1974年、マーク・ボラン& T.レックスはアルバム「ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー」(Zinc Alloy and the Hidden Riders of Tomorrow) を発表しました。マーク・ボランは、「ゲット・イット・オン」「20センチュリー・ボーイ」などで有名なグラムロックミュージシャンです。 このアルバムには、通常盤と限定版(1000枚)の2種類がありました。限定盤は凝ったジャケットが人気で、今でも中古レコード市場で高値で売買されています。
2001年、このアルバムが紙ジャケとして復刻されたのですが、嬉しいことにその際には「限定盤」仕様が採用されました。トリプル・ゲートフォールドと呼ばれるもので、ジャケットを左・右・上に展開できます。展開すると、見返り美男(!)なマーク・ボランが現れます。
しかも、展開する部分に格子状になるようスリットが入っていて、展開するに連れて少しづつマーク・ボランの顔が変わっていく仕掛けになっています。格子状になっているデザインから、このジャケットは「ケージ・カバー」(Cage, 檻、鳥かご、監獄、刑務所)とも呼ばれています("A Creamed Cage in August" というアルバムのサブタイトルにも関係しそうですが、ここでは深入りしません w)。
ところで、1974年の限定盤ジャケットの向かって右側展開部分(横向きにスリットが入っている部分)には、楽曲や写真などのクレジット(コピーライト)が記載されていて、この中にはギャロッド・アンド・ロフトハウス(Garrod and Lofthouse)という会社名もあります。
このジャケットを製作したイギリスの印刷会社で、英国のレコード会社EMIの(ビートルズを含む)アルバムのほとんどを製作した名門です。しかし、レコードがカセットやCDにとって変わられたことで仕事が減り、1988年に精算されました(EMIも2012年に音楽出版事業をソニーに、レコード部門をユニバーサル・レコードに売却しました・・・)
この印刷会社名、残念ながらこの復刻版CDのクレジット部分には記載されていません。ここまでは復刻されていないようです。ちなみに、様々な日本文学の初版本が復刻されている日本近代文学館のシリーズ「精選 名著復刻全集」では、初版本の奥付も復刻した上でその本の奥付も記載する、という形をとっています。復刻版のつくり方にも色々な流派があるようです。
もちろん、オリジナル版に触れる機会があれば、それを存分に愛でることにしくはありません。しかし、復刻版はオリジナル版の魅力を味わいつつ、オリジナル版と比較することで(クレジット表記のような)差異を楽しむこともできます。今回はご紹介していませんが、復刻版ならではのオマケ(ポスター)も付いていたりします。
名作の復刻版を見かけたら、ぜひ手に取ってオリジナル版の魅力・特徴を確認したり、復刻版ならではの面白さを楽しんだりしましょう!
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