これは、ニュープリンティング社からプリテックステージ 2013年5月号増刊として発行されたものです。今回の記事では、印刷会社による印刷通販市場への新規参入戦略立案のポイントとして以下のような点を挙げました:
- 印刷会社相手ではなく、顧客と直接やり取りすること。
- 「絞り込んだ市場」に向けてサービスを提供すること:
- 特に、これまでの印刷通販会社が取りこぼしてきた市場:
- 個人向けサービス
- 中小規模サービス業向けサービス
- 海外市場向けサービス、など
- 「絞り込んだ商材」を提供すること:
- 名刺やショップカード、チラシ、DM、など
- 既存の設備で対応できる商材
- 高い UI/ UX(User Interface/ User Experience)を実現すること。
- 小さく始めてフットワーク軽く展開すること、など
詳細につきましては、記事をお読みください!印刷通販Bookには、ラクスルの松本社長の講演概要やグラフィック、プリントパックなど国内の主要印刷通販会社10社の取材記事が掲載されていてとても読み応えがあり、また勉強になります。
ところで、ラクスル松本社長の記事の中に、印刷通販が引き起こした変化を上手く使う方法として「印刷通販を下請け会社として使う」という提案がありました。私もこの考え方には賛成で、実はもう少しページ数があれば、記事中でこうした点についても触れたいと考えていました。
この場合重要なのは、松本社長もご説明されている通り、印刷物を安く提供するためにではなく「自社サービスの付加価値を高めるため」に印刷通販を下請け会社として活用することになります。これは例えば、販促支援サービスの提供に当たって、その費用対効果を高めることに注力する中で印刷通販サービスを様々な選択肢の中のひとつとして活用する、ということです。
さて、費用対効果を高める際には、特に「効果」を明らかにするために KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)を定義し、それを継続的に測定・評価する必要があります。KPIは、Webマーケティングの領域では広く使われている言葉/考え方なのですが、印刷業界で詳しい方はそれほど多くないようです。
顧客のコミュニケーションの『効果』を表す適切な KPIを設定し、継続的に測定・評価・改善すること。その際、印刷通販サービスを適切に活用して『費用』を抑えること。この両面を揃えることで、印刷会社は印刷通販が起こした大きな変化を武器にすることができると考えます。そういえば、拙訳書「未来を破壊する」でも「印刷ビジネスの新しいルール」のひとつとして、以下のような項目が挙げられていました:
- 顧客のコミュニケーション全体のROI(費用対効果)、特に印刷物とは関係のない取組みに集中すること。
まだ、こうした考えでコミュニケーションサービスを開発・提供されている印刷会社は限られています。是非、御社でもこのような取組みを「小さく始めてフットワーク軽く展開」して、「未来を破壊」してください!