印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2022年8月22日月曜日

ビスタプリントはどこへ行く?

 大手印刷通販会社、というより印刷通販という市場をつくったグローバル企業ビスタプリント(Vistaprint)は、ホームページで「2022年8月31日をもって、日本でのサービスを終了すること」を発表しました。この背景には何があったのでしょう?

ビスタプリントの親会社Cimpress社の決算資料によれば、ビスタプリント(グローバル)の売上高はコロナ禍で11%減少しました(FY20, 2019年7月〜2020年6月)。しかし、FY21から増加に転じ、FY22(21年7月〜22年6月)にはコロナ禍前を上回る15億1,500万ドル(約2,100億円)に達しました。

一方、利益(EBITDA, 利払い前・税引き前・減価償却前利益)は、コロナ禍が始まったFY20にはなんと増加しました。しかし、その後は急速に減少し、FY22にはFY20の約半分(54%)の1億9,500万ドル(約270億円)になりました。

ビスタプリントは2013年11月にプラザクリエイトと資本業務提携、2014年3月には同社と合弁会社ビスタプリントジャパンを設立して、日本市場の開拓を進めてきました。ただ、価格競争が激しい日本市場で存在感を出すのは難しかったようです。

では、ビスタプリントは今後どのように展開していくのでしょうか?Cimpress社によれば、「価格競争が激しい名刺や単純なマーケティングマテリアルの印刷」から「スモールビジネスのデザインやマーケティングのパートナー」へと進化していくとのこと。そのためのプラットフォームへの投資を進めていく計画です。

ビスタプリントの日本市場撤退と方針転換は、厳しい価格競争からの脱却を模索する印刷会社の参考になりそうです。その動向を今後も引き続きフォローしていきます!


2022年8月18日木曜日

自分達らしい「ヒューマンスケールの工場」をつくろう!

印刷業界では過度な価格競争を背景に、スキルレス化や自動化などによるコスト削減を進めてきました。一方で、価格競争を抜け出すための高付加価値化にも取り組んできています。さて、スキルレス化と高付加価値化のバランスをどうとれば良いのでしょう?

ところで、こちらの記事によれば、フランスの高級ブランド ルイ・ヴィトンの時計を製造する自社工場「ラ・ファブリク・デュ・タン(時の工場)」(スイス・ジュネーブ)には100名弱の従業員がいます。そのうち、4名の時計職人が比較的価格の低い(といっても50万円以上はしますが)時計を年間13,000〜18,000本、15名の時計職人が比較的価格の高い時計(中には数千万円するものも)を年間400本、それぞれ製造しています。

こちらの記事では、ラ・ファブリク・デュ・タンの責任者 ミシェル・ナバス氏はこの工場について、コスト削減を進めつつも「個々のスキルの恩恵を受けられる、ヒューマンスケールの企業でありたい」としています。例えば、「部品に関しては、すべてを内製するのではなく、最高のサプライヤーと協力して」いますが、「サプライヤーからの供給を受けた部品を、すべて手作業で仕上げている」といった高付加価値化も進めています。

印刷会社がスキルレス化と高付加価値化のバランスを取る方法として、ラ・ファブリク・デュ・タンのように、「高付加価値商品ライン」と「一般商品ライン」を分ける方法もあります。ワザを活かした高付加価値商品ラインと、自動化・スキルレス化した生産性の高い一般商品ライン、のように。

その際、自分達らしい「個々のスキル」とそのスキルを活かせる「ヒューマンスケールの工場」を意識することが大切です。工場は、コストセンターであると同時に付加価値を付ける場所でもあります。個々のスキルで付加価値を高められる部分にはどんどん付加価値を付け、そうでない部分は自動化やパートナーとの協業などを通じてコストを削減する、ヒューマンスケールの工場。

営業やマーケティングは、そのスキル、またそのスキルで作られた商品の良さ・魅力を伝えて、ファンをつくること・増やすことが求められます。ファンになっていただくのは、顧客はもちろん、自社のスタッフやお取引先さま、地域社会の皆さま、などステークホルダーも含まれます。

多くの印刷会社が取り組んでいるSDGsも、この「ヒューマンスケールの工場」と相性が良さそうです。ぜひ、自分達らしい「ヒューマンスケールの工場」をつくって、厳しい市場環境にマケズ、売上・利益を伸ばしましょう!

2022年8月3日水曜日

『イベントの脱プラ化』を進めよう!

SDGsへの意識が高まる中、様々な分野で「脱プラスチック」の取り組みが進んでいます。イベントを企画・運営されている皆さま、このトレンドに乗って『イベントの脱プラ化』を進めませんか?

例えば、イベントで資料を入れて配布するクリアフォルダーを「紙フォルダー」に変えること。紙フォルダーは様々な用紙で作ることができるため、心地の良い色や手触りの良い紙を使うことで、ご参加された皆さまに「より良い体験」をご提供することもできます。

また、廃棄予定のポスターなどを断裁して、紙フォルダーとして「再利用」することもできます。IRイベントでこの「アップサイクル紙フォルダー(仮称)」を使えば、御社の環境への取り組みをさらに強く投資家の皆さまにアピールできます。



お食事を提供するイベントでは、「紙食器」を採用することで脱プラ化を進めることができます。例えば、こちらの紙食器「beak」にはカップ・平皿・深皿の3種類があって、紙製のフォークとスプーンも付いています。しかもこのbeak、最初はA4サイズの(半抜きされた)シートの状態で、それを手で切り抜いて自分で折り込んで作る「体験」から始まります。

もちろん、機能的にも優れています。カップには熱いスープを入れることができますし、平皿にはカレー、深皿にはラーメンなどを入れることもできます。紙製なので、カップの側面に会社やサービス、イベントなどのロゴを印刷することもできます。





ブースの什器も紙製にするなど、イベントの脱プラ化を進める余地はたくさんあります。また、規模の小さなイベントにも対応できるよう、小ロットのご要望にもお応えできる体制も整いつつあります。イベントを企画・運営されている皆さま、ぜひ『イベントの脱プラ化』を進めましょう!そして、SDGsの目標達成に貢献しましょう!!

イベントの脱プラ化にご興味をお持ちの皆さま、お気軽にブライター・レイター(担当:山下)までお問い合わせください。