2013年12月、大企業の景況判断は4期連続で改善、中小企業の景況感も2004年4-6月期の調査開始以来最高となったと、日銀から発表されました。その一方で、印刷業界では景気回復を実感しているという声はあまり聞かれません。日銀の発表は業況判断DIという指数に基づいたものなのですが、今回の記事では、印刷業界の業況判断DIについて分析してみます。
印刷の業況判断DI について、2012年4-6月期から2014年1-3月期(見通し)までの推移をみると、右肩上がりの傾向があることが分かります。2012年4-6月期は-31,7だったのが2014年1-3月期(見通し)では-17.6となり、14.1ポイントと大幅に改善しています。
しかし、それでも業況判断はマイナスです。実は、-17.6という数値は、製造業全体の中では最も低いものです。景気が「好転」していると考える印刷会社は増えてはいるものの、「悪化」していると考える企業数はまだまだ多いようです。
ところで、今回、印刷業界と関係が深いパルプ・紙・紙加工品における業況判断DIについてもあわせて分析してみましょう。こちらは2013年6月までは回復基調にありましたが、その後は悪化傾向にあります。これに対して、印刷は2012年6月までは横ばい〜微増傾向だったのが、それ以降は回復に転じています。
このように、印刷とパルプ・紙・紙加工品は、景気回復という観点からみると大きく異なる傾向にあります。なんとなく、2012年6月までは印刷業界を踏み台にパルプ・紙・紙加工品業界が景気を回復し、それ以降は立場が逆転したかのようにも見えます。本来なら、「紙離れ」という厳しい状況を乗り切るため、お互いに支え合うことが求められると思うのですが。