印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2013年10月27日日曜日

ARのタイプ別使い方(例)


今回のWeb &モバイルマーケティング EXPO・スマートフォン&モバイル EXPOでもAR(拡張現実感)の展示は多かったのですが、春に比べて展示が減っていたように思います。その一方で、ARの技術や機能ではなく使い方を訴求する展示が増えてきて、AR市場が深化しているように感じました。

WOWOWコミュニケーションズでは、blippARを「3ヶ月間のプロモーション用」として提案し、さまざまな機能もプロモーションを盛り上げるものとして紹介していました。また、国内でのblippARの事例として、テレビ番組(東京レイヴンズ)や映画(ブリングリング)、ファッションブランド(キャサリンハムネット)のプロモーションを挙げていました。もちろん、blippARを継続的に利用することも可能ですが、期間限定のプロモーション用として提案されたことで、より明確にblippARの使い方がイメージできるようになったと思います。

ナリッジワークスブースでは、ファッション通販会社オットー・ジャパンのスマートフォン用アプリ「ファビア インフォリーダー」が紹介されていました。オットー・ジャパンが今春スタートした新ブランド「ファビア(FABIA)」のカタログは全ページARに対応していて、このアプリを使うことでカタログから商品詳細やコーディネート写真にダイレクトにアクセスできます。

「ファビア インフォリーダー」の興味深い点として、単なるARアプリではなく、新作アイテムをオリジナルムービーで楽しめたり、特集やキャンペーン情報、カテゴリ検索などの機能を持つ「ショッピングをトータルに楽しむためのツール」と位置付けていることが挙げられます。こうしたアプリでは、ARはさまざまな機能のひとつになります。そしてこのようなアプリにおいては、AR以外の機能を継続的に充実させることで、顧客を囲い込んだり、ブランディングができたりします。

このような「ARはさまざまな機能のひとつ」というアプリにおいては、ARそのものの技術に加えて、他機能との連携性といった拡張性が重要になると思います。今回の展示会ではそのような点に言及しているブースは見かけませんでしたが(私が見落としただけかもしれませんが)、これからは「機能拡張のし易さ」といった点の訴求が増えるかもしれません。

ナリッジワークスでは、感知サイネージ Sense!us、非接触サイネージ Smart Screen、タッチで検索 Communication Tableといった、「体感型」をキーワードにした実験的な展示も行われていました。これらにはモーションセンサーが使われており、人の動きに反応して表示が変わります。ナリッジワークスでは、これらを店頭で足を止めてもらうためのツールとして主に考えているそうです。

10月24日・25日の2日間、三菱電機エンジニアリング(MEE)は秋葉原でMEEニューテクノロジーフェア@秋葉原を開催したのですが、こちらでもモーションセンサーベースのARが紹介されていました。ここで興味深かったのは、「動きに反応 x 継続利用」というセグメントの開拓を目指していたところです。

担当者によれば、工場のラインや手術室など手袋をはめる必要があり(特に、その手袋が汚れるところ)また資料を確認する必要がある場所だと、モーションセンサーを使って「触れずに操作」する欲求があると考えられます。こういう考え方をすると、台所など自宅内での利用もイメージでき、スマホにもモーションセンサーが搭載される可能性も十分考えられそうです。あるいは、バリアフリーの領域での活用など、新しい使い方もいろいろと生まれてきそうです。

この秋の展示会では、動きに反応するタイプのものも含め、ARの使用目的がだんだん見えてきました。そのお陰で、ARを使ったサービスの形も、よりイメージし易くなったように思います。ARにご興味をお持ちの印刷会社も多いと思いますが、この際に是非具体的なサービスの形、そしてビジネスモデルを検討・実現していただければと思います。