印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2016年5月13日金曜日

drupa2016に向けて:ハイエンドA3枚葉トナー機の最新動向

気がつけば、もう長い間ハイエンドA3サイズトナー式デジタル印刷機は、国際印刷機材展で話題の中心になっていないような気がします。2008年以降はインクジェット機にスポットライトが当たるようになり、トナー機の分野でも安価で扱いやすいライトプロダクション機が注目されるようになったことが理由として挙げられます。

ただ、ハイエンドトナー機は着々と進化を続けており、新製品も発売されています。今回もHPからIndigo 7900、コダックからは、NexPress ZX3900といった新製品が発表されます。昨秋東京で開催されたIGAS2015では、以下のような機種が発表・展示されました:

前回(2012年)のdrupa以降、ハイエンドトナー機は「多色化(5色以上)」と「長尺化」といった点を中心に進化しています。多色化では、「5色機になった」だけでなく、「5色目として用意されたトナーの色」も話題になっています。例えば、IGASで発表されたiGen5では、オレンジ/グリーン/ブルーが5色目として用意されました。HPは、蛍光ピンクのトナーを発表していました。

そして今回、コダックは白トナーを発表しました(正確には「ホワイトドライインキ」です)。白トナー対応機はライトプロダクション市場では大きな注目を集めていますが、ハイエンド市場向けにはHP以外のメーカーからなかなか新製品が発表されませんでした。

長尺化も進んでいます。確かdrupa2012の時点ではiGenが最大幅 600mm でしたが、これに対抗するコダックはNexPressで最大 900mm に対応することを発表しました。コダックはさらに、drupa2016で 1200mm に対応したNexPressを発表します。

ところで、キヤノンやリコーといった日本のメーカーもこの市場に競争力のある製品を投入していますが、HPやゼロックス、コダックといった米国系メーカーがトレンドを作っています。「5色目」の展開もあまり積極的ではない印象ですし、長尺化に関しても後追いしているように感じます。

もちろん、色数を増やしたり長尺化を進めることが必ずしも良い訳ではありません。それらの進化が、ユーザーである印刷会社や印刷物発注者にとって重要な意味を持つことが大事なのです。

drupa会場ではぜひ、「なぜ、米国系メーカーは多色化・長尺化に積極的なのか?」といった点に注目することをオススメします。そこから、新しいデジタル印刷サービスのヒントやデジタル印刷サービスで競争力を高めるヒントが得られるかもしれませんから (^ ^)

また、ハイエンド機ならではの画質の高さもしっかり確認&楽しみましょう!個人的には大量に印刷した際の画質安定性にも興味があるのですが、それはなかなか展示会では確認することはできません・・・それが実感できる展示もあったら面白いですね。
やはりdrupaは見どころがいっぱいでとても楽しみです♪