前回のブログでは、印刷会社が「原稿用データをデジタルコンテンツとして管理・活用するサービス」を通じて売上・利益を拡大する可能性について分析しました。とはいえ、『紙の本』の印刷を通じて売上・利益の拡大ができればそれに超したことはない、とお考えの印刷会社も少なくないかと思います。
電子書籍が広まりそうな中、『紙の本』の印刷を通じて売上・利益を伸ばす方法として「小ロット・短納期対応力を高めたサービス」を提供することが考えられます。現時点では、この先書籍が売れる際に冊数ベースで電子書籍と『紙の本』がどの程度の割合になるかは分かっていません。また、インターネットを使った口コミでのプロモーション手法も広まりつつあることから、口コミで少しづつ書籍の売れ行きを伸ばすという販売戦略を取る出版社も増えることでしょう。
一方で、出版社も厳しい状況に直面していることから、在庫費用や廃棄費用は抑えたいと考えるところも少なくないと思われます。また、読者は「注文したら翌日に届く」というアマゾンのスピード感に慣れてしまっていることから、それを今後も出版社・印刷会社に期待しすることでしょう。
こうした状況に対応するためには、書籍の売れ行きを見ながら必要な量を印刷でき、また注文の翌日には読み手にお届けできる「小ロット・短納期対応力を高めたサービス」が必要不可欠になると考えられます。ただ、小ロットジョブである程度の売上・利益を確保するためには、多くのジョブを集める必要があります。そのため、「多品種対応力」も必要不可欠になります。また、確実に翌日配送するためには、印刷に加えて物流まで意識したワークフローも求められます。
今回の「東京国際ブックフェア」では、京葉流通倉庫という物流ソリューションを提供されている会社が、今冬にサービス開始予定の「Bookオンデマンドサービス(仮称)」を紹介していました。これは、京葉流通倉庫さんがお持ちの倉庫にデジタル印刷機や製本機を設置し、オンデマンドで書籍を印刷・配送するというサービスになります。その特徴は、「少部数単位で発注」「短納期」「在庫の最適化」になります。サービスの詳細は現在詰めているところだそうですが、どの様な内容になるのかとても楽しみです。
今回も「小ロット・短納期対応力を高めたサービス」だけのご紹介で、すっかり長くなってしまいました。申し訳ありません・・・またまた次回に続けたいと思いますので、引き続きお付き合いください。