今回、ad tech Tokyo 2014に参加して分かったのは、「パーソナライズされたメディアをタイムリーに提供すること」がデジタル・マーケティングにおける大きな話題のひとつだとということです。しかも、広告主の視点からみた場合、クロスデバイス/クロスメディアでタイムリーなone-to-oneマーケティングを実現することが求められています。
ad techらしく、会場では「ソーシャルメディア」「エンゲージメント」「ビッグデータ」など比較的広く知られているサービスに加えて、「ネイティブ広告」「SSP」「DMP」「プログラマティック」「キュレーションメディア」といったさまざまな新しい言葉/考え方/サービスが取り上げられていました。デジタル・マーケティングの世界では、これらを活用しパーソナライズされたメディアをタイムリーに提供しようとしています。
もちろん、これらの最新技術・最新サービスを理解し、自社の印刷サービスに組み込むことができれば、印刷会社にとって素晴らしいことだと思います。しかし、それは必ずしも不可欠ではありません。印刷会社にとって大切なのは、「パーソナライズされた印刷物をタイムリーに提供すること」です。そして、これはデジタル印刷を使えば可能です。
これまで、デジタル・マーケティングと印刷を全く別ものと考えていた方も多いかと思います。これは印刷会社に限らず、企業のマーケティングご担当者、デジタル・マーケティングに関わる方々でもそうだと思います。
しかし、デジタル印刷機が広く使われるようになり、デジタル印刷向けソリューションも充実してきている今、デジタル・マーケティングとデジタル印刷を組み合わせたサービスは、十分に現実的です。
ところで、下の写真はTwitter社によるキーノートで撮影したものです。Twitterは、自社をUnpredictable(予測できないこと)と位置付けています。また、会場でよしもとクリエイティブ・エージェンシーとの提携が発表されました。例えば、こうした動きをしているTwitterと組み合わせたデジタル印刷サービスには、どのようなものが考えられるでしょうか?
刺激的で市場規模も大きい魅力的な新規サービスを探している印刷会社の皆さん、この事業機会をぜひ実現してください!また、お手伝いが必要な際には、ぜひお声がけください (^ ^)
印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。
2014年9月24日水曜日
2014年9月22日月曜日
ad tech Tokyoに見る新規印刷サービス機会:アマゾンと楽天の相違から
2014年9月16日〜18日、東京国際フォーラムでデジタル・マーケティングのイベント、ad tech tokyo 2014が開催されました。私は今回が初めての参加でしたが、登壇者の豪華な顔ぶれや活気溢れる展示会に圧倒されつつも、また印刷業界からの参加にアウェイ感(笑)を覚えつつも、とても刺激的で楽しい時間を過ごしました。
キラ星のようなスピーカーの中には、楽天とアマゾンという日本と世界を代表するECサイトの方々が含まれていました。両社ともたくさんの優良なユーザーを抱え、また質の高い顧客データを大量に持っています。特に、年齢・性別・住所といったデモグラフィックデータではなく、ライフスタイルを切り口にしたセグメンテーションが求められる昨今、この両社が持つ購買データの価値はとても高いものになっています。
今回、この2社から「自社の広告プラットフォームとしての価値」という切り口でお話しがありました。面白かったのは、両社の(少なくとも私が受け取った)メッセージが、以下のような違いを持っていた点です:
データを欲しがっている方には、楽天のメッセージが有効かと思われます。しかし、結果を出すことを求められている多くの広告主にとっては、アマゾンのメッセージの方が魅力的だと思います。
ところで、楽天とアマゾンのメッセージの「データ」を「印刷機」に置き換えると、以下のような印刷営業トークになりそうです。皆さんは、どちらの営業トークが顧客にとって魅力的だと思いますか?あるいは、印刷会社の利益率を高めることができる営業トークは、どちらでしょうか:
そういえば、楽天がユーザーの効果的・効率的な「情報収集」に焦点を当てる一方、アマゾンは繰り返し"create experiences" (経験・体験を創造する)とおっしゃっていました。印刷会社も、単に情報を伝えるための印刷物ではなく、「経験・体験を創造する」印刷物を提供するよう転換するタイミングなのかもしれません。
ad techは、新しい印刷サービスを考える上でとても参考になるイベントでした。デジタル・マーケティングと印刷サービスは、私たちが考えているより近いもののようです。
次回も、ad techで得た新しい印刷サービスのヒントをご紹介します。お楽しみに!
キラ星のようなスピーカーの中には、楽天とアマゾンという日本と世界を代表するECサイトの方々が含まれていました。両社ともたくさんの優良なユーザーを抱え、また質の高い顧客データを大量に持っています。特に、年齢・性別・住所といったデモグラフィックデータではなく、ライフスタイルを切り口にしたセグメンテーションが求められる昨今、この両社が持つ購買データの価値はとても高いものになっています。
今回、この2社から「自社の広告プラットフォームとしての価値」という切り口でお話しがありました。面白かったのは、両社の(少なくとも私が受け取った)メッセージが、以下のような違いを持っていた点です:
- 楽天:ウチは、こんなスゴいデータを持っています!ちなみに、ウチのデータを使うとこんなコトができます:
- 例:楽天とサントリー製品の相性の良さが分かります。
- アマゾン:ウチを使えば、こんなスゴいプロモーションができますし、良い結果も出ます!その理由は、スゴいデータを持っていて、その使い方も知っているからです:
- 例1:ソニー 4Kテレビ
- 例2:ニベア
- 例3:ペプシコ フレッシュ・ジュース
- 例4:日産 Versa(日本名:ティーダ)
- 例5:アイリスオーヤマ
データを欲しがっている方には、楽天のメッセージが有効かと思われます。しかし、結果を出すことを求められている多くの広告主にとっては、アマゾンのメッセージの方が魅力的だと思います。
ところで、楽天とアマゾンのメッセージの「データ」を「印刷機」に置き換えると、以下のような印刷営業トークになりそうです。皆さんは、どちらの営業トークが顧客にとって魅力的だと思いますか?あるいは、印刷会社の利益率を高めることができる営業トークは、どちらでしょうか:
- A社:ウチは、こんなスゴい印刷機を持っています!ちなみに、ウチの印刷機を使うとこんな印刷物ができます。
- B社:ウチを使えば、こんなスゴいプロモーションができますし、良い結果も出ます!その理由は、スゴい印刷機を持っていて、その使い方を知っているからです。
そういえば、楽天がユーザーの効果的・効率的な「情報収集」に焦点を当てる一方、アマゾンは繰り返し"create experiences" (経験・体験を創造する)とおっしゃっていました。印刷会社も、単に情報を伝えるための印刷物ではなく、「経験・体験を創造する」印刷物を提供するよう転換するタイミングなのかもしれません。
ad techは、新しい印刷サービスを考える上でとても参考になるイベントでした。デジタル・マーケティングと印刷サービスは、私たちが考えているより近いもののようです。
次回も、ad techで得た新しい印刷サービスのヒントをご紹介します。お楽しみに!
2014年8月25日月曜日
考えるな、感じろ!
米国ハーバード大学が出版する雑誌『ハーバード・ビジネス・レビュー 2014年7月- 8月号』に、”The
Ultimate Marketing Machine”(究極のマーケティングマシーン)という、なかなか刺激的なタイトルの記事が掲載されています。これは、効果的・効率的にマーケティングの目的を果たす(あるいは課題を解決する)組織についての記事なのですが、この中で以下のような面白いモデルが紹介されています:
- 「Think(考える)」「Feel(感じる)」「Do(実行する)」の3つの要素(能力)を組み合わせて目的を果たす:
- Think(考える):データの収集・分析能力:
- 市場調査担当者、メディアミックスの設計担当者、ROI最適化担当者などに求められる能力。
- Feel(感じる):カスタマーエンゲージメント能力:
- 広報担当者、顧客サービス担当者、SNS・オンラインコミュニティ担当者などに求められる能力。
- Do(実行する):コンテンツの企画・制作能力:
- コンセプトクリエイターやデザイナー、コンテンツ制作担当者などに求められる能力。
- 目的・課題に応じて、3つの要素(能力)の組み合わせ比率を変える。
- 目的達成に必要な人材は社内外から適宜集める。
- 素早さがカギ。数週間〜数ヶ月程度の期間で、計画立案から目的達成まで。
- マーケティング責任者の役割は、3つの要素(能力)の比率を決めて人材を揃えて素早く目的を達成する “Orchestrator(オーケストレイター、コーディネイトする人といった意味でしょうか)”。
「Don’t Think, Feel.(考えるな、感じろ)」というのはブルース・リーの有名なセリフですが、今の時代、印刷会社の中にも「考えるな、感じろ!」という役割のスタッフが必要なようです。
最近、「聞く力」や「共感力」などが話題ですが、これを従来のマーケティング活動にどう融合するのが良いのか、実は私には良く分かっていませんでした (^ ^; しかし、「Feel(感じる)」の一部だと考えると、スムーズに取り入れることが出来そうです。
さて、このモデルの観点からみると、印刷会社がマーケティング力を高めるためには、以下のような取組みが必要になります:
なお、こうした能力・スキルは、社長やマーケティング責任者だけでなく、組織として習得することが求められます。この記事によれば、「マーケティングは、マーケティング担当者だけに任せるには重要すぎるものとなった。受付からITスペシャリストまで全ての社員が、マーケティングに従事しなければならないのである。」
こうした能力を高めること/スキルを習得することは、自社のマーケティング力を高めることはもちろん、顧客企業(印刷物発注企業)のマーケティング力向上への貢献力も高めることにもつながります。
- Do(実行)だけでなくThink‘(考える)やFeel(感じる)の能力を高める。
- 課題に応じてThink・Feel・Doの比率を変えるスキルを習得する。
- 課題に応じて、外部資源を活用する能力を高める。
- 素早く課題を解決する能力を高める。
なお、こうした能力・スキルは、社長やマーケティング責任者だけでなく、組織として習得することが求められます。この記事によれば、「マーケティングは、マーケティング担当者だけに任せるには重要すぎるものとなった。受付からITスペシャリストまで全ての社員が、マーケティングに従事しなければならないのである。」
こうした能力を高めること/スキルを習得することは、自社のマーケティング力を高めることはもちろん、顧客企業(印刷物発注企業)のマーケティング力向上への貢献力も高めることにもつながります。
2014年8月19日火曜日
drupa大胆予測 (2):drupa2020では『ペーパーエレクトロニクス』が大きな話題に!
drupa2016に引き続き、今回は2020年開催drupaのトピックを予想したいと思います。ここまで先の話だと、妄想なのかもしれませんけど(笑)
さて、今年3月にロンドンで開催されたIPEX2014のプリンテッドエレクトロニクス (PE)コーナーで、Ceradropというフランスの会社の方とお話ししました。その方はインクジェットヘッドの制御ソフトウェアをご担当されている方なのですが、お話しの中で「PEを商業印刷に応用したい」と仰っていました。
「PEを商業印刷に応用すると、どんなことができるの?」
「(お渡しした名刺を見ながら)例えば、これの名前やロゴの部分を光らせたりできるようになるんだ。あと、音を出せたり。通信ができるポスターもできるようになるよ。」
「(スマホを手に取って)将来、スマホの充電器もいらなくなるかも。スマホケースに太陽電池を印刷すれば、ケース自体から充電できるようになるからね。」
「いつ頃、実現できそう?」
「まだ分からない。でも、こういう風に使いたいという広告主が出てくれば、結構早く実現できるような気がする。技術開発は、落としどころがはっきりしていると、どんどん進んだりするからね。実は、今回の展示会でも、PEの商業印刷応用に興味がある人を探しているんだ。」
「そういう人、見つかった?」
「ぼちぼちかな。でも、興味を持ってくれる人は結構いるよ。」
実は昨年(2013年)、花王のマーケティングご担当者から、ニベアがブラジルで展開した『太陽電池が印刷された雑誌広告』を使ったキャンペーンのお話しをお伺いしていました。恥ずかしながら、その時は「面白い!」程度の感想しか持ちませんでした。しかし、Ceradropの方のお話を伺いながら「これって、もしかして印刷産業の大きな事業機会になるかも」という思い(というか妄想(笑))が大きくなりました。
ふと会場を見渡すと、PE x 商業印刷物の事例も展示されていたりしました。こちらのポスターもそのひとつで、ドラムセットの部分を触ると音が出ます。ただ、これが「音が鳴るポスター」だとあまり知られていないようで、触っている人は少なかったようです。
ちなみに、このポスターは英国の印刷通販会社MOOで制作したもののようです。たまたまIPEX視察時にMOOも訪問させていただいたのですが、社内に同じものが貼ってあって、その制作秘話もお伺いしました。MOOはとても面白い会社さんで、私の中では「世界で最もマーケティング力の高い印刷会社」という位置付けです。機会があったら、MOOの分析もこのブログでご紹介したいと思います。
話は元に戻しますが、帰国後に調べてみたところ、PE x 商業印刷のような『紙のエレクトロニクス応用=ペーパーエレクトロニクス』は様々な分野で大きな注目を集めていることが分かりました。例えば、クラウドファンディングサイトKICKSTARTERではペーパーエレクトロニクス分野のベンチャー企業が予定額を大きく上回る資金を調達していたり、スウェーデンの森林業界が産業の発展に寄与する研究を表彰するThe Marcus Wallenberg賞では、今年はペーパーエレクトロニクス分野の研究が受賞したり。
この背景には、ウェアラブルコンピュータなど向けに「薄くて軽くて柔軟で環境に優しい基板」が求められていることがあります。一方、コミュニケーションの観点からも、ペーパーエレクトロニクスは印刷物の表現力・双方向性を大きく高めます。さらに、最近話題のIoT(モノのインターネット, Internet of Things)への貢献も十分に考えられます。ICチップを安く大量に「印刷」できれば、たくさんのモノをネットにつなげられるようになるのですから。これは、生産管理やサプライチェーンマネージメントにも大きな影響を及ぼします。
2020年のdrupaでは、ペーパーエレクトロニクス分野を印刷会社が開拓するための機材が、多くの出展社から提案されることになると私は考えます。ペーパーエレクトロニクスは、印刷会社はもちろん、印刷機材・資材メーカーにも大きな事業機会を提供することになるためです。
ところで、こうした流れを受けて、国内でも筑波大学 生命環境系 生物材料工学分野 環境材料系科学研究室 江前(えのまえ)教授を中心に「紙のエレクトロニクス応用研究会」が今年の7月に発足しました。こちらのサイトからペーパーエレクトロニクス関連の情報が随時発信されており、また今後は会員限定の交流会なども計画されています。私も参加しておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にお声がけください (^ ^) 一緒に新しい分野を開拓しましょう!
さて、今年3月にロンドンで開催されたIPEX2014のプリンテッドエレクトロニクス (PE)コーナーで、Ceradropというフランスの会社の方とお話ししました。その方はインクジェットヘッドの制御ソフトウェアをご担当されている方なのですが、お話しの中で「PEを商業印刷に応用したい」と仰っていました。
「PEを商業印刷に応用すると、どんなことができるの?」
「(お渡しした名刺を見ながら)例えば、これの名前やロゴの部分を光らせたりできるようになるんだ。あと、音を出せたり。通信ができるポスターもできるようになるよ。」
「(スマホを手に取って)将来、スマホの充電器もいらなくなるかも。スマホケースに太陽電池を印刷すれば、ケース自体から充電できるようになるからね。」
「いつ頃、実現できそう?」
「まだ分からない。でも、こういう風に使いたいという広告主が出てくれば、結構早く実現できるような気がする。技術開発は、落としどころがはっきりしていると、どんどん進んだりするからね。実は、今回の展示会でも、PEの商業印刷応用に興味がある人を探しているんだ。」
「そういう人、見つかった?」
「ぼちぼちかな。でも、興味を持ってくれる人は結構いるよ。」
実は昨年(2013年)、花王のマーケティングご担当者から、ニベアがブラジルで展開した『太陽電池が印刷された雑誌広告』を使ったキャンペーンのお話しをお伺いしていました。恥ずかしながら、その時は「面白い!」程度の感想しか持ちませんでした。しかし、Ceradropの方のお話を伺いながら「これって、もしかして印刷産業の大きな事業機会になるかも」という思い(というか妄想(笑))が大きくなりました。
ふと会場を見渡すと、PE x 商業印刷物の事例も展示されていたりしました。こちらのポスターもそのひとつで、ドラムセットの部分を触ると音が出ます。ただ、これが「音が鳴るポスター」だとあまり知られていないようで、触っている人は少なかったようです。
ちなみに、このポスターは英国の印刷通販会社MOOで制作したもののようです。たまたまIPEX視察時にMOOも訪問させていただいたのですが、社内に同じものが貼ってあって、その制作秘話もお伺いしました。MOOはとても面白い会社さんで、私の中では「世界で最もマーケティング力の高い印刷会社」という位置付けです。機会があったら、MOOの分析もこのブログでご紹介したいと思います。
話は元に戻しますが、帰国後に調べてみたところ、PE x 商業印刷のような『紙のエレクトロニクス応用=ペーパーエレクトロニクス』は様々な分野で大きな注目を集めていることが分かりました。例えば、クラウドファンディングサイトKICKSTARTERではペーパーエレクトロニクス分野のベンチャー企業が予定額を大きく上回る資金を調達していたり、スウェーデンの森林業界が産業の発展に寄与する研究を表彰するThe Marcus Wallenberg賞では、今年はペーパーエレクトロニクス分野の研究が受賞したり。
この背景には、ウェアラブルコンピュータなど向けに「薄くて軽くて柔軟で環境に優しい基板」が求められていることがあります。一方、コミュニケーションの観点からも、ペーパーエレクトロニクスは印刷物の表現力・双方向性を大きく高めます。さらに、最近話題のIoT(モノのインターネット, Internet of Things)への貢献も十分に考えられます。ICチップを安く大量に「印刷」できれば、たくさんのモノをネットにつなげられるようになるのですから。これは、生産管理やサプライチェーンマネージメントにも大きな影響を及ぼします。
2020年のdrupaでは、ペーパーエレクトロニクス分野を印刷会社が開拓するための機材が、多くの出展社から提案されることになると私は考えます。ペーパーエレクトロニクスは、印刷会社はもちろん、印刷機材・資材メーカーにも大きな事業機会を提供することになるためです。
ところで、こうした流れを受けて、国内でも筑波大学 生命環境系 生物材料工学分野 環境材料系科学研究室 江前(えのまえ)教授を中心に「紙のエレクトロニクス応用研究会」が今年の7月に発足しました。こちらのサイトからペーパーエレクトロニクス関連の情報が随時発信されており、また今後は会員限定の交流会なども計画されています。私も参加しておりますので、ご興味をお持ちの方はお気軽にお声がけください (^ ^) 一緒に新しい分野を開拓しましょう!
2014年8月14日木曜日
ラベルフォーラムジャパン2014 レビュー
2014年7月22日・23日の2日間、東京国際フォーラムでラベルフォーラムジャパン2014が開催されました。ラベルフォーラムは主に「コンファレンス(セミナー)」と「テーブルトップショー(展示)」で構成されているのですが、その両方がとてもレベルが高く刺激的でした。
私も2日間会場に通ったのですが、今回のラベルフォーラムから以下のようなラベル印刷市場動向が見えてきたように思います:
1. ラベル向けデジタル印刷ソリューションがどんどん進化していること:
今回のテーブルトップショーには、以下のデジタル印刷機が「参考展示」されていました(各製品の写真や主なスペックは下図参照):
これらの製品を見ていると、ラベル用デジタル印刷機市場の多様化が進んでいることが分かります:
また、参考展示製品も含めて、多くのデジタル印刷機は「後加工機」との連携も意識した展示となっていたのが印象的でした。あわせて、会場にはAlwan社のカラーマネージメントソリューションなど数多くのソフトウェアも紹介されていました。今回のテーブルトップショーを通じて、印刷の前後も含めたラベル印刷用ソリューション全体がどんどん進化していることが見えてきました。
2. ブランドオーナーとの協業の余地はまだまだ大きいこと:
2日間のコンファレンスでは、キリンや中外製薬、生活協同組合連合会(コープ)など、ブランドオーナー(発注者)によるセミナーも開催されました。これらのセミナーでは、以下のような具体的な技術課題に対してどのように解決策を見つけたかという、現場感溢れるお話しをお伺いできました:
印刷会社はついつい「印刷品質」に注目するのですが、ラベルを使う現場では印刷品質以外の課題も多いようです。現場で生じるこうした課題も視野に入れたサービスを企画・提供すること。これも印刷会社の大きな事業機会だと思います。
また、ラベル新聞社によるセミナーでは、バリアブル(可変)やバリアフリーなど、ラベルの進化の方向性が示されましたが、ブランドオーナー側のセミナーではこれらについて触れられることはありませんでした。
ただ、例えばキリンでは、バリアフリーについてはラベルではなくビールが入った容器(ビンや缶など)で対応が進んでいます。ここから、バリアフリーは「ラベル」という単位で考えるのではなく容器も含めて考えた方が良いことが分かります。つまり、バリアフリーについては、ラベルご担当者よりも商品そのものの企画ご担当者に提案することが求められそうです。
また、バリアブル(可変)ラベルは、小売店側の欲求も重要になると考えられます。ということは、バリアブルラベルの提案は、メーカー・流通双方に対して行うことが必要になります。
ラベルの新しい可能性を切り拓く際には、これまでとは異なった立ち位置でブランドオーナーと協業する必要がありそうです。
3. デジタル印刷を活用するにはアイデアが重要なこと:
どんどん進化を続けるラベル用デジタル印刷ソリューションは、価格的にも使い勝手という点でも印刷会社にとって導入し易くなっています。ただ、デジタル印刷で大きく売り上げ・利益を伸ばすためには、現在の仕事の置き換えではなく新しい需要を創造することが求められます。
今回のラベルフォーラムを通じて、「現場を視野に入れたサービス」や「ブランドオーナーと流通の両方を巻き込むサービス」など、新たな方向性が見えてきました。しかし、これを売上・利益増大に落とし込むには、独自のアイデアが必要不可欠です。
ラベルフォーラムでは印刷会社によるセミナーや展示もありましたが、そうした会社では新しい方向性のサービスを具体化する取組みが進んでいます。例えば、テーブルトップショーに出展していた(株)吉村では、とても面白い新サービスの企画が進んでいます。まだ発表されていないそうなのでこのブログに書くのは控えますが、「このサービス、いいね!」と多くの方が考えるものになりそうです。私も、早く実現していただきたいです (^ ^)
商業印刷会社など他分野の印刷会社の中には、ラベル印刷市場への新規参入を検討されているところもあるかと思います。ラベルフォーラムジャパン2014で明らかになったように、機材は導入し易くなり、ブランドオーナー(顧客)もまだまだ多くの課題を抱えています。こうした状況は、アイデア豊富な印刷会社にとって、とても魅力的だと考えられます。
ラベルフォーラムジャパンは、2年に一度のイベントです。次回(2016年)はdrupa開催年にあたりますので、さらに大きく進化した展示やセミナーが行われると思います。早くも今から楽しみです!
私も2日間会場に通ったのですが、今回のラベルフォーラムから以下のようなラベル印刷市場動向が見えてきたように思います:
- ラベル向けデジタル印刷ソリューションがどんどん進化していること。
- ブランドオーナーとの協業の余地はまだまだ大きいこと。
- デジタル印刷を活用するにはアイデアが重要なこと
1. ラベル向けデジタル印刷ソリューションがどんどん進化していること:
今回のテーブルトップショーには、以下のデジタル印刷機が「参考展示」されていました(各製品の写真や主なスペックは下図参照):
- エプソン L-6034VW
- コニカミノルタ x ミヤコシ bizhub PRESS C71cf/ MKD13A
- エプソン 産業用小型インクジェット機(製品名未発表)
- 沖データ 小型LEDトナー式ラベルプリンター(製品名未発表)
これらの製品を見ていると、ラベル用デジタル印刷機市場の多様化が進んでいることが分かります:
- 印刷方式の多様化:電子写真(粉体トナー)機・UVインクジェット機・水性顔料インクジェット機
- 用紙幅の多様化:3インチ・128mm・330/ 340mm
- 価格帯の多様化:ハイエンド(5,000万円程度)・ミッドレンジ(1,500万円程度)・ライトプロダクション(100万円以下)
- プレーヤーの多様化:沖データもラベル市場への本格参入
また、参考展示製品も含めて、多くのデジタル印刷機は「後加工機」との連携も意識した展示となっていたのが印象的でした。あわせて、会場にはAlwan社のカラーマネージメントソリューションなど数多くのソフトウェアも紹介されていました。今回のテーブルトップショーを通じて、印刷の前後も含めたラベル印刷用ソリューション全体がどんどん進化していることが見えてきました。
2. ブランドオーナーとの協業の余地はまだまだ大きいこと:
2日間のコンファレンスでは、キリンや中外製薬、生活協同組合連合会(コープ)など、ブランドオーナー(発注者)によるセミナーも開催されました。これらのセミナーでは、以下のような具体的な技術課題に対してどのように解決策を見つけたかという、現場感溢れるお話しをお伺いできました:
- 生産速度600bpm(毎分600本)の高速環境下でレーザーマーキング印字に対応する(キリン)
- (分割ラベルにおいて)うまくラベルを引き裂くことができない(中外製薬)
- 再利用容器の場合、使用済みラベルをはがしにくい。はがしやすさを考えて粘着度調整をするので、はりにくい(コープ)
印刷会社はついつい「印刷品質」に注目するのですが、ラベルを使う現場では印刷品質以外の課題も多いようです。現場で生じるこうした課題も視野に入れたサービスを企画・提供すること。これも印刷会社の大きな事業機会だと思います。
また、ラベル新聞社によるセミナーでは、バリアブル(可変)やバリアフリーなど、ラベルの進化の方向性が示されましたが、ブランドオーナー側のセミナーではこれらについて触れられることはありませんでした。
ただ、例えばキリンでは、バリアフリーについてはラベルではなくビールが入った容器(ビンや缶など)で対応が進んでいます。ここから、バリアフリーは「ラベル」という単位で考えるのではなく容器も含めて考えた方が良いことが分かります。つまり、バリアフリーについては、ラベルご担当者よりも商品そのものの企画ご担当者に提案することが求められそうです。
また、バリアブル(可変)ラベルは、小売店側の欲求も重要になると考えられます。ということは、バリアブルラベルの提案は、メーカー・流通双方に対して行うことが必要になります。
ラベルの新しい可能性を切り拓く際には、これまでとは異なった立ち位置でブランドオーナーと協業する必要がありそうです。
3. デジタル印刷を活用するにはアイデアが重要なこと:
どんどん進化を続けるラベル用デジタル印刷ソリューションは、価格的にも使い勝手という点でも印刷会社にとって導入し易くなっています。ただ、デジタル印刷で大きく売り上げ・利益を伸ばすためには、現在の仕事の置き換えではなく新しい需要を創造することが求められます。
今回のラベルフォーラムを通じて、「現場を視野に入れたサービス」や「ブランドオーナーと流通の両方を巻き込むサービス」など、新たな方向性が見えてきました。しかし、これを売上・利益増大に落とし込むには、独自のアイデアが必要不可欠です。
ラベルフォーラムでは印刷会社によるセミナーや展示もありましたが、そうした会社では新しい方向性のサービスを具体化する取組みが進んでいます。例えば、テーブルトップショーに出展していた(株)吉村では、とても面白い新サービスの企画が進んでいます。まだ発表されていないそうなのでこのブログに書くのは控えますが、「このサービス、いいね!」と多くの方が考えるものになりそうです。私も、早く実現していただきたいです (^ ^)
商業印刷会社など他分野の印刷会社の中には、ラベル印刷市場への新規参入を検討されているところもあるかと思います。ラベルフォーラムジャパン2014で明らかになったように、機材は導入し易くなり、ブランドオーナー(顧客)もまだまだ多くの課題を抱えています。こうした状況は、アイデア豊富な印刷会社にとって、とても魅力的だと考えられます。
ラベルフォーラムジャパンは、2年に一度のイベントです。次回(2016年)はdrupa開催年にあたりますので、さらに大きく進化した展示やセミナーが行われると思います。早くも今から楽しみです!
2014年7月24日木曜日
drupa大胆予測 (1):drupa2016は『B1 drupa』に!
IPEX2014が閉幕して間もない4月上旬、印刷機材業界の巨人ハイデルベルグ社がデジタル印刷市場向け戦略を発表しました。この中では、「インクジェット方式の商業印刷/パッケージ印刷市場向けシステム開発に着手すること」にも触れられています。
そして、このインクジェット機には、どうやらB1サイズの枚葉機が含まれているようです。ハイデルベルグ社からの発表資料では触れられていませんが、会見でハイデルベルグ社デジタル印刷部門シニアバイスプレジデントJason Oliver氏が言及されたようで、海外メディア(例えば、PrintWeek誌など)はこぞって取り上げています。
そういえば、昨秋(2013年9月)には、Landa社が紙器パッケージ市場向けB1サイズ枚葉インクジェット機 Landa S10FC Nanographic Printing Press のβサイトを2014年第4四半期に設置することを発表していました。
また、drupa2012の際にHP社ブースにいらっしゃった説明員(技術者)の方に「IndigoってB1サイズも印刷できるの?」とお伺いしたら「うん、技術的には可能だよ」というお答えをいただきました。「じゃ、何で今回はB2機(注:Indigo 10000/ 20000/ 30000)を出したの?」「マーケティングの人たちが『今回はB2機でいく』と決めたから」というお話しもお伺いできました。つまり、HP社も市場が盛り上がるようならB1サイズ枚葉機を出してきそうです。
もし、drupa2016でハイデルベルグ・Landa・HPが揃ってB1サイズ枚葉デジタル印刷機を展示したら、そのインパクトはかなり大きいと思います。その場合、drupa2016が『B1 drupa』と呼ばれる可能性は十分にあると考えています。
さて、B1 drupaが実現した際、私は以下3つの反応に注目したいと思います:
ただ、実際に数社から発表されたB1サイズのデジタル印刷機を見て、紙器パッケージ印刷会社がどのような反応を示すのか。「面白い!すぐ買おう!!」となるのか「うーん、もう少し様子見かな」となるのか。その反応に注目したいと思います。
また、後加工機メーカーの反応に要注目です。特にパッケージの印刷の仕事は、刷って終わりではなく加工が必要不可欠です。『抜き(カット)』については、型を使わずに高い生産性で作業できる、小ロットに適した機材が増えてきています。しかし、『筋入れ』については型無し&高生産性を両立する機材はなさそうです(私が不勉強なだけかも知れませんが (^ ^; )。
「デジタル印刷で紙器パッケージ」という市場を開拓するためには、後加工機メーカーの協力も大切になります。drupa2016会場で、後加工機メーカーがどのような小ロットパッケージ市場向けソリューションを提案するのか。こちらにも注目しましょう。
そして、B1機が出てきた時に、B2機はどのような位置付け・役割で提案されるのか、という点にもぜひ注目したいと思います。B2機が出てきた結果、従来(そして現在も)広く使われているA3サイズ枚葉機は、生産性よりも機能性が訴求されるようになりました。では、B1機とB2機の棲み分けはどうなるのでしょう?drupa会場では、B2機を販売する機材メーカーの提案にも注目です。
番外編として、来年9月に東京で開催されるIGAS2015にも注目しましょう!さらなるデジタル印刷の大判化・対応するアプリケーションの多様化が進みそうな drupa2016に向けて、どのような展示・セミナーが開催されるのか。折角なので、刺激的な展示会にしていただければと思います (^ ^)
そして、このインクジェット機には、どうやらB1サイズの枚葉機が含まれているようです。ハイデルベルグ社からの発表資料では触れられていませんが、会見でハイデルベルグ社デジタル印刷部門シニアバイスプレジデントJason Oliver氏が言及されたようで、海外メディア(例えば、PrintWeek誌など)はこぞって取り上げています。
そういえば、昨秋(2013年9月)には、Landa社が紙器パッケージ市場向けB1サイズ枚葉インクジェット機 Landa S10FC Nanographic Printing Press のβサイトを2014年第4四半期に設置することを発表していました。
また、drupa2012の際にHP社ブースにいらっしゃった説明員(技術者)の方に「IndigoってB1サイズも印刷できるの?」とお伺いしたら「うん、技術的には可能だよ」というお答えをいただきました。「じゃ、何で今回はB2機(注:Indigo 10000/ 20000/ 30000)を出したの?」「マーケティングの人たちが『今回はB2機でいく』と決めたから」というお話しもお伺いできました。つまり、HP社も市場が盛り上がるようならB1サイズ枚葉機を出してきそうです。
もし、drupa2016でハイデルベルグ・Landa・HPが揃ってB1サイズ枚葉デジタル印刷機を展示したら、そのインパクトはかなり大きいと思います。その場合、drupa2016が『B1 drupa』と呼ばれる可能性は十分にあると考えています。
さて、B1 drupaが実現した際、私は以下3つの反応に注目したいと思います:
- パッケージ印刷会社の反応
- 後加工機メーカーの反応
- B2サイズ枚葉デジタル印刷機メーカーの反応
ただ、実際に数社から発表されたB1サイズのデジタル印刷機を見て、紙器パッケージ印刷会社がどのような反応を示すのか。「面白い!すぐ買おう!!」となるのか「うーん、もう少し様子見かな」となるのか。その反応に注目したいと思います。
また、後加工機メーカーの反応に要注目です。特にパッケージの印刷の仕事は、刷って終わりではなく加工が必要不可欠です。『抜き(カット)』については、型を使わずに高い生産性で作業できる、小ロットに適した機材が増えてきています。しかし、『筋入れ』については型無し&高生産性を両立する機材はなさそうです(私が不勉強なだけかも知れませんが (^ ^; )。
「デジタル印刷で紙器パッケージ」という市場を開拓するためには、後加工機メーカーの協力も大切になります。drupa2016会場で、後加工機メーカーがどのような小ロットパッケージ市場向けソリューションを提案するのか。こちらにも注目しましょう。
そして、B1機が出てきた時に、B2機はどのような位置付け・役割で提案されるのか、という点にもぜひ注目したいと思います。B2機が出てきた結果、従来(そして現在も)広く使われているA3サイズ枚葉機は、生産性よりも機能性が訴求されるようになりました。では、B1機とB2機の棲み分けはどうなるのでしょう?drupa会場では、B2機を販売する機材メーカーの提案にも注目です。
番外編として、来年9月に東京で開催されるIGAS2015にも注目しましょう!さらなるデジタル印刷の大判化・対応するアプリケーションの多様化が進みそうな drupa2016に向けて、どのような展示・セミナーが開催されるのか。折角なので、刺激的な展示会にしていただければと思います (^ ^)
2014年6月9日月曜日
『クオリティー企業』という方向性
6月8日(日)の日本経済新聞に一橋大学教授 楠木建氏のとても面白いインタビュー記事が掲載されていましたが、皆さんは読まれましたでしょうか?この記事によれば、楠木教授は企業を2つに分類しています。
ひとつめは、「外部環境のオポチュニティー、つまり追い風をつかまえて成長するのがうまい」オポチュニティー企業。人口が増え、経済成長が著しい新興国で伸びている企業がそれにあたります。そして、もうひとつは「風は追わずに、優れた戦略で会社の中から独自の価値をつくり出す」クオリティー企業。こちらは、風を待つのではなく自分たちでエンジンをつくるタイプです。
ところで、こちらのブログ記事でも触れましたが、これまでの取材から日米の印刷会社は顧客に対して「新しさ」を訴求する傾向が強く、英国の印刷会社は「顧客にとってどんな意味や価値があるのか」を訴求する傾向が強いことが分かりました。楠木氏流の言い方を借りれば、日米の印刷会社はオポチュニティー企業型、英国の印刷会社はクオリティー企業型のような印象を受けます。
しかし、楠木氏は記事の中で、「米国はオポチュニティー大国。長いこと先進国としてやっているが、永遠の若者だ。移民政策によって人口が増えている点が大きく、特殊な国。日本がまねをしようと思っても難しい。」と述べています。とすると、日本の印刷会社は先に成熟した英国市場を参考にすることが必要になりそうです。
実は、英国市場はインターネット広告市場の広がりという点でも日本の先を行っています。広告費全体に占めるインターネット広告費の比率は、英国の32%(2012年)に対して、日本は16%(2013年)です。こうした状況にも関わらず、英国印刷会社はクオリティー企業を指向しています。これは、英国がクオリティー国家だからだと思われます。
楠木氏は、「日本は『クオリティー国家』を目指すべきだ」と提言しています。国内印刷会社にとって、成熟した印刷市場で売上・利益を伸ばすために、英国流のクオリティー企業を目指すという選択肢もありそうです。
ひとつめは、「外部環境のオポチュニティー、つまり追い風をつかまえて成長するのがうまい」オポチュニティー企業。人口が増え、経済成長が著しい新興国で伸びている企業がそれにあたります。そして、もうひとつは「風は追わずに、優れた戦略で会社の中から独自の価値をつくり出す」クオリティー企業。こちらは、風を待つのではなく自分たちでエンジンをつくるタイプです。
ところで、こちらのブログ記事でも触れましたが、これまでの取材から日米の印刷会社は顧客に対して「新しさ」を訴求する傾向が強く、英国の印刷会社は「顧客にとってどんな意味や価値があるのか」を訴求する傾向が強いことが分かりました。楠木氏流の言い方を借りれば、日米の印刷会社はオポチュニティー企業型、英国の印刷会社はクオリティー企業型のような印象を受けます。
しかし、楠木氏は記事の中で、「米国はオポチュニティー大国。長いこと先進国としてやっているが、永遠の若者だ。移民政策によって人口が増えている点が大きく、特殊な国。日本がまねをしようと思っても難しい。」と述べています。とすると、日本の印刷会社は先に成熟した英国市場を参考にすることが必要になりそうです。
実は、英国市場はインターネット広告市場の広がりという点でも日本の先を行っています。広告費全体に占めるインターネット広告費の比率は、英国の32%(2012年)に対して、日本は16%(2013年)です。こうした状況にも関わらず、英国印刷会社はクオリティー企業を指向しています。これは、英国がクオリティー国家だからだと思われます。
楠木氏は、「日本は『クオリティー国家』を目指すべきだ」と提言しています。国内印刷会社にとって、成熟した印刷市場で売上・利益を伸ばすために、英国流のクオリティー企業を目指すという選択肢もありそうです。
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