印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2015年12月28日月曜日

drupa2016大胆予測!第2弾!!

前回(2015年7月)の大胆予測から早くも5ヶ月が経ちました。今回、2015年9月に開催された国際印刷機材展IGAS2015やマーケティング分野の最新動向などを踏まえて、来年(2016年)5月〜6月にドイツ・デュッセルドルフで開催される印刷機材展 drupa2016 の見どころを改めて予測しました!・・・というか、私が会場で見たいものをまとめてみました(笑):

  • デジタル印刷機の大判化:B2 IGASから「B1 drupa」へ:
    • LANDA S10 Nanographic Printing Press が出展される見込み
    • HPのB1トナー機、富士フイルム+ハイデルベルグの共同開発B1インクジェット機なども出展されるのでは。
  • インクジェット式デジタル印刷機のさらなる進化:
    • 1200dpi IGASから「2400dpi drupa」へ:
      • インクジェット機の高画質化はさらに進む。
      • さらに、drupa2019は 4800dpi drupa かも!?
      • なお、2400dpiはハイエンド トナー式デジタル印刷機と同じ解像度:
        • Xerox iGen5, HP Indigo 7800, etc.
      • 4800dpi は CTPと同じ解像度
    • インクジェット塗装drupa!
  • 多色化drupa!
    • A3サイズトナー式デジタル印刷機の多色化
    • 高速・高解像度インクジェット機の多色化
    • 3Dプリンターの多色化、など
  • ハイブリッド後加工 drupa!
    • デジタル印刷機の大判化を背景に、オフセット印刷・デジタル印刷の両方で使うことができる後加工機が数多く提案される。
    • これまでオフセット印刷とデジタル印刷は別々の場所で行われていたが、後加工機を共有したワークフローの構築が可能となる。
    • その際、スキルのないオペレータや女性や中高年など体力のないオペレータでも作業可能という、デジタル印刷の特性を反映した後加工機材の提案も期待される。
  • Data Driven drupa!
    • MarTech x Printing drupa!
      • MarTech: Marketing Technology
      • デジタルマーケティングと連携する印刷サービスを実現できる技術の提案
    • IoP drupa!
      • IoP: Internet of Prints
      • さまざまな印刷機材がクラウド経由でつながること:
        • 通信機能付き印刷物も
      • もちろん、デジタルマーケティングとも連携
      • 印刷物に通信機能を直接印刷できる技術の提案も
      • IoPを意識した標準化も提案されるかも!?
    • コグニティブ・プリンティング drupa!
      • AI(人工知能)やML(機械学習)を含む印刷の仕組み
      • 印刷ワークフローが大きく変わる可能性が:
        • 工務担当者が不要に
        • 印刷通販やW2Pでテンプレートが不要に
  • その他、未来のコミュニケーション技術:
    • ペーパー・エレクトロニクス:
      • 紙に電気回路・電子回路を印刷する技術
      • 紙にさまざまな機能を印刷できるようになる:
        • Webに接続できる機能、通信できる機能、環境などを測定できる(センサー)機能、など
      • ペーパー・エレクトロニクス用電源に関する技術もあわせて紹介されるともっと面白いかも:
        • 特に、Energy harvesting(環境発電)
      • 参考)紙のエレクトロニクス応用研究会
    • 3D ホログラム:
      • スクリーンがなくても立体物を投影できる技術
      • この技術を使えば、既に亡くなっているミュージシャンのライブを実現可能:
      • 先日参加した ad:tech tokyo 2015 のキーノートで、ある登壇者が「将来的にライブのおよそ3割は既に亡くなっているミュージシャンになる」と予測:
        • 「3Dホログラムだと、どんな大物ミュージシャンでも特別な部屋や食事を用意しなくて良いし、365日ライブを行える。」
    • コミュニケーションロボット:
      • 印刷会社内のコミュニケーションを潤滑にしたり、工場で5Sを管理・向上したりするロボットとか。
      • 顧客の印刷物発注を支援するロボットベースの Wewb to Print システムとか。
      • 日本の印刷機材メーカーには、ペッパーを使ったソリューションをご紹介いただければと。
      • 海外では、こんなロボットも開発中:JIBOBuddy

個人的にはこの中で、「Data Driven drupa!」に注目したいと思います。この分野は、印刷会社が売上・利益を大きく伸ばせる新しいサービスに特に大きく貢献すると期待されるからです。もちろん、「その他、未来のコミュニケーション技術」にも興味津々です。

とはいえ、全く新しいコンセプトの機材がうなりを上げて稼働しているのを見られるのが、国際印刷機材展の醍醐味です。しかも、採算を考えたら「こんな仕様は絶対無理!」というスゴイ印刷物を無料で欲しいだけ入手できたりもします。会場に行けば、お祭り気分で何日も楽しめること請け合いです (^ ^)

ぜひ、現地で未来をご自身の目で直接見てみませんか?現在、ブライター・レイター主催のdrupa2016視察ツアーを計画しています。詳細が決まりましたらご報告しますので、もう少々お待ちください。

2015年12月27日日曜日

2015年の寄稿まとめ

お陰さまで、2015年も印刷専門誌などにたくさんの記事を書かせていただきました。誠にありがとうございました。以下にまとめてみましたので、ご興味をお持ちいただけましたらぜひお読みいただければと思います (^ ^)

2015年12月14日月曜日

2016年の印刷サービストレンド 大胆予測!

気がつけば2015年12月も残りほぼ半月。今回は、来年(2016年)の印刷サービストレンドを大胆に(笑)予測してみます。

今年も多くの方々のお話をお伺いしたり、イベントや展示会などに参加したりしました。特に、今年はWeb広告研究会に参加するようになったことから、マーケティングという観点から印刷市場について考える機会が増えました。マーケティングの最新動向などから予測される2016年の印刷サービスのトレンドとして、例えば以下のようなものが挙げられます:

  • 顧客や「顧客の顧客」と楽しさ・嬉しさなどを共有できる印刷サービス:
    • 顧客と一緒に継続的にサービス品質向上に取り組むサービス。
      • 顧客と一緒にPDCAサイクルを回すサービス:
    • マーケティング分野のCX(顧客体験)重視の流れを反映したサービスが、印刷市場にも求められるようになる。
    • 印刷物の「納品後」を意識することで実現可能。
  • 「多品種 × メガロット」印刷サービス:
    • 例えば、ナショナルブランド商品パッケージのパーソナライズに対応する印刷サービス:
      • 新聞(特に全国紙)のパーソナライズも
    • IGASで見られたように、生産性の高いパッケージ向けデジタル印刷機が増えてきたから。
    • また、パーソナライズはCX向上にもつながるから。
  • Data Driven 印刷サービス:
    • デジタルマーケティング分野のツール(MarTech: Marketing Technology)と印刷を組み合わせたサービス:
      • マーケティングオートメーション(MA)× 印刷
      • ビジネスインテリジェンス(BI)× 印刷、など
    • 例)Webサイトでアクセス数が急に増えたコンテンツの内容を反映させた店頭POPをタイムリーに印刷・配布するサービス
    • このサービスにより、Webとリアルをさらに密接につなげることができる。
  • 「ワンタッチ」印刷サービス:
    • NFCなどを使うことで、「ワンタッチ」で印刷物からWebに誘導できるサービス:
      • Web側のランディングページやWebへのアクセス状況、Webへの誘導後の行動などを分析し、サービスを改善する提案する仕組みまであわせて提供する。
    • 英国の印刷会社 moo は、PAPER+ でこのサービスを開始した:
      • 2015年秋にサービスイン。
    • ARやQRでは、アプリのダウンロード・アプリの起動・マーカーの読み込みと複数のステップが必要。
    • ただし、NFCを使ったサービスはiPhoneでは非対応(2015年12月時点)
  • 定額型印刷サービス:
    • 例えば、月額で継続的に課金できる印刷サービス:
      • 「ワンタッチ」印刷サービスでWebのアクセス状況などを継続的に分析するサービスなど。
    • 印刷物を提供する際には、別途課金する。
  • エコシステムに基づく印刷サービス:
    • 異なる強みを持つ複数の印刷サービスを組み合わせることで、顧客が受け取る価値の最大化を目指すサービス:
      • エコシステム:価値の掛け合わせ
      • 横持ち:作業の分担
    • 総合印刷からの脱却/エキスパートとしての新たな展開を促進。
    • 作業志向から価値志向への転換を促進。

厳しい状況にあると言われる印刷市場も、マーケティングなど他の大きなトレンドと組み合わせて考えると、とてもたくさんの面白い事業機会が見えてきます。ぜひ皆さんもこの年末・年始はいつもと違った視点から印刷市場を見つめ直してください。

さて、次回は7月の投稿に続く2回目のdrupa2016 大胆予測!です。今度は、IGAS2015の結果などを受けての予測になります。お楽しみに (^ ^)