ただ、その提案の多くは「スマホでクーポンなどお得情報を得る」という使い方で、個人的にはあまり面白みは感じませんでした。何故なら、メールやウェブサイト、SNS、企業アプリなどでお得情報を得る機会は既に十分にあるように思うからです。スマホならではの面白い使い方の提案、あるいは定価で商品を販売するための提案があれば、もっと刺激的な展示会になったかと思います。
そういう意味では、例えば、リテールテックの大日本印刷ブースで紹介されていた「P2Pソリューション」 (Peer to Peer、スマホ端末間での直接通信)は、DNPの意図を越えた面白い展開を想像させてくれました。同じくDNPが提案していた「音楽に反応するARソリューション」も、AR = 画像認識だという既成概念を打ち壊す興味深いものでした。インディゴ社の商業施設内の回遊性を高めるソリューション(「買い回り」促進ソリューション)も、他社とは異なる視点で開発・提供された面白いものでした。
また、今回の展示会では、「デジタルサイネージを活用したO2Oソリューション」も見どころのひとつでした。デジタルサイネージに双方向性を持たせることで「巨大なスマホ(あるいはタブレット端末)」のようにし、店頭でのプロモーションや販売などで活用するというソリューションです。
JAPAN SHOP のマックレイ社ブースでは、デジタルサイネージにカメラを組み合わせ、その前を通過した子供の興味を引くようなARソリューションが最近人気だというお話しをお伺いしました。そういえば、またDNPのお話しで恐縮ですが、1月に開館したドットDNP(東京・新宿区)の地下にある「デジタルえほんミュージアム」でも、絵本と魔法の杖(!)、そしてARを組み合せたソリューションは子供達に大人気でした。
NCRブースで紹介されていた「エンドレス・アイル」は、狭い店頭を有効活用するためのデジタルサイネージをベースにした eコマースソリューションです。既に海外では使われていて、国内市場向けには今回の展示会に合わせて投入されました。ご担当者によれば写真のようなアパレル企業での導入を想定されているそうです。自動販売機のようなこのソリューションは、物流を含むフルフィルメント部分もあわせて充実させることで、大きな可能性が見えてきそうです。
このように、端末の多様化そして目的の多様化が進むO2Oソリューションに対して、印刷会社としてどのように取り組むのか、また印刷物をどのように組み合わせるのか。こうした観点で新しいコミュニケーションサービスの開発・提供を進めることも、「未来を破壊する」ことに繋がります。
ところで、今回の展示会の見どころは以下のようにまとめられるかと思います:
- 「軽やか」だったり「華やか」だったりする店舗空間作り:
- パステルカラーの壁紙やタイル
- 植物をモチーフにしたデザイン
- プロジェクションマッピングなど、3D的な表現、など
- スマートフォンやタブレット端末向けソリューション花盛り:
- 販促に加えて、受発注、社内情報の見える化、など様々な提案
- ARやSNS、P2Pなどと組み合せたO2Oソリューション
- 「巨大なスマホ」としてのデジタルサイネージ:
- 販促ソリューション
- 自動販売機的な活用
- 「白」が広幅プリンターの活用ポイントに
- 電子ペーパーの可能性再考
- 販促支援プラットフォーム戦争激化の予感
引き続きこのブログで、JAPAN SHOP やリテールテックで得た情報の分析を進めていきたいと思います。お楽しみに (^ ^)