しかし、デジタル印刷に成功している印刷会社では、新しいメディアにおける経験を「自社の印刷物受注拡大」に結びつけているところも目に付きます。こちらの記事でご紹介した挨拶状ドットコムや英国のmooのような単品型印刷通販会社、「印刷情報9月号」の記事(34ページ)でご紹介した、自社サイトを「Web上での営業担当者」と位置付けたことで新規顧客開拓力を高めた印刷会社などが、例として挙げられます。以前mooでは、「ソーシャルサービス管理担当者」の求人が出ていたのを見て驚いたこともありました。
最近では、発注を受ける端末がパソコン以外にも広まっています。8月にJAGATで開催されたセミナー「未来を破壊する」についての徹底討論会では、JAGATの塚田会長から錦明印刷におけるスマートフォン向け Web to printシステム開発の取組みについてお話がありました。これはまだ始まったばかりではありますが、太平洋印刷はスマートフォンアプリから絵はがきを発注できるサービス「絵はがき」および発注した絵はがきを投函してもらえるサービス「投函しま〜す」を提供されています。
海外に目を向けると、Pic Collageというスマートフォンアプリがあります。これは、スマホで撮影した写真やスマホに取り込んだ画像を切り抜いたり貼付けたりしてコラージュを作ることができるアプリなのですが、これも作成したコラージュをポストカードとして印刷してもらうよう発注することができます(ちなみに、文末の画像がPic Collage で作られたコラージュのサンプルです)。
Webにおける集客方法や発注者が利用する端末は、どんどん変化しています。デジタル印刷に成功している印刷会社は、こうした動きに適切に対応しています。ウェブ博士も、「クライアントの先にいくこと:競合は無視すること」と書いています。クライアントの先にいくことで印刷ニーズを取り込み、デジタル印刷に成功していただきたいと思います。