印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2013年5月16日木曜日

2013 Japan IT Week 春の見どころ(詳細編) . . . (1)

2013年5月8日〜10日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「2013 Japan IT Week」は、来場者数(主催者の発表、速報値)84,534名の大きな展示会でした。展示内容も印刷業界の観点から見ると非常に刺激的なものがたくさんありました。その見どころの概要を前回のブログでご紹介しましたが、今回からその詳細をお伝えしたいと思います:

1. オウンドメディア向けサービス:

このブログでもこちらの記事でオウンドメディアについてご紹介しましたが、今回の展示会ではそれを活用するための様々なツールが提案されていました。

例えば、ゆめみブースでは、オウンドメディアを通じてファンを増やすエンゲージメント・プラットフォーム「Sprocket(スプロケット)」が展示されていました。Sprocketは、ゲーミフィケーションの手法を使うことでサイトへの訪問頻度を高めたりサイト内の回遊率を高めるたりするプラットフォームで、既にベネッセコーポレーションやネスレ日本などで導入されているそうです。

アド・ダイセンブースには、オウンドメディアとDMやチラシといったリアルメディアをつなぐO2Oソリューション「mottoco」が紹介されていました。顧客がDMや屋外広告、デジタルサイネージなどにあるQRコードをmottocoアプリから読み込むことで、いつでも手許に持っておくこと = 「クリップ」することができるというサービスです。これはまだ開発中ですが、夏頃にはスタートする予定だそうです。とても面白そうなソリューションなので開始が楽しみです。

また、様々なサイト内検索エンジンが紹介されていたのも印象的でした。例えば、フォルシアが提案していたカスタムメイドの検索エンジン「Spook(スプーク)」は、サイト内高速商品検索とマーケティング支援ツールの2つの側面を持つソリューションです。5〜6年前からサービスを提供しているそうですが、これまでにるるぶトラベルや日本旅行といった旅行会社、JAL・ANAといった航空界社、ニッセンやカウネットといった通販会社など、様々な業種で採用されています。このうちるるぶトラベルは、このソリューションを導入したことで売上が1.5倍になったそうです。

こうしたオウンドメディアへの来訪を支援したり自社サイト内の回遊率を高めるソリューションは、マーケティングサービスプロバイダーへの転換を目指す印刷会社にとって有効なものだと思います。


2. 「割引」や「お得」を売りにしないO2Oソリューション:

このブログでもこれまで何回かO2Oについて取り上げてきましたが、Web & モバイルマーケティング EXPO でも「O2Oゾーン」が設置されるなど、O2Oは主要トピックのひとつでした。ただ、その多くは「スマホにクーポンやお得情報を配信する」というものでした。

もちろん「安く買いたい」「得をしたい」という消費者が多いことは確かなので、こうしたソリューションのニーズが高いことは理解できます。しかし、個人的には売り手側から見た時に「安売り競争」を回避できるソリューションの方が興味があります。

NSDブースで紹介されていた「FIND! FUKUOKA」というO2Oソリューションは、海外からの観光客の「お役立ち」を目的とした面白いものでした。これは、「FIND」というセンサーを用いたピンポイントPush配信と「翻訳スカウター」という翻訳ソリューションを組み合わせたモバイルアプリになります。

このアプリを使うと、天神、博多駅、博多港などに設置しているデジタルサイネージに近付くと、福岡にある施設のイベント情報などを入手できます。また、ベイサイドプレイス博多」にある施設内の看板や飲食店のメニューにカメラを向けると、日本語表示を英語・韓国語・中国語(繁体語/簡体語)に変換できます。このアプリは韓国で話題になっていて、韓国から福岡にいらっしゃる観光客の多くは、福岡に到着する前に韓国国内でアプリをダウンロードされているそうです。

このアプリは、観光客の観光スポット間の回遊状況を把握することにも役立ちます。こうしたデータをもとに、観光スポット間の移動手段を充実させたり、別のスポットへの回遊を促進したりといった展開も検討されているそうです。

印刷業界でも「地域の活性化」は注目の分野です。「安さ」をキーワードにある場所への誘導を促進するだけではなく、地域内のたくさん場所を訪問(回遊)していただいて楽しい思い出をたくさん作っていただく(その間、美味しいものを食べていただいたり、素敵なお土産を買っていただいたり)というソリューションの開発・提供を通じて、地域の活性化に貢献するサービスも魅力的かと思います。

すっかり長くなってしまいましたので、見どころ(詳細編)の第1回はこのあたりで終わりにしたいと思います。次回は、印刷業界でも話題の「AR」関連の展示などについてご紹介ししますのでお楽しみに (^ ^)