前回(2008年)の「インクジェットdrupa」に引き続き、今回もインクジェット機が大きな話題のひとつとなりました。前回の主役だったヒューレット・パッカード(HP)やゼロックス、コダック、富士フイルムなどはこの分野の新製品を発表し、今回は小森コーポレーションやKBAなどオフセット機メーカーもインクジェット機を発表・展示しました。また、これまで粉体トナー機を展開してきたコニカミノルタもインクジェット機市場への参入を表明し、ランダ社は「ナノグラフィ」という新たな印刷方式を提案し、小森やハイデルベルグ、マンローランド(枚葉機部門)との提携を発表しました。
これまでHPの独壇場であった液体トナー機の分野でも、新たな動きが見られました。ザイコンは「トリリウム」というこの技術を使った新たな商品ラインの開発を発表し、オセもdrupa会場ではなく本社で液体トナー機 InfiniStream の展示を行いました。前回のdrupaでも液体トナー機を展示したミヤコシは、今回リョービと共同開発している「Digital Press 8000」を紹介しました。
粉体トナー機の分野でも、印刷速度の向上や対応用紙サイズの拡大、蛍光ピンクやパール、ゴールドなど新色トナーの発表など、まだまだ進化していることが示されました。小森やハイデルベルグなどオフセット機メーカーでも、既存トナー機のOEMを受けて自社ブランドとして提供することを発表しています。
こうした動きは、デジタル印刷機の利用者である印刷会社にとっては選択の幅が増える好ましい状況ですが、デジタル印刷機を開発・提供するメーカーにとっては大変な状況だと思われます。以下に、主要なメーカーのデジタル印刷機市場への参入状況を印刷方式別にまとめてみましたが、多くのメーカーで複数の印刷方式のデジタル印刷機を開発していることが分かります。
このような状況に対応するため、特にインクジェット機や液体トナー機の分野では、印刷機メーカー間での合従連衡が活発化する可能性があります。メーカー間の提携状況については、バリューマシーンインターナショナル宮本さんのこちらのプレゼン資料でも詳しく説明されていますが、これが更に進化するかも知れません。その際には、インクジェットヘッドメーカーなども巻き込んだ、新たな展開が見られるかも知れません。印刷会社が自社の仕事内容やビジネスモデルに適したデジタル印刷機を選べる状況を実現するためのメーカーのこうした取り組みも、これからの注目ポイントのひとつだと思われます。