゃな(笑)パートナーを大募集しています!


あなたは、2020年までに成長事業を構築できるか?

これは、拙訳書「未来を創る」(JAGAT刊)の中で「おそらく本書で最も重要な質問」として挙げられているものです。『印刷 x AI 』は、2020年までに成長事業をつくる有力な方法のひとつだと考えています。

AIで印刷ビジネスを進化させたい印刷会社、そのためのシステムを提供したい印刷機材メーカー、印刷を愛するAIベンチャー企業など、2020年までに成長事業をつくりたい皆さまからのご連絡を心よりお待ちしております (^ ^)

2016年9月12日月曜日

【新サービスのご案内】印刷会社さまの体幹を鍛える研修

ブライター・レイターでは、「印刷会社さまの体幹を鍛える研修」の提供を開始いたします。サービス・工場・ブランドの3つを『印刷会社さまの体幹』と位置づけ、研修を通じてこれらを鍛えていただきます。本研修は、以下の内容になります:

  • 準備運動:狙いを定める:
    • 3つのシンプルな質問に答える:
      • 御社は、どんな「コト」を提供しているか?
        • 顧客のどんな課題を解決したり、期待に応えたりする「コト」を提供しているのか?
      • なぜ、それを提供しているのか?
        • 顧客がさまざまな課題や期待を持つ中で、御社はなぜその課題・期待にフォーカスしているのか?
      • 誰が、それを心の底から必要としているのか?
    • MISを活用する。
    • 先見型アプローチを活用する、など
  • サービスを鍛える:
    • メニューを尖らせる。
    • 問診票を進化させる。
    • 課金モデルを進化させる
    • 価格設定力を鍛える、など
  • 工場を鍛える:
    • 仕組みを尖らせる。
    • 営業との関係を太くする。
    • 顧客・「顧客の顧客」との関係を太くする。
    • 設備投資上手になる、など
  • ブランドを磨く:
    • メッセージやストーリーを共有する。
    • スキルや専門知識を磨く。
    • スタッフの誇りを高める。
    • ファンを増やす、など

  • 研修概要:
    • 講 師:ブライター・レイター 山下 潤一郎
    • 以下の3つのコースをご用意しております:
      • 1回(概要紹介)コース
      • 3回(速習)コース
      • 6回(しっかり習得)コース
      • 1回あたり3時間程度、月1回を想定:
        • 毎回、座学とワークショップを組み合わせて実施
        • 宿題も毎回あり。
      • 定 員:10名程度を想定
    • 提案力のみ・商材のみ・工場のみなど、特定のテーマだけを扱うカスタム研修も対応可能。
    • 1社での開催・業界団体などを通じての複数社での合同開催など、さまざまなパターンにも対応:
      • 会場や研修日時などは応相談。
      • 人数や回数、1回あたりの研修時間なども適宜対応いたします。
    • 印刷機材メーカーさま、印刷機材販売会社さまなどが主催されるイベントでの開催にも対応いたします。
    • 料 金:応相談

ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

2016年7月5日火曜日

KADOKAWAさん、drupa2016で何を買いましたか?

drupaで最新の印刷機材を購入するのは、印刷会社だけではありません。drupa2016期間中の6月4日、HP社から「KADOKAWAが新たに構築する書籍の製造プラットフォームに、HPのデジタル印刷ソリューションが採用された」との発表がありました。

KADOKAWAが今回購入した機材には以下のようなものが含まれます。いずれも、今回のdrupaで発表されたばかりの最新機材です:


これらの機材は、所沢市の旧所沢浄化センター跡地にKADOKAWAが建設する生産および物流の拠点に導入される予定です(2018年に稼働予定)。これらの機材を使うことで、文庫、ライトノベル、新書、コミック等の本文、口絵、表紙、カバー、帯にいたるまでを一貫生産できます。

ところで、KADOKAWAは2015年4月からアマゾンジャパンと書籍・雑誌の直接取引きを始めています。また、今回drupaで買った機材が設置される旧所沢浄化センター跡地では、KADOKAWAは「ところざわサクラタウン(仮称)」という出版という枠を超えたテーマパーク的な事業を展開する計画です。

こうした動きから、KADOKAWAはdrupa2016で購入した機材を活用して、直接消費者に書籍やサービスを提供する「B2C企業」へと進化したいのでは、と想像されます。最近、メーカーのマーケティング担当者から、「物流企業が間に入ることで、自社製品を使ってくださっている消費者の顔が見えにくくなるケースもある」というお話をお伺いすることがあります。

もしかしたら、KADOKAWAも同じような課題を持っているのかもしれません。確かに、消費者と直接取引きできれば、自社製品(書籍や雑誌)に対する評価やニーズを把握しやすくなります。一方、物流コストは下がってきていますし、デジタル印刷システムを使えば在庫を最小限にできます。こうした市場環境の中、「出版ビジネスのB2C化」を模索する動きが本格化しても不思議はありません。

2016年8月5日(金)18時15分から東京・神保町で、「最新印刷技術が切り拓くこれからの出版ビジネス - drupa2016に学ぶビジネスの可能性 -」というセミナーを開催します(企画:出版研究センター、主催:出版ビジネススクール事務局)。このセミナーでは、今回の記事で分析したKADOKAWAの取り組みにもさらに深く切り込みます。

出版分野でのデジタル印刷活用にご興味のある方、あるいは出版ビジネスの競争のルールを変えるアイデアをお探しの方、ぜひご参加ください (^ ^)

HP PageWide Web Press T490 HD
HP Indigo 50000

2016年6月30日木曜日

Elanders社さん、drupa2016で何を買いましたか?

「drupa2016で何を買いましたか?」シリーズ第2弾はElanders社(スウェーデン)です。Elandersはもともとスウェーデンの印刷会社でした。それが今では、従業者数およそ3,200人、15カ国以上でサプライチェーンマネジメント、印刷&パッケージ、eコマースなどのサービスを提供する企業へと進化しました。

drupa初日の5月31日、ElandersがLandaの商業印刷用B1枚葉デジタルインクジェット機 S10P のヨーロッパにおけるベータサイトとなることが発表されました。Landa社のリリースによれば、S10PはElanders社がドイツ国内に持つ施設内に設置されます。Elanersは、S10Pで広告関係の印刷物やカタログ、DM、高級な雑誌などを印刷する計画です。

drupa会場で、ElandersはHP社から以下の機材も契約しました:

HP社のリリースによれば、Web Pressはオフセットの仕事をデジタルに置き換えることで効率性を高めるために使われます。そして、Indigoは自動車や家電などのデータドリブンなキャンペーンで使うことが想定されています。これらの機材はドイツおよびスウェーデンのElanders社の施設に設置されます。

ちなみに、Elanders社は中国にもオフィス(北京)と印刷工場(北京・上海)を持っています。すべて空港の近くにあり、工場にはデジタル機とオフセット機が設置されています。今回のdrupaで発注・予約した機材は中国には設置されないようですが、今後Landaが北京や上海に設置されるかもしれません。

Elandersは物流を得意とする会社なので、LandaやIndigoを使った自動化された仕組みで「日本の印刷の仕事を北京や上海で受けて日本に発送する」というサービスを提供するかもしれませんね。「物流 × デジタル印刷」が切り拓く印刷サービス、まだまだ可能性が大きそうです (^ ^)

2016年6月28日火曜日

Cimpress社さん、drupa2016で何を買いましたか?

drupa2016が終わってからまだ2週間あまりですが、すでにたくさんのdrupa2016報告会が開催されています。ありがたいことに、私にもたくさんのお声がけをいただいております。ただ、時間の都合でなかなか報告会ではご紹介できないお話も少なくありません。

例えば、「印刷会社さんがdrupa会場でどんな機材を購入(予約)したか」というもの。とても面白いトピックなのですが、ここまで深掘りする機会は滅多にありません。折角なので、このブログでご紹介したいと思います。

その第1回目はCimpress社(オランダ)。1994年創業の比較的新しい商業印刷会社ですが、年商はおよそ15億ドル(1,500億円)。Vistaprint を傘下に持つ世界最大の印刷通販会社といった方がイメージが湧きやすいかもしれません。もともとVistaprintという社名でしたが、さまざまな印刷通販会社を買収したため、Cimpressという社名に変更しました。

さて、そんなCimpress社はdrupa2016でどんな機材を購入(予約)したのでしょうか。Landa社のニュースリリースによれば、まずdrupa初日の5月31日に 、Landa社の商業印刷用B1サイズ枚葉デジタル印刷機 S10P を20台導入することを発表しました。

仮に1台5億円とすると、20台100億円の投資です。ベータテストが成功裏に終わった後という条件付きではありますが、かなり思い切った判断です。導入される際には、Cimpress社用にカスタム化されるようです。

Cimpress社の「お買い物」はこれだけに留まりません。WhatTheyThinkの記事によれば、HP社の液体トナー機 Indigo 20台も購入しました(Indigo 12000と推定)。オランダ、イタリア、カナダに設置する予定で、注文したIndigoの半数以上は年内に設置されます。実は、Cimpress社はHP社製デジタル印刷機の世界最大のユーザーで、今回のdrupaで発表された PrintOS もすでに活用しています。

Cimpress社は、デジタル印刷機によって一部既存のオフセット印刷の仕事を置き換えることを考えていますが、同時に新しい仕事の獲得も計画しています。効率性重視の印刷通販会社においても、デジタル印刷の導入・活用状況はどんどん進みそうです (^ ^)


Cimpress CEO Robert Keane shakes hads with  Indigo General Manager Alon Bar-Shany
copyright: WhatTheyThink

2016年5月23日月曜日

drupa2016に向けて:印刷系ソフトウェアの最新動向

drupa2016の特徴のひとつに、ソフトウェアに対する興味が高まっていることが挙げられます。印刷会社や印刷機材メーカーの方々とdrupa事前情報についてお話をしていると、ソフトウェアに言及される方がかなりの割合でいらっしゃいます。

これまでの展示会ではハードウェアばかりが話題になることが多かったので、この変化に少々驚いています。とはいえ、印刷サービスにおけるソフトウェアの重要性を考えると、この変化は当然のことです。

さて、主な印刷機メーカー(デジタル印刷機およびオフセット印刷機)やEFI社のソフトウェア関連の出品状況をまとめたのが下の4枚のスライドになります。これらから、drupa2016におけるソフトウェアのトレンドとして、以下のようなキーワードが見えてきます:
  • 統合化(end-to-end ソリューション)
  • クラウド化
  • セグメント化
  • モバイル化/アプリ化

統合化(end-to-endソリューション)やクラウド化は4年前のdrupa2012でも言われていましたが、今回はより実用的なレベルの商品として提案されそうです。一方、モバイル化/アプリ化については、米国・シカゴで2013年に開催されたPRINT13で比較的大きく扱われていたように思うのですが、今回はあまり表立って出てきていないように思います。

ただ、マーケティングやコミュニケーション分野では、注目されているというか「普通」に対応が進んでいるものです。会場では、ソフトウェアのモバイル化/アプリ化の動向もしっかり確認しましょう。

EFI社は、私が勝手に(笑)「印刷系ソフトウェアのトレンドを知る目安」にしている企業です。必ずしも最先端の技術を取り入れた製品を開発・提案している訳ではないのですが、常に広い視点から「少し先」を示す製品を紹介しているように思うからです(気のせいかもしれませんが(笑))。そのEFI社ですが、今回は以下のようなセグメント別のソフトウェアを出品するのが印象的です:
  • 印刷会社の規模別
  • 市場別(パッケージなどアプリケーション別)

印刷機や加工機が「万能なもの」から「特徴のあるもの」「自社に合ったもの」「仕事に合ったもの」へとシフトしているのにあわせて、ソフトウェアも同様に進化しているようです。また、今回のソフトウェアでは、以下の機能に注目したものが多く見られるように思います:
  • カラーマネージメント
  • マーケティング

マーケティング用ソフトウェアについては、毎回ゼロックス社のXMPieに注目しているのですが、今回も面白いものが紹介されそうです。また、リコーがこの分野のソフトウェアを積極的に展示することを発表しています。コニカミノルタも、ソフトウェアのお話にはあまり触れていませんが、ブース全体としてマーケティングをテーマにすることを発表しています。

マーケティング関連ソフトウェアは、印刷会社が自社の需要やブランドを創造することに加えて、顧客(印刷物発注企業)がその顧客(印刷会社から見れば「顧客の顧客」)との関係を深めるための有効なツールです。また、仕事をどんどん獲得し、印刷機や加工機をガンガン回すためのとても大事なツールです。
ぜひ、この分野の情報も積極的に収集・分析しましょう!

2016年5月13日金曜日

drupa2016に向けて:ハイエンドA3枚葉トナー機の最新動向

気がつけば、もう長い間ハイエンドA3サイズトナー式デジタル印刷機は、国際印刷機材展で話題の中心になっていないような気がします。2008年以降はインクジェット機にスポットライトが当たるようになり、トナー機の分野でも安価で扱いやすいライトプロダクション機が注目されるようになったことが理由として挙げられます。

ただ、ハイエンドトナー機は着々と進化を続けており、新製品も発売されています。今回もHPからIndigo 7900、コダックからは、NexPress ZX3900といった新製品が発表されます。昨秋東京で開催されたIGAS2015では、以下のような機種が発表・展示されました:

前回(2012年)のdrupa以降、ハイエンドトナー機は「多色化(5色以上)」と「長尺化」といった点を中心に進化しています。多色化では、「5色機になった」だけでなく、「5色目として用意されたトナーの色」も話題になっています。例えば、IGASで発表されたiGen5では、オレンジ/グリーン/ブルーが5色目として用意されました。HPは、蛍光ピンクのトナーを発表していました。

そして今回、コダックは白トナーを発表しました(正確には「ホワイトドライインキ」です)。白トナー対応機はライトプロダクション市場では大きな注目を集めていますが、ハイエンド市場向けにはHP以外のメーカーからなかなか新製品が発表されませんでした。

長尺化も進んでいます。確かdrupa2012の時点ではiGenが最大幅 600mm でしたが、これに対抗するコダックはNexPressで最大 900mm に対応することを発表しました。コダックはさらに、drupa2016で 1200mm に対応したNexPressを発表します。

ところで、キヤノンやリコーといった日本のメーカーもこの市場に競争力のある製品を投入していますが、HPやゼロックス、コダックといった米国系メーカーがトレンドを作っています。「5色目」の展開もあまり積極的ではない印象ですし、長尺化に関しても後追いしているように感じます。

もちろん、色数を増やしたり長尺化を進めることが必ずしも良い訳ではありません。それらの進化が、ユーザーである印刷会社や印刷物発注者にとって重要な意味を持つことが大事なのです。

drupa会場ではぜひ、「なぜ、米国系メーカーは多色化・長尺化に積極的なのか?」といった点に注目することをオススメします。そこから、新しいデジタル印刷サービスのヒントやデジタル印刷サービスで競争力を高めるヒントが得られるかもしれませんから (^ ^)

また、ハイエンド機ならではの画質の高さもしっかり確認&楽しみましょう!個人的には大量に印刷した際の画質安定性にも興味があるのですが、それはなかなか展示会では確認することはできません・・・それが実感できる展示もあったら面白いですね。
やはりdrupaは見どころがいっぱいでとても楽しみです♪

2016年5月11日水曜日

drupa2016に向けて:最新輪転インクジェット機(ハイエンド機)比較

先日、「drupa2016に向けて:最新インクジェット機のチェックポイント」という記事で、インクジェット式デジタル印刷機の進化をdrupa会場で確認するポイントを示しました。今回は、実際に会場で展示されるハイエンドの輪転インクジェット機の仕様を具体機に比較してみました。

現時点(2016年5月10日)では、この市場向けにミヤコシ、KBA、Landa、HPなどからdrupaで新製品を展示することが発表されています。このうち、ミヤコシ MJP20AX の注目ポイントは 2400 x 2400 dpi という解像度です。

先日の記事にも書きましたが、2400dpiという解像度はゼロックス社のiGenなどハイエンドトナー機と同等です。さらに、このインクジェット機はオフセットコート紙にも対応していることから、商業印刷分野への活用が期待されます。。ミヤコシは、このデジタル印刷機の実機デモを会場で行うことを発表しています。デモで実際の印刷品質を確認しましょう!

KBAは、drupa2012に続いて今回もRotaJET(KBA RotaJET 77)を展示することを発表しています。前回は、中綴じブックレットの製本インライン後加工機が多少注目されたものの、印刷速度が150m/分と特筆すべきではなかったこと、解像度が600dpiということもあってか画質の評価があまり高くなかったことなどから、日本国内ではあまり話題になりませんでした。

しかし、今回は印刷速度300m/分、解像度1200dpiと競合製品と遜色のないスペックになりました。これらが、最大用紙幅770mmという特徴と組み合わされるとどのような活用法が可能になるか、かなり興味をそそられます。こちらのデモにも参加したいと思います。

Landaは、枚葉式インクジェット機に加えて、輪転式インクジェット機 Landa W10も出品します。Landa W10の見どころとしては、例えば以下のような点が挙げられます:

  • 多色印刷の効果(8色機):ミヤコシの 2400 dpi x 4色機 との比較
  • 最大用紙幅 1050mm という特徴を最大限に活かす提案:
    • アプリケーション(印刷物の種類)や後加工機との連携、など
  • 印刷品質:200m/分という高速でベルトから適切に転写されるのか、など

ところで、輪転(連続紙用)インクジェット機のターゲット市場は、インクジェットdrupaと呼ばれた2008年当時は「帳票(トランスプロモ)」が中心でした。それが、前回(2012年)は書籍や新聞、冊子などへと拡大し、今回(2016年)は商業印刷や軟包装へとさらに広がっています。

また、ハイエンドの輪転デジタル印刷機といえば「インクジェット機」だったのが、HP社からIndigo 50000 という液体トナー機が発表されたことで、機材の多様化も進みそうです。こちらの記事でも書いたように「インクジェット版ライトプロダクション機」という動きが出てきたことで、ハイエンド機の位置付けも明確になりそうです。

まだまだこの市場の進化は続きそうです (^ ^) drupaでは、この市場の最新動向もしっかりチェックしましょう!

2016年4月28日木曜日

drupa2016に向けて:連続紙用デジタル後加工機の動向 〜 Hunkeler社の場合

日本からもたくさんの印刷業界関係者が参加する2年に1度のイベント Innovationdays を主催するスイスのHunkeler(フンケラー)社は、連続紙(ロール紙)用デジタル印刷向け後加工機材(デジタル後加工機材)メーカーです。

Hunkelerは、今回のdrupaでも大きな存在感を示すことが期待されます。drupa向け発表資料(PDF, 英文)を読むと、特に以下の方向に進化した連続紙用デジタル後加工機が展示されることが分かります:
  • 可変対応力強化(1部づつ異なる印刷物の加工が可能に)
  • 高速化
  • 自動化

さて、Hunkelerは展示方法も特徴があります。例えば、最新機材を1点ずつ紹介するのではなく、特定市場に向けたソリューションとして展示する方法です。今回も、Hunkelerブースでは、以下のようなソリューションが紹介されます:

また、Hunkelerは、デジタル印刷機メーカーや他後加工機メーカーのブースに後加工機を置くことにも積極的です。今回のdrupaでも、例えば以下のようなブースに機材を展示し、デモを行う予定になっています:


このようにさまざまなデジタル印刷機と連携し、多様なアプリケーション(印刷物の種類)に対応した後加工機を提供しているHunkeler社ですが、例えば以下のようなカバーしていない分野も見受けられます:

  • パッケージ:紙器、軟包装ともに
  • B1・B2サイズ枚葉式デジタル機、など

もちろん、drupa会場に行けば隠し球的に展示されている可能性もあります。しかし、「連続紙のページ物(書籍・冊子・雑誌など)や新聞、DMなどの商業印刷物」のソリューション・連続紙用デジタル後加工機に特化する戦略をとる可能性も考えられます。

では、他のデジタル後加工機メーカーの「パッケージ」や「B1・B2サイズ枚葉デジタル機」向けの機材はどうなっているのでしょう?次回は、こうした部分をチェックしたいと思います。
お楽しみに!

2016年4月27日水曜日

drupa2016に向けて:インクジェット版ライトプロダクション機の可能性

drupaやIGASなどの大きな機材展では、高性能・高機能なハイエンドの機材に注目が集まります。スーパーカー(例えが古くてすみません(笑))を楽しむノリで、ハイエンド機をあーだこーだと評価するのは、正直私も大好きです(笑)。しかし、例えばハイエンドの輪転式インクジェット機は、価格もサイズも中小規模の印刷会社が導入するのが簡単ではないレベルに達しています・・・

では、中小規模の印刷会社はインクジェット機の導入を諦めなければならないのでしょうか?あるいは、大きなリスク覚悟で導入しなければならないのでしょうか。実は、drupa2016では、インクジェット機版ライトプロダクション機とでも呼べそうなセグメントの機材が展示されそうです。

ところで、国内で電子写真方式デジタル印刷機(トナー式デジタル機)の導入が進んだ背景として、いわゆるライトプロダクション機が市場に投入されたことが挙げられます。それまでのデジタル印刷機は、富士ゼロックスやコダック、HPが販売する高性能・高画質・高価格のハイエンド機が中心でした。こうした市場に、画質や機能は限られていますがその分低価格のライトプロダクション機が投入されたことで、国内のデジタル印刷市場は急速に拡大しました。

私は、インクジェット機でも同様に展開する可能性は大きいと考えています。ハイエンド輪転式インクジェット機(ハードウェア)の価格は、1台数億円です。この規模の投資ができ、さらに数年で回収できる印刷会社は限られています。

その一方で、インクジェット機のランニングコストはトナー機に比べて低く、厳しい価格競争に巻き込まれている多くの印刷会社にとっては魅力的です。これは、ハードウェアの価格が印刷会社が投資できる範囲に収まれば(あわせて画質も許容範囲内になれば)、導入が進む可能性を示しています。

drupa2016では、比較的低価格のインクジェット版ライトプロダクション機がさまざまなメーカーから提案されます。InfoTrends社は、インクジェット機のライトプロダクション市場を "Zone of Disruption"(破壊的な領域)と呼んでいます。ゼロックスが今回のdrupaで発表する Brenva HD や Trivor 2400 は、明確にこの市場をターゲットにしています(ちなみに、これら2機種は iGen の筐体を流用しています)。

インクジェット機には、理想科学工業のオルフィスやMemjet技術を活用した印刷機など、本体価格もランニングコストも低いローエンド市場があります。中長期的には、こうしたローエンド機寄りのライトプロダクション市場が立ち上げる可能性も考えられます。

会場では、ライトプロダクション機の「本体価格・ランニングコスト・画質」のバランスをぜひご確認ください。あわせて、どのくらいの本体価格・ランニングコスト・画質なら実際に導入して売り上げ・利益を伸ばすことが可能か、その際どんな仕事に使いたいかなど、インクジェット印刷ビジネスの可能性も考えてみてください。
こうした頭の体操ができるのも、drupaの魅力だと思いますので (^ ^)

2016年4月25日月曜日

drupa2016に向けて:主な出展企業のdrupa関連リリース&特設サイト一覧


drupa2016開幕まで残りおよそ1ヶ月となりました。改めて、主な出展企業のdrupa関連リリースや特設サイトをまとめてみました。ご参考にしていただければ幸いです (^ ^)

なお、これらは出展企業各社の公式サイトに掲出されているもので、印刷業界紙・業界誌などのサイトに載っているものは(あえて)カバーしていません。こうして見ると、各社のdrupa情報の発信状況にはかなり差があることが分かりますね。印刷会社の皆さん、印刷機材メーカーにWeb上での情報発信をアドバイスするサービスのチャンスです(笑)!

注)各社のdrupa公式サイト(www.drupa.com)に掲載されている情報は、「drupa2016に向けて:主な企業の出展場所一覧(ホール別)」からご確認ください。