この背景となるIndustrie 4.0(インダストリー4.0)やスマート工場(考える工場)についてはこちらなどの記事をお読みいただくとして、今回はスマート印刷工場に必要不可欠となるスマートワークフローについてご紹介します。
さて、そもそも『スマート印刷工場(考える印刷工場)』は何を考えれば良いのでしょう?例えば、以下の目的を「効果的・効率的に実現するマーケティング施策」を考えることが挙げられます:
- 「顧客の顧客」視点からの顧客企業の需要とブランドの創造
- 顧客企業視点からの自社の需要とブランドの創造
- 需要とブランドの創造を通じた『稼ぐ力』の強化/価格競争からの脱却、など
これを実現するためには、「顧客の顧客」や顧客1人づつ(1社づつ)に合わせたコミュニケーションが必要不可欠になりますが、先にご紹介した記事にも書かれているように、それを実現する「マスカスタマイゼーション」の仕組みもIndustrie 4.0 のキーワードのひとつです。
印刷会社が「マスカスタマイゼーション」を通して、効果・効率の高いマーケティング施策を考えられる「スマート印刷工場」を実現するためには、以下のような機能を持つ「スマートワークフロー」が必要不可欠です:
- 顧客や「顧客の顧客」の行動をトリガー(切っかけ)に、それぞれにぴったりの印刷物を自動的に生産・発送できる。
- 顧客企業内のマーケティングシステムと連携が取れる。
- APIを通して、さまざまなWebサービスと連携が取れる。
- さまざまな印刷機材(ハードウェアおよびソフトウェア)をシームレスにつなぐことができる。
- マーケティングの効果・効率を高めるために必要なデータを自動的に収集・分析できる:
- 顧客や「顧客の顧客」の行動・気持ちなどが見える化できる。
- AI(人工知能)が使われている、など
ところで、ワークフローの第1世代であるワークフローRIPは、印刷会社内(特にプリプレス部分)の業務効率化が目的とされていました。そして、第2世代であるデジタルワークフローは、印刷会社と顧客がつながり、その間のやり取りの効率化に大きな効果を挙げています。
drupa2016では、第3世代となる「スマートワークフロー」に注目したいと考えます。HPはdrupaに向けてPrintOSというコンセプトを発表しています。まだ詳細は不明ですが、これがスマートワークフローに近いものでは、と勝手に妄想を膨らませています(笑)。
「デジタル・IT業界がよくわかる本」(志村一隆著、宣伝会議)によれば、「OSとは、スマートフォンのスイッチや通話、カメラといった機器にあらかじめ備わっている機能を動かしたり、LINEやゲームといったアプリを動かす役目を担っているプログラム」のことです。
この文章中の『スマートフォン』を「デジタル印刷機」や「後加工機」、また『LINEやゲームといったアプリ』を「ワークフローやWeb to Print、カラーマネージメントといったソフトウェア」と置き換えると、HPがOSという表現を使う意味というか迫力が見えてきます。
これまでの発表から、ワークフロー分野では「クラウド化」がdrupa会場での話題になることが見込まれます。しかし、個人的には「ワークフローのスマート化 = スマートワークフロー」に注目しています。実は、スマートワークフローが、drupa2016の『マイベスト注目ポイント』だったりします (^ ^)
なお、『スマート印刷工場』や『スマートワークフロー』はブライター・レイターの造語です。これらの言葉が流行るよう、皆さんどんどんお使いください(笑)!