先週土曜日(2月15日)に名古屋で開催された印刷業界のイベントPrintNext2014 に、私は関東ブロック企画の分科会「ゲーム作りの技術をビジネスに生かせ!」のコーディネータとして参加しました。こちらの分科会では、以下のご登壇者によるプレゼンテーションやパネルディスカッションを通じて、ゲーム作りの技術を印刷ビジネスに生かすポイントやゲーミフィケーション・ARGと印刷サービスに組み合わせて提供する可能性などを明らかにしました:
- ゆめみ 深田 浩嗣 氏(「おもてなし」とゲーミフィケーションの専門家)
- オフィス新大陸 坂本 犬ノ介 氏(ARGの専門家)
- 今井印刷 今井 孝治 氏(印刷人代表)
- 真生印刷 齋藤 達郎 氏(印刷人代表)
- ブライター・レイター 山下 潤一郎(コーディネータ)
この分科会のため、印刷人代表のご登壇者今井さん・齋藤さんを含む関東ブロック企画チームは、坂本さんのご指導・監修の下で昨年の夏から「印刷曼荼羅調査隊」というARGを実際に企画・実施しました。また、深田さんの講演をお伺いしたり著作を読んだりした上で、入念な事前お打ち合わせを重ねました。そのため、分科会では大きな成果を得ることができました。
例えば、ゲーム作りの技術を生かすことで、印刷会社は下図のように「常識をぶち壊す」ことができます。また、ゲーミフィケーションやARGを印刷サービスの一部として提供することも十分考えられます。その理由として、以下のような点が挙げられました:
- 「コミュニケーションによって顧客企業の課題を解決する」という立ち位置は、印刷サービス・ゲーミフィケーション・ARGに共通するため、協業の余地が大きい。
- スマートフォンやウェアラブルコンピュータなど、技術革新はこれからも続く。ゲーミフィケーションやARGにこうした新しい動きを取り込み有効に活用するため、印刷会社の協力も必要となる。
- 特にARGでは、リアル(現実)におけるコミュニケーションも成功の大きな要因になるため、印刷メディアの役割が重要になる。
ただ、時間不足のため、ゲーム作りの技術をどのようにマネタイズするか(長期利益に結びつけるか)という点にまで踏み込むことができなかったのは残念でした。とはいえ、午前中の2つの基調講演(侍ハードラー
為末大氏、一橋大学イノベーション研究センター教授 米倉誠一郎氏)で出てきたキーワードのひとつである「自社を再定義する」(自社の戦う場所(事業領域)・その場所での立ち位置・仮想ライバルなどを再検討する(ずらす))にも呼応した、とても面白い内容だったと思います。
ところで、中小規模の印刷会社がゲーム作りの技術を持つことで、グローバルな大企業とも直接取引できる可能性も高まりそうです。印刷業界では概して「大きな印刷物発注企業と取引するのは大きな印刷会社」と考えられているような気がします。改めて考えると、ゆめみもオフィス新大陸も(失礼な言い方かもしれませんが)それほど規模の大きな会社ではありません。しかし、才能が豊かであるため、グローバル企業を含む大きな企業と直接取引されています。
もちろん、全ての印刷会社が大きな企業と取引する必要はありません。しかし、ゲーム作りの技術を生かすことで、そういった印刷業界の「常識をぶち壊す」ことに挑戦する中小規模の印刷会社が出てきても良いかと思います。それもイノベーションのひとつだと思われます。
今回の分科会では、ゲーム作りの技術はさまざまな印刷業界の「常識をぶち壊す」ことに有効であることが示されました。ぜひこの成果をもとに長期利益を実現しましょう!