印刷物をもっと「つくる」「使う」「残す」ことを支援する、ブライター・レイターのブログです。

2023年6月20日火曜日

この招待状/カタログ知ってる? . . . トワイヤン個展@ギャラリー封印された星

1953年5月、パリのギャラリー L'Étoile scellée(封印された星)において、チェコ出身の画家トワイヤンの個展が開催されました。このギャラリーの運営にはシュルレアリスムの法皇アンドレ・ブルトンが運営に関わり、マン・レイメレ(メレット)・オッペンハイムの個展なども開催されました。

このギャラリーは、個性的で美しい招待状/カタログをつくったことでも有名です。例えば、今回ご紹介するこちら。2つの手が繋がった形に抜いてあって、折りたたむと手のひらを重ねたようになるステキなデザインになっています。


この招待状/カタログ、「手の甲」に当たる面にはギャラリー名や展覧会名、会期、展示された作品名などが書かれています。そして「手のひら」面には、アンドレ・ブルトンはもちろん、ジェラール・ルグランバンジャマン・ペレ、ジャン=ルイ・ベドゥアン、ジャン=ピエール・デュプレーなど様々なシュルレアリストの文章が、血管とか手相のように配置されています。


今はパソコンを使えばこういったデザインはできますが、この招待状/カタログがつくられたのは70年前。印刷はもちろん、組版も人力です。ただ、人力のおかげか、曲線で書かれている文章が自然で読みやすい、人に優しいデザインになっています(残念ながら、私はフランス語は読めませんが・・・)。

ところで、この印刷方法は何でしょう?黒々と印刷された文字をルーペで確認する限り、活版印刷のようです。しかし、全て異なる曲線で描かれた複数の文章を活字で組むというのは、かなりの技量が求められそうな。この難易度について、活版印刷に詳しい方に確認してみたいです。

なお、この招待状/カタログの大きさは、開いた状態で約33.5cm x 約17.5cm(2つに折った状態では約23cm x 約15.5cm)。斜めにすれば、A3ノビサイズの用紙に2面付けすることができます。このデザイン、デジタル印刷機で小ロット印刷・抜き加工して、定形外郵便(規格内)でDMとして送ることも可能です。

ギャラリー L'Étoile scellée は残念ながら短命(1952年〜1956年)で終わりましたが、その間に蝶やこうもりの形に型抜きされたものや手彩色されたものなど、たくさんの魅力的な招待状/カタログを制作しました。さすがブルトン先生です。ぜひ、他のものも見てみたいです。

いやぁ、プリントって本当にいいものですね!