2010年ごろ、「液体トナー式デジタル印刷機(液体トナー機)が盛り上がるかも!?」という噂が広がりました。「HP社が所有する液体トナー電子写真技術に関する特許が切れる」というのがその理由でした。確かに、前回drupa(2012年)には、キヤノンやザイコンといった大手デジタル印刷機メーカーがこの分野への参入を表明し、実際に盛り上がりそうな気配も感じられました。
さて、液体トナー機の現状はどうなっているのでしょう?
drupa2016での出展が発表されている液体トナー機(A3サイズ以上)をまとめたのが下図になります。HP以外で出展されるのは以下の3機種です:
- ミヤコシ MDP4000:
- B2サイズ枚葉式デジタル印刷機
- 色数:4色(将来7色対応予定)
- 印刷速度:4,000枚/ 時(片面印刷時);2,000枚/ 時(両面印刷時)
- RGMT DP7:
- B2サイズ枚葉式デジタル印刷機(4色機)
- 印刷速度:6,000枚/ 時
- 解像度:1,200 dpi
- Xeikon Trillium One:
- 連続紙用デジタル印刷機(印字幅 500mm)
- 印刷速度:50m/ 分
- 解像度:1,200 dpi
drupa2012で発表されたキヤノン InfiniStream は、今年(2016年)3月に「開発を中止し、製品化しないことを発表した」という記事がネットに流れました。実際、キヤノンのdrupa2016特設ページにもInfinistreamが出展されるという情報は見当たりません。ただ、先ほどの記事によれば、キヤノンは液体トナー技術の開発を継続し、時期は未定ながらも将来的に液体トナー機を製品化する計画があるとされています。今後の展開を期待しましょう!
ところで、興味深いのは、上記3機種は全てミヤコシの液体トナー技術をベースにした製品である点です。つまり、液体トナー機市場では、HPとミヤコシの一騎打ち状態になっているのです。もちろん、すでに製品化され市場で高い評価を受けているHPの方が大きくリードしています。ただ、後発ならではの戦い方をすれば、液体トナー機市場に新しい風を吹かせることができるかもしれません。
drupa会場ではぜひ、HPとミヤコシの印刷品質を比較してみてください。
あわせて、ミヤコシ・RGMT・ザイコン各社の液体トナー機の比較もオススメです。
印刷部分は同じミヤコシの技術を使っていても、搬送系は各社異なっています。また、各社の設計思想にも違いがあるため、操作性などにも違いがありそうです。この3社の印刷品質や使いやすさの違いにも、ぜひご注目ください。そして、皆さんのご意見をお伺いさせていただければと思います (^ ^)