これが、「印刷情報 6月号」(印刷出版研究所)に掲載された記事「ハイブリッド印刷の最新動向 〜 国内市場における成功のポイント」を書いた際の目的のひとつでした。
これまで、「機材の導入・活用」「人材教育」「環境対応」「グローバル展開」「経営の心構え」などさまざまな視点から印刷会社に関する記事が書かれています。しかし、「競争戦略」という視点で書かれた記事は、私の勉強不足もあるかとは思いますが、読んだことがないかと思います。厳しい印刷市場を乗り越えるためには戦略が必要不可欠だと、さまざまなところで言われているにも関わらず、です。
そもそも、競争戦略とはなんでしょう?一橋大学教授 楠木健氏は、著書「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社)で以下のように書いています:
- 競争戦略は、「誰に」「何を」「どうやって」提供するかについてのさまざまな「打ち手」で構成されています。戦略は競合他社との違いを作るものです。さまざまな打ち手は他社との違いをつくるものでなくてはなりません。
- しかし、個別の違いをバラバラに打ち出すだけでは戦略になりません。それらがつながり、組み合わさり、相互作用する中で、初めて長期利益が実現されます。
今回、編集者のご厚意によりまとまったページ数をいただけましたので、ハイブリッド印刷に取組まれている印刷会社の競争戦略の分析・評価に取り組みました。その際、楠木教授の「ストーリーとしての競争戦略」という以下の様なフレームワーク(考え方)を使いました:
- ストーリーとしての競争戦略は、さまざまな打ち手を互いに結びつけ、顧客へのユニークな価値提供とその結果として生まれる利益に向かって駆動していく論理に注目します。
- つまり、個別の要素について意思決定しアクションを取るだけでなく、そうした要素の間にどのような因果関係や相互作用があるのかを重視する視点です。
さて、こうした「競争戦略」の観点からデジタル印刷で成功している印刷会社を分析すると、以下のような共通点が見えてきました。これらの点につきましては、また改めてこちらのブログでご説明したいと思います:
- 既存事業とデジタル印刷サービスにシナジー(相乗効果)が出ている。
- 営業部門と生産部門が「マーケティング」で協業できている。