3つのうち『小ロットジョブ』への活用は順調に進んでいますが、残り2つ(『印刷物のパーソナライズ』『コミュニケーションのパーソナライズ』)への活用はなかなか広まりません。その背景として、例えば、以下のような取り組みが進まないことが挙げられます:
- ワークフロー全体のパーソナライズ対応:
- データ制作から発送まで含めて
- 事故を起こさない検査システムの活用、など
- デジタル印刷らしい表現の開拓:
- より説得力のあるパーソナライズされた表現:
- 後加工も含めて
- アクセシビリティに配慮した表現
- デジタル印刷の色域を前提にした表現、など
- 新しいコミュニケーションの理解と実践:
- 新しいマーケティングの理解と実践:
- デジタルマーケティングも含めて
- コミュニケーションに関わるITシステムへの理解
- 新しいコミュニケーションに関わる課題の把握・解決の実践、など
- 周囲をどんどん巻き込むこと:
- 顧客のサプライチェーンに関わる部署やパートナー企業:
- 営業、販売チャネル、など
- 顧客のマーケティングコミュニケーションに関わる部署:
- 広報、宣伝、マーケティング、など
- 顧客のIT部門
- 顧客のその他ステークホルダー、など
- 新しいサービスへの積極的な挑戦
- 新しいマネタイズモデルの構築、など
求められる取り組みは非常に幅広いことから、実践にあたり「ハードルが高い」と感じる印刷会社は少なくないかもしれません。しかし、「自社コミュニケーションのバージョンアップ!」から始めると、それほどハードルは高くありません。例えば、以下のような取り組みから始めることをオススメします:
- 御社印刷物のパーソナライズ/カスタマイズ:
- カタログ、パンフレット、会社概要、名刺、など
- そのためのワークフロー構築・運用も含めて
- 周囲をどんどん巻き込むコミュニケーションの企画・実践:
- 御社内のさまざまな部署を巻き込むコミュニケーション
- 社外を巻き込むコミュニケーション:
- 顧客、パートナー企業、その他ステークホルダー、など
- そのために必要なメッセージづくり
- そのために必要なメディア活用の企画・実践:
- デジタル印刷物も含めて
- オープンハウスなど、リアルの取り組みも含めて
- 御社らしいデジタル印刷表現の確立:
- 御社の特徴・強み・魅力などを伝える表現
- 周囲が巻き込まれたくなる表現、など
自社の印刷物をパーソナライズ/カスタマイズすることで、印刷会社はデジタル印刷物の使い方と作り方についての理解を深めることができます。あわせて、周囲を巻き込むコミュニケーションを企画・実践することを通じて、(デジタルを含む)印刷物以外のコミュニケーションやコミュニケーション全体におけるデジタル印刷物活用の実績を作ることもできます。その際、「CRM × デジタル印刷」「デジタルマーケティング × デジタル印刷」といったことにも挑戦できます。
drupa2016では、デジタル印刷機を含むさまざまな最新印刷機材・資材が紹介されます。印刷会社にとって重要なのは、最新機材・資材を活用して売上・利益を伸ばすことです。会場では、ぜひ「自社コミュニケーションをバージョンアップにつながるデジタル印刷のツールや仕組み」という視点からも情報を収集・分析してください。それらも顧客のコミュニケーション力向上、そして御社のデジタル印刷成功につながりますから (^ ^)
次回は、drupaでも大きな話題になりそうなパッケージ向けデジタル印刷について分析したいと思います。お楽しみに!