宣言には、この戦略を実行するためには、広告主は生活者とのコンタクト・ポイントを起点とするコミュニケーション計画へと舵を切るべきだと書かれています。さらに、それに続くセッションでは、適切なコンタクトのタイミング(モメント)を見出して掴むことの重要性も議論されました。
モメントとは、生活者が商品に近づく瞬間、生活者にメッセージが届きやすい瞬間、グッとくる瞬間、といったタイミングです。モメントを見つけ出し、それを掴むことはとても難しいことです。しかし、脱媒体別戦略を実行するためには、必要不可欠な取り組みです。
宣言の詳細はこちらのリリースをお読みいただければと思いますが、個人的には、この広告主の新しい戦略は「印刷会社にとってプラスに働く可能性の大きなもの」だという印象を受けました。
ただ、これまでのような「大量の印刷物を短納期で安く提供する」というビジネスモデルでは、広告主が考える新しいマーケティング戦略には対応できません。印刷会社も「印刷物中心主義からの脱却」という脱媒体別戦略を進めながら、例えば、以下のようなことを支援する新しい役割を身につけることが求められます:
- 生活者(「顧客の顧客」)をしっかり観察し、よく知ること。
- モメントを見つけて掴むこと
- モメントに伝えるべきメッセージづくり
- モメントに最適なメディアの選択・活用
- モメントを通して深まった関係の継続・さらなる強化・広まり、など
こうした新しい役割を通じて、マーケティングの大家フィリップ・コトラー氏が言うところの「需要とブランドの創造」に貢献する新しいサービスを企画・実現すること。これが、印刷会社の新しい事業機会につながります。
ところで、こうしたモメントを意識した脱媒体別戦略の事例として博報堂 iディレクション局 須田氏から紹介されたものの中に、Rice-Codeというものがありました。これは、印刷会社でも馴染みのある画像認識技術を使ったもので、印刷会社でも実現可能な仕組みです。この「キレイな風景をスマホで写真に撮る」というモメントをEC(電子商取引)のトリガー(引き金)にしたサービス、とても面白いですよね。
こんなサービスが企画・提供できるようになる。そういう方向性も、これから印刷会社が進むべき方向のひとつだと思います。そんな方向を目指したい印刷会社の方、ぜひお声がけください (^ ^) 一緒に新しい魅力的な世界を目指しましょう!