2月21日に電通から発表された「2012年(平成24年)日本の広告費」によれば、2012年の国内インターネット広告費は8,680億円でした。これは、新聞広告費(6,242億円)と雑誌広告費(2,551億円)の合計とほぼ同じ規模です。この先、インターネット広告費は新聞・雑誌広告費の合計を上回り、その差を広げて行くことでしょう。
ところで、「日本の広告費」ではインターネット広告費の内訳として「媒体費」「広告制作費」も示されています。2012年、インターネット広告費における媒体費は6,629億円・広告制作費は2,051億円、これらのインターネット広告費に占める割合は媒体費 76%・広告制作費 24%でした。では、これらの数字を基に印刷会社は何を考えるべきなのでしょうか。
まず、インターネット広告に取組む多くの印刷会社がターゲットとする「広告制作費」にを見ると、実はPOPの制作費(1,842億円)を上回る規模です。また、その2012年の対前年比は109.5%と、インターネット広告市場の拡大を牽引しています。印刷用データを活用してインターネット広告を制作するサービスを提供することは、印刷会社にとって十分魅力的な事業機会だと考えられます。
その際、紙媒体で顧客企業が伝えようとしたメッセージをWeb媒体でも同様に(あるいはさらに強力に)伝えることができる「表現力」があると、競争力はより高まります。現時点では、紙媒体でもWeb媒体でも同じようにメッセージを伝えられる表現力を持つ企業は、印刷会社・IT企業ともほとんどいないと考えられています。インターネット広告制作の分野で過剰な価格競争に巻き込まれないためには、こうしたスキルが重要になります。
さらに、「媒体費」もターゲットにしたサービスを企画・提供すると印刷会社の事業機会はもっと大きなものとなります。何せ、インターネット広告の媒体費は新聞広告費を上回る規模で、インターネット広告費の約4分の3を占めているのですから。
この媒体費をターゲットにしたサービスですが、例えば、自社でWeb媒体を立ち上げ、そこに設置した広告枠を販売するというものが考えられます。これを実現するためには、集客力の高いコンテンツの作成に加えて集客の仕組み作りや効果の高い広告の企画など、これまで提供してきた印刷サービスとは異なるスキルが必要とされます。
しかし、ある特定の業種の顧客が多い印刷会社だと面白い展開が可能かもしれません。製薬会社の顧客が多い印刷会社が、病院の医師や看護師向け、あるいはドラッグストアや薬局向けのWebサイト(あるいはスマホやタブレット向けアプリ)を立ち上げ・運用するとか。そこにAR(仮想現実感)を組み合わせることで、印刷物とWeb媒体の連携性をより高めたり。
今後、印刷会社によるインターネット広告への取組みはさらに進んで行くと思いますが、この新しい取組みで売上・利益を伸ばすためには自社の競争戦略を策定・実行することが必要不可欠です。これは、競合他社と同じ様なサービスを提供すると、現在の印刷市場と同様の過剰な価格競争に繋がるためです。新しい市場では、競争力の高い戦略を通じて是非とも「未来を破壊」してください (^ ^)
印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
2013年4月22日月曜日
2013年4月11日木曜日
顧客ニーズ別 お薦めAR
4月10日〜12日の3日間、サンシャインシティ・コンベンションセンターTOKYO(東京・池袋)では第47回プレミアム・インセンティブショーが開催されています。この展示会では様々なノベルティやセールスプロモーション用のグッズやソリューションが提案されています。
今回、昨秋(第46回)はほとんど目に付かなかったAR(Augmented Reality, 拡張現実感)が様々なブースで提案されていました。私が短い取材時間内でお話をお伺いしたものだけでも、「SuAR!(富山スガキ)」「blippAR」「COCOAR(スターティアラボ)」「Promo-PR(楽プリ)」などがありました。
そのARですが、今年の2月に同じ会場で行われた印刷機材展 page 2013 などの展示会や様々なキャンペーンを通じて、実際に触れたご経験をお持ちの方々も少なくないかと思います。では、印刷会社が顧客に提案する際には、どのARサービス/ソリューションを選べば良いのでしょうか。
顧客ニーズ別のお薦めARを明らかにするため、これまでの取材を基に下図のようなマトリックスを作成しました(縦軸:アプリアイコンのカスタマイズ可否、横軸:AR提供側からの提案内容)。この結果、大きく分けて3種類の顧客ニーズ別お薦めARソリューションが見えてきました:
とはいえ、スマホ用アプリのアクセス解析ツールも増えてきていますので、例えば Aurasma系のオリジナルアイコンを使ったアプリにアクセス解析ツールを組み込むことができれば、右上エリアをカバーするARソリューションを提供される会社も現れるかも知れません。
ところで、マーケティング分野で O2O(Online2Offline, Offline2Online)は話題になっており、ARは確かに O2O ソリューションのひとつです。しかし、マーケティングで注目されているのは、リアルな店舗への誘導や店頭で商品を選んでいただくことを目的とした「Online2Offline」ソリューションであって、ARが得意とする紙媒体などからWebへ誘導する「Offline2Online」ソリューションではありません。
印刷会社が顧客にARを含むソリューションを提案する際には、ARが実際の店舗への誘導や店頭での商品選択などマーケティングの課題解決に具体的にどのように貢献できるのかについてもご説明することが重要かと思われます。そのご提案に適したARソリューションを選定するに当たって、今回のブログが少しでもお役に立てば幸いです (^ ^)
今回、昨秋(第46回)はほとんど目に付かなかったAR(Augmented Reality, 拡張現実感)が様々なブースで提案されていました。私が短い取材時間内でお話をお伺いしたものだけでも、「SuAR!(富山スガキ)」「blippAR」「COCOAR(スターティアラボ)」「Promo-PR(楽プリ)」などがありました。
そのARですが、今年の2月に同じ会場で行われた印刷機材展 page 2013 などの展示会や様々なキャンペーンを通じて、実際に触れたご経験をお持ちの方々も少なくないかと思います。では、印刷会社が顧客に提案する際には、どのARサービス/ソリューションを選べば良いのでしょうか。
顧客ニーズ別のお薦めARを明らかにするため、これまでの取材を基に下図のようなマトリックスを作成しました(縦軸:アプリアイコンのカスタマイズ可否、横軸:AR提供側からの提案内容)。この結果、大きく分けて3種類の顧客ニーズ別お薦めARソリューションが見えてきました:
- コスト重視派(左下):
- 低コストでコンテンツをブラウズしたり、サイトに誘導したりする仕組みを構築したい顧客向け。
- このエリアのARソリューションは、初期費用・ランニングコストともに、低めに設定されていることが多い。
- COCOARは現在このエリアにいますが、将来的には右下へポジションを変えようとされています。
- ブランド重視派(左上):
- 比較的安価に、オリジナルアイコンを使ったARアプリを提供したい顧客向け。
- Aurasmaでは比較的簡単に「オリジナルアイコン」を設定・提供することができたが、現在ポリシーの見直しが進んでいるため、今後については確認が必要。
- 効果測定重視派(右下):
- ARアプリを使って誰がいつどのマーカーからアクセスしたかなど、利用に関するデータを収集分析することで効果を測定し、費用対効果の最大化を目指したい顧客向け。
- このエリアのARソリューションを提供している企業は、最先端のAR技術(画像認識技術)の研究開発に取組み、それを製品に反映させている:
- blippARは現在検索サービス最大手のG社と協同で、ある製品の開発を進めているそうです。詳細は、近々正式に発表されるとのことでした。
- ナント・モバイルは、そのG社でARを研究されていた方々がスピンアウトして設立した会社だそうです。
とはいえ、スマホ用アプリのアクセス解析ツールも増えてきていますので、例えば Aurasma系のオリジナルアイコンを使ったアプリにアクセス解析ツールを組み込むことができれば、右上エリアをカバーするARソリューションを提供される会社も現れるかも知れません。
ところで、マーケティング分野で O2O(Online2Offline, Offline2Online)は話題になっており、ARは確かに O2O ソリューションのひとつです。しかし、マーケティングで注目されているのは、リアルな店舗への誘導や店頭で商品を選んでいただくことを目的とした「Online2Offline」ソリューションであって、ARが得意とする紙媒体などからWebへ誘導する「Offline2Online」ソリューションではありません。
印刷会社が顧客にARを含むソリューションを提案する際には、ARが実際の店舗への誘導や店頭での商品選択などマーケティングの課題解決に具体的にどのように貢献できるのかについてもご説明することが重要かと思われます。そのご提案に適したARソリューションを選定するに当たって、今回のブログが少しでもお役に立てば幸いです (^ ^)
ラベル:
AR,
O2O,
プレミアム・インセンティブショー,
拡張現実,
拡張現実感
登録:
投稿 (Atom)