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2020年7月7日火曜日

2020年の印刷市場 〜「未来を破壊する」より 〜 . . . (2)

2012年、筆者は”Disrupting the Future” という本を翻訳しました(邦題は「未来を破壊する」)。この本は2010年に出版されましたが、その「あと書き」部分には2020年の印刷市場の予測が書かれていました。2020年の今、改めてこの部分を翻訳します。「未来を破壊する」とはどういうことだったのか、実際にどの程度「未来を破壊」できたのか。こうした点を確認する際の参考にしていただければ幸いです。

なお、この前の部分(1)はこちらです。


彼らは思いついたアイデアをピザ屋のオーナーに持ち込んだ。そのオーナーは興味を持ったものの、それらをどう始めれば良いのか、またどの程度の費用がかかるのかといったことが見当が付かなかった。そこでスミス氏と友人たちは、極めて重要なパートナーとともに、これら全てのアイデアを実現するためのマーケティングサービス会社のようなものを立ち上げた。

「私の叔父が経営していたAcme印刷はそのピザ屋の全てのメニューを印刷していたのですが、私たちはそこを拠点としました。そのお陰で、簡単にピザ屋の(印刷物作成に使う)データにアクセスでき、また様々なメディアを通じて一貫したブランドメッセージを送ることができました。私たちはWebサイトも引き継ぎましたが、その際には古いプリプレス用のサーバーをWebサーバーに変えて使いました」。

ピザ屋にはどんなコストが掛かったのか?「当初、私たちはそれを印刷コストの一部だと考えていました。しかし、それは次第にマーケティングパッケージ全体のコンサルタント料へと発展しました。ピザ屋の売上は、最初はゆっくりとでしたが、次第に目に見えて増えていきました」。

「ブログの人気が高まるにつれて他コンテンツへのアクセスも増え、口コミが広がりました。ソーシャルメディアのファンページやTwitter、数年後の2012年にはオンライン動画を提供する Hyper Twitter『tweeds』など。どれか1つだけではなく、これら全てのインバウンドおよびアウトバウンドメディアを組み合わせる戦略で、そのピザ屋は成長しました。2015年に電子メールがメディアとしての役割を果たせなくなった時でも、私たちは多くの他のメディアを準備していました」。

この結果、アンジェロは2017年に北米最大のピザ屋チェーンになった。

スミス氏はピザで立ち止まることはなかった。彼が大学を卒業した頃、叔父は印刷会社の経営から退くことを考えていた。スミス氏はAcme印刷を引き継ぐことを提案し、アンジェロに提供していたようなカスタマイズしたマーケティングサービスを事業化した。「最初にしたのは、社名をAcme印刷からAcmeコミュニケーションズに変えたことでした」。

2011年末には、AcComの利益率はAcme印刷当時よりもずっと高くなっていた。スミス氏の成功に関するニュースが広まるに連れて、印刷に注力していた「オールドメディア」企業は次々にコミュニケーションメディアを統合的に扱うアプローチへと変更した。


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