今回、昨秋(第46回)はほとんど目に付かなかったAR(Augmented Reality, 拡張現実感)が様々なブースで提案されていました。私が短い取材時間内でお話をお伺いしたものだけでも、「SuAR!(富山スガキ)」「blippAR」「COCOAR(スターティアラボ)」「Promo-PR(楽プリ)」などがありました。
そのARですが、今年の2月に同じ会場で行われた印刷機材展 page 2013 などの展示会や様々なキャンペーンを通じて、実際に触れたご経験をお持ちの方々も少なくないかと思います。では、印刷会社が顧客に提案する際には、どのARサービス/ソリューションを選べば良いのでしょうか。
顧客ニーズ別のお薦めARを明らかにするため、これまでの取材を基に下図のようなマトリックスを作成しました(縦軸:アプリアイコンのカスタマイズ可否、横軸:AR提供側からの提案内容)。この結果、大きく分けて3種類の顧客ニーズ別お薦めARソリューションが見えてきました:
- コスト重視派(左下):
- 低コストでコンテンツをブラウズしたり、サイトに誘導したりする仕組みを構築したい顧客向け。
- このエリアのARソリューションは、初期費用・ランニングコストともに、低めに設定されていることが多い。
- COCOARは現在このエリアにいますが、将来的には右下へポジションを変えようとされています。
- ブランド重視派(左上):
- 比較的安価に、オリジナルアイコンを使ったARアプリを提供したい顧客向け。
- Aurasmaでは比較的簡単に「オリジナルアイコン」を設定・提供することができたが、現在ポリシーの見直しが進んでいるため、今後については確認が必要。
- 効果測定重視派(右下):
- ARアプリを使って誰がいつどのマーカーからアクセスしたかなど、利用に関するデータを収集分析することで効果を測定し、費用対効果の最大化を目指したい顧客向け。
- このエリアのARソリューションを提供している企業は、最先端のAR技術(画像認識技術)の研究開発に取組み、それを製品に反映させている:
- blippARは現在検索サービス最大手のG社と協同で、ある製品の開発を進めているそうです。詳細は、近々正式に発表されるとのことでした。
- ナント・モバイルは、そのG社でARを研究されていた方々がスピンアウトして設立した会社だそうです。
とはいえ、スマホ用アプリのアクセス解析ツールも増えてきていますので、例えば Aurasma系のオリジナルアイコンを使ったアプリにアクセス解析ツールを組み込むことができれば、右上エリアをカバーするARソリューションを提供される会社も現れるかも知れません。
ところで、マーケティング分野で O2O(Online2Offline, Offline2Online)は話題になっており、ARは確かに O2O ソリューションのひとつです。しかし、マーケティングで注目されているのは、リアルな店舗への誘導や店頭で商品を選んでいただくことを目的とした「Online2Offline」ソリューションであって、ARが得意とする紙媒体などからWebへ誘導する「Offline2Online」ソリューションではありません。
印刷会社が顧客にARを含むソリューションを提案する際には、ARが実際の店舗への誘導や店頭での商品選択などマーケティングの課題解決に具体的にどのように貢献できるのかについてもご説明することが重要かと思われます。そのご提案に適したARソリューションを選定するに当たって、今回のブログが少しでもお役に立てば幸いです (^ ^)